概要・あらすじ
大和鮒子15歳。漁師だった亡き祖父が暮らした港町で強くまっすぐに生きてきた彼女だが、近頃どこかモヤモヤと心が落ち着かない日々が続いていた。だが、そんな鮒子の日常は、謎の下宿人・カトーが現れたことで一変する。実はカトーは海賊で、伝説の漁師だった鮒子の祖父・大和兆治郎がかつてたどり着いたという「宝島」の手がかりを探しにやって来たのだった。「海賊バンク」と呼ばれる島は、100兆円もの財宝が眠るものの、いまだ誰にも発見されていないという。その話をカトーを追って来た海賊たちに聞いた鮒子は胸を高鳴らすのだった。 鮒子16歳の誕生日の前日、彼女のもとに兆治郎からの手紙が届く。そこには、海賊バンクの島への地図の在り処が記されていた。地図を見つけた鮒子たちだったが、カトーに奪い取られてしまう。カトーは自らの海賊船で島を目指し、それを追うように鮒子も仲間とともに冒険の旅に出るのであった。
登場人物・キャラクター
大和 鮒子 (やまと ふなこ)
港水産付属高等学校一年の女子高生。ひたむきでまっすぐな性格。亡き母が最期に残した「強くたくましく生きて」という言葉を文字通りとらえさまざまな格闘技を習い、数々の大会で優勝しプロがスカウトに来るほどの実力者に育った。高校では異種格闘技部に所属している。幼いころは優しすぎる性格で、世界の環境問題や紛争に心を痛め、胃潰瘍をおこすほどだった。 祖父・大和兆治郎が暮らしていた港町で平凡な日常を送っていたが、カトーや干珠丸の海賊たちから海賊バンクの島の話を聞き、冒険に憧れるようになる。16歳の誕生日の前日、兆治郎が人に預けていた手紙を受け取り、隠していた誕生日プレゼントとして漁業の相続に関する書類や、海賊バンクの島への地図を手に入れる。地図はカトーに奪われたものの、鴨林と三浦とめ、潮たちと海賊バンクを目指して出航することになる。
カトー
海賊船「ファンタズマゴリア号」の船長。リーゼントで常にティアドロップのサングラスをかけている。愛車はデロリアン。大和鮒子の祖父、大和兆治郎の自伝を読み、彼が海賊バンクの島にたどり着いたことを確信、島への道筋の手がかりを探すため、身分を隠し鮒子の家に下宿人として現れた。幼いころ海賊の襲撃に合い、頭に銃弾を三発打ち込まれ海に放逐されてなお生き延びたという過去を持つ。 その経験から「不死身の男」と呼ばれ、命知らずな行動に出ることが多い。また、漂流中に巨大ザメトビミズチと遭遇しその姿に魅せられ、直接対決することを渇望している。
鴨林 (かもばやし)
港水産付属高等学校二年の男子高生。大和鮒子の異種格闘技部の先輩。筋骨隆々で、暑苦しい男。レスリングでインターハイ優勝経験のある実力者だったが、鮒子になすすべもなく敗北し、彼女に思いを寄せるようになる。カトーが鮒子に語った海賊バンクの島の話を盗み聞きし、鮒子たちと航海に出ることになる。地元の有力な網元、鴨林組の一人息子であり、鮒子たちの船「宝進丸」も彼が父から譲り受けた一隻。
三浦 とめ (みつうら とめ)
港水産付属高等学校二年の女子高生。家庭の事情で留年しているため、年齢は18歳。スタイル抜群で、豊満なバストの持ち主。海女として漁に出ていたとき、祖父の手紙に記された手がかりを探す大和鮒子と出会い、海賊バンクの島の話も知った。船舶免許を持ち、操縦士として鮒子たちの航海に同行することになる。
潮 (うしお)
鴨林組の漁師。大和鮒子たちの航海に、お目付け役兼機関長として同行する。まだ若く血気盛んなころ、タンカーの前を突っ切ろうとして接触、重油流出事故を起こし湾をひとつ死の海にしてしまった過去を持つ。そのトラウマに思い悩んでいたが、小学生のころ大事件を起こしてなお前向きな鮒子の姿を見て、立ち直った。
大和 鮪郎 (やまと まぐろう)
大和鮒子の父。平凡なサラリーマン。祖父・大和兆治郎が亡くなった後、鮒子を連れて兆治郎の家がある港町に引っ越した。自由奔放な鮒子を心配しつつも、彼女の意思を尊重し、見守っている。
大和 兆治郎 (やまと ちょうじろう)
大和鮒子の祖父。鮒子が10歳のとき亡くなった。昔ながらの一本釣り漁にこだわり、地元では伝説的な漁師として知られている。マグロ漁で一攫千金を掴むも、先物取引で借金を負うなど、バクチ打ちのような性格。かつて海賊バンクの島に一人でたどり着いたことがあり、その出来事を自費出版した自伝「突きん棒渡世 海、人生」に記していた。 鮒子のことは可愛がっており、「鮒子」という名も勝手につけたもの。また、船方の登録票や漁業権利書、愛用の突きん棒、海賊バンクの島への地図の隠し場所を記した手紙を、鮒子が16歳になったときに届くように手配していた。
スズキ
「ファンタズマゴリア号」の海賊の一員。ピエロのドクロのマスクを被った男。二本の青竜刀を携えているほか、二丁拳銃や投げナイフ、手榴弾で武装している。カトーの部下だったが、船が海賊バンクの島に近づいたころ、謀反を起こす。
干珠丸の船長 (かんじゅまるのせんちょう)
干珠丸の海賊のリーダー。臆病者のうえ、何かとウンチクを語りたがるため、船員たちからは煙たがられている。かつてトビミズチに襲われ、顔の大半と左足を失っている。カトーが干珠丸に乗り込んだのは、船長からトビミズチの情報を得るためだった。
集団・組織
干珠丸の海賊 (かんじゅまるのかいぞく)
漁船「干珠丸」に乗る海賊。船員は全員ルチャ・リブレのマスクを被っている。かつてはカトーもこの海賊の一味だった。無法者のの集まりではあるが、保険に入っている船以外は襲わず、船員たちも根っからの悪党ではなく、どこか憎めない性格の者ばかりである。カトーが探していた宝を追って、大和鮒子家に忍び込み、彼女を拉致した。 しかし、「底幽霊の海」に飛び込んでも生き延びた彼女を認め、敬うようになる。
ファンタズマゴリア号の海賊 (ふぁんたずまごりあごうのかいぞく)
最新鋭の軍艦「ファンタズマゴリア号」に乗る海賊。リーダーはカトー。船員は全員骸骨をモチーフとしたスーツを着用している。軍隊とも通じており、船も軍から手に入れたもの。
場所
海賊バンクの島 (かいぞくばんくのしま)
カリブ海のどこかに位置する島。18世紀前半の海賊黄金時代、海賊たちが盗品を現金化する拠点となっていたため「海賊バンク」と呼ばれるようになった。日本円にすると100兆円もの財宝が眠るといわれている。ただし、付近は海難事故多発地帯で、磁気嵐や無数の渦潮が発生し、さらに天候は不安定で厚い雲と霧に閉ざされており、地図なしにたどり着くことはほぼ不可能である。
その他キーワード
トビミズチ
カリブ海に生息する巨大なサメ。体重は推定5~6トンで、海面へ飛び上がることができる。サメたちを率い狩りをするなど、知能も高い。「トビミズチ」という名は大和兆治郎が命名したもので、干珠丸の船長は「ジャンピングシャーク」と呼んでいた。幼いころのカトーは漂流中にその姿を見て、心を奪われた。
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