家族の食卓

家族の食卓

理不尽なアクシデントや感情のもつれに巻き込まれる、家族のさまざまな問題を描くオムニバス集。作者の柴門ふみは、「家族というものを、とりあえず肯定するところから始めてみた」と、あとがきで語っている。「ビッグコミック」に1991年から1998年にかけて掲載された作品で、フジテレビ系列で1992年、1993年、1995年に「新春ドラマスペシャル」としてドラマ化もされている。

正式名称
家族の食卓
ふりがな
かぞくのしょくたく
作者
ジャンル
家族
関連商品
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概要・あらすじ

ある日、かず子かず子の夫に「タカシを引き取ることにしたよ」と伝えられる。タカシは夫と死別した前妻の子供だった。突如17歳の高校生を育てることになり、不安を覚えるかず子だったが、タカシはかず子の子供たちの面倒もよく見る、優しい少年だった。かつての夫の小さな裏切りに腹を立てつつも、かず子は坦々とした態度のタカシを受け入れていく。

(エピソード「家族の食卓」)

登場人物・キャラクター

かず子 (かずこ)

エピソード「家族の食卓」に登場する。一男一女の母親。自分は初婚だが夫は再婚で、結婚して10年が経つ。かず子の夫と亡き前妻との間に生まれたタカシを引き取ることになる。自分に隠れてタカシと会っていたことを知り、ナーバスになる。やや神経質で心配性。

けいこ

エピソード「娘の器量」に登場する。既婚でちはるの母親。誰からも美人だと言われる器量の持ち主。器量の良くないちはるを溺愛しており、何かにつけ「可愛い、可愛い」と言って育てている。夫はちはるの器量が良くないので、手に職をつけさせようと提案。しかし、「ちはるのどこが可愛くないっていうのよ!」と憤慨する。

松井 了介 (まつい りょうすけ)

エピソード「トランプの家」に登場する。中堅の製薬会社に勤務する31歳の男性。妻の松井かなえとの間に一男一女がいる。妻のかなえを愛しており、妻だけが自分の実力以上の収穫だと思っている。かなえの姉夫婦が事故で亡くなったため、一人娘のリサを引き取ることになる。実は、リサはかなえが生んだ娘であると告白され、何かにつけてかなえに悪態をついてしまうようになる。

五反田 直樹 (ごたんだ なおき)

エピソード「エンジェルの棲み家」「トランプの家」に登場する。TV局に勤めるドラマのディレクター。夜の六本木で派手に遊ぶ典型的な業界人だったが、元アイドルの五反田ミキと結婚し、夜遊びを辞めた。松井了介と松井かなえの中学時代の同級生。リサと眉の形が同じであるため、了介からリサの父親ではないかと疑われている。

あかねの父 (あかねのちち)

エピソード「娘のひみつ」に登場する。既婚者で3人の子供を持つ父親。女の子が生まれたら、人形のように着飾らせてお姫様のように育てたい、そう思って、娘が生まれることを楽しみにしていた。ところが、娘のあかねが、年子の兄2人に揉まれて、すっかり男勝りに育ったため、やや残念な気持ちを抑えきれない。

あかね

エピソード「娘のひみつ」に登場する。小学生の女の子。あかねの父の娘。年子の兄が2人いる。いつも2人の兄と戦士ごっこをしており、明るく活発で男勝りな性格。お手伝いをする代わりに、母親や父親からお小遣いをせびっている。あかねの父親には、その守銭奴なところを心配されているが、お金を貯めているのには、ある理由がある。

中田 (なかた)

エピソード「日曜参観」に登場する。既婚のサラリーマンで、中田つよしの父親。気が弱く流されやすい性格。ある日、父親参観に出席することになる。そこには、昨晩自分を叱責した会社の上司・佐久間とその息子の姿があった。気まずい思いをするが、つよしの圧倒的な出来の良さに鼻高々になる。

並木 和子 (なみき かずこ)

エピソード「シスターズ」に登場する。33歳の主婦。安達家の3人姉妹の次女。夫である並木洋介との間に、一男一女をもうける。子煩悩なかっこいいお父さん、と近所で評判の洋介が自慢。しかし、安達初子の夫が駆け落ちした件で、洋介と初子の仲を疑うようになる。旧姓が安達。

並木 洋介 (なみき ようすけ)

エピソード「シスターズ」に登場する。建設会社に勤めるサラリーマンの男性。子煩悩でかっこよく、近所から素敵な旦那さんと評判が高い。実は中学・高校と同級生だった並木和子の姉・安達初子への想いが断ち切れず、代わりとして妹の和子と結婚した経緯がある。夫に逃げられた初子を心配するあまり、和子から疑われることになる。

幸子 (さちこ)

エピソード「家族の匂い」に登場する。香料会社で匂いを作る仕事をしている女性。夫の修司と2人暮らし。新婚後間もなく子宮の病気にかかり、子供が産めない身体になったことに罪悪感を感じている。ある日、修司が連れてきた親戚のケンジを預かることになり、ケンジを連れて会社に出勤することになる。

修司 (しゅうじ)

エピソード「家族の匂い」に登場する。物静かで妻への思いやりあふれる男性。妻の幸子と2人暮らし。ある日突然、親戚のケンジという子供を預かることになった、と家に連れ帰って来る。無口な性格で詳しいことは何も話さないため、ケンジは修司が外で作った子供ではないか、と幸子に疑問を抱かれる。

ケンジ

エピソード「家族の匂い」に登場する。小学生の男子。修治の親戚の子供。幸子と修治の家で、しばらく預かることになる。好奇心旺盛で、幸子ともすぐに打ち解ける。しかし、幸子が修治に疑惑の目を向けたことで、家庭内が険悪になったため、家に帰ってしまう。

高梨 シンジ (たかなし しんじ)

エピソード「36歳独身」に登場する。男性カメラマン。業界では、札付きのプレイボーイと噂されるほどモテる。それが仇となり、一般女性には避けられ、女優など強者ばかりが寄ってくるため独身。気弱な性格なうえ、昔から母親に弱く、彼女が持ち込むお見合い話を断れずにいる。

チカ

エピソード「36歳独身」に登場する。撮影時のメイクを担当する女性。32歳で5年前にOLから転職。前日にメイク現場の下見に行くほど仕事に対して真摯。高梨シンジの悪い噂も聞き知っているが、彼がなぜ独身なのかに興味を抱いている。何かとシンジをかばい、時には助け舟を出す。

高梨シンジの母 (たかなししんじのはは)

エピソード「36歳独身」に登場する。独身の高梨シンジを心配している母親。時折、勝手に部屋に上がり込んでは、掃除や洗濯をしている。シンジは女性を騙すような悪い子ではないと信じていた。ところが、母親の干渉にうんざりしたシンジに、今までの派手な女性関係を告白され、育て方を間違えた、と落ち込んでしまう。

遠藤 めぐみ (えんどう めぐみ)

エピソード「私の居る場所」に登場する。32歳の独身OL。外資系の化粧品会社に転職した。社内での足の引っ張り合いに巻き込まれ、プロジェクトから外される。落ち込んでいるときに、恋人からも距離を置こうと言われ、ストレスによる難聴になってしまう。偶然、病院で、高校時代の友人である乃理子と再会する。

内藤 (ないとう)

エピソード「おもちゃのチャチャチャ」に登場する。一流会社のエリート男性社員。妻と娘の3人家族。娘の通う小学校の親子合同合奏会で、縦笛担当となる。しかし、部長昇進のため多忙を理由に、辞退しようとする。それを妻から、家族を顧みず自分のためだけに仕事をしている、と責められる。そんななか、懇意にしていた役員が、会社ぐるみの贈賄容疑で逮捕されてしまう。

中原 (なかはら)

エピソード「おもちゃのチャチャチャ」に登場する。建築資材の営業販売を担当するサラリーマンの男性。月の半分は出張している。妻と息子の3人家族。息子の通う小学校の親子合同合奏会で、ハーモニカ担当となる。明るい性格でギャグ好きな、息子ともよく遊ぶよい父親。しかし、3年前に妻が流産した際、出張と偽って女性と一緒にいた事実があり、夫婦間の溝となっている。

佐竹 (さたけ)

エピソード「おもちゃのチャチャチャ」に登場する。佐竹病院の院長夫人。美人の院長夫人と評判で、息子の学校の学級役員を務めている。担任の先生への感謝を込めた親子合同合奏会を企画する。ところが、昔ピンク映画に出演していた過去が広まり、あることないことを噂されるようになってしまう。また、息子がいじめられていることにも悩まされているが、周囲からは苦労知らずと思われている。

タカシ

エピソード「家族の食卓」に登場する。高校2年生の男子。かず子の夫と亡き前妻との間にできた息子。前妻の両親に育てられていたが、両親が養老院へ入ることになったため、かず子と夫の家に引き取られる。坦々としていて大人びているが、かず子の子供の面倒をよく見る優しい性格。

かず子の夫 (かずこのおっと)

エピソード「家族の食卓」に登場する。一男一女の父親。かず子の夫。亡き前妻との間にできたタカシを引き取ることにしたと、ある日突然かず子に告げる。かず子と正反対の楽天家で、穏やかな性格。家族がみんな幸せになってほしい、と願っている。

ちはる

エピソード「娘の器量」に登場する。5歳の女の子。けいこの娘。父親から「自分のオヤジそっくりだ」と器量の悪さを心配される。美人の母親と比べられ、他人に好奇の目で見られることもある。母親のけいこが「ちぃちゃんは世界一可愛い」と言って育てられているので、天真爛漫な性格。

松井 かなえ (まつい かなえ)

エピソード「トランプの家」「エンジェルの棲み家」に登場する。一男一女の母親。松井了介の妻。姉夫婦が亡くなり、一人娘のリサを引き取ることになった。実は、リサは自分が中学生のときに産んだ子供。了介に対して罪悪感を感じ、リサを連れて家を出ようとする。中学時代から美人と評判だった。

リサ

エピソード「トランプの家」に登場する。15歳の少女。松井かなえの姉夫婦の一人娘。両親が事故死し、松井家に引き取られることになったため、アメリカから帰国。かなえの姉夫婦の子供として育てられたが、実は、かなえが中学生のときに産んだ娘。明るく屈託がない利発な少女で、両親を失った悲しみを胸に仕舞い込んでいる。

五反田 ミキ (ごたんだ みき)

エピソード「エンジェルの棲み家」に登場する。元アイドルの女性。五反田直樹の妻。ステージママの指図で、見境なしにベッドインすると噂され、直樹をやや苦悩させている。子供っぽい純真さを持っており、勘が鋭い。直樹が自分を子供扱いするので、淋しさを感じている。

ミキの母 (みきのはは)

エピソード「エンジェルの棲み家」に登場する。ステージママの女性。五反田ミキの母親。ミキをトップアイドルにすることに執着している。五反田直樹と結婚したことを快く思っていない。直樹の家に押しかけ金をせびったり、今ならまだ稼げると、直樹と別れるよう説得したりと、未だにミキをコントロールしようとしている。

中田 つよし (なかた つよし)

エピソード「日曜参観」に登場する。幼稚園に通う利発な子供。中田の息子で、中田の上司である佐久間の息子と仲が良い。絵が上手く、頭も良く、工作も早いので、中田は出席した父親参観で得意げな気持ちになる。一方で、何をやらせても今一つな佐久間の息子が皆の前で失敗すると、驚くべき行動に出て、周囲の大人を驚かせる。

安達 三奈 (あだち みな)

エピソード「シスターズ」に登場する。29歳のグラフィックデザイナー。安達家の3人姉妹の末っ子。洞察力が鋭く、小説で新人賞を取ったこともある才能あふれる女性。ハンサムな恋人に結婚を申し込まれている。しかし、自分を「ブス」だと思っているため、コンプレックスの埋め合わせのため二枚目を連れている、と思われることを嫌がり、承諾していない。

安達 初子 (あだち はつこ)

エピソード「シスターズ」に登場する。病院の事務・受付をしている女性。安達家の3人姉妹の長女で36歳。男が切れることのない美人だが、一緒にいる相手を息苦しくさせてしまうところがある。エリート役人との結婚に失敗したバツイチ。その後に再婚した売れない漫画家の毛呂山信二には献身的に尽くしたが、女性と駆け落ちされてしまう。

乃理子 (のりこ)

エピソード「私の居る場所」に登場する。専業主婦。遠藤めぐみの高校時代の友人。地元の信用金庫に30歳まで務めた後に見合い結婚。夫の両親と同居している。ストレスで難聴になっためぐみを励まし、家に遊びに来るよう誘う優しい女性。昔は勉強もスポーツもめぐみよりできて、男子にも人気だった。

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