概要・あらすじ
山に国を築く山国と海岸線に国を築く海国は、それぞれ相手の領地を手にしようと、戦争を繰り広げていた。しかしその2つの国をつなぐ唯一の道の中間に竜が巣を作り、卵を産んでしまった。子を守るために、竜は近づくものを攻撃し、戦争どころか行商人たちも国と国を行き来できず、交易もままならなくなっていた。特に港を持たない山国では、国内で生産できない塩などの物品が不足してしまっていた。
しかしある時山国で、竜の目を掻い潜り巣を越えてきた海国の人間が捕らえられた。その海国人の青年サナンは海国では潮風のために育たない芋が必要だったため、ここへやって来たという。彼を疑いながらも、塩不足を問題視していた山国は、塩を持ち帰ることを条件に、サナンに芋の根をもたせ開放する。
山国の兵隊長の娘であるユルカは、海国の人間であるサナンを信用出来ないと反対するも、実際に塩を持ち帰り、その後も交易を繰り返すようになった彼に、少しずつ心を開いていく。しかし時は流れ、龍の子の巣立ちが近づき戦争がまた始まろうとしていた。
(第一話「竜の小塔」)
登場人物・キャラクター
ユルカ
山に領地を持つ山国で兵隊長を務める父を持つ少女。海岸線に領地を持つ海国に対する敵対心が強く、海国で生産できない芋を入手するためにやって来た海国の人間、サナンを信用しようとしない。しかし山国との交易を繰り返し、度々山国にやってくるサナンと触れ合っているうちに少しずつ彼と打ち解けていく。 戦争で山国が勝利し、2国の統一が叶ったら、海を見てみたいと考えている。
準 (じゅん)
人魚が生息している町に住む男子高校生。陸で気を失っている人魚を発見し、介抱したり。頑なに陸に上がろうとする人魚に善意から手を貸すなど、言葉を喋らない人魚とも通じ合えると考えている。しかし、そういった考え方から、過去のとある出来事をきっかけに人魚をよく思っていない友人、浜と意見が衝突してしまう。
梅谷 啓太 (うめたに けいた)
WWS(狼男症候群)という、一定周期で狼になってしまう病気を患っている大学生。病気のために普通の生活が送れないことに悩んでいる。母である梅谷ゆかりは彼の育児経験をもとに漫画を描いたり、講演会を開いており、梅谷啓太はそのことに疑問を抱きつつも、深い愛を感じている。 母からはケー太くんと呼ばれている。
ヨウ
数年前事故で息子と夫をなくした女性。ある日、身を寄せていた集落に国の王子が現れ、竜の鱗を手に入れるために巣への案内を募っていた。王子は竜の鱗を手に入れ、父である国王の病を治したいと言う。ふと、昔お母ちゃんのためだといって花を積んできた息子の顔がよぎり、道案内を引き受けることにしたヨウ。 しかし彼女にはとある秘密があった。