概要・あらすじ
母の死から一年後、不思議な手紙を受け取った少年、犬丸が主人公。手紙の主は、母を焼いた火葬場の窯たきだった東義で、手紙には自分が犯してしまったある殺人のことが書かれていた。一年前の事件を知った犬丸と友人が、人間の残虐性や本質について考える心理劇。初出は1959年2月の『迷路4』だが、1966年12月、東考社から刊行された作品集『噂の武士』にリメイク作品が発表されている。
登場人物・キャラクター
犬丸 (いぬまる)
一年前に母を亡くした少年。母を焼いた窯たきの東義からの手紙を受け取り、母と他人の骨が交じっていることを知る。また、手紙に書かれた一年前のある殺人を知り、人間の残虐性について考える。
東 義 (あずま よし)
寝たきりの病人で、犬丸に手紙を送る。一年前は火葬場の窯たきをして働いており、犬丸の母親を火葬した。その際、窯に入って金品を漁っていた同僚の沼田を一緒に焼き殺してしまう。
沼田 (ぬまた)
東義の同僚だった青年。火葬場の窯たきで、窯に入っては金品を漁って自分の生活の足しにしていた。