概要・あらすじ
孤児たちが暮らす光の子養護施設で育ったユキは、おてんばで活発だが、とても心の優しい少女。養護施設に養女を探しに来た岩渕家に引き取られ、岩渕家の娘として生活することになる。岩渕家の娘で病弱な早苗とも仲良くなったユキは、ある日屋敷で見つけた北海道の写真に、ひどく引きつけられる。
衝動を押さえきれず北海道へと向かうユキは、さまざまな人との出会いを通じて、自分の出生の秘密へと辿り着くことになる。
登場人物・キャラクター
ユキ
おてんばで向こう見ずなところがあるが、とても優しい心を持った女の子。昭和30年1月11日の大雪の日に光の子養護施設の前で行き倒れていたところを保護されユキと名付けられた。嬉しくなると人を殴るクセがある。また、人に噛みつく攻撃も得意。得意なスポーツはバレーボール、水泳、バドミントン、ピンポン、野球、相撲、ボクシング、レスリング、槍投げ、柔道、帽子取り、靴隠しと枚挙に暇がない。 岩淵家に養女として引き取られ、そこで目にした北海道の風景に不思議な懐かしさを覚える。唯一の出生の手がかりだったくるみの木で作られた十字架の首飾りがきっかけとなって、実の父、実の母との再会を果たす。
岩淵 早苗 (いわぶち さなえ)
ユキと同じ小学四年生。岩淵家の一人娘で、心臓に疾患を抱える病弱な体質。長引く病気の療養のため、北海道の別荘で過ごすことになる。実母イザベラは早苗を産んですぐに亡くなっており、実の名はサリー。
早苗の父 (さなえのちち)
大きな橋を作ったりトンネルを掘ったりする建設会社・岩淵建設を経営している建築家。若戸大橋、首都高速の一部、北海道の製薬会社の地下研究所などの工事を請け負う大会社だったが、大きな事業に失敗し岩淵建設が倒産。家財もろとも屋敷は差し押さえられ、早苗の療養のために購入した北海道の別荘へと追いやられる。
早苗の母 (さなえのはは)
岩淵建設が倒産し、東京のお屋敷を引き払うことになるが、北海道の別荘行きを強固に嫌がり失踪してしまう。北海道の教会でユキが見かけた木彫りのマリア像の顔に瓜二つ。実はユキの実の母であり、早苗の育ての母。
アカルパ
絵を描いたり木彫りの彫刻を作っていたが、数年前に奥さんが幼い子どもを連れて出て行ってしまってからは、心を閉ざし偏屈な性格になってしまった。竜太の命の恩人で、竜太と一緒に牧場を営み、狭い小屋に暮らしている。ユキが自分の娘だと知らされるが、火事を起こした岩渕家の別荘に、取り残された早苗を助けるために飛び込み、全身に大やけどを負ってしまう。 ユキが自分の娘だと知った後も事実を知らせず黙っていたが自分の死期を悟って事実を明かし、アイヌ仲間に光の子養護施設建設を依頼する。
アンダースン
早苗の祖父で、早世したイザベラの父。アメリカの大実業家で、ニューヨークに個人美術館を持つほどの美術品収集家。余生を孫娘のサリーと過ごしたいと、召使いのジェームズを日本に遣わせる。
竜太 (りゅうた)
山の奥の小さな牧場で働くアイヌの少年で中学生。島田建設の陰謀で雪の中に生き埋めになっていたユキや岩淵たちを助け出した。島田建設の社長に騙され、以前住んでいた村を取り上げられ、土地からも追い出されたことをうらんでいる。5年前の雪崩で両親と死別。壊れた家から救出してくれたアカルパの小屋に身を寄せている。 兄貴分としてユキの身を案じ、アカルパや早苗の母に事実を話すよう説得する。
牧師 (ぼくし)
北海道のおんぼろ教会に住み着いて40年になる老牧師で、奥さんと二人暮し。ユキが持つくるみの木でできた十字架を見てユキがアカルパの娘であると気付き、アカルパにその事実を打ち明ける。
園長先生 (えんちょうせんせい)
光の子養護施設の園長。ユキの優しい部分を誰よりも理解しており、岩渕家に引き取られることを喜ぶ。
おなご先生 (おなごせんせい)
光の子養護施設の職員。みんなの面倒を見る優しい先生。点字を読むことができる。光の子養護施設移転後も同行し、北海道に居住する。
松川常務 (まつかわじょうむ)
岩渕建設の常務だが乗っ取りを画策し、社長を退任に追い込んだ。東京の屋敷だけではなく、北海道の別荘まで取り上げる冷血漢。
木島 雄介 (きじま ゆうすけ)
岩渕建設乗っ取りを企む松川の手先として騙されて働いてきたが、松川の不正を全てなすり付けられ罪人に仕立て上げられてしまう。そのいざこざで松川の部下を一人殺害してしまい、指名手配される身となった。まだ幼い妹クミがいる。
木島クミ (きじまくみ)
木島の妹で、目が不自由。兄が逮捕された後は光の子養護施設で保護されている。
ヤナさん
早苗のお父さんが子どもの頃から30年も岩渕家の面倒を見てくれているお手伝いさん。岩渕家が落ちぶれても北海道に移り住み一家の面倒を見続ける。
一松 (いちまつ)
光の子養護施設の五年生。ユキから幽霊の話をされトイレに行けず、おねしょをしてしまう。お米屋さんの養子にもらわれ、偶然にも文京第六小学校の六年生としてユキと再会する。しかしおねしょグセは相変わらず。
集団・組織
島田建設 (しまだけんせつ)
『ユキの太陽』に登場する架空の会社。岩淵建設が請け負っている地下研究所工事を乗っ取ろうとしている北海道の建築会社。雪崩を起こして岩淵の車を埋めてしまう。
場所
光の子養護施設 (ひかりのこようごしせつ)
『ユキの太陽』に登場する施設。孤児などの養育不可能な児童を預かり保護している。四歳から小学二年生の低学年組、小学三年から六年までの中等科などを備える。高速道路建設のため施設の移転を余儀なくされたが、北海道にある岩渕家の別荘を土地ごと買い取って移転してくる。