リアルアカウント

リアルアカウント

生き別れの双子の少年、柏木アタルと向井ユウマは、ある日SNS「リアルアカウント」の世界に閉じ込められ、命がけの戦いを強いられることになる。時には争い、衝突しながらもデスゲームを仕組んだリアルアカウント社の真相にせまる二人の姿を描いたサスペンス。アタル視点で描かれる「第1部」とユウマ視点で描かれる「第2部」、そして第2部の半年後、ユウマ視点ですべての真相が明かされる「第3部」の3部構成になっている。「別冊少年マガジン」2014年2月号から10月号、「週刊少年マガジン」2015年4・5合併号から2018年29号、そして「別冊少年マガジン」2018年9月号から2019年12月号にかけて掲載の作品。

正式名称
リアルアカウント
ふりがな
りあるあかうんと
原作者
オクショウ
作者
ジャンル
デスゲーム
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
既刊24巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

Opening

4月25日。高校2年生の柏木アタルは、国内最大のSNS「リアルアカウント」、通称「リアアカ」に熱中しつつも、周囲にはリアルアカウントのアカウントを持っていることを秘密にしていた。リアルアカウントは数年前、数多くのSNSが統合されてできたもので、基本的には実名で登録するシステムになっていた。そのため、現実とリンクしたサービスも充実しており、非常に普及率が高かったが、アタルは非公開アカウントで、インターネット上の友人「フォロワー」のみとやりとりをしていた。そんなある日、放課後自宅でリアルアカウントを楽しんでいたアタルは、突如ゲームの世界に吸い込まれる。そこには多くの人々と、リアルアカウントのマスコットキャラクターであるマーブルがおり、マーブル曰(いわ)く、リアルアカウントに夢中になっているユーザーの脳をリアルアカウントの世界に閉じ込めたのだという。ユーザーたちはその事実を信じられず、突然連れて来られたことに怒りをあらわにするが、マーブルが無作為に選んだ一人を突如死亡させたことで、ユーザーは騒然とする。現在アタルたちの身体は、意識を失った状態で現実世界にあり、リアルアカウントの世界での出来事は全世界に中継されていた。しかし、リアルアカウントの世界で殺されると現実世界でも死亡したことになり、さらに殺されたユーザーのフォロワーもまた、巻き添えになっていっしょに死亡してしまう。そのうえ、この事態を恐れたフォロワーたちが各ユーザーのフォローを解除した場合、フォロワー0になったユーザーも、自動的に死亡してしまうという。そしてマーブルは、ここに集められたユーザーのことを「プレイヤー」と呼ぶことを宣言。プレイヤーたちにいくつかのゲームをプレイさせ、これらのゲームをすべてクリアした者だけを現実の世界に帰してやると言い放つ。

ノーアンサー

柏木アタルは、最初のゲーム「リアルフォロワー診断」を勝ち抜いて生き残り、マーブルに連れて来られた1万人のプレイヤーは、このゲームによって残り4684人にまで減ってしまう。アタルは「リアルフォロワー診断」中、自分の最後のフォロワーとなった妹の柏木ユリを守るため、彼女をブロックして無理矢理相互フォロワーの関係を解除する。そして、そのままフォロワー0になって死のうとしていたのだが、見知らぬ誰かがアタルをフォローしてくれていたことで生き残り、次のゲームに進むことができた。そんなアタルたちが次に挑むのは「ノーアンサー」というゲームだった。これは各プレイヤーが、自分の容姿を無作為に選ばれた五人の審査員役プレイヤーに「○」「△」「×」の3段階で審査してもらうというもの。そしてプレイヤーの予想と、審査員が多数決で出した答えが一致すればクリアとなる。これは極端に容姿のいい者と悪い者には有利なゲームなのだが、アタルのような平均的な容姿のプレイヤーは自己評価が難しいうえ、審査員の判定が割れた場合は失敗扱いとなる厳しいゲームだった。それでもアタルはこのゲームを勝ち残ろうと考えを巡らせるが、ここでマーブルがアタルと同じグループには「一条ルリリ」というネットアイドルがいることを公表する。しかし彼女は、メイクと画像加工技術で自分を美しく見せることを得意としているタイプで、実際は地味な容姿の女性だった。これを公にされたことで、中継を見ていたルリリのフォロワーは怒って次々にフォロワーを解除し始め、ルリリのフォロワーは0になりそうになる。この状況を見過ごせないアタルは、自分がルリリをフォローすることで、彼女を守ることを決意する。

【拡散希望】RTゲーム

柏木アタルにフォロワーしたことで、「一条ルリリ」は死を免れ、同時に「ノーアンサー」をクリアした。その直後、アタルは柏木ユリにそっくりな少女・神田こよりと知り合う。さらにアタルはこよりとのやりとりがきっかけで、審査中も「リアルアカウント」を通じて、審査員を含めたすべてのプレイヤー、現実世界にいるユーザーたちとやり取りできることに気づく。そこでアタルは、このやり取りを利用して自分の写真を審査員たちに送り、事前審査してもらうことでクリアする方法を思いつく。これをみんなに知らせたことで、アタルと同じ組からは多くの通過者が出るが、この作戦は完璧なものではなかった。そのため全員救うのはできなかったことに、アタルは落ち込んでしまう。こうしてアタルとこよりは「ノーアンサー」をクリアーし、次の「RTゲーム」もクリアする。だが二人が安堵(あんど)している頃、ユリが待つ柏木家にはマーブルの魔の手がせまっていた。

タイムリミット

次のゲームは翌日から開催されることになり、このあいだに柏木ユリと連絡を取った柏木アタルは、ユリと改めてフォローし合う関係になった。これによってアタルのフォロワーはユリ、神田こより、「一条ルリリ」、謎の人物の四人になったが、ユリは先ほど起きた謎の出来事をアタルに知らせることができなかった。先ほどユリは突如自宅に現れたマーブルに殴られ、気を失ってしまう。そして目を覚ますと、マーブルは姿を消していたものの、アタルの身体が盗まれていたのである。その夜、この事実を知らないアタルたちに、さらなる衝撃の事実が告げられる。「リアルアカウント」の運営会社が会見を行い、何者かに全サーバーを乗っ取られてしまって運営会社側からは復旧不可能なことが明かされる。そのうえ、運営会社はこれを鑑みて、10日後の5月5日をもって、リアルアカウントの全サーバーのシャットダウンを行うことを決定したのである。つまり「RTゲーム」をクリアーした約3000人のプレイヤーたちは、今後行われるすべてのゲームをクリアして、自力で脱出しないといけなくなってしまう。

黒歴史裁判

4月26日、次のゲーム「黒歴史裁判」が始まった。これは、プレイヤーたちが任意の10人で1チームを組み、30分の制限時間でお互いが隠している秘密を「リアルアカウント」に投稿したつぶやきを使って暴き合う。そして残り三人になるまで、お互いのフォロワーを減らして殺し合うというものだった。ゲーム中は、すでに削除された投稿も復元されて閲覧できるため、これを利用したプレイヤーたちは次々に対戦相手の秘密を暴き始め、柏木アタルのチームも卑猥(ひわい)な投稿をしていたユーザー、美人局(つつもたせ)をしていたユーザー、ゴーストライターを雇って芸能活動していたユーザーがフォロワーを次々に失って死亡していく。そんな中、アタル、神田こより、「一条ルリリ」は、同じチームの星名アイジに敵視されるようになり、「人を殺してしまった」という削除済みのつぶやきを発見されたアタルは危機に陥ってしまう。

柏木ユウマ

時はさかのぼる。小学4年生の「柏木ユウマ」は、両親と双子の兄の「柏木アタル」、そして妹の柏木ユリの五人で暮らしていた。兄のアタルはなんでもできる人気者で、ユリにも好かれていた。しかし弟のユウマは、容姿こそアタルにそっくりなものの、自分に自信のない引っ込み思案な性格で、ユリとの関係もあまりうまくいっていなかった。これを案じたアタルは、周囲が自分たちの髪形だけで自分たちを見分けていることを利用して、時おり成り代わって遊ぶことを提案する。これをきっかけに、アタルのように振る舞うことでユウマは少しずつ自信をつけていく。そして、アタルと成り代わっていない時も周囲とコミュニケーションが取れるようになり、すべてがうまくいくかに思えた。しかしそんなある日、アタルとユウマが成り代わって遊んでいる際にアタルが交通事故に遭い、死亡してしまう。今ならアタルに完全に成り代われると考えたユウマは、その日から柏木アタルとして生きていくことを決意。だがユウマは次第に、自分はアタルを殺したも同然の行為をしていると思うようになったのである。

黒歴史裁判 ~ending?~

柏木アタルは、自分の正体が「柏木ユウマ」であると打ち明けたうえで、柏木ユリと相互フォローの関係を続けていくことになった。実はユリはアタルとユウマが成り代わっていることを当時から気づいており、ずっとユウマが真相を話してくれる日を待っていたのだ。これによって兄妹の絆(きずな)は深まり、アタルは今後はユウマとして生きていくことを誓いつつも、ひとまず「リアルアカウント」では、このまま「柏木アタル」のアカウント名のまま戦うことにする。その後もゲーム「黒歴史裁判」は続き、星名アイジのターゲットにされた「一条ルリリ」が死亡してしまう。これによって残るはアタル、神田こより、アイジとなるがアイジは制限時間いっぱいまで秘密を暴いてアタルを殺そうとする。アタルはこれに激怒しつつも、アイジの秘密をばらして殺すのではなく、制限時間がなくなるまでうまく時間を稼ぐという方法で応戦。こうして三人とも生き残るが、アタルはゲーム終了後にルリリをフォローし忘れていたことで命が助かったことに気づき、これに安堵した自分に罪悪感を覚えるのだった。そんなアタルたちのもとに、現在の人気ユーザーランキングが公開される。そこにはなぜか死んだはずの本物の「柏木アタル」が向井ユウマという名前でランキングしていることを知り、アタルは驚愕(きょうがく)する。

Brand new opening

時はさかのぼる。4月25日、高校2年生の向井ユウマは「リアルアカウント」に夢中になりつつも、友人の柚原ナナコ以外にはこれを秘密にしていた。ユウマは明るく活発な性格の人気者だが、学校ではなかなか心の内を見せることができず、友人たちにもどこか距離を感じていたため、リアルアカウントのユーザーであることも打ち明けられずにいた。そんなある日、ユウマが自宅でナナコと過ごしていると、突如ユウマはスマートフォンの中に吸い込まれる。そしてたどり着いた先にはリアルアカウントのマスコットキャラクター、マーブルがおり、ユウマたちにここはリアルアカウントの世界だと告げる。そこで柏木アタルたちと同じ「リアルフォロワー診断」に参加させられたユウマは、ナナコに裏切られてフォロワー0になりそうになる中、同じく兄にフォローを解除されてフォロワー0になりそうな少女、上條あやめを見つけ、声をかける。ユウマはお互い相互フォロワーになることで、このゲームを切り抜けようと考えたのだ。お互いの唯一のフォロワーとなったユウマとあやめは行動を共にすることになるが、あやめは勝ち気で思っていることをはっきり言う性格で、ユウマに助けられておきながら、ユウマにまったく関心がない様子を見せる。ユウマはこれに呆(あき)れつつも次のゲーム「悪(わる)いいね!ゲーム」に挑むこととなる。

リア生ゲーム

向井ユウマは、「悪(わる)いいね!ゲーム」中、プレイヤー側には隠されていた要素を暴いて攻略法を編み出してクリアした。これをきっかけに上條あやめとも少し打ち解けたユウマだったが、プレイヤーたちが次に連れて来られたのは、ネットカフェを模した空間だった。次のゲームは「リア生ゲーム」で、ユウマたちは二人一組でネットカフェの一室に入り、リアルアカウントの世界を見ている現実世界のユーザーたちに向けて制限時間30分の「生放送」を行うのだ。そして時間終了までに、最低100人の視聴者が見ていなければ、そのまま死亡するというものだった。この視聴者数は一人に対して100円分の価値があり、ゲーム終了後はリアルアカウントの世界でお金として使えるという。説明を聞き終えたユウマたちは、視聴者の目を引きそうな企画を考え始めるが、ユウマとあやめのペアが苦戦する中、ほかのペアはセックスしたり、殴り合いを始めたり、ペアの相手を一方的に刃物でいたぶるショーを始めたりと、過激な放送内容で視聴者を集めていく。これに焦ったあやめは自分も服を脱いで視聴数を稼ごうとするが、ユウマはこれを止めるべく、ある方法を思いつく。

ボーイ・ミーツ・ガール

向井ユウマが考えた「リア生ゲーム」の攻略法は、まずは上條あやめが所持していたマーブルの画像と、ボイスチェンジャーを利用してマーブルのふりをする。それから「過激な生放送を見て喜んでいる視聴者は、放送内に仕込まれていたサブリミナル効果によって、しっぺ返しを食らって死亡する」という、ウソの内容を発信することだった。これを真に受けた視聴者たちは騙(だま)されてユウマとあやめのチャンネルに集まることになり、ゲーム終了時に二人のチャンネルはみごと視聴者数1位を獲得するのだった。一方その頃、柚原ナナコはユウマの自宅からリアルアカウントの世界を視聴していたが、ユウマが自分にプレゼントと手紙を用意してくれていたことに気づき、彼を裏切ったことを深く後悔していた。しかし、そんなナナコのもとに、突如マーブルが押し入って来る。マーブルは柏木ユリと同じようにナナコを襲って気絶させ、そのスキにユウマの身体を盗もうとしたのだ。しかし、剣道の心得があるナナコはこれに応戦し、ユウマの身体を持って逃げ出すマーブルを追いかける。こうして外に出たナナコは、街にはマーブルの覆面をした人間が大勢おり、彼らがなんらかの目的を持って活動しているらしいことに気づく。

鎮静かまってちゃん

「リア生ゲーム」を勝ち抜いた向井ユウマ上條あやめは、この日のゲームをすべて終え「リアルアカウントリゾート」と呼ばれる区域で休息を取ったのち、次なるゲーム「鎮静かまってちゃん」に挑むことになる。このゲームではプレイヤーたちは数十人ずつ違う部屋に集められ、制限時間以内に部屋から脱出すれば、ゲームクリアとなる。しかしクリアするには、部屋の中央にいる巨大な人形「かまってちゃん」を鎮静させる必要があるという。この鎮静が何を指すのかわからないまま、ユウマたちは各部屋のかまってちゃんに対してコミュニケーションを試みるが、かまってちゃんは現実のSNSにいる女性をモデルに作られているためなのか、非常に気難しいうえに、彼女が機嫌を損ねると、ストレスボムと呼ばれるゲージが増加し、制限時間が減ってしまうのだ。そこでひとまずユウマは自分たちの部屋のかまってちゃん「桜川キリカ」の機嫌を取ろうと彼女をヨイショし始めるが、この方法だとキリカはつけあがるばかりで、脱出の糸口は見当たらないまま時間が過ぎていく。そこであやめは、キリカに真逆の厳しいことを言って現実を突きつける作戦を提案する。あやめはかまってちゃんと同様に、噓をついてでも人に注目されたい、ちやほやされたいという願望を抱いており、同じタイプの自分であれば、キリカの弱点をつけると考えたのだ。

ある恋の終わり

上條あやめの作戦が突破口となり、向井ユウマは各部屋の「かまってちゃん」はただの人形ではなく、実在のユーザーのリアルアカウントへの投稿と、ユーザーの思考回路をもとに作られているらしいことを知る。これにより、桜川キリカのアカウントを発見したユウマは、キリカの正体は女性ではなく女性のふりをした男性、つまりネカマであることを見抜く。そして、これを指摘してキリカを鎮静させると、人形の中から出てきたのは桐谷という男性だった。彼もまたリアルアカウントの世界に連れてこられたプレイヤーの一人で、これまでは通常どおりゲームに参加していた。しかし、「鎮静かまってちゃん」のゲーム中だけは、意識を失った状態であやつられていたのだという。そんなキリカを助けて一息ついたユウマたちは、現実世界のインターネットを見て驚愕する。今、現実世界ではマーブルの覆面をつけた人間が大量発生しており、彼らはリアルアカウントの世界にいるプレイヤーの身体を集めて回っているのだという。そこでユウマは、今自分の身体がどうなっているのか確認すべく、柚原ナナコに連絡を取る。同時に、わざと冷たく振る舞って絶縁宣言をし、今後ナナコに危険が及ばないようにするのだった。しかし、そんなユウマの優しさを理解していたナナコは、居てもたってもいられなくなり、ユウマの身体を取り戻すために単身行動を起こす。

既読スルー撲滅運動

4月26日になり、リアルアカウントの世界にいるプレイヤーは残り3056人となった。そして向井ユウマたちは、次なるゲーム「既読スルー撲滅運動」に挑んでいた。このゲームはランダムで選ばれたプレイヤーにメッセージが送られ、選ばれたプレイヤーは30秒以内に返信しなくてはならない。そうすることで、またランダムに選ばれた次のプレイヤーにメッセージが届き、チャットが続いていくというものだった。しかし、簡単に思えるこのゲームは、実はこれまでで最も過酷なゲームだった。メッセージはいつ届くかわからないうえ、返信までの時間が非常に短い。さらにメッセージを送られたユーザー自身が自らのスマートフォンで、きちんと意味のある文章を書かないと、未返信と判断されてしまうのだ。そして未返信や既読スルーをした場合、プレイヤーは即殺される。しかもゲームに制限時間はなく、マーブルによれば、プレイヤーが残り半分の1500人程度になるまで続くという。こうして持久戦を強いられたユウマと上條あやめは、まずはホテルの部屋を確保し、スマートフォンを見張る役と休憩する役を交代で行う作戦を立てる。そんな中、あやめは既読スルーという言葉に、過去のつらい記憶を思い出していた。

スタンプショップ

上條あやめが自らを「かまってちゃん」だと思うようになったのは、友人との些細(ささい)な行き違いから既読スルーしたと誤解されて孤立し、唯一の家族である兄に依存するようになったからだった。そこで向井ユウマは、一度兄に連絡を取ることを勧める。だが、あやめと兄の通話を横で聞いていたユウマは、兄の不審な点に気づくこととなる。そこで無理矢理電話を替わったユウマは、あやめの兄に自分はあやめの恋人であるとウソをついて一方的に電話を切る。そしてあやめに、どうしても依存する相手が欲しいなら、今後は兄ではなく自分に依存するように告げるのだった。こうして絆が深まった二人だったが、ゲーム開始から27時間が経過した頃に睡魔に襲われ、既読スルーしそうになる。しかしそこへ、桜川キリカが現れる。彼は二人に強い恩を感じており、二人の役に立つために仲間に加えてもらおうと、ずっとそばで見張っていたのだ。これによって既読スルーを免れたユウマとあやめはキリカを加えて一度ホテルの外へ出るものの、そこで長蛇の列ができている店を発見する。そこはゲーム「既読スルー撲滅運動」中に使えるスタンプショップで、これをメッセージの代わりに送信すれば、迅速に返信できるというものだった。しかしその分、メッセージが行き交う速度は速くなり、そのため自分に送信される確率も上がるという、恐ろしいものでもあった。

デジタルタトゥー

向井ユウマは、スタンプショップで買えるスタンプにはそれぞれ固有の効果があり、所持しているスタンプの種類やその組み合わせによって、ゲームを有利に進められることを知る。そこでユウマたち三人は、「リア生ゲーム」で稼いだお金を使って全45種類のスタンプをすべてコンプリートとするが、蔵科ミズキが店にやって来たことで一度ホテルに戻る。ミズキはリア生ゲームで、ペアの相手を刃物で傷つけて楽しむ残酷な放送を行なっている危険人物だった。そのためユウマはミズキとの接触を避け、逃げることにしたのだ。こうして4月27日の夜となり、「既読スルー撲滅運動」は開始から34時間が経過していた。そこでふとユウマが窓の外を見ると、ミズキが数人のプレイヤーを連れてどこかに向かおうとする姿を目撃する。これに禍々(まがまが)しさを感じたユウマは、慌てて彼らのあとを追う。するとミズキの目的は、すでに戦意喪失したユーザーたちを合意のうえで殺害し、自殺の手伝いをすることだと判明する。そしてユウマはこの蛮行を止めようとするが、数人の中で唯一生き残った藤巻チホに恨まれてしまう。チホは「悪(わる)いいね!ゲーム」中に、自らの全裸画像が流出してしまったことで、リアルアカウントの世界ではもちろんのこと、現実世界にいるユーザーからも卑猥な目を向けられて苦しんでいたのだ。そんなチホを不憫(ふびん)に思ったユウマは、自分の恥ずかしい画像を公開することでチホを励まし、彼女を四人目の仲間に加える。

恐怖! コンプガチャ

向井ユウマたち四人は、再びスタンプショップに赴き、45種類のスタンプをコンプリートすることにした。マーブルによれば、一人のプレイヤーがスタンプをコンプリートすれば、参加人数が残り半分にならなくてもゲームクリアになるのだという。だが「リア生ゲーム」で5000万以上稼いだユウマや、多少使い込んだもののまだ4000万近く残っている上條あやめがガチャを回しても、スタンプは一向にコンプリートに至らず、四人は苦悩する。そこでスタンプショップに集まったプレイヤーたちは、コンプリートの可能性が最も高いユウマに、自分のお金を譲渡することでガチャを回し続けてもらう作戦に変更する。そんな中、ついにユウマはスタンプをコンプリートし、コンプリート特典のゲームを終わらせることができるスペシャルスタンプ「しゅ~~りょ~~」を獲得する。あとはユウマに手番が回ってきた際に、このスタンプを押せばいいのだが、ここで蔵科ミズキの邪魔が入る。ミズキは人の絶望した顔を写真に撮り、集めることを趣味にする不可解な人物だった。そこで、他人のスタンプを奪う効果があるスタンプ「それいただき!!」を使ってユウマの「しゅ~~りょ~~」を奪い、そして奪ったあとに「しゅ~~りょ~~」を自らのスマートフォンから削除すれば、プレイヤーたちの絶望した顔を大量に集められると考えたのだ。これによってユウマたちは絶望しかけるが、ユウマは「しゅ~~りょ~~」を使わなくても、すでに集めたスタンプでゲームを終わらせる方法を思いつく。

絶望した!

向井ユウマ上條あやめは、一度に2回メッセージを送れる「またしても俺」と、次の返信相手を指定できる「指名入りま~す」、そして次の相手の持ち時間を倍にできる「よ~く考えよ~」の三つのスタンプを組み合わせてお互いに送り合うことで、持ち時間を大幅に伸ばすことに成功する。こうして、リアルアカウントの強制終了が行われる5月5日よりも持ち時間を増やしたユウマは、ゲームの進行と引き換えにマーブルを脅迫。しかしマーブルはこの提案に応じず、プレイヤーたちは再び絶望する。しかしここでユウマは、ゲーム序盤から感じていた不審な点に思いを巡らしていた。最初にプレイヤーたちにスタンプ機能の存在を知らせたのは、「網原アルク」という人物なのだが、そんな人物は周囲に見当たらない。それに加えて、この「AMIBARA ARUKU」という名前は「RIAAKA MABURU」のアナグラムになっていたのだ。そこで、マーブルもまた「既読スルー撲滅運動」に参加するプレイヤーであることに気づいたユウマは、次の返信相手にアルクを指定したうえで、自分が残した持ち時間分、次の返信相手の持ち時間を減らすことのできるスタンプ「即レスしろよ!?」を送信する。これによって既読スルー状態になって敗北したマーブルは、とうとうゲームの終了を告げるのだった。

3つのMIDNIGHT

向井ユウマが「既読スルー撲滅運動」ゲームを終了させて安堵している頃、現実世界の柚原ナナコ雨月イマリという人物とタッグを組んでいた。イマリは「リアアカまとめ速報」という情報まとめサイトの管理人を務めており、今回の事件の真相を知るために単独で行動を起こしていた。そんなイマリを偶然助けたナナコは、イマリのバイクに相乗りさせてもらい、プレイヤーの身体をどこかに運んでいるマーブルを追いかけることにした。そんな中、お台場にある国立研究施設「柏木研究所」に潜入した二人は、4年前に解散して廃墟となったはずの柏木研究所が現在でも使用されていること、ここに集められたリアルアカウントの世界にいるプレイヤーの身体は、マーブルのマスクをかぶせられることで洗脳され再利用されていることを知る。だが、それでは大量のマーブル軍団が生まれるだけであり、ほかにも目的があるのではないかと推測した二人は、さらなる調査を続ける。

大炎上祭

4月29日になり、リアルアカウントの世界で一人でも多くの人を救うべく奔走する向井ユウマは、現実世界でもヒーロー視されるようになっていた。そんな中、次なるゲーム「大炎上祭」が始まる。このゲームはゲーム会場の中央にある、やぐらを制限時間30分以内に全焼させることがクリア条件なのだが、その燃料は各参加者の個人情報となっている。つまり参加ユーザーたちは、インターネット上に自分の炎上しそうな個人情報を投稿することで、やぐらを燃やすのである。そこで最初に投稿した「亜門ダイキ」は、過去に自分が仲間たちとパトカーを破壊した動画を投稿して燃料をくべるが、唯一のフォロワーに幻滅されたことでフォローを解除され死亡する。そこで参加ユーザーたちは、フォロワーに幻滅されないくらいの情報を公開していくが、この程度の情報はあまりよい燃料にならなかった。そこで、プレイヤー内に相互フォロワーがおり、フォロー解除される恐れのないユウマと上條あやめが積極的に投稿を続けていくが、ここで突如、参加者同士のスマートフォンがシャッフルされ、他人の個人情報を投稿できるようになる「シャッフルタイム」が始まってしまう。

ぜんぶうそ?

藤巻チホは「大炎上祭」の「シャッフルタイム」を利用して、上條あやめの恥ずかしい過去を投稿してしまう。向井ユウマにあこがれるチホは、あやめのことを羨むあまり、つい意地悪をしてしまったのだ。そんな中、チホのスマートフォンを手に入れた「種島オサム」が、チホの卑猥な画像を多数投稿する。チホの行動を許すことができないオサムは、チホの画像を使って大炎上祭を終わらせようとしたが、これを止めたのはあやめだった。オサムのスマートフォンを受け取っていたあやめは、彼のスマートフォン内にある援助交際の記録と、援助交際相手の卑猥な画像を投稿して反撃したのである。これによってオサムは死亡し、あやめとチホには不思議な友情が芽生え、大炎上祭は終わるかに思えた。しかし、ここで2回目のシャッフルタイムとなり、ユウマと蔵科ミズキはお互いのスマートフォンを受け取ることになる。それでもユウマは、たとえ気に入らない相手でも勝手にスマートフォンを覗(のぞ)き見ることはいけないと考えて投稿を控えるが、ミズキはユウマが昔からつけている日記を発見して投稿する。これによってユウマは、自分が児童養護施設出身であり、施設にやって来た頃は記憶喪失であったこと、こんな過去から他人と接していても楽しんだり、愛情を抱いたりすることができず、ふだんは明るく優しい人間として振る舞っていたが、それらはすべて演技であることを暴かれてしまう。

ぜつぼうのくに

向井ユウマは、これまでの言動がすべて演技であったことを暴かれ、強いショックを受けて突如別人のように冷たい性格になってしまう。するとユウマは、蔵科ミズキのスマートフォンを覗き、ミズキの母親のりつこが自殺したこと、ミズキはりつこのいる「ぜつぼうのくに」に行くためには、他人の絶望した表情を集めなくてはいけないと妄信していることを暴く。だがユウマは、単にミズキの過去を暴いて辱めようとしているわけではなかった。りつこは絵本作家で、絵本「ぜつぼうのくに」の内容があまりにも暗いという理由で批判され、理解されないことに苦しんで自殺したのだ。しかしユウマは、「ぜつぼうのくに」には隠されたメッセージがあり、それを正しく読み解くと、物語は悲しい結末からハッピーエンドに変化することを見抜いていた。つまりミズキは、りつこの作品を正しく理解できないまま、見当違いのことを続けていたのだ。この事実を突きつけられたミズキは、泣き出しておとなしくなる。そして「大炎上祭」は、突如「リアアカまとめ速報」によって投下された、ユウマの新たな秘密という燃料によって終了する。

マーブル共の朝日

雨月イマリが「リアアカまとめ速報」を使って暴いたのは、「柏木研究所」は向井ユウマの両親が運営しているというものだった。ユウマはこの事実に驚きつつも正気を取り戻す。そして、確かにこれまでの行動は認められたいがための演技だったが、結果的に他人を助けてきたのは事実ではないかと弁解する。しかし、桜川キリカはこの言葉を受け入れたものの、上條あやめ藤巻チホはユウマを恐れるようになり、二人とは少し距離ができてしまうのだった。だが、そんなユウマたちは、突如マーブルのマスクをかぶせられた状態で現実世界に帰還する。これによってユウマはゲームを完全にクリアし、救われたのだと安堵しかけるが、そこへ多数の人間たちが現れてユウマたちに襲い掛かる。

SNS鬼ごっこ

現実世界に戻った向井ユウマたちを待ち受けていたのは、身体の一か所にマーブルの頭部を模した「マーブルマーク」を付けられ、これをスマートフォンで読み取られると即座に死亡するという「SNS鬼ごっこ」だった。このゲームをクリアするには3日間逃げ切らなくてはならないが、マーブルマークを読み取った人間には、一つのマークにつき1億円が与えられるため、ユウマたちプレイヤーは、このルールを知る人間たち全員から逃げ切らなくてはならないのだ。そのうえユウマたちの位置情報は、リアルアカウントの「つぶやき」機能で勝手に公開および更新されていた。それでもユウマは、偶然出会った「一之瀬ハル」、ユウマを追って来た蔵科ミズキと三人で逃げ出すが、ハルはすぐに殺されてしまい、ミズキと二人になる。ミズキは「大炎上祭」でもう母親に会えないことを知り絶望していたが、自分を倒したユウマに強い関心を抱き、今後自分を精神的に支配してほしいと思うようになっていた。そしてすっかりユウマを気に入ったミズキは、今後たとえ仲間と認められなくても、勝手にユウマについていくことに決めるのだった。ユウマはこの行動に呆れて追い払おうとするものの、ミズキはすでに深手を負っていた。

ミッションインポッシブル

向井ユウマ蔵科ミズキから、自分の腕とミズキの腕を手錠でつながれてしまう。これで強制的に行動を共にせざるを得なくなったユウマは、ひとまずミズキの治療をするため、彼の知人のいる病院まで移動することになる。現在「SNS鬼ごっこ」には、「DQN(ドキュン)マーブル」という新種のマーブルが鬼役として登場しており、高い戦闘力を持っていた。そのため、先ほど不意を突かれたミズキは大ケガを負ってしまったのだ。どうにか病院にたどり着いた二人は1日目を終えるが、2日目が始まった途端、ゲームに新たなミッションが追加される。それは、ほかのプレイヤーに自分の「マーブルマーク」を読み取ってもらうというものだった。ひとまずユウマとミズキは、お互いに読み取り合うことでミッションをクリアするが、ユウマはまだ安心していなかった。唯一の相互フォロワーである上條あやめが、このミッションに失敗した場合は巻き添えでユウマも死亡してしまうからである。しかしその頃、あやめは兄に捕らわれていた。先日のユウマからの電話を真に受けたあやめの兄は、あやめを精神的に追い詰めることで、彼女を取り戻そうとしたのである。ここであやめは、あやめの兄の策略により、ユウマに捨てられたとカンちがいして絶望するが、そこへユウマが到着する。

HEROS

向井ユウマは、上條あやめ蔵科ミズキの三人で、自分が昔住んでいたらしい柏木家に向かう。一連の騒動でユウマの過去や自宅はインターネット上で晒(さら)されてしまったため、記憶喪失のユウマも家にたどり着くことができたのだ。しかしユウマが無人の家の中に入ると、そこに突如柏木アタルが現れる。ユウマにはまるで身に覚えがないのだが、彼はユウマの双子の弟で、ユウマを殺さなくてはならない理由があるのだという。ユウマはこれに応戦するが、その途中、自分には本当に弟がいたらしいこと、そしてなぜか自分の葬式が行われたらしいことを知る。だが、そこに「リアルアカウント社」の社長とその手下が現れ、ヘリコプターでアタルを連れ去ってしまうのだった。そして社長は柏木家に爆弾を投下し、ユウマは家の中を調べることができなくなってしまう。その後、なんとか一部の写真だけは回収したユウマはあやめとミズキのもとに戻り、今度は自分が過ごした児童養護施設ヘと向かう。そこで園長と再会したユウマは、両親が遺したメモリーカードを受け取るが、これは特別な規格で通常の再生機器では読み取れず、ユウマたちは困ってしまう。さらにそこへ、ユウマを捕まえた報奨金が10倍になる「いやがらせタイム」が始まったとの報(しら)せが入る。

かまってちゃんの花嫁

向井ユウマ上條あやめ蔵科ミズキの三人は「DQN(ドキュン)マーブル」から隠れるためにホテルへ逃げ込んだ。だがここで「元フォロワーに再度フォローしてもらう」というミッションが追加される。この元フォロワー候補を、以前全ユーザーをフォローしていたらしい雁谷ミツルに定めた三人は、現在ミツルは藤巻チホと相互フォロワー関係にあると知り、早速二人のいるゲームセンターまで会いに行く。そこでミツルとの勝負に勝ったユウマだったが、再フォローしてもらう前に柚原ナナコが現れる。ナナコは事態を知り、自分がユウマを再フォローしようと考え、「つぶやき」の位置情報を頼りにやって来たのだ。そんなナナコと改めて話し合ったユウマは、ナナコのいっしょに戦いたい思いを理解し、再び相互フォロワーするのだった。しかしその頃、桜川キリカはDQNマーブルに襲われて敗北。彼の死を知ったユウマは強い怒りを覚える。

DQN狩り

向井ユウマたちは雁谷ミツルによって安全なシェルターを案内してもらうが、桜川キリカの死に憤怒するユウマは「DQN(ドキュン)マーブル」への反撃を決意する。そこでユウマは、キリカが死の直前に送ってきたメッセージにヒントを得て、DQNマーブルたちは、ユウマたちのスマートフォン内のGPSを使って位置を把握しているらしいと推理する。そこでユウマは、蔵科ミズキと「東京キラリラタワー」の頂上へと移動。わざと高い位置にDQNマーブルをおびき寄せたうえで、自分の位置情報を偽れるアプリを使う。これによってユウマとミズキは、自分たちは東京キラリラタワーではなく、ハワイにいるとDQNマーブルたちに誤認させようとする。こうしてまんまと騙されたDQNマーブルたちは、次々とタワーから飛び降り、そのまま死亡するのだった。しかしユウマとミズキがこの死体を調べていると、DQNマーブルたちは人間の死体にマーブルのマスクをかぶせたもので、このマスクの超技術によって動いていたらしいことが判明する。さらにその中にはユウマの身体もあり、ユウマとミズキはこの事実に衝撃を受けるのだった。その後、二人はひとまずユウマの死体を回収してシェルターに戻って話し合う。その結果、ユウマは「リアルアカウント」の運営には、人間の身体を再現できる技術と意識をデータ化して電脳世界と送受信できる技術があるらしいと判断する。つまり、この技術を利用すれば、人間の身体も意識も復元して復活させることができると考えたのだった。

総本山潜入…?

向井ユウマからメモリーカードを預かった柚原ナナコは、雨月イマリと共に「リアルアカウント」本社ビルに潜入していた。二人は、本社だとメモリーカードを再生できるのではないかと考えたのだ。一方その頃、ユウマたちもまたリアルアカウント本社ビルに到着する。ユウマたちは先ほどの仮説をもとに、リアルアカウント社だけが持つ技術で、リアルアカウントの世界で死亡したプレイヤーたちを復活させようと考えたのである。しかしナナコは、メモリーカードを再生している瞬間、何者かに襲われてしまう。だがナナコは完全に死亡する前に、意識とメモリーカードのデータをリアルアカウントの世界に飛ばして、逃亡することに成功していた。そんなリアルアカウントの世界にいるナナコから連絡を受けたユウマは、ナナコを救うためにも、現実世界とリアルアカウントの世界を行き来する方法を探すことになる。だがここで、ラストミッション「ゲーム終了時までに、スタート地点に戻ってくる」が追加される。

追憶のCAP

向井ユウマ上條あやめ蔵科ミズキ藤巻チホの四人は、チホだけがラストミッションのために「SNS鬼ごっこ」の始まった市民スタジアムまで戻り、ユウマたち三人は引き続きリアルアカウント本社を調べることになった。これによってユウマたちは、ラストミッション失敗で確実に死亡するが、その代わりにリアルアカウントの世界に移動する方法を探し続けることや、リアルアカウントの世界への移動ができる。そしてチホは、現実世界に残ってラストミッションを達成し、そのうえでリアルアカウントの世界にいるはずのユウマたちと連絡を取り、三人が現実世界に戻るサポートをすることになった。こうしてチホと別れたユウマたちは、本社内に隠れていた雨月イマリを発見し、イマリが柚原ナナコと見つけたユウマの両親が遺(のこ)した映像を見せてもらう。これによってユウマたちは、ユウマの両親が「CAP(コピーアンドペースト)技術」で、あらゆるものを増やす技術を発明したこと、リアルアカウント社からCAP技術の業務提携を打診されたが断ったことを知る。その後、ユウマが交通事故で大ケガを負ったのもリアルアカウント社に狙われたもので、ユウマの両親はユウマを守るため、ユウマをCAP技術で増やしたうえで死亡したことにし、児童養護施設に送ったことが判明する。

真実

「CAP(コピーアンドペースト)技術」の問題点は、生物を増やした際に意識は増やすことができないこと、すでに死んでいる生物は増やせないことだった。CAP技術を行うと、オリジナルの意識は消滅し、新しく誕生した者にくっついていってしまうため、オリジナルは死体となってしまうのだ。そのため、CAP技術で増やされた向井ユウマは、二人同時に存在することはない。死んだ人間を復活させることはできないと知ったユウマは、自分の計画が頓挫して落ち込むが、すぐにこれまでのゲームの疑問点に気づく。もし仮に、リアルアカウント世界という電脳空間が存在するなら、リアルアカウントの運営はリアルアカウントの世界で発生した死体を一瞬で処理できるはずだし、リアルアカウントの世界にいるユーザーも、空腹や睡魔を感じずにいられたはずである。しかしそうではないのは、リアルアカウントの世界は実は存在しないし、自分たちは現実の世界を電脳空間だと思い込まされていたからではないかと考えたユウマたちは、リアルアカウント社の地下に巨大な空間が存在することを突き止める。やはり意識をデータ化して電脳世界と送受信できる技術は存在せず、ユウマたちはこれまで謎の瞬間移動技術と、いちいち眠らされては身体を移動させられていたのだ。ナナコもおそらくは、その謎の瞬間移動技術によって、この地下空間に移動しているはずである。そんな中、ラストミッションの指すスタート地点とは「SNS鬼ごっこ」が始まった市民スタジアムではなく、このリアルアカウント社の地下空間であることが判明する。

Ending…?

向井ユウマは「リアルアカウント」本社にある「CAP(コピーアンドペースト)技術」と瞬間移動技術を使用できる場所を突き止め、市民スタジアムにいるはずの藤巻チホをはじめとするプレイヤーたちを救出して「SNS鬼ごっこ」は終了。さらにユウマは、雨月イマリの管理する「リアアカまとめ速報」と、雁谷ミツルの持つ圧倒的フォロワー数を利用してリアルアカウント社を炎上させる。これによって追い詰められたマーブルは、突如ゲームの「全クリア」を宣言すると、リアルアカウント社の社長と共に、柚原ナナコを連れ去るのだった。

歩きスマホ迷路

5月6日、SNS「リアルアカウント」は社長の宣言どおりに閉鎖され、向井ユウマ上條あやめは有名プレイヤーとして追っかけられたり、一連の事件の犯人扱いされたりと、心休まらない日々を送っていた。そんな11月のある日、突如マーブルが「真・マーブル」と名乗って復活。そしてユウマやあやめをはじめとする30人を、新たなプレイヤーとして指名する。あやめはこれに怒りをあらわにするが、ユウマはリアルアカウント社と決着がつけられると驚喜する。こうしてユウマとあやめが会場に指定されたリアルアカウント本社ビル跡地に到着すると、そこには蔵科ミズキもいた。そんな中、事前に行われていた「逆リアルフォロワー診断」ゲームによって最下位となった内閣総理「皇城次郎」と、彼をフォローしていた一般ユーザーが死亡。それと共に新たな会場である天空式リアルアカウント空間「アンティキティラ」が出現。ユウマたちはこのアンティキティラに入り、最初のゲーム「歩きスマホ迷路」に挑むことになる。

IDゲッター倶楽部

向井ユウマたち29人のプレイヤーは、「歩きスマホ迷路」を一人も欠けずにクリアすることに成功。その後、温泉「りああかの湯」で休憩することになったユウマたちだったが、そこでユウマは怪しいスマホを発見する。これによって、参加者29人の中に「会長マーブル」と呼ばれる人物が紛れ込んでいるかもしれないことを知り、ユウマは警戒するものの、それが誰かわからずに1日目を終えるのだった。こうして2日目となり、次のゲーム「IDゲッター倶楽部」が開始される。ここでプレイヤーは三人一組となり、会場内にいる100人の「OLマーブル」のSNSの個人IDを教えてもらい、制限時間5時間以内に五人のIDを獲得できればクリアというものだった。ここでAV女優の桜芽カルア、警察官の「冴島アクト」と組むことになったユウマはOLマーブルに接触するが、恋愛経験に乏しいユウマとアクトはうまくコミュニケーションが取れず、苦戦する。それでも洞察力、演技力に長(た)けたカルアのサポートでどうにか一人目のIDを獲得するが、二人目のOLマーブルのいる場所に行くと、彼女は自殺しようとしていた。

モテの法則

桜芽カルアのコミュニケーション能力によって、向井ユウマたちのチームは、自殺志願者だった二人目のOLマーブルを救い、IDを教えてもらうことに成功した。その後、連続女性殺人犯のOLマーブルは「冴島アクト」が逮捕する形でIDを獲得。ユウマだけでなく上條あやめ蔵科ミズキのチームも順調にゲームをこなし、今回も全員クリアの希望が見えてきたが、ユウマのチームは四人目のOLマーブルで苦戦して残り時間が1時間となってしまう。そこでユウマは、IDを教えてもらうのは難しいと判断したOLマーブルとコミュニケーションを取るのはあきらめ、手当たり次第に声をかける方法で四人目のIDを獲得するが、このOLマーブルはストーカー気質だった。彼女によって悪い噂(うわさ)を流されたユウマは、ほかのOLマーブルから警戒されるようになってしまう。これにしびれを切らしたユウマは、相手を暴力で脅してIDを教えてもらえばいいのではないかと、一度は誘惑に負けそうになる。しかしユウマはカルアとアクト、そしてOLマーブルたちと接する中で、たとえ自分とはまるで違う生き方をしていてもそれぞれに信念や大切にしているものがあり、一人一人に魅力があると気づいていた。そのため、来た道を戻ってこれまで会ったOLマーブルのうちの一人ともう一度話すことで、IDを獲得するのだった。

リアアカGO

向井ユウマは「IDゲッター倶楽部」をクリアし、このゲームをきっかけに人間そのものに強い関心を抱くようになった。これまでユウマは、柚原ナナコ以外に誰と居ても心から楽しめなかったが、「IDゲッター倶楽部」のゲームを通じて、心境の変化が訪れていたのだ。そんなユウマは、仲間の上條あやめ蔵科ミズキの大切さもかみしめていたが、ゲーム中にあやめやミズキにも変化があり、三人はぎこちない関係になってしまう。特にミズキとはなんらかの誤解が生じてしまい、彼から次のゲームでユウマを殺すとまで言われてしまうのだった。そんな中、次のゲーム「リアアカGO」が開始される。このゲームはRPGのダンジョン風になっているステージでスマートフォンをかざし、ARで表示されるモンスターを50種類以上集めるというものだった。しかし、各モンスターにはレアリティが存在し、見つけやすいものと見つけにくいものとの差が激しい。それに加え、ゲームにはスマートフォンが必須でありながら、充電が0になるとその時点で死亡するという、厳しいルールが課せられていた。こうしてユウマたちは充電残量に気を付けながらモンスターを探し始めるが、昨夜うっかり充電せずに眠ってしまったユウマは、あっという間に充電が切れそうになってしまう。

すべて終わったら…

ゲーム「リアアカGO」中、充電が切れそうになった向井ユウマを救ったのは、雨月イマリをはじめとするユウマのフォロワーたちだった。このゲームは各プレイヤーたちのフォロワーと協力して行うことができ、フォロワーは全国各地にある「リアスポット」をスマートフォンで読み取ることで、フォローしているプレイヤーにアイテムを送ることができる。こうしてユウマたちはフォロワーのサポートを受けながらモンスターを集めていくが、5段階あるレアリティの中で最低のレアリティ1のモンスター「ドヤネズミ」ばかりが集まる。モンスターたちにはそれぞれ固有の能力があり、ユウマたちはこの能力を使いながらゲームを有利に進めていく。しかし、このドヤネズミだけはなんの能力もないようで、ユウマは不思議に思う。そんな中、上條あやめ星名アイジに目をつけられ、アイジの所持するモンスターによって、あと一歩でも動けば充電切れになる状態にさせられてしまう。アイジはユウマのことを嫌悪し、仲間であるあやめをいたぶろうとしたのだ。そんなアイジによって呼び出されたユウマは、あやめを助けようとするが自らの充電切れもせまっており、自分かあやめのどちらの命を選ぶか選択をせまられる。

オレのエゴ

上條あやめ向井ユウマを助けるために自殺しようとしたが、藤巻チホが送ったアイテムにより復活し、二人とも助かる。これをきっかけに二人は改めて話し合ったユウマは、もしこのゲームが無事に終わったら、もう一度高校に通ってあやめや蔵科ミズキ、チホといっしょに過ごしたいと思っていることを伝える。この言葉にあやめは感動し、二人の関係は以前よりも強固なものとなる。この願いを叶(かな)えるためにも二人はミズキを探そうとするが、ここでイマリからアイテムが届く。そのアイテムは「モンスターのたまご」と呼ばれるもので、300%分の充電を与えると孵(かえ)り、なんらかのモンスターが誕生するというものだった。そこでユウマは少しずつ充電を貯めながらあやめと共にゲームを続け、その過程で三角マルキとも親しくなる。そんな中、ようやく発見したミズキは、と呼ばれるプレイヤーによって徹底的に痛めつけられ、傷だらけの姿になっていた。

夏の日の0827

蔵科ミズキ向井ユウマを殺そうとまで思い詰めたのは、ミズキがゲームを通じて変化していくユウマを理解できず、以前のような魅力を感じなくなっていたからだった。そこでミズキはユウマと距離を置き、を新たな己の支配者として崇拝するようになる。だが、ユウマが生きている限り彼のことが気になり、完全に箱の支配を受け入れることができないため、ユウマを殺してしまおうと考えたのだ。しかしユウマと上條あやめは、箱から一方的に暴力を受ける今のミズキがとても幸せそうには見えずに困惑するが、今は話し合いができないと判断し、一度撤退する。箱とは21時にもう一度会う約束をして別れ、モンスターを集めながらミズキを取り戻す作戦を立てる。その途中、今回のゲームマスターである「ハカセマーブル」と交戦して退けたユウマは、さらにほかのプレイヤーからの信頼を集め、また集めたモンスターの種類も40種類に到達する。しかし、21時まではあと1時間にせまっていた。一方その頃、雨月イマリ藤巻チホは、ミズキの過去について調べるべく、彼の実家に到着していた。

盗賊と少年ミュー

21時となり、向井ユウマ蔵科ミズキによって同じ檻(おり)の中に閉じ込められ、決着がつくまで出られない状態にさせられていた。そこでユウマは拳と拳の勝負をミズキに挑み、二人はお互いの思いをぶつける。ミズキはユウマが自分の人生を変えてしまったと言っているが、ユウマにとっても、それはまた同じだったのだ。それでもミズキとは理解が得られずにユウマは負けそうになるが、ここで雨月イマリ藤巻チホが見つけた数枚の画像を受信する。ミズキはユウマによって母親への思いを断ち切られてからは母親の影響もあり、ひそかに絵本を描く活動を始めていた。イマリとチホは、そのうちの一つである「盗賊と少年ミュー」を送ってきたのだ。その作品はミズキ、ユウマ、上條あやめをモデルに描かれており、ミズキがユウマとあやめに出会い、世界が大きく変化した時の思いが綴られていた。これを読んだユウマとあやめは、自分たちにはまだ絆があると確信し、力を取り戻したユウマはミズキに勝利して箱の支配から開放する。

プランE

「リアアカGO」開始3日目となったが、蔵科ミズキの所持モンスターは未(いま)だ0のままだった。このまま正攻法で戦う時間はないと考えた向井ユウマは、ゲームマスターである「ハカセマーブル」と戦って彼のモンスターを奪う方針に切り替える。そこで三人は、エリア「朽ちた多面墓地」にハカセマーブルをおびき寄せ、相手の所持モンスターのうち、レアリティ4のモンスターを奪うモンスター「サークルゥ」を使ってハカセマーブルのモンスターを盗もうとする。しかしこれは失敗に終わり、ユウマは雨月イマリからもらった「モンスターのたまご」に賭けざるを得なくなってしまう。だが、たまごから生まれたのは、これまでさんざん手に入れた「ドヤネズミ」で、今回で50体目の獲得となる。この結果にユウマは落胆するが、ここでとうとうドヤネズミの特殊能力が発動する。ドヤネズミは1体ではなんの能力も持たないが、50体集まることでレアリティ5のモンスター「ドン・ドヤネズミ」に変身するのである。このドン・ドヤネズミとハカセマーブルを倒すために潜んでいた桜芽カルア、そして雁谷ミツルたちの協力により、ユウマはハカセマーブルを撃破。彼から奪ったモンスターを現在生存するプレイヤー全員に行き渡らせることで、ゲームをクリアするのだった。

不謹慎ハンター24時

ゲーム「絶対に不謹慎してはいけない不謹慎ハンター24時」が始まり、向井ユウマたちは、抽選で組まされたプレイヤーと二人一組でゲームに挑むことになる。このゲームは、ステージ内にいる不謹慎な「つぶやき」をしているキャラクターを見つけて攻撃し、取り締まることでポイントを獲得するというもの。そして24時間以内に一組1000ポイント以上を獲得できなければ脱落という厳しいもので、その不謹慎な行動の基準はゲームマスターである「広報室長マーブル」にゆだねられている。また、ユウマたちは不謹慎を取り締まると共につねに監視されており、不謹慎な行動を取ると「黒マーブル」という集団に30秒間激しい攻撃を浴びせられるという、ペナルティが課せられていた。つまりこのゲームは、不謹慎な行動を自粛して進めなければならない。しかしユウマは、「リアアカGO」で死亡した「冴島アクト」を愚弄した不謹慎の権化のような女性「穂村アイリ」と組むことになってしまう。また、相性の悪い相手と組むことになったのは上條あやめ蔵科ミズキも同じで、それぞれのペアは苦戦する。そんな中、アイリは突如自分がユウマを嫌っており、それはユウマが偽物だからだと言い出す。困惑するユウマに、アイリはユウマと柏木アタルの過去について話し始める。

醜いニセモノ

向井ユウマは、かつて交通事故に遭って命を落としかけてから、双子の弟である柏木アタルが、ユウマと成り代わって生きていることを、「穂村アイリ」から知らされる。アイリはユウマに、この事実を教えることによって彼の心を傷つけようとしていたのだ。しかし記憶喪失であるユウマは、自分の過去はどんなことも知りたいと思っていた。これによってアイリの思惑は外れ、アイリは逆に自らの過去を暴かれてしまう。実は、アイリの本名は「穂村アイラ」で、「穂村アイリ」は双子の姉の名前だった。そんなアイリは容姿も人柄も優れた素晴らしい女性で、アイラはアイリを崇拝して愛していた。しかしアイリは、子供の頃に火災でアイラをかばって亡くなり、この時二人共に顔に大やけどを負ったことで、両親も二人の見分けがつかなくなってしまう。これによってアイリとカンちがいされて整形手術を受けたアイラは、以来、アイリとして生きるようになったのである。アイラが異常なまでに自分の美しさにこだわったり、ユウマを偽物扱いして嫌悪しているのは、こんな過去があったからだった。これを見抜かれたことや、黒マーブル集団に顔を殴られたことでアイラは錯乱しかけるが、ユウマの説得によって正気を取り戻し、これからはアイラとして生きることを決意する。

密告者はどこだ?

穂村アイラと和解した向井ユウマは、蔵科ミズキと合流する。ミズキは「斗部コトコ」と組んでいたが、コトコは黒マーブル集団によって致命傷を負ってしまい、最終的にコトコの意を汲(く)んだミズキに殺されたため、ミズキは一人となっていた。しかしコトコにとどめを刺したミズキは、なぜか100ポイントが加算される。「広報室長マーブル」は、コトコはもともと連続殺人鬼であったため、殺しても不謹慎でないどころか正義の行いであると判断したのだ。ユウマとミズキはこの判断に怒りを覚えつつも、まずはケガを負っているミズキを治療するために病院を訪れる。そこでミズキは、プレイヤーの一人である医者「紅本イスケ」に治療してもらうが、ここで「密告ダイヤル」というスキルによって、黒マーブルからの攻撃を受けるようになってしまう。これはプレイヤーが、ポイントを100ポイント獲得することで使用できるようになるスキルで、まずはこのスキルを持つプレイヤーが、任意のプレイヤーの不謹慎な行動を広報室長マーブルに密告する。そしてこれが不謹慎と認められれば、密告者はポイントを獲得でき、密告された側は黒マーブルによって比較的軽い攻撃を受ける。ユウマとミズキは院内に密告者がいると考えるものの、それが誰なのかは判明しなかった。それでも受けるペナルティは比較的軽い攻撃であるため、油断していたユウマたちだったが、突如アカリが死亡する。そして広報室長マーブルは、これまでは罰が軽すぎたので今後重罰化し、密告によって見つかった不謹慎プレイヤーは即殺すと宣言するのだった。

不謹慎インディアンポーカー

「叶ハヤト」によって、病院にいた密告者は「紅本イスケ」ではなく、スマートフォンのカメラで院内を監視していた座黒ズイだと判明する。向井ユウマ蔵科ミズキ穂村アイラは、ズイとそのパートナーである小間カリンを警戒しつつポイントを獲得していき、500ポイントまで到達する。これによって新スキル「なんでもハント」を獲得した三人は、キャラクター以外の不謹慎行動も取り締まってポイント獲得ができるようになる。そこでユウマは、なんでもというのであれば、プレイヤーであるズイを直接殴ってポイント獲得できるのではないかと推測。ズイ一味と接触し、ズイと1対1の「不謹慎インディアンポーカー」を挑む。

身代わりシステム

向井ユウマは「不謹慎インディアンポーカー」中、雁谷ミツルたちの力を借りて座黒ズイに勝利して一矢報いたが、第7セットが始まる直前、「広報室長マーブル」が割って入って来た。これまでユウマとズイは、1セットにつき勝利者が50ポイント奪う形で戦っていた。しかし、これを気に入った広報室長マーブルは、以後移動するポイントを10倍の500に引き上げると言い出したのだ。ユウマのポイントは現在390しかなく、一度負ければ賭けるポイントがなくなって、そのまま敗北してしまう。とはいえ、これではすぐに終わってしまうため、広報室長マーブルは、ユウマが負けた場合はほかのプレイヤーが代わりに殴られてポイントを失う「身代わり」ルールを追加する。蔵科ミズキ上條あやめ、この状況を面白がった「愛沢マグラ」が身代わりとなって場をしのいでくれる。さらにマグラは、ズイが小間カリンに託していた、ワンタイムパスワード生成機を盗んで状況を一変させる。

本当の資質

「不謹慎インディアンポーカー」は向井ユウマの勝利に終わり、座黒ズイ小間カリンを生かすために自分の頭に埋め込んでいるスマートフォンを引き継いだうえで死亡した。これによってユウマたちは各々が1000ポイントを獲得したと思えたが、すでに1000ポイント獲得していた星名アイジが解禁したスキル「ねこそぎハント」により、ポイントをすべて奪われてしまう。しかし、一度はユウマのもとを離れた「叶ハヤト」の行動がヒントになり、ユウマは活路を見出す。それはユウマたちが音楽フェスを開き、その様子を会場の外にいるフォロワーたちにも中継で見てもらい、楽しませるというもの。そして、これを取り締まりにやって来た「広報室長マーブル」に、次のような質問をするというものだった。それは、この音楽フェスのような現状特に問題のない行動を不謹慎扱いし、過度に取り締まろうとする「広報室長マーブル」と、これから罰しに来る黒マーブルたちの方が、むしろ不謹慎ではないかという質問だった。この「絶対に不謹慎してはいけない不謹慎ハンター24時」の不謹慎の基準は、広報室長マーブルに委ねられている。そのため、ユウマの質問に広報室長マーブルがイエスと答えた場合、不謹慎なのはユウマたちではなく、広報室長マーブルに変わってしまうのである。この目論見は成功し、ユウマたちは不謹慎者と判定された広報室長マーブルと、黒マーブルたちを取り締まることでポイントを獲得し、ゲームをクリアするのだった。

ステージ3の片鱗

向井ユウマたちは「絶対に不謹慎してはいけない不謹慎ハンター24時」をクリアし、「広報室長マーブル」は死亡した。ユウマはその瞬間を目の前で見ていたが、一瞬これまでにないような不思議な感覚に襲われ、不安になるのだった。その夜、生き残ったプレイヤーたちは打ち上げをするが、突如柏木アタルが姿を現し、ユウマを殺そうとしている理由を語り始める。アタルは半年前のゲームに参加しており、当時は神田こよりという仲間がいた。しかしこよりはゲーム中、性格が2回にわたって急変。1度目の急変では攻撃的で乱暴な性格となり、過激な言動を取る程度だったものの、2度目の急変では人を殺すのをなんとも思わない、純粋悪と言えるほどの人物になってしまう。そこでアタルは、このままでは自分の大切なものを守れないと判断し、こよりを殺害したという経緯があったのだ。以来アタルは、こよりと同じ症状が発症しつつある人間は必ず殺すと誓っており、これに該当するユウマの命を狙っていた。ユウマは自分はこよりのようにはならないと反論するが、すでに一度性格が大きく変わっており、つい先ほども広報室長マーブルの死を見ていたユウマには、すでに2回目の急変の兆候があった。

匿名教室

向井ユウマ柚原ナナコの偽物の死体を見せられたことで変貌し、柏木アタルの言うとおり、一瞬別人のようになって大暴れしてしまう。これを見ていたプレイヤーたちとフォロワーたちは途端にユウマを恐れて距離を取るようになり、ユウマもまた、わざと冷たい態度を取ったり、フォロワーたちをブロックして関係を断ったりしようとする。それでも上條あやめ蔵科ミズキは、変わらずユウマの仲間でいることを誓っていた。そして深夜、事態を知った雨月イマリと話し合ったユウマは、この騒動を受けて、一度はイマリや藤巻チホをブロックしたことは二人を巻き込まないための行動だったが、間違っていたことを詫(わ)びる。そして今後は仲間を信じ、大切にすることを誓うのだった。そして朝になり、次なるゲーム「匿名教室」がスタート。今回は「会長マーブル」と名乗るマーブルがゲームマスターとなる。このゲームによってユウマたちは学生服を着せられ一つの教室に通されるが、今回のゲームの目的は、プレイヤーの中に潜んでいる会長マーブルを推理して特定することだった。プレイヤーたちは1時間に1回学級会を行い、多数決で会長マーブルらしきプレイヤーを決定する。それが本物の会長マーブルであればゲームクリアだが、間違えていた場合、そのプレイヤーは死亡してしまう。そして会長マーブルを見つかるまで、ゲームは続くのである。この過酷なルールのもと、真っ先に疑われたのはユウマだった。

援護同盟

向井ユウマは、昨夜の打ち上げで別人のように残忍な姿を見せたことでみんなに「会長マーブル」ではないかと疑われ、非常に不利な状況にあった。それでも1回目の学級会はユウマではなく穂村アイラが選ばれるが、これは誤りでアイラは死亡。アイラに投票した上條あやめは、自分なりの推理に基づいて彼女を選んだものの、無実の彼女を殺してしまったことに深くショックを受ける。一方、ユウマがまたも急変し、蔵科ミズキが止めて気を失ったものの正気を取り戻し、プレイヤーたちはさらにユウマを疑い始める。そしてみんなは、会長マーブルとはこの急変時のユウマの人格であり、ふだんのユウマは自分が会長マーブルである自覚がないままなのではないかとまで言い出すのだった。そんなユウマを救うべく上條あやめは一人動き出すが、協力者の「氷月カナタ」が2回目の学級会で選ばれるものの、またも誤りで死亡する。同時にあやめは星名アイジにありもしない卑猥な噂を流され、危うく会長マーブルに選ばれそうになり、強い怒りを覚える。アイジは自分こそがユウマを殺すと考えていたため、この「匿名教室」中はユウマが投票されないように、ほかのプレイヤーの足を引っ張ることを決めたのだった。しかしあやめはこれを利用して、あやめ、ミズキ、アイジの三人で協力すればいいと考えるが、あやめはなぜか小間カリンからキスされてしまう。

臨時学級会

ゲーム「匿名教室」に「委員会システム」が追加された。これは現在生存する20人のプレイヤーに、22種類の委員会がランダムで割り振られ、各プレイヤーはその委員にしか使えないスキルを行使できるというものだった。しかし上條あやめが引いたのは、「飼育委員」という、犬のプレイヤーであるパルくんに、いくらでも好物のチーズかまぼこを与えられるだけという、非常に弱いスキルだった。協力者である星名アイジには保健室の鍵をかけられる「保健委員」、蔵科ミズキには任意の委員のスキルを消せる「人事委員」のスキルが与えられたものの、一番欲しい「風紀委員」のスキルは手に入らない。そんな中、予定よりも約20分早く臨時学級会が行われると告知される。これを好きなタイミングで学級会を開催できる「投票委員」の仕業だと考えたあやめたちは、投票委員が誰なのかを暴き、ミズキのスキルで相手のスキルを奪って臨時学級会を中止させるべく動き出す。そこであやめは、パルくんの聴覚を頼りに犯人が「田中ヤスハル」であると暴きスキルを消滅させるが、彼は小間カリンに従っていただけだった。一刻も早く風紀委員を見つけなくてはならない中、が突如、自分こそが風紀委員であると告白する。

清廉なる学級委員

上條あやめたちが「風紀委員」のスキルを必要としているのは、これを使えば1回だけ任意のプレイヤーが「会長マーブル」か否かを調べ、証明できるためだった。そんなあやめには、自分との運試しに勝てばスキルを使ってやると言い出す。そして箱は、運試しに勝利したあやめにスキルを使い、彼女が会長マーブルではないことを証明してスキルを消滅させてしまう。絶望するあやめのもとに、まだ人格が急変状態でしばらくロッカーの中に隠れていた向井ユウマが現れる。しかし、相変わらず残忍な態度を取るユウマにとうとう怒りをあらわにしたあやめは、暴力的な人格に支配されることなく、どうか正気を取り戻してほしいと訴え、ユウマにキスをする。これによって正気を取り戻したユウマは、贖罪(しょくざい)のために6分後にせまっている次の学級会では自分に投票してほしいと頼み込む。だがここで「服飾委員」だったはずのユウマの役職が、突如「学級委員」に変化する。学級委員のスキルは、自分が会長マーブルか否かを全員に周知できるというもの。これによって、ユウマはついに自分が会長マーブルではないことを証明する。

先延ばし作戦?

3回目の学級会では、小間カリンが投票されたが、彼女も「会長マーブル」ではなかった。向井ユウマ上條あやめ蔵科ミズキが、次の学級会こそ会長マーブルを見つけるべく情報を整理する中で、ユウマは、なぜ突然自分の役職が変わったのかに気づき突破口を見出す。そしてユウマはプレイヤー全員に、次の学級会では全員自分自身に投票するように頼み込む。現在、確実に会長マーブルではないのはユウマとあやめだけだが、会長マーブルは特にユウマを危険視しているため、会長マーブルだけは自分自身に投票せず、ユウマに投票すれば、2票獲得したユウマは選ばれて死亡するが、自分に投票しなかった会長マーブルは0票となり、誰が会長マーブルかをあぶり出せると考えたのだ。この予想どおり学級会ではユウマだけに2票が入り、パルくんだけが0票となる。その結果にパルくんは恐怖のあまり間違えたと弁解するが、ユウマはすでにパルくんが会長マーブルであると確信していた。ユウマは情報を整理し、どうやら役職が変わる条件はキスにあるらしいことに気づく。しかしこれだけでは、あやめとカリン、あやめとユウマしか役職が変わらず、ユウマは学級委員ではなく、あやめの元役職である飼育委員になっているはずである。だが、実際にはパルくんがあやめとユウマの唇をなめる形で2回キスをしており、今の飼育委員はパルくんだったのだ。また、カリンは委員会システムが発表される前に、あやめに不自然にキスをしていた。ここからユウマは、ゲーム序盤でお互いが会長マーブルではないことを確かめるために、二人一組で身体検査を行ったが見つからなかったことまでさかのぼり、あの時パルくんとペアを組んで身体検査したカリンは、パルくんが会長マーブルであると知った。だが、パルくんはこれを隠してもらうためにカリンと取引し、「匿名教室」でも情報を流していたのではないかと推理したのだ。

嘘情報島(フェイクニュースアイランド)

向井ユウマは、パルくんの正体が「リアルアカウント」の運営側である「会長マーブル」で、これまでずっとプレイヤーのふりをして騙していたことを暴いて「匿名教室」をクリアした。こうして生存プレイヤー全員の信頼を再び勝ち取ったユウマは、柏木アタルが待ち受ける次のゲーム「噓情報島(フェイクニュースアイランド)」に挑む。このゲームは、肉体が眠った状態で精神のみが、このゲーム専用に用意されたVR空間「嘘情報島」に入り、隠れている「アタルマーブル」を見つけ出し、現実空間に戻るというものだった。そこでユウマたちはこの空間にいる人間に声をかけて情報を集め始めるが、この島はその名前のとおり、ウソが9割で真実が1割の偽情報だらけの島だった。さらにこの空間に登場するのは、すでにリアルアカウントゲームで脱落し、死亡した人間のデータをもとに作られた、もはや本人そのものといえるほど精巧な偽物だった。そんな噓情報島を探索しながら、ユウマ、上條あやめ星名アイジ、「椎葉サヤカ」の四人は神田こよりの偽物に出会うが、ここで彼女は衝撃の事実を語り出す。

2つのヒント

向井ユウマたちは神田こよりの偽物から、こよりの正体が柏木ユリの双子の姉妹であり、柏木家は実は四人きょうだいであったことを知らされる。半年前、第1回目の「リアルアカウント」中の柏木ユリは、向井ユウマの身体を探すために柏木研究所に潜入した。そこで、自分にそっくりな双子の赤ちゃんといっしょに、ユウマとアタルが映っている写真を発見し、この事実を知る。そして、ゲームを通じて親しくなったアタルとこよりが恋人として結ばれる前に、この事実を二人に伝えたのである。しかし、それを知ったこよりが急変し、別人に変貌してユリを殺そうと襲い掛かる。さらにそこへマーブルが現れ、さらなる真相を告げたことでこよりはますます様子がおかしくなり、手が付けられなくなったため、もはや止められないと判断したアタルによって、殺害されたのである。こうして真実を知ったユウマたちは、こよりから得たヒントをもとにアタルの待つサッカー場へ到着。しかしここでアタルは、先ほどこよりからは語られなかった、さらなる事実を話し始める。

柏木家の子供たち

柏木きょうだいは、実は四人きょうだいではなく、柏木アタル柏木ユリの二人兄妹だった。向井ユウマ神田こよりは、両親の生み出した「CAP(コピーアンドペースト)技術」によって生まれた、作り物の存在だったのである。本来「CAP技術」は、生き物にはうまく応用できず、肉体は増やせても意識は増やせないでいた。そして意識は、新しく生まれた方にくっついていき、オリジナルはただの死体になってしまうのだ。しかし、生まれたての生物のみは別で、生後間もない状態であれば、意識も含めて増やすことができるのだという。ユウマとこよりの精神が不安定で、人格の急変が起こるのも、本物の人間ではないためだった。さらに二人は、2回目の人格急変が起きた場合は回復することはないため、まずは近親者、それから手当たり次第に誰かを殺さなくてはならないという強迫観念にとらわれていたのだ。こよりがまずユリとアタルを狙ったのも、こよりを殺したアタルがユウマも殺さねばならないと考えていたのも、このためだった。しかし、ユウマはこれを知ってなお自分は自分だと心を強く持ち、アタルと決着をつけるため、3対3の「噓情報(フェイクニュース)サッカー」に挑む。

ありふれた兄弟

向井ユウマは、上條あやめ蔵科ミズキの三人で「噓情報(フェイクニュース)サッカー」に挑み、柏木アタル星名アイジ、「椎葉サヤカ」のチームに勝利した。そしてアタルはこよりの死後、柏木ユリの安全と引き換えに「リアルアカウント社」にゲームマスターとして参加したこと、これによってユウマを倒したあとは、内側からリアルアカウント社を潰すつもりだったことを告白する。これによってお互いを理解し合ったユウマとアタルは、今度こそ仲間になっていっしょに戦えるかに思えた。しかし、ゲームはまだ終わっておらず、油断したユウマをかばう形で、アタルは死亡するのだった。これにユウマたちは怒りあらわにし、リアルアカウントゲームをクリアしてリアルアカウント社を潰すことを誓う。

リアルフォロワー決戦

最終ゲーム当日となり、向井ユウマたち生き残った15人のプレイヤーは「リアルアカウント社」の社長と直接会話し、彼がなぜこんなゲームを始めたのかを知る。社長は過去、インターネット上での被害に苦しみ、インターネットなどなければいいと憎んでいた。そしてそれを実現させるため、インターネットとはいかに愚かで醜いものなのかを知らしめるべく、ゲームを始めたのだという。しかし、自分勝手な社長の主張に賛同できないユウマたちは、社長の野望を打ち砕くためにも最終ゲーム「リアルフォロワー決戦」に挑む。これは各プレイヤーが、自分のフォロワー数を攻撃力・防御力として「真・マーブル」と殴り合って戦うというシンプルなものだった。しかしユウマたちが、最もフォロワーが少ないプレイヤーでも2万人以上、一番多いユウマであれば2847万人のフォロワー数から戦いが始まるのに対し、真・マーブルはフォロワーが一人からのスタートとなる。そのため一見ユウマたちが圧倒的に有利に思えたが、真・マーブルをフォローした人間は、たとえこの戦いで真・マーブルが負けても、巻き添えで死亡しないというルールになっていた。そのうえ、この戦いを見ているフォロワーたちは、各プレイヤーとマーブルの16人のうち、一人しかフォローすることができない。これを知ったフォロワーたちは次々にユウマたちを見捨て、真・マーブルをフォローしてしまうのだった。

中の人

「リアルフォロワー決戦」が始まり、多くのフォロワーは真・マーブル側についてしまう。すると真・マーブルは、プレイヤーチームのリーダーである向井ユウマにこのゲームの終え方は複数あり、今からでも降伏して「リアルアカウント社」に入ると約束すれば、今いるプレイヤーと彼らのフォロワーの安全は保障すると告げる。ユウマはその申し出に応じずに真・マーブルに大ダメージを与えるが、ここでユウマと真・マーブルのフォロワーの数が、お互い2097万人となってしまう。これではユウマが真・マーブルを倒すのは難しく、加えて現実世界のユーザーたちは、ユウマには人格急変の恐れがあることを知っている。そのうえ真・マーブルはここで、ユウマの疾患について治療法はないと言い出す。ユウマと神田こよりに人格急変が起こるのは、「CAP(コピーアンドペースト)技術」によって増やされたことで精神が不安定になっていたためだった。二つに別れた精神を一つに戻す「逆CAP技術」を用いれば安定するものの、この方法だと片方の身体は死んでしまううえ、柏木アタルはすでに亡くなっている。つまり、もうユウマの精神を安定させることは不可能だというのである。これを聞いた上條あやめたちは、なぜ真・マーブルがここまでCAP技術に詳しいのかと疑問に思うが、ここで真・マーブルはついにその正体を明かす。

滅びの呪文

真・マーブルの正体は「柏木研究所」の副長で、向井ユウマ柏木アタル柏木ユリ神田こよりの父親である「柏木シン」だった。シンは歪(ゆが)んだ好奇心の果てに「CAP(コピーアンドペースト)技術」を使ってユウマを誕生させたが、同じようにこよりを誕生させた時にはもう飽きてしまっていた。そこで別環境での成長を検証するためにこよりは里子に出し、四人のきょうだいの中で、こよりだけ別の場所で育てられたのである。そんな中、シンは「リアルアカウント社」の社長と出会い、CAP技術の業務提携をしてほしいと打診された。これに興味を持ったシンは、まず妻の「柏木チトセ」を殺害して自分もCAP技術で増やした肉体を使って死んだように見せかけたのだった。そしてリアルアカウント社に入り、以後、一番近くで「リアルアカウント」ゲームを鑑賞するため、マーブルとして潜んでいたのである。ユウマとアタルがプレイヤーになるように仕向けたのも、シンだったのだ。そんなシンを倒すための最後の作戦として、ユウマはある特定のごく短い時間だけでいいので、自分をフォローしてほしいと現実世界ののユーザーたちに訴える。

関連作品

小説

本作『リアルアカウント』の関連作品として、華南恋の小説『リアルアカウント 0』がある。講談社「KCデラックス」から刊行され、イラストは渡辺静が担当している。小説版は漫画版の前日譚となっており、「リアルアカウント社」が運営する私立高校、架装学園で起きた事件が描かれている。

登場人物・キャラクター

柏木 アタル (かしわぎ あたる)

とある高校に通う2年生の男子。第1回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤー。黒髪ショートヘアで、優しく誠実そうに見えるが少々頼りないところがある。生真面目な穏やかな性格で、数年前に両親を亡くし、妹の柏木ユリと二人で暮らしている。唯一の肉親であるユリを大切に思っており、重度のシスターコンプレックスでもある。二人で貧しいながらも平穏な暮らしを送っていたが、高校2年生の4月25日、突如SNS「リアルアカウント」の世界に吸い込まれ、同じくこの世界にやって来た1万人のプレイヤーたちと命をかけて争うことになる。以前からリアルアカウントのアカウントを持っており、ゲームのみでつながっているプレイヤーが多数いるほどの熱心なユーザーだった。しかし、学校ではアカウントを持っていることを秘密にしており、こっそりと楽しんでいる。実は、本名は「柏木アタル」ではなく「柏木ユウマ」で、アタルは双子の兄。子供の頃は三人きょうだいで、両親とアタルを含めた五人で暮らしていたが、明るく優秀なアタルにひそかにコンプレックスを抱いていた。そんなある日、アタルから入れ替わりを提案され、アタルに成り代わって遊んでいた際に本物のアタルが交通事故に遭って死亡。この時、事故に遭ったのはユウマであるとウソをつき、それからはアタルとして生きるようになった。ゲーム「黒歴史裁判」でこの秘密を明かし、ユリや仲間の神田こよりとの絆を深めるが、その後、死んだはずのアタルが向井ユウマという名前で生きていること、実はこよりもまた自分の妹であること、ユウマとこよりは人格が崩壊して残忍な殺人鬼となる疾患が隠されていること、そしてこれらの原因を作ったのは、リアルアカウント社にいる「真・マーブル」であることを知る。そのため、11月からの第2回目の「リアルアカウント」ではゲーム運営側に寝返ったふりをして内側から崩壊させる作戦を画策しつつ、ユウマを殺すために奔走する。誕生日は12月8日。

向井 ユウマ (むかい ゆうま)

とある高校に通う2年生の男子。第1回目と第2回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤー。黒髪ショートヘアで、明るくやんちゃな性格で、柏木アタルと瓜二つの容姿をしている。子供の頃に交通事故に遭って、額に傷がある。学校ではクラスの中心的な人物で、リーダーシップにあふれている。しかし子供の頃、記憶喪失になって児童養護施設に預けられたことから、幼なじみの柚原ナナコ以外には心を開くことはない。そのため、何をしても心から楽しんだり、誰かを愛することができず、冷めた気持ちで日々を過ごしている。SNS「リアルアカウント」に熱中しつつも、アカウントを持っていることをナナコ以外には秘密にしていた。そんな高校2年生の4月25日、ナナコとついに恋人になったところで突如リアルアカウントの世界に吸い込まれ、理不尽なデスゲームに参加させられることとなる。第1回目のリアルアカウント中は、上條あやめをはじめとするほかのプレイヤーを守るために積極的にヒーロー的な存在として振る舞っていたが、ゲーム「大炎上祭」をきっかけに本性を暴かれ、別人のような人格が現れるようになり、精神が不安定になっていく。しかし、こんな状況になっても仲間のサポートで立ち直り、こんな理不尽なゲームを運営しているリアルアカウント社の謎にせまろうとする。長らく生き別れになっていたアタルの双子の兄と思われていたが、のちに生後間もないアタルを「CAP(コピーアンドペースト)技術」によって増やした、アタルのコピーであることが判明する。そして人格が不安定なのは、コピーされて生まれたためであることを知る。誕生日は12月8日。

上條 あやめ (かみじょう あやめ)

とある高校に通う1年生の女子。第1回目と第2回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤー。暗い茶髪を腰まで伸ばしたストレートロングヘアで、第2回目のリアルアカウントではイメージチェンジしてツインテールの髪型になった。明るくお人好しながら勝ち気な性格で、かわいらしい顔立ちをしている。しかし、友人たちとの些細な行き違いから、メッセージの「既読スルー」をしたと誤解され、孤立していた。それ以来、SNS「リアルアカウント」のプレイヤーになるまでは兄に依存した生活を送っている。精神的にもろく、かまって欲しい欲求が強くなるあまり、人の気を引くような言動ばかりする「かまってちゃん」であることを認識している。高校1年生の4月25日、突如「リアルアカウント」のプレイヤーに選ばれるが、始まってすぐに兄にフォローを外され脱落しそうになる。この危機を向井ユウマに助けられたことがきっかけで、いっしょに行動するようになる。当初はユウマにそっけない態度を取っていたが、彼の勇気ある行動やほかのプレイヤーを見捨てない優しさに惹(ひ)かれて次第に打ち解けていく。また、兄への依存心を断ち切ってくれたことで異性としても意識するようになり、ゲーム「大炎上祭」でユウマの本心を知ることとなる。そして、彼の精神が不安定になっていく中、変わらずサポートすることで、自らも精神的な強さを獲得していく。誕生日は8月27日。

蔵科 ミズキ (くらしな みずき)

自殺サイト「黒い水槽」の管理人を務める若い男性。第1回目と第2回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤー。肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアで、長身のイケメン。いつも寝不足のため目の下にはクマがあり、身体はやせ細り、不気味で近寄りがたい雰囲気を漂わせている。子供の頃、絵本作家だった母親が作品の内容を批判された末に自殺。それからは、母親は作中に登場する「ぜつぼうのくに」へ行ってしまったと思い込むようになった。そして自分もぜつぼうのくにへ行くため、他者の絶望した表情を撮影し、これを集めて通行料にしようとした。通行料を稼ぐために自殺サイトを運営するようになり、他者の死を間近で見たり、自殺を手伝ったりしたことで経験が豊富となる。また、この過程で人体に非常に詳しく、他人を傷つけることをなんとも思わない残虐性を持つようになった。その一方で、精神年齢が母親の死の時点で止まっているため、子供のような純粋さと素直さを持ち、他者に依存しがちなところがあり、通行料稼ぎに躍起になっているのも、自ら母親に精神的に支配されたがっているためである。そんなある日、「リアルアカウント」のプレイヤーに選ばれ、向井ユウマと上條あやめに出会う。そしてユウマに母親の死の真相を暴かれ、これによってユウマを新たな自分の支配者であると認識するようになり、懐くようになる。当初は仲間という概念を理解できず、ユウマとも一方的な関係だった。しかし次第に相手を思う気持ちに目覚め、ユウマやあやめと友情を築くようになる。好物は生肉で、いつも持ち歩いている。

柚原 ナナコ (ゆずはら ななこ)

向井ユウマと同じ高校に通う2年生の女子。ユウマの幼なじみで元彼女。金髪の前下がりのボブヘアをヘアピンで留め、明るく快活な性格をしている。剣道の心得があり、男性相手にも渡り合える実力を持つことから、雨月イマリからは「ケンドー女」と呼ばれている。幼い頃に両親を亡くし、唯一の肉親である「柚原ロクロウ」が重い病気を患っていることから、心晴れない日々を送っていた。この窮地をユウマに救われたことで笑顔を取り戻し、ユウマと付き合うようになる。また、周囲に心を開けないユウマにとって唯一の現実での知人フォロワーとして共にSNS「リアルアカウント」を利用していた。しかしそんな高校2年生の4月25日、ようやくユウマと正式に恋人になった直後、ユウマが突如「リアルアカウント」の世界に吸い込まれ、デスゲームのプレイヤーに選ばれてしまう。この時、プレイヤーがゲームに失敗して死亡した際、そのフォロワーも死亡するというシステムに怯(おび)え、衝動的にユウマのフォローを解除してしまう。しかしすぐに後悔し、現実世界でリアルアカウント社の真意を探り、ユウマを救出するべく、単身動き出す。その時に知り合ったイマリと親しくなり、いっしょに行動するようになる。

桜川 キリカ (さくらがわ きりか)

元教師のフリーターの男性。第1回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤー。小柄な太めの体型で、七三分けの短髪にしている。目がパッチリで仕草が女性的だったりと、ユーモラスでかわいらしい雰囲気を漂わせている。本名は「桐谷」で、SNS「リアルアカウント」のアカウント名が「桜川キリカ」であることから、ゲーム中は桜川キリカと呼ばれている。妻のリンと別れて淋(さび)しい毎日を送っていたが、女性のふりをしてリアルアカウントに投稿すれば、多くの男性が構ってくれることに気づく。そして若い女性「桜川キリカ」を演じ、つまりネカマとして活動するようになった。そんなある日、「リアルアカウント」のプレイヤーとして選ばれるが、ゲーム「鎮静かまってちゃん」の「かまってちゃん役」として、あやつられた状態で参加することになる。このゲームにおいて向井ユウマと上條あやめに助けられたことで、仲間になった。しかし「SNS鬼ごっこ」中「DQN(ドキュン)マーブル」に敗北して死亡する。

藤巻 チホ (ふじまき ちほ)

とある大学に通う女子。第1回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤー。黒の内巻きボブヘアで、眼鏡をかけている。巨乳のかわいらしい顔立ちで、左目尻と唇の右下にほくろが一つずつある。「リアルアカウント」のプレイヤーになる前から恋人に過激な写真を求められており、スマートフォンの中には藤巻チホ自身の際どい画像や裸の画像が多数入っている。この画像を「悪(わる)いいね!ゲーム」によってインターネット上に公開されてしまったうえに恋人にも見捨てられ、精神的に追い詰められてしまう。そこで「既読スルー撲滅運動」のゲーム中、蔵科ミズキに自殺ほう助してもらおうとするが、これを向井ユウマに止められたことで彼と知り合い、その後ゲーム「大炎上祭」を経て、上條あやめとも打ち解けて仲間になる。画像の一件もあって一見気が弱そうに見えるが、いざという時には非常に大胆で行動的となり、ユウマたちの仲間になってからはたびたび精神的にタフな一面を見せる。当初は自分を救ってくれたユウマにあこがれ、ユウマと親しいあやめには嫉妬していた。だが、「大炎上祭」であやめに自分の過ちを受け入れてもらってからは親しくしている。そのため、第2回目の「リアルアカウント」ではプレイヤーとしては参加できなかったが、あやめのフォロワーとして、現実世界から積極的に応援している。雁谷ミツルとはゲーム「SNS鬼ごっこ」で知り合って以来行動を共にするようになり、彼に頻繁に過激なセクハラを受けつつも良好の関係を築いている。

雨月 イマリ (うづき いまり)

人気インターネットまとめサイト「リアアカまとめ速報」の管理人を務める若い男性。切りそろえた前髪に前下がりのボブヘアで、中性的でかわいらしい顔立ちのために女性とカンちがいされることがある。また小柄なことから幼く見えるが、雨月イマリは柚原ナナコよりも年上だと語っている。明るく勝ち気な性格で、大衆に真実を知らせたい思いの強いジャーナリスト気質(かたぎ)の持ち主。そのため、第1回目の「リアルアカウント」が始まったことを機に、リアルアカウント社の真の目的を探るべく単身行動を始める。その際に、ガラの悪い男性たちに絡まれて困っていたところを、ナナコに助けられたのがきっかけで彼女と出会い、仲間になった。その過程でナナコの人柄に惹かれていくが、リアルアカウント社への潜入時に勇気が出せず、リアルアカウント社の社長にナナコを連れ去られてしまったことを非常に後悔している。そのため、第2回目の「リアルアカウント」ではプレイヤーに選ばれなかったものの、ナナコを救うために向井ユウマに協力する。自らの情報収集能力と「リアアカまとめ速報」を使ってさまざまな情報を拡散したり、インターネット上で呼びかけたりしている。

雁谷 ミツル (かりや みつる)

とある小学校に通う3年生の男子。人気コミュニティサイト「オモチュー.com」の管理人を務める。さらさらの短髪にかわいらしい顔立ちをしている。不摂生な生活を送っているため、年齢にして髪が薄いことを気にしている。そのため、前髪をヘアゴムで上げて誤魔化しており、髪の毛を触られると慌ててしまう。サイト名の「オモチュー」とは「面白いことをこの世界に注入する」の略で、雁谷ミツル自身も面白いことであればなんでもOKないたずらっ子気質と、500万人を超える会員をまとめる管理人としてのカリスマ性を身につけているが、年相応の素直な一面を併せ持つ。SNS「リアルアカウント」のことは、オモチュー.comの活動場所の一つととらえており、特殊なツールを利用して全ユーザーをフォローしていた。そんな小学3年生の4月25日にリアルアカウントゲームが始まり、多くのユーザーをブロックしてフォロー解除したものの、藤巻チホだけはフォローを継続していた。これが縁となってゲーム「SNS鬼ごっこ」を機にチホと出会い、その勇気と度胸に感服した。以来「チホ姉」と呼び慕いつつも、彼女に過激なセクハラをしてじゃれ合っている。第2回目の「リアルアカウント」ではプレイヤーには選ばれなかったものの、チホと共に現実世界から向井ユウマたちをサポートしている。

桜芽 カルア (さくらめ かるあ)

人気セクシー女優。第2回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤー。黒髪ストレートロングヘアにカチューシャを付けている。清楚(せいそ)な雰囲気の美女ながら、性格は気が強く男勝りで話し方も少し乱暴である。「童貞喰い(チェリーイーター)」の異名を持ち、芸名の桜芽カルアも、性経験のない男性(チェリー)を狩るという意味で名乗っている。本名は非公開で、ゲーム中も「冴島アクト」以外には明かしていない。裕福な家庭に生まれたお嬢様で、あらゆる部門の英才教育を受けて育つ。両親から何事も一番を目指すようにと厳しくしつけられるが、なかなかこれを叶えられず、高校卒業時に両親に見限られてしまう。そしてお見合いの末に婚約をするが、夫と初体験した際に、夫もまた初体験だったことを知る。これを機に、男性の初めての相手になることは、その人の一番になることと同義であると解釈。即座に婚約を破棄し、アダルトビデオ業界に入ってセクシー女優となった。英才教育とアダルトビデオ出演で培った高い洞察力や演技力、コミュニケーション能力を持ち、一見するだけで相手の性熟練度を見抜くことができる。また、便宜上「童貞喰い」と呼ばれているものの、女性も性対象のバイセクシャルであり、女性にせまることもある。自身のこのような特性から、将来的にはこの世から童貞をなくすことを目標に活動していたが、ある年の11月、第2回目の「リアルアカウント」のプレイヤーに選ばれる。そこで向井ユウマとアクトに出会ったことで、人生が大きく変化していく。

(はこ)

第1回目と第2回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤーの少年。髪の毛をツンツンに立て、ロングヘアを何本もの三つ編みにして束ねている。吊り目で三白眼と八重歯が特徴ながら、ふだんは段ボールをかぶって頭を隠している。身寄りがなかったために闇カジノのオーナー女性に買われ、ギャンブルの一つである「人間サイコロ」の演者として、つねに巨大なサイコロの中に閉じ込められて暮らすようになる。それでもいつかは外に出してもらえるだろうと思いながら9年が経ち、やがてこんなにも運に見放された自分は死ぬべきではないかと考えるようになった。そんなある日、オーナーの女性と賭けをし、次の人間サイコロで箱自身が勝てば開放、負ければ死ぬという約束を取り付ける。この賭けで騙され、負けたと思い込んだまま餓死させられそうになるが、突如カジノ場に飛行機が墜落して場内の人間が全員死亡。しかし、頑丈なサイコロの中にいた箱だけが無傷で脱出に成功する。以後、自分は最高に強運であると認識を改め、天才ギャンブラーとして生きることになる。このような生い立ちから、精神的に不安定で、強気な時と弱気な時のギャップが激しい。強気な時は段ボールを外し、人を傷つけることをなんとも思わない残忍な振る舞いをする一方で、弱気な時は段ボールをかぶっていても、他人とまともに会話すらできない。

穂村 アイラ (ほむら あいら)

第1回目と第2回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤーの女性。額を見せたストレートロングヘアに炎のような形の髪飾りを付けている。クールで近寄りがたい雰囲気を漂わせている。つねに優雅に振る舞い、己の美を何よりも優先する極端にマイペースな性格の持ち主。本名は「穂村アイラ」で、SNS「リアルアカウント」のユーザー名も含めて、亡くなった双子の姉である「穂村アイリ」を名乗って生活している。これは子供の頃、容姿も人柄も優れたアイリを崇拝する一方で自分の醜さを呪い、自宅が火災に遭ったのを機に焼身自殺しようとしたのも、アイリが自分を助けた末に亡くなったことに起因している。この時に姉妹そろって顔に大やけどを負い、両親がアイラをアイリとカンちがいしたまま、顔の整形手術を受けたことで、アイリと同じ顔を手に入れた。また、これをきっかけに自分の容姿と炎に対して、強い執着と愛情を抱くようになる。第1回目の「リアルアカウント」では向井ユウマたちとあまり接点がなかったが、第2回目の「リアルアカウント」のゲーム「不謹慎ハンター24時」で、ユウマとペアを組むことになったのがきっかけでかかわるようになる。自分と似た過去を持つユウマに同属嫌悪を抱いており、ユウマのことを偽物と呼び忌み嫌っていた。しかし、この態度を不思議に思ったユウマに過去を暴かれたあと、ユウマには本名を教えて少しだけ心を開くようになった。

座黒 ズイ (ざくろ ずい)

インターネット上で活動する電脳教団「ノアウェーブ」の教祖を務める若い男性で、第2回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤー。スキンヘッドに、直接スマートフォンと電子機器を埋め込んでおり、瞳がカメラのレンズのようになっている。ふだんは帽子とフードで頭を覆って、頭の上半分を隠している。丁寧な口調で話すが、時おり不自然な形で語尾に「です」を付け、独特の話し方をする。もともとはベンチャー企業「ノアウェーブ」の代表で、その頃はマッシュショートヘアのふつうの人物だった。しかしある日、社員の一人「瓜田スグル」が、「リアルアカウント」のプレイヤーとなってしまう。ほかの社員たちと座黒ズイのフォロワーとなって応援していたが、敗北を悟ったスグルが、死の直前にズイだけでも守ろうと彼のアカウントをブロックしたことにより、社内で一人だけ生き延びた。また、この時にプレイヤーだった向井ユウマと上條あやめの存在がスグルの敗退の原因になったと認識して一方的に恨むようになる。そこでユウマに復讐を誓い、脳内にスマートフォンを埋め込むことで高い処理能力を得た「人間スマホ」と化す。そして、第2回目の「リアルアカウント」のゲーム「絶対に不謹慎してはいけない不謹慎警察24時」において、ついにユウマと対峙(たいじ)する。

小間 カリン (こま かりん)

第2回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤーの女性。くるくるに巻いたロングウェーブヘアを高い位置でまとめ、サングラスをかけている。派手なギャル風衣装を身にまとっている。子供の頃から異性に人気があるが、自分の魅力に今ひとつピンときていないところがある。しかし学生時代、母親の再婚相手が小間カリンに魅了された挙句に母親を殺害し逮捕されたことで、とうとう自らの美貌を自覚。以後、男性を積極的に惑わせて貢がせては莫大な富を得ている。そのため義父のことなどとうに忘れ去り、自分自身の魅力に気づかせてくれた母親には感謝している。そんなある日、「リアルアカウント」のプレイヤーに選ばれ、座黒ズイに近づくことでゲームを乗り切ろうとする。しかしズイから、本当は義父を激しく憎んでおり、母親の復讐をするために男性たちを手足のように扱って生きているのも、義父への復讐の代替行為なのではないかと指摘される。この言葉に自らの本当の気持ちを自覚するものの、ズイからすでに義父は死亡していることを知らされ、人生の目的を見失う。以後はそんな自分を導いてくれるズイを信奉するようになり、ズイが向井ユウマに敗北したあとは、彼の脳にあったスマートフォンを受け継いでユウマに挑む。

パルくん

非常に高い知能を持つオスのポメラニアン。人語を理解する。「リアルアカウント社」の会長を務める傍ら、この素性を隠して芸能活動をしている。幼い頃、身寄りのない母親と共に保健所に引き取られ、パルくんだけが人間の若い男性に飼われることになる。飼い主となった男性を「ご主人」と呼び慕い、高い知能を活かして動画投稿サイト「ミューチューブ」に動画を投稿し、一躍人気の犬となった。しかしある日、飼い主が裏では動物を虐待して殺害する動画投稿をしていることを知り、母親もまた彼の被害に遭って亡くなった1匹であることを知ってしまう。この一件から人間を醜い生き物であると認識し、激しく憎むようになる。そこで飼い主のスキをついて彼を殺害した現場を、偶然タレントとして勧誘にやって来たリアルアカウント社の社長に目撃され、彼の計画を聞いて入社を決意した。第2回目の「リアルアカウント」ではプレイヤーのふりをして参加し、ゲーム「匿名教室」では「会長マーブル」として向井ユウマたちを苦しめる。ふだんはかわいらしく愛嬌のある犬として振る舞っているが、人間への憎悪は根深い。しかし、お人好しで情に厚い上條あやめと接するうち心境の変化が訪れ、あやめに対してだけは好意的に接している。

柏木 ユリ (かしわぎ ゆり)

中学3年生の女子。向井ユウマと柏木アタルの妹。黒髪のショートボブヘアで、かわいらしい顔立ちをしている。赤の他人である神田こよりとそっくりの容姿をしているが、のちにこよりは「CAP(コピーアンドペースト)技術」によって作られた柏木ユリ自身のコピーであることを知る。明るく心優しい性格で、ユウマとアタルを慕っている。中学3年生の4月25日までは、ユウマが実は生きていること、こよりは自らのコピーであること、一連の事件を引き起こしたのは父親の柏木シンであることを知らず、アタルと二人暮らしをしていた。しかし、アタルが「リアルアカウント」の世界に吸い込まれたことにより、家族の秘密を知ることとなる。実はゲーム「黒歴史裁判」以前から、現在のアタルはユウマが成り代わった存在だと気づいていた。それでもこのことを言い出せずにいたが、「黒歴史裁判」でアタルがこれを認めたことで、より絆は深まった。一方で、アタルを通じて知り合ったこよりが自分のコピーであることを知ってからは、二人が恋仲になるのに否定的で、二人が結ばれることを防ぐため、実はこよりもまたきょうだいの一人であるという事実をアタルとこよりに告げる。誕生日は5月6日。

神田 こより (かんだ こより)

第1回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤーで、中学3年生の少女。黒髪のショートボブヘアで、かわいらしい顔立ちをしている。柏木ユリと瓜二つの容姿をしている。しかし、一人称が「ボク」であることや服装などから、ユリよりもボーイッシュな印象を与える。明るく生真面目な性格で、気になったことはなんでもメモに取る「メモ魔」である。大の猫好きで、リアルアカウント上の自分のつぶやきは、ほとんどが猫に関することや猫の写真ばかり。柏木アタルとはゲーム「ノーアンサー」で知り合い、アタルの人柄に惹かれて仲間になる。アタルと行動を共にするうちに恋仲になっていくが、ゲーム中に精神的に深いショックを受けたことで人格が豹変し、乱暴で攻撃的な性格になってしまう。その後、さらにショックを受けたことで2度目の人格豹変が起き、強い殺人衝動を抱くようになる。特にリアルアカウント社の地下を抜け出し、地上に戻ってから知り合ったユリをいつ殺してもおかしくない状況となり、アタルによってやむを得ず殺害された。実は「CAP(コピーアンドペースト)技術」によって誕生したユリのコピーである。そのため、アタルと向井ユウマの妹で、ユリにとっては双子の姉妹といえる存在。また人格豹変と殺人衝動は、コピーされて生まれた者の特有の疾患でもある。そして殺人衝動は、自分のコピー元に強く向くため、ユリを殺害しようとしたのもこのためだった。誕生日は5月6日。

星名 アイジ (ほしな あいじ)

第1回目、第2回目の「リアルアカウント」ゲームに参加したプレイヤーで、中学生の少年。ふんわりとしたショートヘアで、小柄な体型の中性的でかわいらしい顔立ちをしている。ふだんはかおとなしそうな泣き虫の少年を演じているが、実際は残忍で自分の快楽のためなら他人がどうなろうと構わないと考えている自分勝手な性格の持ち主。その残虐な本性を現すと一人称が「僕」から「俺」に変わる。自分の命に危険が及ぶ、ギリギリの状況に快楽を覚えるマゾヒストで、ゲーム中もわざと失敗しそうな状況に身を置いては驚喜する狂気的な一面を持つ。同時に人を痛めつけ、苦しむ姿を見ては喜ぶサディストの側面もあり、ほかのプレイヤーを意味もなく攻撃したり、秘密を暴いたりして楽しむこともある。柏木アタルとは第1回目の「リアルアカウント」のゲーム「黒歴史裁判」で出会い、敗北。これによってアタルを激しく憎むようになるが、その一方で自分を満足させられるのはアタルであると執着し、行動を共にするようになる。その過程で「椎葉サヤカ」とも協力関係になり、第2回目の「リアルアカウント」ではいっしょに行動している。しかし、サヤカよりも自分の快楽を優先するため、サヤカを平気で身の危険にさらすこともある。

マーブル

「リアルアカウント」における、命を懸けたゲームの進行・運営を行う謎の人物。真っ白な球体に金色の王冠のような角を3本生やし、簡素な顔のイラストが描かれたマスクをかぶっている。このマスクをかぶっていればマーブルであると認識されるため、マーブルは複数おり、さまざまな場所に同時に何体ものマーブルが出現することもある。また、男性のマーブルも女性のマーブルも存在するが、声はボイスチェンジャーを使ったような声であるため、主に体型で性別が判断される。もともとは「リアルアカウント」を象徴するマスコットキャラクターだったが、4月25日から行われた1回目の「リアルアカウント」から、マーブルのイラストを模したマスクをかぶった人物のことも、「マーブル」と呼ばれるようになった。1回目の「リアルアカウント」では、主に1体のみがゲームの進行を務めていた。しかし、半年後の2回目の「リアルアカウント」では「真・マーブル」と名乗るマーブルが、マーブルとリアルアカウント社の頂点として向井ユウマたちに立ちふさがり、ゲームごとに「会長マーブル」「広報室長マーブル」などといった、違う個体のマーブルが登場した。これらは、かつてリアルアカウント社が表向きふつうの企業であった頃、実際に社内でその役職を務めていた人物が担当している。真・マーブルの正体は、ユウマ、柏木アタル、柏木ユリ、神田こよりの父親である柏木シンである。またゲーム「既読スルー撲滅作戦」中はプレイヤーとして参加しており、その時は「網原アルク」と名乗っていた。

クレジット

原作

オクショウ

書誌情報

リアルアカウント 24巻 講談社〈講談社コミックス〉

第3巻

(2015-03-17発行、 978-4063953565)

第4巻

(2015-05-15発行、 978-4063954029)

第5巻

(2015-07-17発行、 978-4063954418)

第6巻

(2015-10-16発行、 978-4063954821)

第7巻

(2016-01-15発行、 978-4063955651)

第8巻

(2016-03-17発行、 978-4063956177)

第9巻

(2016-05-17発行、 978-4063956702)

第10巻

(2016-07-15発行、 978-4063957112)

第11巻

(2016-09-16発行、 978-4063957648)

第12巻

(2016-11-17発行、 978-4063958027)

第13巻

(2017-02-17発行、 978-4063958508)

第14巻

(2017-04-17発行、 978-4063959185)

第15巻

(2017-06-16発行、 978-4063959598)

第16巻

(2017-08-17発行、 978-4065101124)

第17巻

(2017-11-17発行、 978-4065102084)

第18巻

(2018-01-17発行、 978-4065107560)

第19巻

(2018-04-17発行、 978-4065110591)

第20巻

(2018-06-15発行、 978-4065115817)

第21巻

(2018-09-07発行、 978-4065122327)

第22巻

(2019-01-09発行、 978-4065138687)

第23巻

(2019-06-07発行、 978-4065153017)

第24巻

(2019-12-09発行、 978-4065175422)

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