概要・あらすじ
水谷茜は入学したての中学1年生。中学生になって、様々なことに違和感を感じ始めている。彼女は、生まれて育った町や、自分をとりまく世界や道や生活が、窮屈に思えて仕方ないのだ。「恋愛に興味のないことは変なのか」「女が体を動かしたいことは変なのか」「卑劣行為を無視しないことは変なのか」「姉に劣ることは変なのか」など、様々な思いが交錯し、自問自答を続ける茜。
そんな中、彼女は、クラスメイトの月野透の存在を知る。暗闇でも光ることを忘れない宝石のような目を持つ月野は、クラスの誰とも馴染もうとせず、不思議な言動を繰り返す男の子だった。ある時、茜は、悪ぶったグループに校舎裏に連れて行かれた月野を目撃する。義憤にかられた彼女は、彼らの中に割って入るが、この時、彼女が飛び後ろ回し蹴りでジュースのパックを蹴り飛ばすと、パックは一直線にゴミ箱に吸い込まれた。
その夜、気持ちの整理のつかないことが続いた茜は家を飛び出すが、人気のない学校で、校庭に16個の机を並べてバケツ3個分のボールをぶちまけ、超能力の特訓をしている月野と遭遇する。昼間、茜が蹴ったパックが一直線にゴミ箱に吸い込まれたのは、彼女が月野の超能力を引き出した結果だ主張する月野は、茜に超能力の特訓に付き合ってほしいと頼み込む。
その頼みを受け入れた茜は、毎週月曜日の夜、月野と校庭で会うことになり、超能力を身につける特訓をしたり、無駄話をしたり、野球やかけっこをして、お互いの距離を縮めていく。
登場人物・キャラクター
水谷 茜 (みずたに あかね)
中学校1年生の女の子。恋愛に興味がなく、クラスメイトに誰よりも少年っぽいと評される。第三小学校出身。小柄で元気で、運動神経もよいが、団体競技が嫌い。中学に入ってから、自分が周りに比べて子供であることに気づき、色々なことを窮屈に感じ始めている。立派な優等生の姉がいるが、彼女と比較されることを嫌っている。夢は空を飛ぶことで、いつかUFOに乗ってみたいと思っている。 そんな水谷茜だが、クラスの誰とも交わろうとしない月野透と出会い、彼と毎週月曜日、夜の校庭で会う約束を交わしてしまう。ふたりはそこで、超能力を身につける特訓をしたり、無駄話をしたり、野球やかけっこをして過ごし、お互いの距離を縮めていく。
月野 透 (つきの とおる)
水谷茜のクラスメイトの男子。小さくて白い、女の子と間違われるような外観。茜いわく、「暗闇でも光ることを忘れない宝石のような瞳」の持ち主。第二小学校出身。クラスに友達はおらず、誰ともコミュニケーションをとらずに過ごしている。一方で、同じ第二小学校出身の火木とそのグループには、幼稚ないやがらせを受けているが、それも適当に受け流している。 自分には超能力があり、それを引き出す存在が茜であると主張し、彼女と毎週月曜日の夜、中学校の校庭で会う約束をする。
土森 (つちもり)
水谷茜のクラスメイトの女の子。茜とは第三小学校からの付き合いで、何かと彼女の世話を焼く。テニス部所属。将来の夢は特にないが、医者のように、人を助ける仕事がしたいと考えている、極めてまっとうな少女。塾に通うなど、そのための努力も欠かさない。
火木 (ひき)
水谷茜のクラスメイトの女子。第二小学校出身。兄貴が町でも有名な怖い存在らしく、その威光を利用して、柄の悪い男子たちを舎弟扱いしている。月野透によくからみ、幼稚ないやがらせを続けている。いつもキャップをかぶっている。
水谷 茜の姉 (みずたに あかねのあね)
水谷茜の姉。高校1年生。立派な優等生で、中学ではバレーボール部のキャプテンを務め、部を全国大会に導いている。成績優秀で、生徒会もやっていた。バレーと勉強の両立のため、下宿して県外の名門校に通っている。茜はこの姉と比べられることを嫌っている。毎週月曜日、家に帰ってくるが、姉のことを苦手としている茜は、彼女と素直に接することができなくて苛立っている。
金石
水谷茜の中学の先輩男子。3年生で、テニス部所属。「目を見ればその人の心がわかる」と主張。茜の目を見て、「大きな悩みを抱えている。恋とか?」と言ったあげく、「ラッキーアイテムはラケット。テニス部でスポーツに友情に恋に青春にと楽しんじゃおうぜ」とテニス部に勧誘した。まったく同じ言葉で、土森も勧誘していた過去がある。
集団・組織
テニス部 (てにすぶ)
団体競技が嫌いな水谷茜が入ろうとした運動部。ゆるい活動のしたい部員が集まっている。部員も少なく、顧問もやる気なし。学校のグランドが狭いので、週3回しか練習しない。練習のない日は、文化室に秘密の鍵を使って忍び込み、皆おしゃべりをしている。土森や金石先輩が所属している運動部。
場所
第二小学校 (だいにしょうがっこう)
月野透、火木が卒業した小学校。月野は、この小学校では、「奇妙な大ウソをつく」「奇天烈な自転車に乗っている」「夜の町を徘徊している」「いやがる下級生を強引に連れまわしている」などと噂されていた。
第三小学校 (だいさんしょうがっこう)
水谷茜、土森らが卒業した小学校。中学生となって年相応に落ち着いている土森も、茜によれば、小学生の頃は「あたいは魔法使いだ!」と言って運動場を駆け回っていたとのこと。