ワイルドリーガー

ワイルドリーガー

日本のプロ野球、セントラル・リーグを舞台に繰り広げられる野球漫画。オリジナル球団の東京武鉄レッドソックスが加わり、7球団でペナントレースが争われる様子が描かれる。なお、他球団には実名のプロ野球選手も在籍している。主人公の28歳という年齢設定をはじめ、若手よりも中堅~ベテラン勢のプロ野球選手が活躍しているのが特徴。「週刊コミックバンチ」2001年5月29日号から2003年5月3日号まで連載された作品。

正式名称
ワイルドリーガー
ふりがな
わいるどりーがー
作者
ジャンル
野球
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概要・あらすじ

かつて東京武鉄レッドソックスに憧れ、入団を果たした浅野夏門は、ルーキーの頃に大車輪の活躍をしたピッチャーだったがその年に肘を壊してしまう。それから9年後、日本球界から逃げるように海外で生活をしていた夏門は、以前所属していた東京武鉄レッドソックスが低迷しているという新聞記事を目にする。その記事では、自分が野球をするきっかけを与えてくれた監督の志堂喜八へのバッシング、球団の身売りや合併が噂されていた。

古巣の惨状にショックを受けた夏門は、東京武鉄レッドソックスを立て直すために、海外生活で身につけた魔球「楕円の狩人」と共に日本球界に復帰することを誓うのだった。

登場人物・キャラクター

浅野 夏門 (あさの かもん)

9年前に東京武鉄レッドソックスに所属していた投手。当時は速球派投手として鳴らしており、その自慢の速球で並みいる強打者を打ち取っていた。その年の東京武鉄レッドソックスの快進撃の原動力と誰もが認めていたが、シーズンで370イニング以上も投げた結果、肘を壊してしまう。以降は海外に渡り、消息を絶っていた。現在は長い療養もあって肘も完治しており、当時を彷彿とさせる速球に加え魔球「楕円の狩人」を武器に日本球界に復帰している。

志堂 喜八 (しどう きはち)

東京武鉄レッドソックスの監督を務める男性。シーズン半ばから現場復帰して指揮を振るったが思うように結果を残せず、ファンからはブーイングを浴びせられている。現役時代は選手として東京武鉄レッドソックスに所属していた往年の大打者であり、「レッドソックスの太陽」とも呼ばれていた。幼い頃の浅野夏門に「男は黙ってレッドソックス」と書いたサインを渡したことがある。

秋葉 駿 (あきば しゅん)

東京武鉄レッドソックスに所属する選手。キャッチャーながら30本塁打30盗塁を記録した、現在の東京武鉄レッドソックスにおける唯一のスター選手。「天才」の異名を欲しいままにし、自分の価値を上げたうえでポスティングシステムを利用してメジャーリーグに挑戦しようと考えている。ボールの縫い目も見えてしまうほどに動体視力が優れ、変化球打ちを得意としている。

伊能 栗之進 (いのう くりのしん)

東京武鉄レッドソックスに所属している選手でポジションはファースト。現在、レッドソックスの主将を務めている。六大学野球時代も活躍していた名選手で、ドラフト2位で逆指名での入団を果たした。しかし、練習嫌いなうえ自身の才能を過信して周りを見下しており、プロに入ってからはその実力を発揮していない。のちにサードにコンバートされる。

羽根田 耕 (はねだ たがやす)

東京武鉄レッドソックスに所属していた選手で、史上最速の千本安打目前の999本安打を達成した後に突然姿を消した「孤高の天才」と言われていたバッター。以降は「羽根田式健康器具」という会社を経営していたが、浅野夏門に声をかけられレッドソックスに復帰した。会話に四字熟語を多用する妙な語り口調が特徴。

友部 蓮司 (ともべ れんじ)

かつて東京武鉄レッドソックスのキャッチャーを務めた男性で、別名「ワイルドハンズ」。そのインサイドワークには定評があった。過去に試合で妻の出産に立ち合えず、その結果妻を亡くしている。その際に自身も足を怪我してしまい、選手生命を断たれてからはバーを営んでいる。以後、野球からは足を洗っていたが、浅野夏門と御園生静と共にプレイした三角ベースで野球の楽しさを思い出し、東京武鉄レッドソックスに復帰する。 現在は一塁手として、野間ガルシア、大慈大治郎と共に「武蔵野併殺トライアングル」の一角を担う。

野間 ガルシア (のま がるしあ)

東京武鉄レッドソックスに所属する選手で連続試合出場1699試合、通算1976安打を記録している大ベテラン。記録のためにお情けで出場していると陰口を叩かれ、レッドソックス内では肩身の狭い思いをしている。全盛期は鉄壁の守備を誇るショートで、アグレッシブな打撃とどんな逆境にも負けない精神力のタフさを兼ね備えた、浅野夏門が憧れていた選手の一人だった。 友部蓮司、大慈大治郎と共に「武蔵野併殺トライアングル」の一角を担っている。

西若 公望 (にしわか きんもち)

東京武鉄レッドソックスに所属する34歳のエースピッチャー。「根魂」という異名を持ち、日本一の落差があると自称するフォークを武器に相手打者を打ち取っていく。エースという言葉にやたらと拘るが、その重みは誰よりも理解している。通算109勝137敗1セーブ、防御率3.69。

吉野 邦弘 (よしの くにひろ)

東京武鉄レッドソックスに所属するピッチャー。昨シーズンは4勝8敗とあまり振るわない成績だったが、キャンプで秋葉俊と共に「コントロールミスをしたら自分の最も好きなレコードを犠牲にする」という荒療治を行い、内外角の投げ分けとキレのいいシュートを会得した。

小田 雄治 (おだ ゆうじ)

東京武鉄レッドソックスに所属する選手でポジションはサード。二軍に埋もれていたが、キャンプで行った紅白戦で活躍して、徐々に調子を上げレギュラーとして定着した。のちに広島東洋カープに移籍して浅野夏門と対決し、夏門のピッチャーとしての魅力を再認識することとなる。

小山内 健寿 (おさない けんじ)

東京武鉄レッドソックスの内野手。別名「武鉄の森の王子様」。芸大出身の異色の選手で天秤打法やサーカスキャッチなどの技を使いこなすテクニシャン。どこのポジションも器用にこなすユーティリティプレーヤーで、入団以来全ポジション制覇まであとひとつと迫っている。

三木本 真珠男 (みきもと ますお)

東京武鉄レッドソックスに所属する24歳の内野手。語尾に「~っしょ」を付ける独特の口癖がある。元々一軍と二軍を行き来していたが浅野夏門の加入により盛り上がる選手たちに刺激を受けて奮起、その後見事に開幕一軍入りを果たして出場機会にも恵まれるようになった。アピールポイントは足の速さ。

大慈 大治郎 (おおじ だいじろう)

東京武鉄レッドソックスに所属する25歳の内野手。堅実な守りを売りにする守備に特化した選手で、レッドソックス内では友部蓮司、野間ガルシアと共に「武蔵野併殺トライアングル」の一角を担っている。

福井 一人 (ふくい ひとり)

東京武鉄レッドソックスに所属する22歳の内野手。主に一番バッターを務める選手で出合い頭に強く、昨年記録した8本塁打中、実に6本が先頭打者ホームラン。キャンプの紅白戦では浅野夏門に対しても出合い頭の一発を狙ったが、その球の速さについていけずあえなく三振した。

江勝 利一 (えかつ としかず)

横浜ベイスターズに所属していたピッチャー。元東京武鉄レッドソックスのピッチャーだったが、トレードで横浜ベイスターズに移籍し、その後30歳で自由契約となった。レッドソックス時代はルーキーだった浅野夏門と共に自主トレを行った仲で、夏門に説得され再びレッドソックスに戻ってくる。口が悪く、「バッドマウス」の異名を持つ。

野口 三郎 (のぐち さぶろう)

東京武鉄レッドソックスの本拠地である武蔵野フィールドの、グラウンドキーパーのチーフを務める68歳の男性。レッドソックスを50年以上見てきたなかで、秋葉俊は球団史上最高のキャッチャーになると期待をしている。そのため、彼からの要請があればグラウンドの使用許可を特別に出してくれる。

栗橋 純也 (くりはし じゅんや)

東京武鉄レッドソックスのオーナーを務める51歳の男性。幼少期から筋トレに凝っており、年齢からは考えられない真っ黒に日焼けした肌と鍛え抜かれた筋肉の持ち主。真剣勝負や熱さに人一倍こだわり、球団が人気を取り戻すためにはそういった熱い心を持った選手のプレイが必要だと考えている。

赤井 大機 (あかい だいき)

東京武鉄レッドソックスで、トレーニング嘱託コーチを務める41歳の男性。レッドソックスのなかではあまり評判の良くないコーチで、ひたすらキツイ練習と罵声で選手を追い込む非科学的な練習方法を実践している。現役時代は怪我に泣かされ万年二軍選手だった。

御園生 静 (みそのお しずか)

名門球団巨人に所属する、日本球界を代表するスラッガー。メジャーへの挑戦を表明していたが、浅野夏門が日本球界に9年ぶりに復帰するという話を聞いて、自身も日本球界へ留まることを決意した。ルーキー時代に夏門と対戦した時は24打席0安打と完璧に抑えられており、未だにその雪辱を晴らせずにいる。

森 洋一 (もり よういち)

名門球団巨人に所属する選手で、同僚の御園生静と行動を共にいることが多い。巨人の中では「隠し玉」として期待されている若手のピッチャー。御園生が浅野夏門の魔球「楕円の狩人」を攻略するために特訓した際にも付き合い、自らのピッチャーとしての実力を伸ばすことに成功している。

ルーブ・イノセント (るーぶいのせんと)

阪神タイガースに所属する助っ人外国人。大きな構えから繰り出されるうねり打法でピッチャー返しを狙い、投手を壊すことを目論む危険な人物。物心がつく前から両親がおらず、命のやりとりを行う戦場で育ったことから幼少期から笑顔を見せることがなかった。

ロベルト・バチャータ (ろべるとばちゃーた)

広島東洋カープに所属するドミニカ出身の外国人選手。走攻守三拍子そろった選手でメジャーリーグアカデミーも目をつける逸材だが、浅野夏門と戦うためにキャリアの第一歩は日本球界と決めていた。夏門の父親である浅野夏右衛門から野球を教えられた過去を持ち、夏右衛門の野球遺伝子の後継者を自称している。

エマニュエル・ゲンズブール (えまにゅえるげんずぶーる)

浅野夏門が海外で生活していた頃に同棲していた元恋人の女性。夏門が野球に心残りがあることをいち早く察した人物で、日本で野球をするように勧めた。実は財閥「ゲンズブール・コンツェルン」の令嬢で、のちに日本に現われて野球を対象にビジネスを展開しようと考える。

友部 蓮 (ともべ れん)

東京武鉄レッドソックスに所属する友部蓮司の息子。野球界を去ってバーテンダーをしている蓮司に気を使い、本当はやりたい野球をやらずにサッカーをしている。レッドソックスに蓮司が復帰してからは頻繁に球場に足を運び、応援をするようになる。

ルーブ・バンドックス (るーぶばんどっくす)

APU通信で戦場カメラマンをしていた男性。幼少期のルーブ・イノセントと捕虜施設で出会い、野球を通じて彼に笑顔を取り戻させた存在だった。しかし、その後スパイ容疑をかけられ軍に連行されてしまう。「野球をやるべきだ」という言葉をイノセントに残し、消息を絶った。

真行寺 凪子 (しんぎょうじ なぎこ)

御園生静が浅野夏門の魔球「楕円の狩人」を打つため、修行に訪れた道場に所属する女性。若いがかなりの実力者で、プロ野球選手の投げたボールを軽々と小刀でキャッチするなど、その実力は師すらも凌ぐと言われている。

麻生 奈々子 (あそう ななこ)

浅野夏門の隣に引っ越してきた、大ヒット映画「たそがれ善福寺」などで主演を果たした好感度No.1の売れっ子女優。初対面から夏門のことを気に入り、以降パーティに誘うなどして積極的にアピールを開始する。

浅野 夏右衛門 (あさの かえもん)

浅野夏門の父親。夏門が5歳の頃、共にアメリカでエージェントの電話を頼りに雇われ選手として独立リーグを渡り歩いていたが、夏門が小学校に上がる頃に「祭りの主役になれ」と言い残して姿を消した。その後、ドミニカに渡りロベルト・バチャータに野球を指導していた。

久米川 昭和 (くめかわ しょうわ)

東京武鉄レッドソックスの前監督で現在は解説者を務めている。3年間レッドソックスの監督を務めたが、不名誉な20連敗というプロ野球記録を打ち立てた結果、自ら監督を退いた。レッドソックスをここまで弱体化させた張本人と言われている。

中村 勝広 (なかむら かつひろ)

入社して5年目になる27歳のTVマン。志堂響子は同じTV局の先輩にあたる。相当な野球知識の持ち主で、選手の特徴や細かなデータがすべて頭に入っているため、影の解説役となっている。日本球界に浅野夏門が復帰することを御園生静に伝え、巨人に留まらせる決断をさせた。

志堂 響子 (しどう きょうこ)

東京武鉄レッドソックスの監督を務める志堂喜八の孫娘。TV局のアナウンサーをしており、職業柄野球界に対する知識も豊富。浅野夏門とはかつて良い仲だったが、夏門が海外へ行方をくらましてからはそれっきりとなってしまいその後、巨人の選手である御園生静と結婚した。

集団・組織

東京武鉄レッドソックス (とうきょうぶてつれっどそっくす)

東京に本拠地を置くプロ野球球団。以前は名門としてならしていたが、現在は落ちぶれ4年連続で最下位に留まっている。また球団の身売りや合併も囁かれているなど経営状態も悪い。30本塁打30盗塁を達成している天才、秋葉俊以外にスター選手はおらず、特に投手力不足が問題視されている。

その他キーワード

楕円の狩人 (えりぷすはんたー)

浅野夏門が9年ぶりに日本球界に復帰にあたって身につけた魔球。簡単に言うと異様に大きく曲がるカーブで、その変化の大きさは規格外。ボールの軌道としては三塁ファールゾーンから獲物を射るように鋭く曲がり、ホームベースの角を通過する。また、球威があるうえ回転数も異常に多く、ボールにバットを当てることができたとしても打者のほうが負傷してしまうという強力なウイニングショットである。

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