あらすじ
上巻
「超電導カンタム・ロボ 劇場版」を親子で見た帰り、息子の野原しんのすけと遊んでいた野原ひろしは腰を痛めてしまう。整骨院を訪れようとするが、休日であるためどこも開いておらず、ひろしは途方にくれる。そんな彼の前に蘭々という女性が現れ、ウルトラスーパーエステティックサロンを紹介する。美人の誘いに鼻の下を伸ばしたひろしは、無料という事もあってこのサロンで腰痛の治療を願い出る。こうして腰痛が治ったばかりか、身体全体が軽くなった事で有頂天になるが、家に帰ったところで、自分が金属製の身体になっている事に気づく。かくしてひろしは、しんのすけから「ロボとーちゃん」と呼ばれるようになり、当初は困惑していたものの、次第に野原一家に溶け込んでいく。さらに生身の時とは比較にならない身体能力を獲得した事で、次第にロボであるのも悪くないと感じ始めるようになる。一方、ひろしをサロンに導いた蘭々と、ロボット工学者である頑馬、そして彼らを束ねる鉄拳寺堂勝は、ロボとーちゃんを利用する事で、「日本しつけ直し計画」と呼ばれる企みを実行に移そうとしていた。
下巻
蘭々の暗躍で人格を改変するプログラムを搭載した付け髭を装着させられたロボとーちゃんは突如豹変して、みさえ達に対して傍若無人な態度を取り始める。さらに、家庭からの圧力に苦しむ父親に決起を呼びかけ、父ゆれ同盟を結成。同盟に加入した父親達は、野原家同様に家庭内で我が物顔で振る舞う主婦や子供を、世帯主に従順になるよう教育しようと各地で暴動を起こす。一方、当のロボとーちゃんは野原しんのすけの活躍によって洗脳装置を外され、正気を取り戻したために鉄拳寺堂勝から用済みとみなされ、彼の意を受けた蘭々と頑馬によって、しんのすけ共々アジトに連れ去られてしまう。目を覚ましたしんのすけとロボとーちゃんは、目の前のカプセルの中に野原ひろしが囚われているのを見て驚愕する。ロボとーちゃんは、日本しつけ直し計画を遂行するために作られたロボットで、自らをひろしであると思い込むようプログラミングされたものであった。二人はしんのすけに対して、互いに自身こそが本物の父親であると主張する。一方、堂勝は父ゆれ同盟を代表して手始めに市庁舎を制圧したものの、そこに野原みさえが段々原照代を伴い、連れ去られたひろしとしんのすけを返すよう求めて父ゆれ同盟と相対する。
劇中劇
本作『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』の冒頭で、「超電導カンタム・ロボ 劇場版」が公開されている。これは、原作漫画版で描かれた劇中劇のTVアニメ「超電導カンタム・ロボ」の後日談となっており、TV版の主人公の一人である山田ジョン青年を主役として続投させた一方で、TV版で生死不明になったもう一人の主人公である初代カンタムの代わりに、彼とヒロインであるシーラとのあいだに生まれたカンタムjrが新たに主役の一人に抜擢されている。勧善懲悪をベースとした作風ながらも、肉親や親戚を敵に回す苦悩や、息子を守るために命を投げだす覚悟など、ハードな面も多く見られるほか、性的なニュアンスを含んだセリフなども存在する。そのため、野原しんのすけなどの子供はもちろんの事、野原ひろしや野原みさえなど、大人からも大いに支持されている。
登場人物・キャラクター
野原 しんのすけ (のはら しんのすけ)
アクション幼稚園に通っている5歳の男児。野原ひろしと野原みさえの息子で、野原ひまわりの兄にあたる。気だるげな仕草と不遜な態度が目立つが、その一方でユーモアのセンスに優れており、並の事態ではまったく動じない度胸を持つ。相手の長所と短所を惜しげもなく指摘する癖があるが、そこに悪気はなく、他者を傷つけたり、陥れたりするような言動をする事は一切ない。野原しんのすけ自身の利害に絡む事で小さな噓をつく事こそあるものの、そもそも噓をつくのが苦手であるため、すぐにばれて懲らしめられるのがお約束のパターンとなっている。独特の感性を備えているうえに身体能力が非常に高く、自作の着ぐるみを使った動物のコスプレなど、およそ幼稚園児とは考えにくい遊戯にふける事もある。よくも悪くも自身の欲望に忠実であるため、ひろしとみさえをはじめ、大人の手を焼かせる事が多い。しかし内心では非常に家族思いで、ロボとーちゃんに関する騒動においては、自分の家族を守るために嫌いなピーマンを率先して食べたりするなどの勇気を見せた。ひろしとロボとーちゃんの二人からも認められており、鉄拳寺堂勝の企てた日本しつけ直し計画の打倒に一役買っている。
野原 みさえ (のはら みさえ)
野原ひろしの妻。野原しんのすけと野原ひまわりの母親。専業主婦で、楽をしたがる事が多く、その影響からか、しんのすけからは隠れ肥満を指摘される事もある。しかし一度怒ると手が付けらなくなり、たびたびひろしやしんのすけからは恐れられている。気が強く物おじしない性格で、たとえ相手が誰であっても言いたい事ははっきりと言うタイプ。その様子が頼もしく見える事も多く、若い女性などからあこがれの目を向けられている。家族に対しては、小言を言うなど厳しい態度を取る事もたびたびあるが、内心ではつねに気にかけており、大切に思っている。多少の事では動じないものの、家族の危機に対しては焦りを見せたり、大胆な行動を取る事も多い。ロボとーちゃんが野原家に帰宅して来た時は、愛する夫のあまりの変わりように強い衝撃を受けていたが、中身がひろしそのものであるとわかると次第に信用するようになり、彼が蘭々の手によって洗脳された時もおとなしく付き従った。
野原 ひろし (のはら ひろし)
野原しんのすけの父親。商社に勤めているサラリーマンの男性。足が臭く、美人にややだらしないという短所こそ持つが、妻の野原みさえや、子供のしんのすけ、野原ひまわりに対して親身に接する家族思いの好人物。やや運動不足なところがあり、しんのすけと映画「超電導カンタム・ロボ 劇場版」を鑑賞した帰り道で、しんのすけとカンタムごっこをした結果、腰を痛めてしまう。さらにそれをチャンスと見た蘭々に言葉巧みに騙され、紹介されたウルトラスーパーエステティックサロンで施術を受けようとしたところ、眠らされたうえに、ロボットの身体を持つロボとーちゃんに改造されたと思われていた。しかし実際は、鉄拳寺堂勝のアジトに囚われており、彼らが開発した鋼鉄親父第一号(ロボとーちゃん)へ意識を転送し、その後はカプセルの中に閉じ込められていた。そこを用済みとして連れ去られたロボとーちゃんと、彼について来たしんのすけに救出される。ロボとーちゃんとはお互いに自分が本物であると、共に主張していたが、家に鋼鉄親父の軍勢が押し寄せ、みさえやしんのすけ達に危害が及んだため、家族を守りたいという意見が一致。協力体制を取って堂勝達との戦いに臨んだ。
野原 ひまわり (のはら ひまわり)
野原しんのすけの妹。野原ひろし、野原みさえの娘。1歳に満たない赤ん坊だが、その割に美形の男性に目がなかったり、宝石や貴金属の類に反応するなど、みさえとは外見のみならず、性格も若干似通っている。また、兄に似て身体能力が高く、すさまじい速さのハイハイ歩きを披露し、見る者を驚愕させる事がある。赤子のため言葉を話す事はできないが、しんのすけとは巧みに意思の疎通ができるようで、家の中ではいっしょに遊んだりと、兄妹仲は非常に良好。みさえとも似た者同士という事で、息の合ったやり取りをする事が多い。
シロ
野原家で飼われている小型犬。全身が真っ白な体毛に覆われており、たびたび「わたあめみたい」と言われる事がある。拾ってくれた野原しんのすけに対して恩義を感じている節があり、野原家の中では最も彼に懐いている。何かと適当な行動を取る野原家の面々とは異なり、犬ながらしっかりした様子を見せる事が多い。野原家が鋼鉄親父の軍勢に襲撃された時は、しんのすけが隠していた動力オイルの存在をしっかり記憶しており、頑馬と黒岩仁太郎のあやつる巨大ロボットに対する突破口を開いた。
ロボとーちゃん
ブリキで構成された人型のロボット。野原ひろしがウルトラスーパーエステティックサロンに行った帰りに、入れ替わるように野原家に現れた。顔がひろしに酷似しているうえに、ひろしの記憶と人格を持っているため、当初はロボとーちゃん自身を含めて、ひろしがロボットに改造された姿だと思っていた。家族からは奇異の目で見られてしまい、特に野原みさえは、あまりの変わりように強いショックを受けていたが、命を懸けて息子の野原しんのすけを守る姿を見せる事で理解を得た。しかし実際は、鉄拳寺堂勝が日本しつけ直し計画を遂行するための手駒である鋼鉄親父のプロトタイプである「鋼鉄親父第一号」であり、頑馬に連れ去られた先のアジトで、本物のひろしと対面する事でその事実が明らかとなる。それを知ってもなお、自分こそがひろしであると主張し、一時は本物のひろしと対立する事もあった。しかし堂勝に従うようには作られておらず、その正体である黒岩仁太郎が鋼鉄親父を伴って襲撃して来た際には、家族を守りたいという思惑をひろしと一致させ、共に鋼鉄親父や黒岩のあやつるドデカ頑固親父ロボと戦い、これを退ける。その後損傷がもとで機能停止するが、ひろしを含めた野原家の家族からもう一人のひろしと認められた。
風間 トオル (かざま とおる)
アクション幼稚園に通っている5歳の男児。野原しんのすけのクラスメイトで、彼が立ち上げたかすかべ防衛隊の一員でもある。若干キザな性格で、余裕のある振る舞いを見せようとする事が多いが、多少マザコン気味であったり、魔法少女のアニメに密かに凝っていたりと、家の中では意外な一面も見受けられる。幼稚園ではまじめな優等生として通しているため、かつてはしんのすけとは犬猿の仲だったが、交流を深めるにつれてよき友人となった。
桜田 ネネ (さくらだ ねね)
アクション幼稚園に通っている5歳の女児。野原しんのすけのクラスメイトで、彼が立ち上げたかすかべ防衛隊の一員でもある。若干おませな性格で、男女関係のもつれなどといった生々しい出来事に強い興味を示す。ふだんは年相応の愛らしさを見せる事が多いが、その内面はかなり短気で、ひとたび激昂すると友人達を震え上がらせたり、嫌な事があるたびに、所有しているウサギのぬいぐるみの腹部に強烈なパンチを食らわせたりと、狂暴なところがある。しかし、いざという時にはそれがいい方に働き、肝の据わった姿を見せる。
佐藤 マサオ (さとう まさお)
アクション幼稚園に通っている5歳の男児。野原しんのすけのクラスメイトで、彼が立ち上げたかすかべ防衛隊の一員でもある。若干気弱で自己主張が苦手な面があり、かすかべ防衛隊のメンバーの中では目立たない存在ではあるが、しんのすけや桜田ネネなどの強い個性を持つ友達の奇行に対して、ツッコミを入れる事もしばしば。また、ネネが激高した際に被害を受ける事が多いなど、よく貧乏くじを引かされるが、友人達から気にかけられる事が多く、佐藤マサオ自身も彼らを大切に思っている。
ボーちゃん
アクション幼稚園に通っている5歳の男児。野原しんのすけのクラスメイトで、彼が立ち上げたかすかべ防衛隊の一員でもある。つねに鼻水を垂らし、縦長の非常に特徴的な顔をしている。鼻水は感情に応じて動くという特徴があり、アクション幼稚園の遠足でリバーサイドドデカシティに赴いた際には、その威容に感動したボーちゃんの感情を反映するように、プロペラのように回っていた。また、フルネームが不明であるなど、謎が多い。しかし温厚な性格と、ボーっとしていながらも気遣いができる事から、友達からは好感を抱かれており、謎が多い面も問題にされていない。また、運動神経や反射神経はしんのすけに匹敵するほど高く、リバーサイドドデカシティに係員として潜入していた蘭々や頑馬の手により、しんのすけに危険が迫った際には、真っ先に反応して声をかけ、彼の窮地を救った。
吉永 みどり (よしなが みどり)
アクション幼稚園の保母を務める女性。野原しんのすけ達のクラスの担任でもある。明るく朗らかな性格で、園児達はもとよりその父母や、園長先生をはじめとした幼稚園の同僚達からも信頼されている。園内ではしばしば癖の強い園児達に振り回される事もあるが、逆に彼らをやり込める事もあり、同僚からは敬意を払われている。着任当初は独身だったが、のちに交際していた恋人と結婚し、姓を「石坂」に改めた。だが、幼稚園では変わらずに「吉永みどり」を名乗っており、同僚や園児達からも引き続きそう呼ばれている。また、妊娠して長期休暇を取るが、無事子供を出産してからは再び職場に復帰している。
園長先生 (えんちょうせんせい)
アクション幼稚園の園長を務めている中年の男性。本名は「高倉文太」だが、園児やその父母、および吉永みどりをはじめとした同僚達からは「園長先生」と呼ばれている。非常に強面な外見から、園児達からは、幼稚園の地価が高騰したために地上げ屋として押し入った極道の組長と勘違いされ、大いに怯えさせていた。その後も時おり、園児達からは「組長先生」と呼ばれており、そのたびに園長先生だと、嘆きながら訂正している。実際は温厚かつやや気弱な性格で、さらにその外見から怖い人達に絡まれやすく、そのたびに災難に遭っている。その一方で、つねに園児達を気に掛ける優しさから、野原しんのすけ達や吉永をはじめとした同僚達からは、強く信頼されている。
段々原 照代 (だんだんばら てるよ)
下春日部警察署の交通課に所属している若い女性。前向きかつ活発な性格で、職務に対する態度も基本的にはまじめなのだが、頭より先に身体が動くタイプ。そそっかしさが目立ち、署内ではトラブルメーカーとして厄介者扱いをされる事が多い。黒岩や野原しんのすけなどからは、苗字と一文字違いの「三段腹」と呼ばれており、そのたびに段々原である事を逐一主張している。刑事にあこがれており、現在は交通課に勤務しているものの、いつか手柄を上げて刑事課に配属される事を願っている。野原ひろしがロボとーちゃんに改造されたと訴える野原みさえに対して、黒岩仁太郎から派遣され、その縁でみさえや野原ひまわりと行動を共にするようになる。ひろしがロボとーちゃんに改造されたという、当事者以外にとっては荒唐無稽に聞こえるみさえからの訴えを疑ったりしなかったため、彼女達からは次第に信頼されるようになる。段々原照代自身も、ひろしとしんのすけが連れ去られたと聞くや否や、その張本人である鉄拳寺堂勝が制圧した市庁舎に単身乗り込むみさえの勇気ある行動にあこがれ、彼女に対して野原家のような温かい家庭を築く事を目指すと宣言した。
黒岩 仁太郎 (くろいわ じんたろう)
下春日部警察署の署長を務めている男性。見た目は若々しいが、妻と中高生と思しき一人娘がいる。若干ナルシストの気があり、姿を見せるたびに大仰な仕草を取っている。表向きは特に問題を起こすわけでもなく、つねに余裕のある態度を取っている事から、部下達の心象は悪くない。しかし、野原ひろしがロボとーちゃんに改造されたという野原みさえの訴えを、いかに現実味がないとはいえ、クレーマーの類と決めつけ、内心問題児だと思っている段々原照代を派遣するなど、傲慢な面も見られる。父ゆれ同盟の結成者である鉄拳寺堂勝の真の姿であり、世帯主の主権を取り戻す事を訴えたのも、黒岩仁太郎自身が妻や娘から蔑(ないがし)ろにされているからであった。しかし、目的の邪魔になりそうな野原一家を秘密裏に処分しようとしたり、ドデカ頑固親父ロボに乗り込んで破壊活動を行うなど、そのやり方は非道かつ卑劣なもので、野原一家や段々原の怒りを買う。最後は、野原しんのすけとひろし、ロボとーちゃんが乗り込んだドデカロボひろしに敗れ、破壊活動の罪を問われて警察に逮捕された。その後、面会に訪れた妻と娘から涙ながらに謝罪され、皮肉にもすべてを失った事で家族の絆を取り戻す。
鉄拳寺 堂勝 (てっけんじ どうかつ)
現在の日本における世帯主の立場の弱さを憂い、彼らの地位を取り戻すために革命を引き起こそうと企む老齢の男性。部下の蘭々と頑馬からは、「総裁」と呼ばれている。履いている下駄の底に搭載したブースターを点火させて空を飛びまわったり、口ひげをブーメランにして飛ばすなど、老人とは思えないほどの、でたらめな身体能力を誇っている。妻や子供から蔑ろにされている男性に喝を入れ、鉄拳寺堂勝自身の思想に共鳴する人物を集めて父ゆれ同盟を結成し、一時は市庁舎を制圧するほどの勢いを見せた。さらに、頑馬に命じてロボとーちゃんを拉致させ、それを知った野原みさえから抗議を受けるが、逆に竹刀を取り出して殴りかかろうとする。しかし、アジトから脱出を果たしたロボとーちゃんの奮闘により手傷を負い、その場から退く。その正体は下春日部警察署の署長である黒岩仁太郎で、堂勝としての姿は彼が老人の姿を模した強化外骨格をまとったものであった。
蘭々 (らんらん)
アクシデントにより腰を痛めた野原ひろしの前に現れた謎の女性。美人でスタイルが抜群によく、運動神経にも秀でている。その正体は鉄拳寺堂勝の側近で、持ち前の美貌でひろしの目を釘付けにしたうえ、言葉巧みにウルトラスーパーエステティックサロンを紹介し、彼をおびき寄せて拉致したうえに、彼の人格のデータをロボとーちゃんに移し替える事に成功する。さらに堂勝の命令によって野原家に忍び込み、ロボとーちゃんの人格を改変するプログラムを搭載した付け髭を装着させるなど、随所で暗躍を見せた。黒岩仁太郎に率いられて野原家を襲撃した際には、鋼鉄親父達と争っていた野原みさえに不意打ちを仕掛けようとする。しかし、耳に付けていたアクセサリーの宝石に目をつけた野原ひまわりにくすぐられて全身の力が抜けてしまい、そのスキを突いた段々原照代に手錠をかけられ、捕らえられる。堂勝の主導する日本しつけ直し計画や、その中で提唱された世帯主の主権回復などにはまったく興味がなく、堂勝に付き従っている理由は、世間に混乱をもたらすどさくさで金品などを奪い、それを元手に富を築くために過ぎなかった。
頑馬 (がんま)
マッドサイエンティストの男性。鉄拳寺堂勝のもとでさまざまなメカを開発している。蘭々と同様、堂勝の主導する日本しつけ直し計画や、その中で提唱された世帯主の主権回復などにはまったく興味がなく、彼に手を貸すのは、かつて自分を認めなかった学会に対する復讐を成し遂げるためである。拉致した野原ひろしの人格データを鋼鉄親父のプロトタイプに流し込み、本人すらひろしであると思い込むロボとーちゃんを完成させたほか、黒岩仁太郎が堂勝として活動するためのパワードスーツを開発したり、リバーサイドドデカシティの真下に工場を隠し、そこでドデカ頑固親父ロボを開発するなど、研究者、およびロボット工学者としての知識は本物。その一方で、子供に精神的ダメージを与えるために、無理やりピーマンを食べさせるマシンを開発したり、ドデカ頑固親父ロボの補助動力として人力発電を採用するなど、独自のこだわりを見せる事も多い。野原家との戦いでは、上司である堂勝こと黒岩と共にドデカ頑固親父ロボに乗り込み、破壊の限りを尽くそうとする。しかし、野原しんのすけとひろし、そしてロボとーちゃんの乗り込んだドデカロボひろしに敗れ、黒岩と共に警察に逮捕された。
山田 ジョン (やまだ じょん)
劇中劇「超電導カンタム・ロボ 劇場版」に登場する地球人の青年。かつて初代カンタムと共にカンタム・ロボに乗り込み、地球侵略を目論む宇宙人と戦って地球を守って来た。初代カンタムの息子であるカンタムjrの育ての親でもあり、現在は、かつて地球に襲来した異星人の侵略者、ギルギロス大統領と戦って死亡したとされる初代カンタムに代わり、戦闘の際にはJrと共にカンタム・ロボに搭乗している。Jrからはパートナーとしてだけではなく、父親的な存在と認識され、強い敬意を向けられている。アコギデス大王との戦いでは、カンタム・ロボの強化形態である「スペース超カンタム・ロボ」を用いてなお苦戦を強いられていたが、復活を果たした初代カンタム、およびシーラの力を借りる事で勝利を収める。
カンタムjr (かんたむじゅにあ)
劇中劇「超電導カンタム・ロボ 劇場版」に登場する宇宙生命体。カンタム・ロボと同じ形状をしている。初代カンタムと、その妻であるシーラの息子にあたるが、かつて地球に侵略して来た異星人のギルギロス大統領との戦いで、二人が命を落としたと思われていたため、彼らの相棒であった山田ジョンに育てられた。両親の事はよく知らずにいるが、父親代わりとして育ててくれたジョンの事を強く尊敬している。現在は初代カンタムに代わり、戦闘の際にはジョンと共にカンタム・ロボに搭乗している。また、ジョンと意識を通わせる事で、カンタム・ロボを強化形態である「スペース超カンタム・ロボ」に変形させる事が可能。アコギデス大王との戦いでは、スペース超カンタム・ロボをもってしても苦戦していたが、窮地に陥った際に、復活を果たした初代カンタム、およびシーラに助けられ、彼らの乗機と合体する事で「スペース超超超超カンタム・ロボ」に変形し、アコギデス大王を打ち倒した。
初代カンタム (しょだいかんたむ)
カンタム・ロボと同じ形状をしている宇宙生命体。劇中劇「超電導カンタム・ロボ 劇場版」に登場する。山田ジョンのかつてのパートナーで、共にカンタム・ロボに乗り込み、地球侵略を目論む宇宙人と戦い地球を守って来た。戦いの中で出会ったシーラと結ばれ、息子であるカンタムjrをもうけるが、その矢先に襲来して来た侵略者のギルギロス大統領と相打ちになって滅びたと思われていた。しかし実際は、シーラと共に深手を負った際にアコギデス大王に吸収され、彼の体内で生存していた。ジョン、およびカンタムJrとアコギデス大王の戦いの中で、アコギデス大王の体内から脱出し、窮地に陥っていたジョン達と合流。さらにシーラやカンタム・ロボと合体を果たす事で「スペース超超超超カンタム・ロボ」に変形し、アコギデス大王を打ち倒した。地球に平和が戻ったあとは、カンタムjrをジョンに託し、シーラと共に子孫繁栄の旅に出た。
シーラ
女性型の宇宙生命体。劇中劇「超電導カンタム・ロボ 劇場版」に登場する。戦いの中で初代カンタムと出会い、やがて惹かれ合ってカンタムjrをもうけた。その矢先に襲来して来た侵略者のギルギロス大統領に立ち向かい、初代カンタムと共に相打ちになったと思われていた。しかし実際は、初代カンタムと共に深手を負った際にアコギデス大王に吸収されながらも、彼の体内で生存していた。山田ジョン、およびカンタムJrとアコギデス大王の戦いの中で、夫と共にアコギデス大王の体内から脱出し、窮地に陥っていたジョン達と合流。さらにカンタム達と合体する事で「スペース超超超超カンタム・ロボ」に変形し、アコギデス大王を打ち倒した。地球に平和が戻ったあとは、カンタムjrをジョンに託し、初代カンタムと共に子孫繁栄の旅に出た。その中で早速第2子の出産を検討するなど、夫婦仲は極めて良好。
アコギデス大王 (あこぎですだいおう)
全身を黒いマントで包んだ悪の宇宙生命体。劇中劇「超電導カンタム・ロボ 劇場版」に登場する。その全長はカンタム・ロボに匹敵し、宇宙空間でも問題なく活動できる。カンタム・ロボを翻弄するほどの戦闘力を誇っており、必殺技であるギャラクシーワーストエナジーを使う事で、強化形態である「スペース超カンタム・ロボ」をも圧倒した。しかし、かつて体内に取り込んでいた初代カンタムとシーラが生存しており、体外に脱出された事で形勢は逆転。彼らとカンタム・ロボが合体して誕生した「スペース超超超超カンタム・ロボ」の前に敗れ、滅び去った。
集団・組織
かすかべ防衛隊 (かすかべぼうえいたい)
野原しんのすけがアクション幼稚園内で結成したグループ。しんのすけのほかに、風間トオルや桜田ネネ、佐藤マサオ、ボーちゃんが名を連ねている。いわゆる幼稚園児のごっこ遊びに近く、春日部の平和のためという名目を掲げているが、活動内容は大抵が行き当たりばったりの思いつきによるものである。しかし、メンバーの好奇心がいい方向に働いた結果、困り事を解決したり、犯罪の抑止に成功した実績すらある。
鋼鉄親父 (こうてつおやじ)
鉄拳寺堂勝が提唱した日本しつけ直し計画の実行部隊であるロボット軍団。その名の通り、全身が鋼鉄で構成されている。ロボとーちゃんこと「鋼鉄親父第一号」の量産機に相当するが、彼と異なり自我を与えられておらず、造物主である頑馬か、彼の主である堂勝、あるいはその正体である黒岩仁太郎の命令によってコントロールされる。聴覚や嗅覚などに相当する高性能なセンサーを搭載しているものの、身体能力は大した事はなく、黒岩に率いられて野原家を襲撃した際には、野原ひろしや野原みさえによって腕ずくで突破されている。また、高性能センサーが災いして、ひろしが穿(は)いていた臭い靴下によって行動不能になるといった場面も見られた。
父ゆれ同盟 (ちちゆれどうめい)
昨今、家庭における父親の地位が低下している事を嘆いた鉄拳寺堂勝が、洗脳プログラムを施したロボとーちゃんを利用して世帯主を扇動して結成させた同盟。正式名称は「父よ勇気で強くなれ同盟」で、略して「父ゆれ同盟」の名前で呼ばれている。家庭に居場所がないために悩んでいる世帯主にとって、ロボとーちゃんの力強い訴えは魅力的に映ったようで、結成するや否や勢力を大きく伸ばし、ついには市庁舎を制圧するほどの勢いを見せた。しかし、堂勝の正体が黒岩仁太郎である事や、頑馬の作り出したロボットの存在などを知らされておらず、結局のところは黒岩の道具として利用されているに過ぎなかった。
場所
アクション幼稚園 (あくしょんようちえん)
野原しんのすけが通っている幼稚園。複数のクラスが存在するが、しんのすけが所属するひまわり組と、となりのクラスであるばら組は、担任同士の相性の悪さもあり、ライバル的な立ち位置となっている。しんのすけのほかにも、スポーツが得意だったり、頭脳明晰だったりと一芸に秀でた児童が多いが、つねににぎやかで児童や保護者からの評判もいい。校外学習の一環として、保護者同伴によるリバーサイドドデカシティへの遠足が企画されたが、その中でかすかべ防衛隊のメンバー達が、案内人を装った蘭々と頑馬の手により命の危険にさらされる。しかし、密かにあとをつけて来ていたロボとーちゃんに助け出され、無事に帰還する事ができた。
ウルトラスーパーエステティックサロン
腰を痛めた野原ひろしが、蘭々に紹介される形で訪れた整骨サロン。勧誘した蘭々の妖艶な様子も相まって、どことなく妖しげな雰囲気を漂わせており、ひろしと同行していた野原しんのすけからは若干冷めた目で見られていた。しかし、サービスとして無料で施術を行ってくれると言われたため、美人に弱い性格のひろしはろくに警戒心を持たないまま、むしろ嬉々としてウルトラスーパーエステティックサロンによる施術を受ける事を決めてしまう。その実態は、鉄拳寺堂勝が日本しつけ直し計画を遂行するためのアジトの一つで、主に鋼鉄親父の生産を目的として用意されたものである。施術を受けるために案内されたひろしは、即座に催眠ガスで眠らされたうえで囚われの身となり、その頭脳データをロボとーちゃんこと「鋼鉄親父第一号」に利用されてしまう。廃棄処理場としての役割も備えており、用済みとなったロボとーちゃんが頑馬に送り込まれ、その中で危うく処分されそうになるが、いっしょにいたしんのすけの活躍によって事なきを得る。さらにその道中で捕らわれていたひろしを救出し、三人で脱出する事に成功した。
リバーサイドドデカシティ
アクション幼稚園の児童と職員、および子供達の保護者が訪れた最新型複合施設。建設途中の段階だったが、管理会社がアクション幼稚園を名指しで招待したため、特別に校外学習の一環として利用された。建設作業はすべてオートメーション化されており、案内役として現れた蘭々と頑馬以外には誰もおらず、野原しんのすけ達が見学した際には、自動制御で動作する無数の機械が、建材を組み上げて工事を進めている場面が見られた。しかし実際は、あらかじめ頑馬がプログラムを施した機械を使い、しんのすけ達を抹殺する段取りが仕組まれており、管理会社からの招待状も、それを装った鉄拳寺堂勝による罠であった。頑馬のあやつる機械に誘導されたしんのすけ達は危うく高所から落下しそうになるが、密かにあとを追っていたロボとーちゃんの手によって助けられる。この事はロボとーちゃんの意向によって助けられた子供のみの秘密となったが、しんのすけ以外の子供達からもロボとーちゃんが慕われる一因となった。なお、地下には巨大ロボットを製造するための工場が内蔵されており、リバーサイドドデカシティはそれを隠すためのカムフラージュに過ぎなかった。
その他キーワード
日本しつけ直し計画 (にほんしつけなおしけいかく)
父親に家族の実権を握らせるべく、鉄拳寺堂勝が提唱した計画。ロボとーちゃんこと「鋼鉄親父第一号」が主婦を力づくで追い払う場面を見せつけ、その力強さにあこがれた世帯主を集って父ゆれ同盟を結成。春日部の町に男尊女卑を徹底させ、ついには市庁舎を制圧するまでに至る。しかし、野原しんのすけと野原ひろしを堂勝の手下に誘拐された事を聞きつけた野原みさえが堂勝に猛烈な抗議を行い、さらに洗脳を解除されたロボとーちゃんがみさえに加勢し、堂勝が撤退した事で、父ゆれ同盟も活動不能に陥った。これを受けた堂勝は、まずはロボとーちゃんを排除するために一旦計画を中断し、鋼鉄親父を率いて野原家を襲撃する作戦に着手した。
カンタム・ロボ
山田ジョンが偶然発見した巨大ロボット。劇中劇「超電導カンタム・ロボ 劇場版」に登場する。発見された当初はジョンの命令に従って稼働していたため、音声認識による操縦システムであると思われていた。しかし、戦いの中でコクピットが存在する事、さらに内部にはカンタム・ロボと瓜二つの容姿を持つ宇宙生命体である初代カンタムが存在していた事が明らかになる。その事実が発覚してからは、ジョンと初代カンタムの二人で操縦する形式となり、強化形態である「超カンタム・ロボ」への変形が可能となった。のちに侵略者のギルギロス大統領との戦いにおいて初代カンタムを失うが、彼とシーラの忘れ形見となったカンタムjrが新たに乗り込み、新たな敵であるアコギデス大王との決戦に臨んだ。
ドデカ頑固親父ロボ (どでかがんこおやじろぼ)
鉄拳寺堂勝としてのスーツを失い、鋼鉄親父を壊滅させられた黒岩仁太郎が、最後の切り札として運用した巨大ロボット。外見は堂勝に似ているが、その全長はビルにも匹敵しており、起動した際には格納庫のカムフラージュとなっていたリバーサイドドデカシティを瞬く間に全壊させたほど。さらに口元から自在に電撃を放出できるほか、電撃を収束させる事で必殺技である超絶雷落としを放つ事が可能。一方で、稼働させるためには大量の電力を必要としており、それが尽きてしまった場合、ランニングマシン型の人力発電を行う必要がある。圧倒的な巨体をもってロボとーちゃんを追い詰めるが、野原しんのすけと野原ひろしの尽力によって新種の動力オイルを注入されたロボとーちゃんが、ドデカロボひろしを構築した事で、勝負は互角になる。ドデカ頑固親父ロボをあやつる黒岩は超絶雷落としで対抗しようとするが、しんのすけがドデカろぼひろしをケツだけ星人形態に変形させ、それに翻弄された事で、超絶雷落としを不発にさせられ、さらに致命的なスキを作ってしまう。最後はひろしとロボとーちゃんによるダブル足くさバーニングキックが直撃し、破壊された。
ドデカロボひろし
新種の動力オイルを注入された事でパワーアップしたロボとーちゃんが、周囲のスクラップを吸収する事で形成された人型巨大兵器。ドデカ頑固親父ロボと互角の巨体とパワーを誇る。内部にはコクピットが存在し、ロボとーちゃん、野原ひろし、野原しんのすけの三人によって操縦される。分離および変形機構も搭載されており、しんのすけが下半身を分離させ、さらに「ケツだけ星人形態」に変形させる事によって、ドデカ頑固親父ロボの動きを封じる事に成功。上空で上半身との再合体を行い、ひろしとロボとーちゃんの協力技であるダブル足くさバーニングキックを放ち、ドデカ頑固親父ロボを破壊する事に成功した。
ギャラクシーワーストエナジー
アコギデス大王の必殺技。劇中劇「超電導カンタム・ロボ 劇場版」に登場する。宇宙空間に多数の雷光を発生させ、それを自在にあやつって敵対者を攻撃する。「スペース超カンタム・ロボ」に変形したカンタム・ロボに向けて放たれ、カンタム・ロボ本体に加えて、内部に搭乗していた山田ジョンおよびカンタムjrを絶体絶命の危機に陥れる。アコギデス大王はその様子を、小学校に迷い込んでマジックで眉毛を描かれた野良犬よりみじめだと嘲(あざけ)り、トドメを刺そうとする。しかし、アコギデス大王の体内から脱出を果たした初代カンタムと、その妻であるシーラによって防がれた。
アフターファイブひげニードル
ロボとーちゃんこと「鋼鉄親父一号」に搭載されている武装の一つ。あごひげから大量のニードルを発射し、広範囲に大きな被害をもたらす。洗脳プログラムが内蔵された付け髭を装着する事で鉄拳寺堂勝の傀儡となったロボとーちゃんが、世帯主に圧力をかける主婦やその子供の集団に向けて威嚇目的で放ち、その場から退散させた。その力強さを見た世帯主達はロボとーちゃんに心酔し、彼の呼びかけのもとで父ゆれ同盟を結成するに至った。
超絶雷落とし (ちょうぜつかみなりおとし)
ドデカ頑固親父ロボに搭載されている必殺武器。ドデカ頑固親父ロボは雷親父を意識して作られており、その影響から口元から雷を放出して攻撃を仕掛ける事が可能。その雷を凝縮する事で破壊力を高めた攻撃は、「超絶雷落とし」と呼称されている。ドデカ頑固親父ロボに搭乗していた黒岩仁太郎は、この攻撃を繰り出す事で一気にドデカロボひろしを破壊しようと目論む。しかし電力を充填している最中に、野原しんのすけの手によってドデカロボひろしがケツだけ星人形態に変形。その変態的な動きに気が散った事でチャージが解除されてしまい、超絶雷落としは不発に終わった。
ダブル足くさバーニングキック (だぶるあしくさばーにんくきっく)
ドデカロボひろしが使用する必殺技。分離した状態で空高く飛び上がり、空中で再合体を行い、目標に向けてダイビングキックを繰り出す。その際に、摩擦熱によって足が燃え盛り、破壊力が上乗せされる。野原ひろしとロボとーちゃんは、野原しんのすけがドデカ頑固親父ロボをかく乱して生じたスキを突き、上空に飛び上がってこの技を放ち、勝利を収めた。