概要・あらすじ
生粋の東京育ちでオシャレが大好きな桜井乃亜は、父親が会社でリストラにあってしまったせいで山田村というど田舎に引っ越すことに。せめて学校生活に希望を持ちたいと願う乃亜だったが、転校先の中学校にはまるで小さな人形のような姿の太郎丸がおり、それにクラスメイトの誰も反応しないことを不思議に思っていた。そんなある日乃亜はオバケに襲われてしまう。
そこへ助けに現われたのは、超かっこいい姿に変身した件の人形、太郎丸であった。
登場人物・キャラクター
桜井 乃亜 (さくらい のあ)
東京育ちでオシャレが大好きな中学2年生の少女。父親のリストラのせいで田舎に引っ越すのが嫌で絶望していたが、立ち直りも早い性格。せめて素敵な恋愛でもできればと考えている。山田村の異常な環境に対して一歩引いているが、時に自らがトラブルを引き起こす場合もある。太郎丸のことが好き。
乃亜の父 (のあのちち)
乃亜の父親で、勤めていた会社をリストラされるという憂き目に遭い、家賃の安い田舎に引っ越してきた。現在は毎日2時間かけて町のハローワークに通って職探しをしている。眼鏡を外すと実は美形。浮き沈みが激しい性格。
太郎丸 (たろうまる)
桜井乃亜のクラスメイト。白妖精の王子で、外来種の妖怪から日本の妖怪を救うためにイギリスからやってきた美少年。飛行機に乗った際、気圧のせいで縮んでしまい、身長30センチのちびっこになってしまったが、なにかの拍子に元に戻ることがある。常にお腹を空かせていて、ものすごい量のごはんを食べる。
桃田 かすみ (ももた かすみ)
桜井乃亜のクラスメイトの少女。見た目は田舎の素朴な女の子だが呪いなどに精通しており、自らを「魔性の女」と豪語するなどどこか得体のしれないところがある。いつも冷静で、真顔で本気とも冗談ともつかないことを言うので少々不気味な印象。
穂積 柚木 (ほづみ ゆうき)
桜井乃亜のクラスメイトの少年で、桃田かすみとは幼なじみ。ある意味唯一の常識人といえる存在で、真面目で素朴な人のいい男性。だが、幼い頃からの弱味をかすみに握られていることもあり、乃亜やかすみたちの起こすトラブルにいつも巻き込まれてしまう。
リック・ベイリー (りっくべいりー)
民俗学を研究している男性。お化け退治の専門家でもあり、太郎丸をイギリスから連れてきた張本人。掛け持ちで桜井乃亜の通う中学校で英語教師のアルバイトをしている。日本語を話す時はちょっぴり片言になる。
おキツネさま
縁結びに定評のある山田稲荷神社の神体で、300年生きている。実体化する際にはキツネの姿になったり、耳としっぽが生えた可愛い女の子に変身することもできる。いつもおいなりさんしか食べていないので、ハンバーグやケーキに憧れている。
華岡 みちる (はなおか みちる)
太郎丸とは正反対の立場にある黒妖精のお姫様で、その力は太郎丸と互角。太郎丸のことが好きで日本まで追いかけ、人間の姿に変身して桜井乃亜のクラスに転入してきた。強引な方法で太郎丸を振り向かせようとしたり、乃亜を陥れようとする。
穂積 龍之進 (ほづみ りゅうのしん)
山田稲荷神社の神主であり、穂積柚木の祖父。山田村にはびこった外来種の妖怪を退治するために、リックや太郎丸を雇うための組織である「山田村をつくる会」の副会長をしている。顔が怖く、感情的になると目をむく。
桃田 ゆきえ (ももた ゆきえ)
雪女のような容姿の、怪しい雰囲気たっぷりの女性だが、実は桃田かすみの母親。山田村の古民家に住んでおり、内職でわら人形を作っている。
川田 もぐる (かわだ もぐる)
山田村に生息する河童。見た目は美形で、河童界イチのプレイボーイ。女の子を見ると口説かずにはいられない。マーメイドのキティちゃんに横恋慕し、自分のものにしようとした。普段は人間として桜井乃亜と同じ中学校に通っている。
キティちゃん
水の妖精マーメイドの女の子。生息地は日本よりもずっと寒い海だったのだが、突然海の底に大きくて暗い穴のようなものが出現し、吸い込まれて日本に辿りついた。元の世界に戻りたいがその方法が分からず困っている。半魚人のドンちゃんに想いを寄せている。
ドンちゃん
半魚人の男の子。キティちゃんと同じく、寒い海に住んでいたところを、海の底に突然出現した暗い穴に吸い込まれて日本にやってきたが、キティちゃんともはぐれてしまう。キティちゃんのことが好きだが、足が短くブサイクなため、自分に自信が持てないでいる。
レイジ
雑誌の撮影で山田村にやってきたモデルの青年で、桃田かすみと惹かれあうようになる。テレビCMなどにも出演し、世間で人気を得ている。妖怪にも動じなかったが実は正体はタヌキで、おおかみおとこに脅かされて若い女の子を集めるために利用されていた。
おおかみおとこ
レイジのマネージャーを務める男性。実はおおかみおとこが変身しており、レイジ目的で集まってきた女の子を次々に食べていた。日本の妖怪ではなく、外来種。
マリ
桜井乃亜の小学校時代からの友達。東京に住んでいて、オシャレが大好き。中学2年生ながら長く付き合っている彼氏がいる。夏休みに一緒にコンサートに行くことを決めている。
文庫妖妃 (ふぐるまようひ)
女性の姿をした妖怪。元は人間だったのだが、恋に悩み過ぎて妖怪になってしまった。妖力を込めた手紙で相手の気持ちを自分に向けるという能力を持つが、仮名遣いなどが昔のものなので通訳を必要とする。
山本くん (やまもとくん)
天狗なのだがまだ覚醒しておらず、見た目は少年の姿をしている。鼻は低く、空も飛べない。鼻が伸ばそうと童話「ピノキオ」を参考にして嘘ばかりついていたら、友達がいなくなってしまった。華岡みちるに憧れている。
与作 (よさく)
300年前、お地蔵さまに庄屋の娘であるお千代との恋の成就を願った少年。田んぼであまり米が取れないため貧乏なのだが、おキツネさまがまだただのキツネだった頃に、騙されて自らは食べずにお地蔵さんにお供えをしていた。
お千代 (おちよ)
300年前に与作と恋中になった庄屋の娘。お嬢さま育ちながらも、父親に頭を下げて身分違いの恋を貫こうとする強い意志を持っている。
ひいな神 (ひいながみ)
和服を着た小さな人形のような見た目の妖怪で、桃田かすみの家に住んでいる。主人の言うことをなんでも聞き、願いを叶えてくれるが、一度叶えてもらった願いごとを取り消すと寿命を減らされてしまう。
場所
山田村 (やまだむら)
桜井乃亜が住む村。オバケの天然記念物保護区域に指定されており、妖怪と共存している。中学校の生徒の半分は妖怪が変身している。海外から闇の一族がやってきて生態系を壊すのを見かね、彼らを退治するために「山田村をつくる会」が太郎丸を雇った。
その他キーワード
白妖精 (らいとえるふ)
イギリスの地下に存在する妖精の国に住んでいる。王子である太郎丸は白魔法を使って、山田村にやってきた闇の一族を元の世界に戻す役割をしている。闇の一族とは表面上は敵同士だが、お互いになくてはならない存在なので殺すことはできない。
黒妖精 (だーくえるふ)
「闇の一族」とも呼ばれている。主に欧米に住むと見られていた邪悪なタイプの物の怪で、人間を襲って食べる。日本にやってきた経緯は不明だが、山田村の環境が気に入って住みついている。