ロックンロールへの情熱と仲間との絆
音楽を心から愛する幸丸は、中学校の卒業式を迎えようとしていた。クラスメイトに将来の夢を尋ねられた幸丸は、「死ぬまでロックンロールバンドをやる」と即答する。しかし、共にバンド活動をしてきた仲間たちは「バンドに人生をかけることはできない」と解散を告げられる。それでも幸丸は、仲間たちに笑顔で感謝の気持ちを伝え、受験に失敗して落ち込む金子や、家族の不幸で神経質になっていた佐々木など、将来に不安を抱える同級生たちのために、卒業式でバンド演奏を披露し、彼らの閉ざされた心を解き放った。その後、幸丸は館島私立海徳高校に進学し、クラスメイトの新川星司が大切にしていたギターを捨てようとする場面に遭遇する。星司は、あこがれていたバンドマンに裏切られたと感じ、幸丸にも厳しい言葉を投げかける。しかし幸丸は、星司が捨てたギターを拾い上げ、彼の目の前で情熱的な演奏を始める。その演奏に心を動かされた星司は幸丸を理解し、やがて幸丸は自分と同じ志を持つバンド仲間を集める決意を固める。
幸丸のもとに集うバンド仲間たち
幸丸は本格的にバンド活動を始める決意を固め、星司のアドバイスを受けて、負けず嫌いな同級生の境一勝をボーカルに迎え入れた。さらに、かつて有名バンド「パイロッツ」で活躍していた英語教師の寺田球をドラムのサポートメンバーとして加えた。そして、陽気な性格でバンド活動をナンパに例える少年・加賀見軽がベースとして参加することになった。幸丸たちは、自分たちのバンド名を「ラストアス」に決め、日本一のバンドを決める音楽コンテスト「エルビス・ミュージック・バウト」の地区予選を突破するなど、着実に実績を積み重ねていく。しかし、その矢先に球が教師の本業で多忙になり、ドラムの正式メンバーを探す必要にせまられる。そんな中、幸丸はかつて名を馳せたドラマーの寿海長生と出会う。幸丸は長生をラストアスの正式なドラマーとして迎え入れようとするが、球と軽は、長生が過去にバンド仲間との悲しい別れを経験していることを知り、彼をロックンロールの世界に呼び戻すことに反対する。それでも幸丸はあきらめきれず、長生を正式なドラマーとして迎え入れるため、懸命に働きかけるのだった。
さまざまなバンドとの出会いと対立
幸丸たち「ラストアス」のメンバーは、「エルビス・ミュージック・バウト」などのコンテストや合同ライブを通じて、さまざまなバンドのメンバーと交流を深めていく。バンド「やけどん」でキーボードとボーカルを担当する三木は、5年のブランクを感じさせないハイレベルな演奏で周囲を驚かせる。また、一勝の旧友である小林舞人は、ユニークなパフォーマンスと卓越した歌唱力で観客を魅了する。幸丸たちは彼らの演奏に触発され、互いにいい影響を与え合いながら成長していく。一方、ライブハウス「発破」で競い合ったバンド「アレノ」のメンバー、石井荒野は、自己中心的な性格の目立つ演奏スタイルから、誰に対しても友好的な幸丸からも明確な敵意を向けられる。さらに、球も石井の演奏について「技術は高いが尊敬できる演奏ではない」と辛辣な評価を下している。
登場人物・キャラクター
瀬良 幸丸 (せら ゆきまる)
ロックンロールバンド「ラストアス」でギターとボーカルを務める少年。幼い頃から大切にしていたインコを中学1年生の時に亡くし、その悲しみを歌にしたことがきっかけで音楽に目覚めた。両親の不仲や兄が家を出て行ったこともあり、中学時代は祖父の仕事を手伝いながらバンド活動に情熱を注いでいた。卒業と同時にバンドは解散したが、館島私立海徳高校に進学後もその情熱は衰えず、生涯をかけられる新たなバンド結成を決意する。つねに明るく前向きな性格で、高い歌唱力と演奏技術を兼ね備え、「ラストアス」結成後は仲間たちを牽引するリーダーとして活躍している。
境 一勝 (さかい いっかつ)
ロックンロールバンド「ラストアス」のもう一人のボーカルを務める少年。幸丸と同じ館島私立海徳高校に通っている。自身を顧みなかった両親に憎しみを抱く一方で、自分を育ててくれた祖母を深く慕っている。その境遇から極度の負けず嫌いとなり、「勝つこと」に強い執着を持つようになった。鋭い観察力で他者の長所を瞬時に見抜き、勝利のために的確な指示を出す司令塔的な存在でもある。身勝手な両親への反発から、「1万円でなんでも一つだけ言うことを聞く」という危険な依頼を引き受けており、校内では「一万の一勝」という異名で呼ばれている。そんな中、偶然出会った幸丸にバンドへの参加を誘われると、彼の実力を試すために学校の創立祭でのライブ成功を条件に提示。幸丸がみごとにその条件をクリアしたことで、その実力を認めて「ラストアス」に加入した。ソロシンガーの舞人とは旧友で、彼からは「イッチー」と呼ばれている。
書誌情報
ロッカロック 5巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2024-08-17発行、978-4098535446)
第2巻
(2024-09-18発行、978-4098535767)
第3巻
(2024-12-18発行、978-4098538089)
第4巻
(2025-04-18発行、978-4098540242)
第5巻
(2025-05-16発行、978-4098541591)







