永遠の時間が流れる巨大な「マンション」
メゾンたちが暮らす「マンション」は、多種多様な種族が共存する巨大なタワー型の施設。住居や店舗が混在し、外の世界とは異なる独自の時間が流れている。マンションには独自のルールが設けられており、違反者は「マンションマン」と呼ばれる存在によって「リサイクル」と称される処分を受ける。リサイクルの対象となった住人は命を奪われ、その存在はマンション自体と一体化させられる。さらに、マンション本体も時の流れを歪めることで倒壊を免れているに過ぎない。外の世界では、太陽の異常な活動により、生物が生存できないほどの高温の大地が広がっている。もし時間の流れが正常に戻れば、マンションは倒壊し、それと共に人類も絶滅する運命にある。
大家、メゾンの決意とジンケンの悲劇
ある日、マンションの中心にある施設から、二人の赤ん坊が誕生した。彼らはそれぞれ「メゾン」「ジンケン」と名付けられ、メゾンは「大家」、ジンケンは「人権委員」という役職を継ぐために育てられた。13年後、正式に大家の役職を引き継ぐことを決めたメゾンは、仕事の詳細を学ぶために「自治会」に参加する。一方、ジンケンは「面白い場所を見つけた」と言ってメゾンを冒険に誘うが、メゾンは「もう遊んでばかりはいられない」と断る。ところが、それからわずか数時間後、メゾンはニュースでジンケンがリサイクル処分を受けたことを知り、突然の知らせに驚きと悲しみを覚える。ニュースを伝えたマッキーは、ジンケンがマンションの禁忌に触れたため、「マンションマン」にリサイクルされたのだろうと推測する。この理不尽な出来事に憤りを感じたメゾンは、大家としての役割を果たしながら、マンションに秘められた謎を解き明かし、ジンケンの無念を晴らすことを決意する。
ルール違反者を裁く「マンションマン」
マンションの住人たちが恐れる存在、「マンションマン」は、全身を頑丈な外皮で覆った怪人。胸部には大きな穴が開いているものの、驚異的な生命力と自己再生能力を備えている。マンションマンは、ルールを破った住人に対して「リサイクル」を執行する役割を担っており、リサイクルの対象となった人間がマンションマンと遭遇すれば、まず助かることはないと言われている。しかし、彼らは対象者以外には危害を加えることを好まず、無関係の人間がリサイクルを妨害しても制裁を受けることはない。実は、マンションマン自身も他者から与えられた役割をただ果たしているに過ぎず、内心ではその役割から解放されることを願っている。
登場人物・キャラクター
メゾン
時間が永遠に流れる「マンション」の大家を務める少女。年齢は14歳。先代の大家が禁忌に触れ、「リサイクル処分」されたことを受け、自治会長によって新たな大家として育てられた。幼い頃から家族同然に育った少年、ジンケンと共に、マンションのさまざまな場所を巡っていた。14歳の誕生日を間近に控え、大家としての役割を学ぶために勉強を重ね、自治会に出席して大人たちと交流を深める。しかし、その矢先にジンケンがリサイクルの対象となったことを知り、少女はマンションの歪んだルールに疑問を抱く。やがて正式に大家に就任し、自治会から与えられた任務をこなしながら、彼らに内緒でマンションの謎を解き明かそうと奔走している。
ジンケン
メゾンと同じ日に生まれた少年。年齢は14歳。生まれてすぐに自治会長に引き取られ、メゾンとはまるで姉弟のように育てられた。生まれながらにして人権委員に任命されることが定められており、その役割を受け入れつつも、旺盛な好奇心からマンションの謎を探り続けていた。しかし、その探求心がマンションの禁忌を破ったとみなされ、「マンションマン」の標的となってしまう。結果として、ジンケンはマンションマンの手によってリサイクル処分されることとなった。
クレジット
- 原作
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田中 空
書誌情報
人喰いマンションと大家のメゾン 2巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2025-07-04発行、978-4088846750)
第2巻
(2025-10-03発行、978-4088847702)







