あらすじ
かつて中二ミキサー連続殺人事件を起こした犯人の矢風文人は、正職に就くこともできず、ママ活をすることで生計を立てていた。ある日、マッチングアプリで知り合ったエリコに所持金を盗まれたことで、ラブホテルの一室から出られなくなってしまう。その頃、ラブホテルの外では、ゾンビと同じ特徴を持つ感染者が増殖し、地獄の様相を呈していた。一度は死を覚悟した文人だったが、母親から「死を選ぶなんて許されない。犯した罪を一生背負い続けろ」と言われたことを思い出し、なんとしても生き抜くことを誓う。ラブホテルの隣室にいた仮野女衣や、ラブホテルの清掃員、美沢との交流を重ねることで感染者についての情報を得ていく中、ラブホテル内ではさらに騒動が起きようとしていた。
登場人物・キャラクター
矢風 文人 (やかぜ ふみと)
ラブホテルの603号室に滞在している青年。黒髪をマッシュルームボブヘアにしている。中学2年生の時に「白蛇」と名乗り、四人の女子中学生を殺害および死体遺棄した「中二ミキサー連続殺人事件」を起こした殺人犯。何度か職に就いたものの、すぐに過去の犯罪歴が露見して続けられなくなり、中年女性との性的行為をすることで金銭を得るママ活で生計を立てていた。人間の死を身近に感じなければ勃起できない特殊性癖の持ち主で、矢風文人自身もこの性質に苦悩している。マッチングアプリで知り合ったエリコに所持金を盗まれ、ラブホテルに閉じ込められてしまう。都内に突如として出現し、増殖し続ける感染者に困惑しているが、以前自殺しようとした際に母親から「死を選ぶなんて許されない。犯した罪を一生背負い続けろ」と言われたことで、どんなことがあっても生き抜くことを誓っている。周囲には「ミナト」と名乗っている。
仮野 女衣 (かの めい)
ラブホテルの602号室に滞在している少女。黒髪のロングヘアをしている。アイドルグループ「むーとぴあ」のメンバーとして活動している。かつて地下アイドルだった頃は金銭的に困窮しており、アルバイトをしながら、中年男性との性的行為をすることで金銭を得るパパ活をすることで食いつないでいた。パパ活相手の岩陰が感染者になったあと、内線電話を使って隣室の矢風文人に連絡して助けを求めた。もともとは金髪のショートヘアで、一般受けはしなかったが、仮野女衣自身はこの時の容姿に戻りたいと考えている。
美沢 (みさわ)
ラブホテルの清掃員を務める女性。長い黒髪をうなじでまとめている。感染者がラブホテルに侵入して来た際、亀ヶ岡と共に604号室を清掃していたため難を逃れた。二人の子供を持つシングルマザーで、子供たちの安否を心配している。スマートフォンの充電が切れたため、客が充電器を持っている可能性に賭け、6階で唯一入室中の表示になっていた603号室にやって来て、矢風文人と知り合った。
亀ヶ岡 (かめがおか)
ラブホテルの清掃員を務める男性。黒髪を真ん中分けのショートヘアにしている。感染者がラブホテルに侵入して来た際、美沢と共に604号室を清掃していたため難を逃れた。感染者があふれている状況にも怖くないと言い切っており、バカな人間が間引かれてちょうどいいと発言している。美沢が604号室を出る時も、美沢の心配よりも感染者が侵入して来る可能性を一番に危惧していた。
エリコ
矢風文人とラブホテルに滞在していた中年女性。黒髪のロングヘアをワンレングスにしている。金銭支援を条件に少年たちと性的行為を行うママ活を行っている。マッチングアプリで「ミナト」と名乗る文人と知り合い、文人がシャワーを浴びている最中に財布から所持金をすべて抜き取り、ラブホテルを抜け出した。免許証の名前を確認して、文人の正体が中二ミキサー連続殺人事件の犯人であることを知ってから感染者と遭遇し、ラブホテルに戻って文人に助けを求めた。感染者がせまる中、文人がドアを開けないことに苛立(いらだ)ち、死の直前に「人殺し」と叫んだ。
岩陰 (いわかげ)
仮野女衣とラブホテルの602号室に滞在していた男性。短髪黒髪をオールバックにしている。女衣が地下アイドルだった頃から、金銭支援を条件に性的行為を行うパパ活を行っていた。廊下の様子を見るために精算し、扉を開けた際に感染者と出くわした。即座にドアを閉めたため嚙まれてはいないものの、感染者の血液や唾液を眼球に浴び、ウイルスに飛沫(ひまつ)感染して感染者となった。感染した可能性があることに気づいた瞬間、女衣に「できるだけきつく縛ってバスルームに閉じ込めてほしい」と頼んだ。
その他キーワード
感染者 (かんせんしゃ)
なんらかのウイルスに感染して死亡したのち、再び動き出して人肉を喰うようになった人間。当初は嚙みつかれるとウイルスに感染すると考えられていたが、感染者の血液や唾液が粘膜などに付着するだけで、ウイルスに飛沫感染することが判明している。
中二ミキサー連続殺人事件 (ちゅうにみきさーれんぞくさつじんじけん)
矢風文人が中学2年生の時に、「白蛇」と名乗って起こした連続殺人事件。四人の女子中学生が殺害された。文人はこの遺体に性的興奮を覚えて射精しており、さらにバラバラにした遺体の一部を自宅でミキサーにかけ、飲み干している。残りの身体は腐敗しないようクーラーボックスに保管していた。
書誌情報
不死と罰 6巻 秋田書店〈少年チャンピオン・コミックス〉
第1巻
(2022-04-07発行、 978-4253293419)
第2巻
(2022-08-08発行、 978-4253293426)
第3巻
(2023-02-08発行、 978-4253293433)
第4巻
(2023-07-06発行、 978-4253293440)
第5巻
(2023-12-07発行、 978-4253293457)
第6巻
(2024-06-07発行、 978-4253293464)