ワダチ

ワダチ

山本轍は、ボロアパートの四畳半に住む浪人生だが、日本民族の大移住計画へと巻き込まれてしまう。序盤は、『男おいどん』に似た四畳半青春物語と見せかけて、壮大なスケールのSFへと転移する異色作である。

正式名称
ワダチ
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
アドベンチャー
レーベル
小学館叢書(小学館) / 小学館文庫(小学館)
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概要・あらすじ

山本轍は、ボロアパート大下宿荘の四畳半に住む浪人生。怪しげな教授、佐渡酒造と知り合ったことから、日本人を他惑星に移住させる大計画「カミヨ計画」に巻き込まれてしまう。大地球と呼ばれる新天地で、山本轍の苦難と冒険の旅が幕を開ける。

登場人物・キャラクター

山本 轍 (ヤマモト ワダチ)

高校卒業後、上京しバイトをしながら予備校通いをしている九州男児。ボロアパート大下宿荘の四畳半に住み、押し入れにパンツの山を築いている。非常食兼ペットとしてトリとネコを飼っている。小なりとも一国一城の主が夢で、どんな苦難、屈辱に見舞われようと、最後はにっこり笑うことをモットーとしている。 間が抜けているが、基本的なことでは案外用心深く、サバイバリティは驚くほど高い。屋台のバイト中に知り合った佐渡酒造教授に認められ、日本人の大移住計画へと巻き込まれていく。日本民族の新天地である大地球でも、持ち前の気迫と根性で危機を脱していく。

佐渡 酒造 (サド サカゾウ)

宇宙航法や空間次元物理の権威だが、そのあまりに突飛な発想のため、海外からは狂人扱いされていた。日本人を新天地の惑星(大地球)へ移住させるために「カミヨ計画」を推進する。表向きは私立練馬美術大学研究所第一美術科教授を名乗っている。独身と言われているが、一人娘の礼子がいる。 婚約者だった女性は、礼子を産んだ途端、父娘を捨てて逃げてしまったという。カミヨ計画は、教授の周囲に対する怨恨と復讐心が大きな駆動力となっていると思われる。人類は原始回帰すべきという思想の持ち主でもあり、気力と根性溢れるワダチを新世代の担い手と高く評価している。

森木 深雪 (モリキ ミユキ)

19歳。カミヨ計画用の輸送機械の部品製造会社で社長秘書をしていた。仕事柄、以前より日本民族の惑星・大地球への移住計画の概要を耳にしていた。移住に向けての耐久テスト場でワダチと出会う。ワダチ自身は一方的に惚れ込むが、深雪が大地球での開拓者としてのパートナーとして選んだのは岡田鉱治郞なる青年だった。

ばーさん

ワダチが下宿するボロアパート「大下宿荘」の大家。大変パワフルな老女。朝寝坊のワダチを叩き起こしたり、ワダチが不調を訴えればタマゴ酒を振る舞ったりと、何かと世話を焼く。ワダチが、かつて下宿していた「大山」という大人物に似ていることから大いに期待しているらしい。

山越 大吾郎 (オッサン)

年齢55歳。元々はラーメン屋だったが、現在は屋台のリース業者、貸屋台個人大会社を経営している。ワダチを男として、友として認めており、アルバイトを優先的に斡旋してくれる。カミヨ計画時には、進攻する新国連軍に対して、移住用ロケット発射までの時間を稼ぐべく、老人隊として残留する。 その際、右足を失う重傷を負うが、最後の救援隊に助けられ、大地球へ移住する。傷も癒え、義足が馴染んだところで、妻と共にワダチの跡を追って旅立つ。

ヒミコ

日本人女性、野崎雪枝を名乗るが、新国連軍が大地球調査のために放ったスパイ。小型衛星船の故障で大地球の地表に墜落してしまう。その後、偶然出会ったワダチに接近して、情報を衛星軌道上の新国連軍船団へレポートする。船団が謎の重力波に巻き込まれ全滅した後も、佐渡酒造教授の娘、礼子が持つ、空間転位航法や安全な航路の情報を奪取しようとする。 実はアンドロイドで、大地球の環境に耐えられず、分解してしまった。その際、「心」と呼ばれる小さな部品だけが残り、ワダチの名を呼び続ける。

ハーロック

ヒミコと共に大地球調査のために宇宙船で飛来。故障で墜落してしまったヒミコを衛星軌道上からサポートする。同時に大地球移住を目論む後続船団の誘導も担当する。実は、ヒミコと同じ部品で組み立てられた男性型アンドロイド。謎の重力波に巻き込まれ、船団ごと壊滅する。

佐渡 礼子

佐渡酒造教授の一人娘。母は佐渡教授と婚約したものの、礼子を産んだ途端に姿を消してしまったという。大地球の開拓者として由起夫という男と共に新天地へ出発する。佐渡教授が開発した空間転位航法や大地球への安全な航路を記したメモを持っている。

浅野 由美

佐渡酒造教授の私立練馬美術大学研究所で働くメガネの美女。日本人の大移住計画、カミヨ計画のメンバーで、日本列島の主要な都市を移築するための資料を収集している。森木深雪、佐渡礼子と共に、ワダチと行動を共にすることが多い。

集団・組織

新国連軍

『ワダチ』に登場する組織。突如脱退した日本に対して、それ以外の国々が国連を再編成してできた。日本人の大規模な移住計画を察知し、その妨害と移住地の奪取を目論んでいる。日本列島の共同管理を皮切りに、遅れながらも空間転位航法を開発し、新天地である大地球への移住を開始する。

場所

大地球

『ワダチ』に登場する惑星。地球から約65万光年の彼方にある日本民族が目指す新天地。18個の惑星が周回する中型の太陽系で、その第6番惑星。大きさは地球の約20倍で、陸地面積は全長面の75パーセントもあり、地球の全大陸の60倍となる。地球よりも遙かに巨大かつ高密度だが、重力や気圧は、なぜか地球と同じ。 これは大地球の近くの空間に重力を地球並みにしている何かが存在しているためと思われる。この何かが放つ重力波の影響により、佐渡教授が算出した航路以外では、大地球へは着陸できない。

大下宿荘

『ワダチ』に登場するアパート。ワダチが下宿するボロアパート。住所は東京都文京区本郷2-5。老朽化著しく、アパート全体が傾斜して、隣接するアパート大凡人館に寄りかかってしまい、トラブルとなっている。カミヨ計画に伴う、新都市計画で解体されてしまったが、その部材は、日本人の新天地である大地球に運ばれ、見事に再現された。

その他キーワード

カミヨ計画

『ワダチ』に登場する計画。日本民族を6000機の宇宙船団に乗せ、宇宙の彼方の新天地・大地球へ移動させる大移住計画。カミヨ計画推進委員会によって主導され、責任者は佐渡酒造教授。日本列島のあらゆる建造物を解体し、瀬戸内海を埋め立て、そこに宇宙船打上げ用のサイロを建造。そこから佐渡教授が発見した空間転位航法によって大地球を目指す。

空間転位航法

『ワダチ』に登場する星間航行。正式には次元波動帯水平飛躍重力波航法と呼ばれる。日本人の新天地・惑星大地球への65万光年の時間空間をわずか24時間で飛び越える。反陽子を動力源とした次元波動エンジンを用い、重力波と次元波動の+-ゼロの空間を時間に逆らってブラックホール点を突き抜ける。外観上は、移民船団が一瞬して消え去ったように見える。 この理屈を完全に理解していたのは佐渡教授だけであった。

書誌情報

ワダチ 全1巻 小学館〈小学館叢書〉 完結

第1巻

(1993年10月発行、 978-4091972651)

ワダチ 全1巻 小学館〈小学館文庫〉 完結

第1巻

(1999年12月発行、 978-4091920751)

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