ルート225

ルート225

いつもとはほんの少しだけ違う世界に迷い込んだ中学生の姉弟が、もといた世界に戻ろうと行動する中で、当たり前の日常がかけがえのないものだったことに気づいていく。藤野千夜の小説『ルート225』を原作とした作品。「月刊少年シリウス」2007年3月号から2008年3月号にかけて不定期に掲載された。

正式名称
ルート225
ふりがな
るーとにひゃくにじゅうご
漫画
原作
ジャンル
ファンタジー
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概要・あらすじ

中学2年生の田中エリ子とその弟の田中ダイゴはともに、いろいろなことが上手くいっていなかった。そんなある日、エリ子はダイゴの帰りが遅いことを心配したママから、傘を持って迎えに行くように頼まれる。ダイゴは近所の児童公園にいたが、制服のシャツには落書きがされていた。ダイゴをなだめて、家に帰ろうと歩き出す2人は、見慣れていたはずの道から、なぜかあるはずのない海に出てしまう。

茫然と立ち尽くす2人の前に、ダイゴと同じクラスだったクマノイという少女が姿を現す。挨拶を交わしていたエリ子の手を引き、ダイゴはその場から足早に立ち去ろうとする。その失礼な態度を注意するエリ子に対し、ダイゴは彼女は小学校5年の時に死んだことを告げる。

登場人物・キャラクター

田中 エリ子 (たなか えりこ)

田中ダイゴの姉で、中学2年生の女子。表情豊かで、元気いっぱいの声が大きい少女。黒髪をツインテールの髪型にしている。ダイゴには何かときつい口調で接するが、内心では自身と違う学校に通っている弟が虐められているのではないかと、彼女なりに心配している。

田中 ダイゴ (たなか だいご)

田中エリ子の弟で、中学1年生の男子。男子校に通っている。口調が穏やかで、おっとりした控えめな性格。そのおとなしめな性格から、学校ではシャツに油性ペンで落書きされるなど、いじめに近い弄られ方をされている。

松本 (まつもと)

中学2年生の男子。商店街の金物屋の息子で、田中エリ子の暮らす家の近所に住んでおり、エリ子と小学校で同じクラスだった。面倒見が良く親切な性格。エリ子の両親が帰って来ないことを知り、使えそうなものを調達してきたりする細かい気配りで、2人がもとの世界に戻るために協力している。周囲には苗字をもじった「マッチョ」のあだ名で呼ばれている。 少しふくよかな体形をしているため、自分の体形とそぐわないこのあだ名を嫌っている。

パパ

田中エリ子の父親で、表情の豊かな壮年の男性。エリ子が受験勉強をしている時に、団欒という漢字を書けるか、と紙に書いて自慢したが、エリ子に疎んじられて目の前で破り捨てられてしまった。そのことで傷ついて、それまで繰り返していた漢字自慢を止めてしまった。

ママ

田中エリ子の母親で、ショートヘアの中年の女性。せっかちな性格のため、彼女が作るシチューはクリーミーさが足りず、あまり美味しくない。かつて、息子の田中ダイゴが自転車を盗んで補導されたことを気に病み、ダイゴの将来を案じている。

クマノイ

中学1年生の女子で、胸あたりまでの長さの緩いウェーブのかかった髪をしている。礼儀正しく、朗らかな性格。田中エリ子と田中ダイゴがもともといた「Aの世界」ではダイゴの同級生だったが、小学校5年の冬に病死している。犬のトゥインキーを散歩させていたところ、「Bの世界」に迷い込んだエリ子とダイゴに出会った。

トゥインキ―

クマノイの飼い犬。犬種はヨークシャー・テリアで、頭にリボンを付けている。「Bの世界」で、クマノイに抱かれて散歩していたところで田中エリ子と田中ダイゴに出会った。エリ子とダイゴがもともといた「Aの世界」では、存在するかどうか不明。「A'の世界」では、エリ子がリードを離した結果、事故に遭って亡くなっている。

蛯塚 (えびづか)

田中ダイゴの同級生で、中学生の男子。ダイゴの制服の背中に、油性ペンで大きく落書きをした少年。田中エリ子に、落書きについてきちんとダイゴに謝るように迫られ、言われるままにとりあえず頭だけ下げた。自身の行為に対してまったく悪びれるところのない、嫌みな性格の持ち主。

おじ

田中エリ子のおじ。眼鏡をかけた表情の乏しい壮年男性。言葉数が少なく、淡々と事実のみを口にするため、田中エリ子はこのおじに強い苦手意識を抱いている。喫煙者。

おば

田中エリ子のおば。痩せて髪を1つに束ねた中年女性。面倒見が良く、気配りできる性格。急に連絡のつかなくなったパパ、ママに代わって、田中エリ子と田中ダイゴの面倒を見るために、時々姉弟のもとに泊まりに来ている。夫であるおじが、まだ中学生のエリ子とダイゴにきつい物言いをするのを諫めることもある。

大久保 (おおくぼ)

田中エリ子のクラスメイトで、中学2年生の女子。髪型はポニーテールで、顔にそばかすがある。1学期中はエリ子と仲が良かったが、2学期になると、その仲がギクシャクしてしまった。無神経な物の言い方をするが、悪気があってしている訳でないことを周囲も理解している。

ミカワ

田中エリ子のクラスメイトで、中学2年生の女子。毛先を肩につくくらいの長さで切りそろえている。黙っていると美人なので、エリ子にはモテそうだと思われている。やおいマニアで、怪しいタイトルの本を堂々と読んでいるため、周囲の人からは変わった人と思われている。

場所

Aの世界

田中エリ子と田中ダイゴがもといた世界。パパとママが健在で、エリ子と親友だった大久保とは仲がギクシャクしており、ダイゴの小学校5年時の同級生だったクマノイは病死している。

Bの世界

田中エリ子と田中ダイゴが迷い込んだ世界。いつも通い慣れた家路を辿って行くと、途中で小洒落たマンションエリアがあり、そこを越えると国道に出るはずが「Bの世界」では「海」が広がっている。エリ子たちが、道行く人に町名や最寄り駅を尋ねてみても、皆に「分からない」と答えられる。

A'の世界

田中エリ子と田中ダイゴが迷い込んだ世界。「Aの世界」そのもので、2人の自宅もある。だが、「Aの世界」でママが作っていた夕食のシチューとサラダだけを残し、ママもパパも行方不明になってしまっている。また、「Aの世界」では仲違い中のはずの大久保はエリ子と親友のまま。ダイゴの小学5年の時の同級生だったクマノイは生きていて、エリ子の後輩として同じ学校に通っている。 死んだはずの松本の祖父も健在。

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