秘密 season0

秘密 season0

清水玲子による前作『秘密 -トップ・シークレット-』の前日譚と、本編終了後の物語を描いたスピンオフ新シリーズ。白泉社「メロディ」2012年12月号から連載。

正式名称
秘密 season0
ふりがな
ひみつ しーずんぜろ
作者
ジャンル
サスペンス
関連商品
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あらすじ

2045年5月。東京大学に入学した大学1年生の薪剛は、両親の死の真相を知るため、唯一の手掛かりである東京大学経済学部国際思想史学科、通称「プレミアム」総本山(ヘッドラウンジ)に近づこうとしていた。徹底したセキュリティのもと、会員しか入れない「プレミアム」総本山に侵入するには、東京大学入試で優秀な成績をおさめ、次期会員に選ばれる必要がある。新入生のなかで鈴木克洋を次期会員の有力候補と見込んだ剛は克洋に近づくものの、悪気なく無礼な態度をとり克洋を怒らせてしまう。しかし、やがて剛の事情を知った克洋は協力することを決意。2人はそろって「プレミアム」総本山内部への侵入を試みるが、剛の両親には、剛も知らない秘密があった。

関連作品

関連作品として清水玲子の前作である『秘密 -トップ・シークレット-』がある。本作『秘密 season0』の最初のエピソードである「Genesis 創世記」では『秘密 -トップ・シークレット-』のメインキャラクターである薪剛鈴木克洋の大学生時代が描かれ、次の「原罪 ORIGINAL SIN」から先は、『秘密 -トップ・シークレット-』終了後の物語を描いている。そのため、本作は『秘密 -トップ・シークレット-』のスピンオフシリーズであるのと同時に、続編ともいえる位置づけとなっている。

キャラクターブック

2016年8月、『秘密 -トップ・シークレット-』と本作『秘密 season0』のファンブックとして「秘密 パーフェクトプロファイル」が発売された。本書にはメインキャラクターのプロフィールや、『秘密 -トップ・シークレット-』全12巻と『秘密 season0』の4巻までに発生した事件の内容について記載されているほか、清水玲子萩尾望都の対談、一条ゆかり日渡早紀などの寄稿イラストが収録されている。

登場人物・キャラクター

薪 剛 (まき つよし)

エピソード「Genesis 創世記」では東京大学に通う大学1年の男子学生として、「原罪 ORIGINAL SIN」以降は39歳の科学警察研究所法医第九研究室の室長として登場する。前髪を左寄りの位置で分け、肩につかない長さの淡い茶髪のストレートヘアをしている。日本人離れした美しい容姿に加え、17歳にして京都大学生命科学研究科の博士課程を修了し、東京大学入試でも首席合格をおさめた非常に優秀な人物。 性格は沈着冷静にして頭脳明晰、そのうえ分析能力にも長けるが、やや風変わりでコミュニケーション能力には欠けるところがある。8歳の頃に火災で両親を亡くし、以来法定後見人であり父親代わりの澤村敏と2人暮らしをしている。火災の時、自分をかばって大やけどを負った敏を介護するため、友人関係やクラブ活動よりも敏を優先して生活してきた。 火災の原因は両親が無理心中を図るための放火と考えられているが、それに納得せず事件の真相を暴こうと考えており、協力を求めて鈴木克洋のもとへ現れる。小柄で女性と見まごう顔立ちから、科学警察研究所法医第九研究室の所長となり40歳が迫る頃になっても「私服では中学生に見える」と評されている。

鈴木 克洋 (すずき かつひろ)

エピソード「Genesis 創世記」に登場する。東京大学に通う大学1年の男子学生。学部は文科一類(法学部)で、入試成績は2位。髪全体を左寄りの位置で8対2に分けている。2045年5月、突如自分を探して現れた薪剛の無礼な態度に腹を立てるが、剛が強い目的を持って自分に会いに来たことを知り、協力を決意。「プレミアム」に入会することで2035年に起きた薪家の火災の真相を暴く手伝いをするようになる。 明るく爽やかな性格で、警戒心が強く分析能力、判断能力に長ける。薪の境遇を知るうち、強く力になりたいと感じ、積極的にサポートしていく。

澤村 敏 (さわむら さとし)

エピソード「Genesis 創世記」に登場する。薪剛の法定後見人で、剛の両親の死後、一緒に暮らしている父親代わりの男性。年齢は40代後半。剛の両親の死因となった2035年の火災に自身も巻き込まれ全身に大やけどを負い、坊主頭となりサングラスをかけてマスクをし、焼けただれた顔を隠している。10年経った2045年も介護なしには生活できない状況にあり、さらに事件当時の記憶もなくしている。 そのため剛は周囲との関わりよりも敏を優先し、2人は自分たちだけの閉鎖的な関係を築いていた。鈴木克洋とは、倒れた剛を克洋が運んで自宅にやってきた際に知り合うが、敏は剛ではなく克洋が「プレミアム」の会員に選ばれたことを快く思っておらず、納得していない。 剛に異常な執着心を抱いており、不審な点が多い。

原 直樹 (はら なおき)

エピソード「Genesis 創世記」に登場する。「プレミアム」の会員の男性。前髪を七三分けにして撫で付け髪にし、眼鏡をかけている。鈴木克洋が「プレミアム」の会員にふさわしい人物だと判断し、彼に声をかけて東京大学経済学部国際思想史学科、通称「プレミアム」総本山(ヘッドラウンジ)へ招待する。

川谷 雅人 (かわたに まさと)

エピソード「Genesis 創世記」および「原罪 ORIGINAL SIN」に登場する。「プレミアム」の会員であり、マスターを務める中年の男性。衆議院議員でもある。バーコード頭と大きな鼻が特徴。「Genesis 創世記」では、薪剛が2035年薪家で起きた火災の真相について調べていることを知り、警告をする。「原罪 ORIGINAL SIN」では事件の関係者とみられる川谷寿明の父親でもあり、さらに日向沙羅が自身の秘書であるため、引き続き登場する。 カザフスタンへの原発技術協力も手掛けており、アリエフ大統領との食事会にも参加する。

青木 一行 (あおき いっこう)

「原罪 ORIGINAL SIN」以降のエピソードに登場する。薪剛の元部下で、福岡県にある科学警察研究所第8管区九州地区室長を務める警視の男性。年齢は28歳。前髪を上げて額を全開にして撫でつけ髪にし、眼鏡をかけている。以前は剛と共に科学警察研究所法医第九研究室で活躍していたが、現在は離れて働いていた。しかしカザフスタン大統領であるアリエフが第8管区を視察しに訪れたことから、視察に同行し、東京都でのシンポジウムにも参加。 再び剛のサポートにも就くことになる。非常に前向きで明るく心優しい性格だが、周囲には「前向きというよりもバカ」と評されることもある。1年ほど前、剛がフランスのパリにいた際に手紙を送ったが、それを剛が読んでいるか不明なことを不思議に思っている。 東京大学法学部を卒業している。

岡部 靖文 (おかべ やすふみ)

「原罪 ORIGINAL SIN」以降のエピソードに登場する。薪剛の部下で、科学警察研究所関東第3管区室長を務める40歳の男性。前髪を額が見えるほど短く切った短髪ヘアと無精ひげ、三白眼が特徴。剛から厚い信頼を寄せられている右腕的存在で、青木一行とも、一行が科学警察研究所法医第九研究室に居た頃からの付き合い。 強面ではあるが性格は温厚で心優しく、周囲を気遣うあまり気苦労が絶えないところがある。酒には弱く、すぐに酔っぱらってしまう。

波多野 (はたの)

「原罪 ORIGINAL SIN」以降のエピソードに登場する。科学警察研究所関東第3管区に勤める新人職員の若い女性。前髪を眉上で短く切り、耳の高さにそろえたボブヘアをしている。そばかすと丸眼鏡が特徴。ややおっとりしたところがあるが堂々とした性格で、青木一行のアドバイスを受け、厳しい薪剛についていく。メモ帳を携行し、常にメモを取っている。

山城 (やましろ)

「原罪 ORIGINAL SIN」以降のエピソードに登場する。科学警察研究所関東第3管区に勤める若い男性。前髪を真ん中で分け、肩につくほどの長髪をしている。ホラー映画ファンで、エピソード「増殖」では仕事で行けなくなった「日本スクリーム映画祭」のチケットを友人の佐野圭介に贈った。しかし映画祭で映画『見えないともだち』を鑑賞した圭介の恋人の悦子が精神に異常をきたし死亡してしまう。 さらに同時期に全国で発生し続けている死亡事件の死者は全員が「幽霊の幻覚を見て亡くなった、『見えないともだち』の鑑賞者」であったことから、圭介と悦子にチケットを渡したことに強い責任を感じている。

タジク・シャマール (たじくしゃまーる)

エピソード「原罪 ORIGINAL SIN」に登場する。有名レストラン「エトール・セントラル」でシェフとして働く34歳の男性。前髪を上げて額を全開にし、撫でつけ髪にしている。カザフ族の貧しい遊牧民の出身だが、ヨーロッパ各地で修業し、フレンチ、イタリアンに加え日本料理の素晴らしい腕前を持つ。メインの食材は可能な限り畜解体から行うというポリシーを持ち、高い料理の技術に加えて強いこだわりと無駄のない食材の使用ぶりから、カリスマ的存在として知られている。 ある件から日向沙羅に強い恩を感じており、彼女を守るためであれば危険な行動も厭わない。薪剛の熱心に事件を調査する姿には、沙羅に似たものを感じている。

日向 沙羅 (ひゅうが さら)

エピソード「原罪 ORIGINAL SIN」に登場する。衆議院議員である川谷雅人の秘書を務める若い女性。前髪を真ん中で分け、胸のあたりまで伸ばしたロングウェーブヘアをしている。もとは外国籍で「サビーナ・アタスー」という名前だったが、帰化して「日向沙羅」を名乗って暮らしている。ある件から聴覚障害があり、小型の補聴器をつけている。 また、進行性のガンにかかっている疑いがある。

川谷 寿明 (かわたに としあき)

エピソード「原罪 ORIGINAL SIN」に登場する。川谷雅人の次男で、ガリーナ・ツォイの交際相手。年齢は24歳。前髪を左寄りの位置で斜めに分けて撫でつけ髪にし、えらの張った頬が特徴。残虐で身勝手な性格で、ガリーナをはじめとする、自分と関わった外国人女性たちを平気で傷つけ、使い捨てのように扱っていた。また、タジク・シャマールに対しても、日向沙羅が父親の秘書であり、自分の手で辞めさせられることを盾に無理やり従わせていた。 ドラッグ中毒の疑いがある。

ガリーナ・ツォイ (がりーなつぉい)

エピソード「原罪 ORIGINAL SIN」に登場する。ホステスとして働く22歳の女性。前髪を目が隠れそうなほど伸ばしたショートカットヘアと、鼻に付けたピアスが特徴。9月に失踪し、捜索願が出されていたが、妹であるユリヤ・ツォイの独自調査により、ガリーナが身につけていたと思われるピアスや衣服の切れ端、毛髪や歯が有名レストラン「エトール・セントラル」で発見され、ガリーナは亡くなっていることが推測されている。 しかしユリヤの行動は無断で行った独自調査であるため証拠能力はなく、薪剛は警視総監たちに頼み込み、「エトール・セントラル」の調査に乗り出すことになる。行方不明になる前のガリーナは暴力団系風俗店で性的サービスを強要されていた。さらに、のちにクロイツフェルト・ヤコブ病を発症していたことが発覚する。

アルマ

エピソード「原罪 ORIGINAL SIN」に登場する。タジク・シャマールの亡くなった1歳年下の妹。前髪を目の高さで切り、胸のあたりまで伸ばした髪を三つ編みにしている。生前はタジクとともに缶詰工場で働いており、日本に送られるキャットフードを食べて「生まれ変わったら日本の猫になって、毎日このキャットフードを食べる生活がしたい」と語っていた。 9歳で亡くなった。

アリエフ

エピソード「原罪 ORIGINAL SIN」に登場する。カザフスタンの大統領。前髪を9対1で分けて、やや広くなった額を全開にし、撫でつけ髪にしている。細い目と眼鏡が特徴。原発の建設と共に、MRI捜査にも力を入れたいと考えており、日本の科学警察研究所へ視察に訪れる。視察先にはカザフスタンの首都アスタナと福岡県福岡市が姉妹都市である関係から科学警察研究所第8管区九州地区が選ばれ、室長である青木一行はアリエフの視察とシンポジウムに同行することになる。 薪剛に対しては、若々しく女性のような容姿から良い印象を持っていなかった。しかし窮地を救われたのがきっかけで気に入り、食事会での警護を頼むことになる。倹約家として知られており、重度の花粉症でもある。

桜木 正 (さくらぎ ただし)

エピソード「可視光線」に登場する。薪剛の大学時代の同級生で、現在は警視庁警務部の部長を務めている40歳の男性。1浪しているため、剛より1歳年上にあたる。前髪を上げて額を全開にし、撫でつけ髪にしている。額に入った大きな傷跡とがっしりとした身体、眼鏡が特徴。2035年、10歳の頃に発生した隣家の一家惨殺事件、すなわち「久留米の一家惨殺事件」に遭遇し、唯一犯人の目撃者になったことから証言台に立った過去を持つ。 額の傷も、犯人を目撃した際に切りつけられてできたもの。同期の剛を一方的にライバル視しており、非常に出世欲が強い。そのため周囲には黒谷由花里と結婚することで出世しようとしているのではと考えられているが、正義感が強く由花里にも誠実なことから、剛は正が出世のために女性を利用するような人間ではないと考えている。 福岡県久留米市竜田山の出身。

黒谷 由花里 (くろたに ゆかり)

エピソード「可視光線」に登場する。前東京都知事の娘で、桜木正の縁談相手の34歳の女性。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩につかない長さのウェーブがかったボブヘアをしている。左目眉の上にあるほくろが特徴。正とは縁談がきっかけで知り合い親しくしている。自宅に正と写っている隠し撮り写真を何度も送りつけられるというストーカー被害に遭っており、正には止められているにもかかわらず、薪剛に相談する。 以前、剛のことを自分の縁談相手と誤解したことがあり、誤解が発覚した後も密かに剛に憧れている。バレエや歌舞伎が好きで、特に美形の役者が好き。

永江 明 (ながえ あきら)

エピソード「可視光線」に登場する。68歳で死刑が執行された元死刑囚の男性。後退した頭髪と四角い顔が特徴。2024年、佐賀県の資産家一家5人を暴行、惨殺し、金品を強奪したまま九州地方を転々とする。2036年に逮捕されるまでに、判明しているだけでも窃盗・婦女暴行を13件繰り返した凶悪犯。約50万人に1人の確率で自然出生する、赤外線や紫外線を可視化する特異な目を持つ人物で、目隠しをされていても目隠しの向こうが透けて見える特殊な能力があった。

佐野 圭介 (さの けいすけ)

エピソード「増殖」に登場する。山城の友人の25歳の男性。アフロヘアと丸眼鏡が特徴。仕事で都合がつかなくなった山城から「スクリーム映画祭」のチケットを受け取り、恋人の悦子と『見えないともだち』を鑑賞。しかし鑑賞から1ヵ月を過ぎた6月頃から悦子が精神に異常をきたし、7月に入り死亡。自身も悦子の葬儀後、幻覚を見るようになってしまう。

集団・組織

プレミアム

政財界に太いコネクションを持つ秘密結社。総本山(ヘッドラウンジ)は東京大学経済学部国際思想史学科にある。存在は原則非公式、非公開となっているが、東京大学の入試上位者から新たな会員が毎年選出されている。会員になることは「選ばれしもの」になったことを意味する素晴らしいステータスであり、さらに将来政財界に太い人脈を作ることができる。 また、「友愛秘密結社」を模して、自分たちの概念と政治的影響力を知らしめるため、東京スカイツリーや国会議事堂といった、2012年以降に建てられた、あるいは改修された国家的巨大建設物のどこかに「プレミアム」の紋章を刻むという密かな活動も行っている。階級制度があり「マスター」に選ばれた者は特別な指輪をつける。薪剛は10年前の火災の関係者の一人がその指輪をつけていたことを記憶しており、事件の真相を知るため「プレミアム」に近づこうとしている。

場所

20世紀オリンピック記念公園 (にじゅっせいきおりんぴっくきねんこうえん)

東京都目黒区内にある公園のこと。昭和39年開催の東京オリンピックの第3会場として建設され、40ヘクタール超の広大な敷地に陸上競技場、野球場等各種施設がそろっている。しかし2010年代には公園の名がついた殺人事件「20世紀オリンピック公園リンチ事件」が発生し、施設の老朽化も目立ち始めたことから利用者が減少。再開発再利用を求める声が大きく上がっているが、新都市計画の決定稿が決まっていないため、2045年1月から2055年1月にかけて改修工事により閉鎖中となっている。

イベント・出来事

20世紀オリンピック公園リンチ事件 (にじゅっせいきおりんぴっくこうえんりんちじけん)

2010年6月10日、澤村敏が12歳の頃に発生した殺人事件のこと。20世紀オリンピック記念公園内のダイビングプールで、42歳の会社員の男性が死体となって発見された。しかし検視の結果水死ではなく複数人に暴行され、死亡後にプールに投げ込まれたことが発覚。全身にひどい傷を負い、両眼はえぐりとられ死体の眼窩は開いた状態になっていた。 被害者は4ヵ月前に20世紀オリンピック記念公園で起きた「毒物混入甘酒事件」の重要参考人であったが、どちらの事件も迷宮入りし、犯人は検挙されずに終わった。事件が起きた背景には「外国人狩り」があったと考えられる。

外国人狩り (がいこくじんがり)

日本人による外国人を狙ったリンチのこと。2005年、日本政府が大胆な外国人受け入れ政策を実施した結果、日本人の4人に一人が失業するという大不況が発生。さらに2007年の世界金融危機が発生したことから日本人の外国人アレルギーがピークに達したことが事件の原因と考えられている。死者は2016年の時点で14名にも達していた。

留米の一家惨殺事件 (くるめのいっかざんさつじけん)

2035年、福岡県久留米市の、桜木正の実家の隣家で起きた一家惨殺事件のこと。果物を届けに偶然隣家へ訪れた正は、まだ家の中にいた犯人に遭遇。額を切りつけられ消えない傷を負うが、命は助かり、唯一の目撃者として証言台に立つことになった。正の証言から犯人は隣家で庭師として働いていた関口と発覚。正の証言が決め手で有罪となった。 その後、関口の妻の千春と娘の未来は無理心中を図って亡くなり、息子の翔太だけが逃げ出して助かった。

日本スクリーム映画祭 (にほんすくりーむえいがさい)

2067年4月29日から5月8日にかけて行われた、ホラー映画を集めて上映を行う映画祭。毎年同時期に開催され、映画祭人気上位の3作品は7月に全国公開が行われる。2067年度のグランプリは中越香澄監督の『見えないともだち』が獲得し、7月20日からの公開が決定。しかし映画祭から2ヵ月近く経過した6月末から『見えないともだち』の鑑賞者が「作中に登場する子供の幽霊が登場する悪夢を見る」「夢の中だけでなく、現実にも作中に登場する子供の幽霊の幻覚が見えるようになる」と精神に異常をきたし、次々に死亡したり、幻覚が原因で殺人を行うという事件が連続発生する。 そのため薪剛たちは『見えないともだち』の全国公開が始まる前に事件の真相解明に挑むことになる。

その他キーワード

新都市計画 (しんとしけいかく)

2045年、東京都で計画が練られている最中の都市計画のこと。10年前の2035年に実施予定だったが、マスタープランの立案者である薪俊が火災で亡くなったことでプランの詳細とデータが消失。プラン自体が立ち消え、2045年現在も計画中のまま実行されていない状態にある。

クロイツフェルト・ヤコブ病 (くろいつふぇると・やこぶびょう)

脳神経細胞が侵され、歩行障害、認知症、視力障害等が現れ死に至る病気。クロイツフェルト・ヤコブ病を患った牛や人間の、脳、脊髄等特定部位を摂取することで発症する。薪剛はガリーナ・ツォイがこの病気で亡くなり、さらに身体の一部がレストラン「エトール・セントラル」で発見されたことから、タジク・シャマールが「エトール・セントラル」で出す料理に、発症者であるガリーナの特定部位を混ぜ、感染を拡大させようとしているのではと考えるようになる。

前作

秘密 THE TOP SECRET (ひみつ ざ とっぷしーくれっと)

死者の脳を覗き込み、生前にその脳の持ち主が見ていた映像を映し出す機器「MRIスキャナー」を用い、薪剛と青木一行を中心とする警察庁科学警察研究所法医第九研究室(第九)がさまざまな難事件を解決していく姿を... 関連ページ:秘密 THE TOP SECRET

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