あらすじ
第1巻
人材派遣業最大手「ナイス・スタッフ」の営業部に新卒採用された生田一馬には、年の近い先輩である綾瀬陽子が教育係として就けられた。最初は陽子のやり方についていけない一馬であったが、社会人としての自覚ができていくにつれ、陽子に憧れを抱くようになっていく。そんな一馬の前に「ナイス・スタッフ」に登録して働く派遣社員、有栖川敦子が現れる。敦子は一馬を気に入り、まるで彼女のように振る舞うようになる。かわいらしい敦子が気になりつつも、やはり一馬は陽子への気持ちが捨てきれないでいた。
一方、一馬の思いを受け止めたいと考えるようになった陽子は、自身が恋人の宇木直人と入籍するまでの1年間、お互いに第2の恋人として付き合おうとする一馬に提案する。提案を受け入れた一馬は陽子と秘密の関係を続けつつ、敦子の気持ちも受け入れて付き合うようになる。そんな中、一馬は敦子とのデート中に、偶然にも陽子と宇木のカップルに遭遇する。宇木が結婚後は陽子に仕事を辞めてほしいと一方的に願っていると聞いた一馬は逆上し、その姿を見た敦子は不安に襲われるのであった。
第2巻
生田一馬と綾瀬陽子は期間限定の第2の恋人として、割り切った交際をしていた。しかし、仕事とはいえクリスマスに二人きりで過ごした事もあり、次第にお互いの事が気になっていく。だが、陽子は相変わらず宇木直人と入籍をする決心を変えず、一馬は現実から逃げるように有栖川敦子に癒しを求めていた。そんな関係の中、敦子の前に元彼、崇広が現われ、一馬と大ゲンカに発展してしまう。それ以降、崇広は敦子につきまとうようになり、敦子自身も崇広を冷たく突き放せずにいた。そんな姿を見た一馬は嫉妬に似た感情を覚えるが、自身に責める資格がないと十分理解していた。そして一馬は敦子に別れを告げ、陽子を宇木から奪おうと心に決めるのだった。一方、宇木は上海で新規事業を起こすため、陽子との入籍を早めようと準備を進めていた。陽子は半ば強引に仕事をやめさせられ、一馬に別れの言葉も伝えられないまま、宇木と共に空港へと向かうのだった。
登場人物・キャラクター
生田 一馬 (いくた かずま)
春から新入社員として人材派遣会社「ナイス・スタッフ」の営業部で働く男性。年齢は22歳。就職氷河期にもかかわらず、持ち前のノリと人当りのよさで内定を勝ち取った。営業部では綾瀬陽子を除く先輩達から「生っち」と呼ばれてかわいがられている。入社当初は学生気分がなかなか抜けずにいたものの、教育係である陽子の働きぶりに感化され、次第に社会人としての自覚を持つようになっていく。 普段は有能な陽子が、酔った時にかわいらしくなるギャップに惹かれていく。そして陽子に婚約者、宇木直人がいると知りつつも、アプローチを開始する。
綾瀬 陽子 (あやせ はるこ)
人材派遣会社「ナイス・スタッフ」の営業部で働く女性。年齢は24歳。新入社員である生田一馬と年齢が近いので、教育係を任された。美人で、スタイルは抜群ではあるものの、普段は口数は少なく、地味な服装をしているため、目立った存在ではない。一方、仕事になると、相手にあったキャラクターを演じる事ができ、そのあまりの豹変ぶりに一馬が驚いたほどである。 人材派遣会社に入社した当初は特にスキルも高くなく、対人関係もうまく築けなかった。しかし、持ち前のガッツと根性で次々と契約を成立させ、営業部でも上位の成績をおさめるようになっていく。飲むといっしょにいる人物に説教をして暴れたり、過剰なスキンシップをしたりと、酒癖が悪い。宇木直人とは婚約しており、現在同棲中。 1年後に籍を入れる予定ながらも、一方的に仕事をやめろと迫る宇木に対しては、反抗こそはしないものの、複雑な感情を抱いている。自分に対して真っ直ぐに気持ちをぶつけてくる一馬が気になっている。
有栖川 敦子 (ありすがわ あつこ)
人材派遣会社「ナイス・スタッフ」に登録している派遣社員の女性。年齢は23歳。社会経験は少ないものの明るく素直な性格で、仕事も要領よくこなすため、派遣先からの評判は非常によい。篠原京からは特に重宝されている優秀なスタッフでもある。有能な仕事ぶりとは裏腹に、私生活はだらしがなく、失恋したからといって無断欠勤をするような、いいかげんな一面も併せ持っている。 また惚れっぽい性格でもあり、生田一馬を一方的に気に入り、猛アプローチを仕掛ける。
水樹 由美 (みずき ゆみ)
人材派遣会社「ナイス・スタッフ」で人材派遣コーディネーターとして働く女性。年齢は25歳。明るく人懐っこい性格の持ち主であり、生田一馬ともすぐに打ち解けた。自分とノリの合う一馬をかわいがっている。プライベートでは妻子ある男性と不倫をしている。
篠原 京 (しのはら みやこ)
人材派遣会社「ナイス・スタッフ」の採用担当として働く女性。年齢は26歳。容姿端麗な黒髪の美女。普段から人柄を見極める業務をしているために、その人物にあった対応を素早くとる事ができる。仕事に対してはプライドを持って取り組んでおり、特に「ナイス・スタッフ」の派遣社員を見下すような発言をした相手には、取引先の社員であろうとビンタも辞さないほどの熱血ぶりである。 プライベートでは男性と交際した経験がなく、処女である。
戸部 総一郎 (とべ そういちろう)
人材派遣会社「ナイス・スタッフ」の営業部で主任を務める男性。生田一馬や綾瀬陽子の上司にあたる。仕事に対しては厳しい姿勢で臨んでいるが、部下達からの信頼も厚く、頼りがいのある人物。新入社員の一馬に対し、年齢が近い陽子を教育係に指名した。
四谷 丞司 (よつや じょーじ)
人材派遣会社「ナイス・スタッフ」の営業部に勤務する男性。綾瀬陽子が新入社員だった頃に面倒を見ていた縁があり、陽子の努力している姿を一番よく知っている。陽子については、「営業部の中で自分の次に仕事ができるヤツ」と、その能力を認めている。「ナイス・スタッフ」に登録している女性達を「子猫ちゃん」と呼び、営業部のメンバーから引かれている。
宇木 直人 (うき なおと)
人材派遣会社「ナイス・スタッフ」の取引先であるフロントライン社のCEOを務める20代の男性。新進気鋭の企業で働く若きCEOとして、業界では有名な存在である。綾瀬陽子と婚約をして同棲中であり、1年後に籍を入れる予定。人当たりがよく穏やかな性格をしている。考え方は古風で、妻となる陽子には仕事をやめて家庭に入ってほしいと望んでいる。
波多 洋平 (はた ようへい)
「フロントライン社」で人事部統括マネージャーとして働く若い男性。生田一馬が、飛び込み営業で初めて契約を取った相手でもある。皮肉屋で捻くれた性格をしているものの、一馬の真っ直ぐなところを気に入り、契約をしてからは、プライベートな悩みを聞くなど親交を深めている。つねにタバコを吸っているチェーンスモーカー。
小関 (こぜき)
人材派遣会社「ナイス・スタッフ」の取引先の企業で社長を務めている中年男性。綾瀬陽子が担当しており、陽子に対して下心丸出しで食事に誘うなど、かなりの好色家である。ただしその下心を逆手に取った陽子には、「ナイス・スタッフ」の利益が出るようにうまく利用されている。
崇広 (たかひろ)
かつて有栖川敦子と付き合っていた男性。敦子と交際していた時はデイトレーダーを自称していたものの、実際には敦子に養われていた。敦子に愛想を尽かされたあとはまじめに就活をし、正社員として採用された。しかし、敦子に新しい恋人である生田一馬がいる事に逆上し、大きなケンカへと発展してしまう。
場所
ナイス・スタッフ (ないすすたっふ)
人材派遣業界では最大手として知られる企業。新卒募集には多くの学生が集まるが、生田一馬は持ち前のノリと人当りのよさで内定を勝ち取っている。