世界観
本作『リトルバスターズ! Last of Refrain』は『リトルバスターズ! End of Refrain』の続編にあたるが、前作の終わり方とは異なる新たな結末から物語が描かれている。ほかにも作中で起きたはずの出来事が次の話ではなかったものとして物語が進むなど、本作では展開が進むにつれて徐々に非日常的な出来事が起こるようになっていく。本作の世界は、実は大きな秘密を抱えている。直枝理樹と棗鈴が、その秘密を乗り越えられる「強さ」を手に入れ、人間として成長できたかが物語の大きなテーマであり、世界の謎を解く鍵となっている。
あらすじ
第1巻
直枝理樹らリトルバスターズは、各部活のキャプテン達が集うドリームチームとの野球対決に勝利を収めた。これに伴い、メンバー集めの段階から奮闘した理樹と棗鈴は、精神的な成長を遂げていた。そんなある日、理樹の靴箱にラブレターが入っていた。差出人はクラスメイトながらあまりかかわりを持った事のない少女・杉並睦美だった。放課後になり、ラブレターに書かれた指定の場所へ赴くと、果たしてそこにいた睦美からラブレターが友人による悪戯だったと知らされる。だが、ラブレターに書かれた思いは本物だと告げられた理樹は混乱し、答えるための時間がほしいと告げる。寮へと帰った理樹は話を聞いていた井ノ原真人によって棗恭介や鈴、宮沢謙吾に告白の件をばらされてしまう。話を聞いた鈴が立ち去る中、理樹は恭介から昔、鈴が上級生に告白され困っていた事を告げられる。翌日、中庭で二人きりになった鈴に、理樹は告白された時の話を尋ねる。正直引いた、と答える鈴だったが、2階の教室に睦美の姿を見つけると、いきなり理樹に対して自分達が付き合おうと告げるのだった。
第2巻
交換留学先で、心身共に追い詰められた棗鈴を放っておく事ができなかった直枝理樹は、鈴を連れて鈴の祖父の家へと逃げ出す。しかし、たどり着いた家は無人で、鈴の祖父は不在だった。こうして理樹と鈴は、なし崩し的に二人暮らしを始める事となった。当面は理樹の所持金で凌げるだろうと楽観視していた二人だったが、理樹の通帳は後見人の手によって停止されてしまう。日銭を稼ぐために働きに出る理樹だったが、持病のナルコレプシーのせいでそれもおぼつかず、仕方なく魚を釣ったりしながら日々を凌いでいた。そんな中、二人は鈴の祖父がすでに故人である事を知る。そしてその夜、二人が暮らす家に、鈴を捜索していた警察官が現れる。理樹は、ここで鈴を助けなければ二度と手の届かない場所へ行ってしまうと直感するものの、運悪く起こった持病の発作により眠りに落ちてしまう。その後、鈴のいない学校へ戻った理樹は、彼女を守れない自分の弱さに絶望を深めるのだった。
掲載情報
本作『リトルバスターズ! Last of Refrain』は、「電撃G'sコミック」での連載に先がけてコミックス第1巻が発売された。その後、「電撃G'sコミック」2016年11月号にコミックス収録の第1話が、翌12月号に第6話が掲載され、その後2017年4月号掲載の第7話から、隔月で連載されるようになった。そのため第2話から第5話までは雑誌掲載されていないという、特殊な経緯をたどっている。
登場人物・キャラクター
直枝 理樹 (なおえ りき)
高校生の男子で、2年E組に在籍している。突発的に眠りに落ちてしまう、「ナルコレプシー」という持病を抱えている。リトルバスターズの最古参メンバーの一人で、同じくメンバーの棗鈴や棗恭介、井ノ原真人や宮沢謙吾とは幼なじみの関係にある。特にリーダー格である恭介の事を強く慕っており、困難に直面するたびに頼っていた。 だが、新たに野球グループとして再結成されたリトルバスターズの活動を通して成長し、そうした精神面の弱さを克服して、徐々に自立し始めている。クラスメイトの杉並睦美に告白された事をきっかけに、幼なじみの鈴と付き合うようになる。
棗 鈴 (なつめ りん)
高校生の女子で、2年E組に在籍している。棗恭介の妹で、直枝理樹とは幼なじみにしてクラスメイト。また、リトルバスターズの最古参メンバーの一人でもある。長髪を頭の後ろで結んだポニーテールの髪型をしている。人見知りで臆病な性格をしており、リトルバスターズのメンバー以外とは、まともに顔を合わせる事もできない。 だが、新たに野球グループとして再結成されたリトルバスターズの活動を通し、新しい友人を増やしていく中で、徐々にではあるが克服し始めている。理樹とは友人のような関係だったが、杉並睦美が理樹に告白した出来事をきっかけに恋人関係になった。その一方で精神的な成長が追いついておらず、恋愛感情やその機微を理解していない面が多々ある。 リトルバスターズのメンバーの中では、特に神北小鞠と親しい。
棗 恭介 (なつめ きょうすけ)
棗鈴の兄。直枝理樹らと同じ高校に通う3年生の男子学生で、理樹の幼なじみでもある。幼い頃に幼なじみを集めて「リトルバスターズ」を結成した人物で、高校に入ってから新たに野球をするための集まりとして再結成した。リトルバスターズの兄貴分として、みんなから頼られる人柄である一方で、少年のような子供っぽさを残した性格をしている。 鈴と理樹の事を大切に思っており、二人の成長のために厳しい一面を見せる事もある。
井ノ原 真人 (いのはら まさと)
直枝理樹の幼なじみの一人で、初期のリトルバスターズのメンバーである男子高校生。また、理樹のルームメイトでもあり、同じ2年E組に通うクラスメイトでもある。つねに筋肉を鍛えており、筋肉に固執する独特の感性を持つ。「天然」な言動と思考の持ち主で、その心根の素直さから理樹のよき友人となっている。同じリトルバスターズのメンバーで、幼なじみでもある宮沢謙吾をライバル視しており、事あるごとに張り合っている。
宮沢 謙吾 (みやざわ けんご)
直枝理樹の幼なじみの一人で、初期のリトルバスターズのメンバーである男子高校生。理樹と同じ2年E組に在籍するクラスメイトでもある。実家が剣道道場を営んでおり、幼い頃から自身も剣道に打ち込んできた。そのため、剣道以外の遊びや趣味といったものを抑圧する生活を続けており、傍目からするとクールな性格に見える。しかし、理樹をはじめとしたリトルバスターズの面々と遊んでいる時には、時おり抑えつけられた素の性格が垣間見える。 幼なじみの一人である井ノ原真人にライバル視されており、事あるごとに競い合っている。また、同じく2年生である佐々美から思いを寄せられ猛烈なアプローチを日常的に繰り返されているが、意識的に答えを出すのを避け続けている。
神北 小鞠 (かみきた こまり)
リトルバスターズのメンバーで、棗鈴の親友である少女。鈴や直枝理樹と同じ高校の2年E組に在籍するクラスメイトでもある。ショートヘアを頭の両サイドで短くまとめ、ツーテールの髪型にしている。得意科目は英語で、童話を愛好している。またお菓子好きで、いつも何かしらのお菓子を持ち歩いている。
能美 クドリャフカ (のうみ くどりゃふか)
リトルバスターズのメンバーである高校生の少女。棗鈴や直枝理樹と同じ高校の2年E組に在籍するクラスメイトでもある。大きな帽子に白いマントを羽織った服装が特徴的なクォーターの少女で、ロシア人の血を引いているが英語は大の苦手。小さな身長と相まって、リトルバスターズではマスコット的な存在としてかわいがられている。
西園 美魚 (にしぞの みお)
リトルバスターズのメンバーである高校生の少女。棗鈴や直枝理樹と同じ2年E組に在籍するクラスメイトでもある。ショートヘアにヘアバンドを付け、つねに日傘を持ち歩くのが、トレードマークのひとつとなっている。読書好きで運動は苦手。そのため、リトルバスターズにはマネージャーとして参加している。
来ヶ谷 唯湖 (くるがや ゆいこ)
リトルバスターズのメンバーである高校生の少女。棗恭介と同じく3年生で、腰丈ほどの黒い長髪に、グラマラスな体型をしている。また明晰な頭脳と類まれな運動神経の持ち主でもあり、リトルバスターズの姉御的な存在としてみんなから頼られる一方、畏れられてもいる。
三枝 葉留佳 (さいぐさ はるか)
リトルバスターズのメンバーである高校生の少女。直枝理樹らとは同学年の2年生だが別のクラスに在籍している。頭の左側に長髪を2本まとめた独特なサイドテールにしており、大きな丸い玉が二つ付いた髪飾りでまとめ上げている。悪戯好きな性格をしたトラブルメーカーではあるが、同時にそのお気楽な性格からリトルバスターズのムードメーカー的な存在。 同じ高校に通う双子の姉がいる。
佐々美 (ささみ)
棗鈴を敵対視する高校生の少女。高飛車な性格で、語尾に「ですの」と付けた、いわゆるお嬢様口調の特徴的な話し方をする。腰丈ほどの長髪に加え、頭の両横で髪をまとめたツインテールの髪型をしている。いつも多くの取り巻きを連れて歩いており、鈴を見つけては因縁をつけている。一方で宮沢謙吾に思いを寄せており、日夜激しいアプローチをかけているが袖にされ続けている。
杉並 睦美 (すぎなみ むつみ)
高校生の少女で、直枝理樹と同じ2年E組に在籍している。隠れて理樹の事を慕っていたところ、それを知った友人の悪戯によってラブレターを理樹の靴箱へ入れられてしまう。放課後の教室でそうとは知らずに一人で佇んでいたところ、ラブレターで呼び出された理樹が現れ真相を知るが、なし崩し的に告白した。それまでほとんど接点もない関係だった事を理由に返答は延期されるが、この出来事をきっかけに理樹が棗鈴と交際を始めたため断られている。 報告に来た理樹と鈴に対して、失恋した直後ながらも自分の告白がきっかけになったなら嬉しいと告げる優しい性格の持ち主。
レノン
真っ白な猫で、直枝理樹と棗鈴のもとへ誰かからの手紙を届けにたびたび現れる。手紙には、内容を受け取った時点ではまだ起こっていない事件を解決するよう指示するなど、未来を予知したかのような指令が書かれている。また、中には理樹と鈴の素性を知らなければ書けないような内容も多い。
集団・組織
リトルバスターズ
かつて、棗恭介がリーダーとなって作られた友人グループ。直枝理樹や恭介の妹である棗鈴、井ノ原真人、宮沢謙吾らがメンバーだった。最近、野球グループとして恭介の手によって再結成された。その際にはかつてのメンバーに加え神北小鞠や能美クドリャフカといった新しいメンバーが加わっている。
クレジット
- 原作
-
Key
- 協力
-
Team Little Busters!