美少女たちの生存を懸けた恋愛デスゲーム
ハーレムの妄想を膨らませた冴(さ)えない少年、翌檜はある日、悪魔のゼパフルが封印されていた壺を拾う。ゼパフルは解放してくれたお礼として、翌檜を主人公にした「ラブラブハーレムゲーム」を彼にプレゼントする。しかしそのゲームは、翌檜が好意を抱く美少女たちを地獄に落とすリスクを伴う危険なデスゲームだった。ゲームの詳細を知らされていない翌檜をよそに、参加者のセリカをはじめとする美少女たちの緊張感あふれる頭脳戦が、ラブコメディやサバイバルサスペンスを交えて展開される。序盤は翌檜の視点で物語が進行するが、中盤からはヒロインたちの視点で進むエピソードも増えるため、群像劇の要素も楽しめる。
デスゲームに巻き込まれたヒロインたち
「ラブラブハーレムゲーム」とは、主人公の翌檜が創作した恋愛小説をもとにゼパフルが作り出した、恐怖のデスゲームだった。参加者として選ばれたのは、いずれも翌檜と同じ学園に通っており、彼が「マイハーレムメモリー」と名付けたノートに綴っていた妄想小説に登場する美少女たち。参加者は「恋愛対象者(ヒロイン)」と呼ばれ、クラス一の才女、セリカ、クラス一の人気者、帯刀沙綾、年下のロリ娘、夢塚梨流、巨乳ハーフ美少女のヘザー・東雲の四名でスタートした。恋愛対象者は翌檜を喜ばせたり、ときめかせたりする恋愛ミッションをこなし、各々に配られたポイント「ハート」を守り抜く必要がある。そしてハートをなくした者は、地獄に落され無限の苦しみを味わうことになる。
五人目の「恋愛対象者」が立ちはだかる
「恋愛対象者」の一人であるセリカは、ほかの恋愛対象者と争うのではなく協力してデスゲームを乗り越える道を選び、三人の少女たちに協定を提案。そして、四人で「アスナロ親衛隊」を結成してゲーム序盤を乗り越えるものの、実は五人目の恋愛対象者が当初から参加しており、影武者を用意したうえで暗躍していた事実を知る。五人目の正体が生徒会長の翠玉院レンだと突き止めるが、レンは共闘するのではなくほかの恋愛対象者を犠牲にしてでも生き残ろうと目論んでいた。セリカはアスナロ親衛隊のメンバー全員で生き残るという目標を掲げ、「ラブラブハーレムゲーム」のルールを逆手に取って反撃を開始する。本作の一番の見どころは、単純に見えて緻密に練られたデスゲームのルールや、美少女たちの命が懸かった緊張感のある頭脳戦となっている。また、当初は高校がメインだった舞台は、「第三のゲーム」の開始と共に孤島へと移り、生存を懸けた戦いはますます激しさを増していく。
登場人物・キャラクター
小日向 翌檜 (こひなた あすなろ)
とある高校に通う2年生の男子。ライトノベルや美少女ゲームが大好き。セリカのクラスメイト。同じ学園に通うクラス一の才女であるセリカたちへの妄想をもとに、「マイハーレムメモリー」と名付けた恋愛小説をノートに書き続けていた。偶然拾った壺からゼパフルを解放したことで彼女に感謝され、お礼として「ラブラブハーレムゲーム」の主人公に選ばれる。表向きはふつうの女の子とふつうの恋愛をする恋愛ゲームのため、彼女たちの命が懸かったデスゲームだとは知らなかった。自らの特殊能力「情熱ハートの自己欺瞞(ぎまん)」で意識を妄想の世界に逃避させることができる。
ゼパフル
小さな壺に封印されていた悪魔の少女。一人称は「妾(わらわ)」。基本的には赤毛の少女の姿をしているが、大人の美女やウサギのようなマスコットにも化けられる。封印を解いてくれた翌檜へのお礼として、翌檜の願いを叶(かな)えるため「ラブラブハーレムゲーム」と称したデスゲームを開催する。翌檜の周囲の美少女たちをさまざまなトラブルに巻き込んでいく。
古和田 セリカ (ふるわだ せりか)
翌檜と同じ高校に通う2年生の女子。翌檜のクラスメイト。「ラブラブハーレムゲーム」に参加させられた「恋愛対象者」の一人。黒髪のロングヘアで、無口でクールな雰囲気を漂わせた美少女。またクラス一の才女で、抜群の記憶力を誇る。優れた判断力と思考力を活かしてほかの参加者との殺し合いを避け、「アスナロ親衛隊」を結成して全員で生き残る道を選ぶ。
その他キーワード
ラブラブハーレムゲーム
男女の恋愛を司(つかさど)る悪魔のゼパフルが開催したゲーム。翌檜を巡る美少女たちのハーレムバトルで、プレイヤーとなった五人の少女たちは「恋愛対象者(ヒロイン)」と呼ばれている。恋愛対象者にはハートというポイントが2個ずつ配られ、翌檜との恋愛ミッションをクリアすることでハートを維持したり、ほかの恋愛対象者とハートを奪い合ったりすることでゲームが進行する。ゼパフルが決めた基礎ルールとして「ラブラブハーレムゲーム十三のやくそく」が定められている。
クレジット
- 原作
書誌情報
恋愛ハーレムゲーム終了のお知らせがくる頃に 全4巻 講談社〈シリウスKC〉
第1巻
(2017-04-07発行、 978-4063906905)
第4巻
(2019-03-08発行、 978-4065147580)