Thisコミュニケーション

Thisコミュニケーション

六内円栄の初連載作にして代表作。20世紀後半、地球に突如現れた謎の生物「イペリット」によって人類の大部分が滅ぼされ、地上が有毒ガスで汚染された世界における、人類の生存競争を描いた物語。食料を求めて単身で長野県の研究施設へ向かった元軍人のデルウハは、施設で肉体改造された少女たち「ハントレス」の指揮官として防衛任務を担うことになる。しかし、神父の吉永がテレパシー能力によりデルウハを悪魔と見なし、対立してしまう。デルウハとハントレスたちが、施設の自給自足システムを維持しながら、イペリットの脅威と内部抗争の両方に対処していく中、ハントレスの生体改造技術や施設の運営システムが次第に明らかになっていく。本作は、ポストアポカリプス世界における生存戦略と人間関係の描写を特徴とするサバイバルサスペンス。イペリットの異形生物的なデザインや有毒ガス汚染による環境破壊、地下施設における閉鎖的空間での心理戦が特徴で、生体兵器化されたハントレスと人権問題の対比、宗教的狂信と科学的合理主義の衝突を軸とした人間関係が描かれる。集英社「ジャンプSQ.」2020年5月号から2024年4月号まで連載。

正式名称
Thisコミュニケーション
ふりがな
でぃすこみゅにけーしょん
作者
ジャンル
サバイバル
 
終末・ディストピア
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊12巻
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作品の概要

基本情報

六内円栄の初連載作にして代表作。

要旨と舞台設定

20世紀後半、地球に突如現れた謎の生物「イペリット」によって人類の大部分が滅ぼされ、地上が有毒ガスで汚染された世界における、人類の生存競争を描いた物語。生き残った人類は地下施設に避難し、最後の砦として長野県にある研究施設を防衛拠点にしている。元軍人のデルウハは、食料を求めて単身長野へ向かった際に、施設で救助されることとなる。

ストーリー展開

デルウハはその経歴が評価され、施設で肉体改造された少女たち「ハントレス」の指揮官として、防衛任務を担うこととなる。一方、施設内では神父の吉永がテレパシー能力により、デルウハを悪魔と見なして対立することとなる。デルウハとハントレスたちは施設の自給自足システムを維持しながら、イペリットの脅威と内部抗争の両方に対処していく。その過程で、ハントレスの生体改造技術や施設の運営システムが明らかになっていく。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、ポストアポカリプス世界における生存戦略と人間関係を描いたサバイバルサスペンス。倫理観を超えた合理的判断や人体改造の是非といった要素が物語に組み込まれ、戦略的思考と心理描写が融合した構成となっている。

作品固有の表現技法と特徴

作中では、生体兵器化されたハントレスと人権問題の対比、宗教的狂信と科学的合理主義の衝突を軸にした人間関係が描写される。イペリットの異形生物的なデザインや有毒ガスによる環境破壊、そして地下施設という閉鎖的空間での心理戦が特徴となっている。

世界観の構築と設定

世界設定として、イペリットによる地上環境の完全破壊、有毒ガス汚染による居住不可能地域の拡大、さらに地下施設の自給自足システムが構築されている。ハントレスの生体改造技術と狩猟能力による食料確保システムなど、科学的な生存戦略が物語の基盤となっている。

連載状況

集英社「ジャンプSQ.」2020年5月号から2024年4月号まで連載。

謎の生物「イペリット」に追い込まれた人類

『Thisコミュニケーション』は21世紀の地球を舞台としているが、その様相は現実とは大きく異なる。地上はガスに覆われ、人類はエベレストやモンテローザなどの高地に避難し、辛うじて生き長らえている状況となっている。このガスは20世紀後半に突如として出現した謎の生物「イペリット」が散布したものとされているが、詳細は不明。多くのイペリットは円筒型で、舌が生えており、人間の数倍の大きさにまで成長する。体積の半分ほどをバラバラにすれば殺すことも可能だが、戦車や地雷を駆使してやっと対抗できるほど強力で、一般人が生身で立ち向かえるような相手ではない。特に厄介なのが人間の脳を取り込んだ「人付き」と呼ばれる個体で、生前の性格を引き継ぎながらもイペリットとしての欲求に駆られて、知性を武器に人間を殺そうとする。また、イペリットの死体を吸収して巨大化する能力も備わっている。ほかに「トゲ付き」「ハネ付き」などの新型も確認されている。

倫理観の欠如した主人公

主人公のアンドレア・デ=ルーハ(デルウハ)は、スイス国軍からUNA(世界連合軍)へ招かれた優秀な軍人だが、徹底した合理主義者で、その方が都合がいいと判断すれば味方でも容赦なく殺してしまう。そのため、指揮官として辣腕を振るっていたモンテローザでは、敵のみならず味方からも「悪魔」と恐れられていた。部隊の勝利だけでなく、自らが生き残ることにも貪欲で、部下の足を撃っておとりにしたり、不要になった仲間を殺して食糧を独占したりと、非倫理的な行為は枚挙にいとまがない。UNAの瓦解後は日本に渡り、不死身の戦士「ハントレス(女狩人)」たちを指揮して研究所を守るようになった。その軍事的な手腕から防衛の要として頼りにされているが、致命的なまでに運が悪く、部下を皆殺しにしないと収拾がつかないような窮地に陥ってしまうことも多い。多感な少女たちを愛用の手斧で淡々と殺害していく姿は、ホラー映画の殺人鬼さながらである。

デルウハに記憶を弄ばれる不死身の「ハントレス(女狩人)」たち

「旧日本軍の研究所が決戦兵器を開発している」との噂を頼りに、訪日したデルウハが率いるようになった戦士たちが「ハントレス(女狩人)」である。研究所で運用されている六人のハントレスは、いずれも供出された思春期の少女だが、薬物によって人間離れした怪力と不死身の肉体を手に入れている。その戦闘能力は、特殊な砲弾を使用しないと倒せないほど強靭な謎の生物「イペリット」と剣で近接戦闘を繰り広げるほどで、戦いに長けたハントレスであれば単独で、ほかのハントレスでも二人いればイペリットを倒すことができる。耐久力は一般人と大差ないが、肉体の損傷が基準を超えると仮死状態となり、8時間ほどで「死亡する1時間前の状態」に再生する。これは肉体の損傷が完全に回復することを意味しているが、記憶についても「死亡する1時間前の状態」に戻ってしまうため、その戦闘で得た経験を次に生かせないという欠点がある。デルウハは前述の特性を不都合な記憶を消去する目的で利用することを思いつき、ハントレスを適宜殺害することで部隊の人間関係を維持している。

登場人物・キャラクター

デルウハ

元スイス軍人兼UNA(世界連合軍)の指揮官を務める男性。薄桃色の髪を逆立てている。食事が唯一の楽しみで、食事を楽しむためならどんなことも厭(いと)わないと豪語している。頭脳明晰(めいせき)で合理的思考が服を着て歩いているような人物で、戦闘能力や指揮能力が高く、砲術も得意で敵に必ず的中させる。だが倫理観を持ち合わせておらず、仮に味方であっても、隊の秩序維持の邪魔になる者は躊躇なく殺害したり、自らの延命のために囮(おとり)にしたりと、傍若無人に振る舞っている。よみたちハントレス(女狩人)が「一定の損傷を受けると仮死状態になり、死の直前1時間分の記憶を失った状態で再生する」という特性を持つことを利用して、ハントレスを状況に応じて殺害し、自分に都合のいい組織として編成している。本名は「アンドレア・デ=ルーハ」。

よみ

ハントレス(女狩人)と呼ばれる存在。薬によって肉体改造を施された少女で、4番目に作られた。濃い茶髪をショートカットにしている。動体視力、身体能力に優れており、一人でもイペリットに対抗できるほど戦闘能力が高い。強い存在であることに固執しているため、自分より弱い人間には従いたくないと考えている。勝ち気な性格でハントレスの仲間にも暴言を吐くことが多く、単独行動も目立つ。イペリットの幼体が苦手で、写真を見ただけで悲鳴を上げるほど。

書誌情報

Thisコミュニケーション 12巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2020-08-04発行、978-4088823935)

第2巻

(2020-12-01発行、978-4088824987)

第3巻

(2021-04-01発行、978-4088826035)

第4巻

(2021-08-01発行、978-4088827421)

第5巻

(2021-12-01発行、978-4088828565)

第6巻

(2022-04-01発行、978-4088830834)

第7巻

(2022-08-04発行、978-4088832043)

第8巻

(2022-12-02発行、978-4088833217)

第9巻

(2023-04-04発行、978-4088834580)

第10巻

(2023-08-04発行、978-4088835952)

第11巻

(2023-12-04発行、978-4088837192)

第12巻

(2024-05-02発行、978-4088840291)

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