人魚のナミダ

人魚のナミダ

古くから人魚が災いをもたらすと伝えられてきた港町で、小さな頃に美しい瞳を持つ人魚の男の子に助けられた少女、美飛。美飛は7年後、助けてくれた人魚の男の子と再会する。人間の女の子と人魚の男の子が運命に翻弄されるピュアで切ないラブストーリー。小学館「ちゃお」2021年5月号から7月号まで連載の作品。

正式名称
人魚のナミダ
ふりがな
にんぎょのなみだ
作者
ジャンル
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概要・あらすじ

美飛の住む港町には、こんな言い伝えがある。「その昔、人魚が不思議な力を使って、港の船を沈めてしまった」と。以来、人魚は不吉の象徴として恐れられてきた。美飛は人魚を怖がる水泳教室の子供たちに「人魚は優しくてキレイなんだよ」と教えていた。なぜなら7年前、海で溺れた美飛を助けてくれたのは、人魚の男の子だったから。彼はとてもきれいな瞳をしていた。もう一度、彼に会いたいと、海に向かって人魚に呼びかけることを日課にしていた美飛。ある日美飛は、幼なじみのからもらった真珠を落とし、拾おうとしたときに足を滑らせ、海に落ちてしまう。波が荒くて沖に流されてしまい、溺れる寸前にあの時の人魚の男の子が助けに来てくれた。人魚の男の子は美飛から呼ばれていることを知っていたが、人間から嫌われている自分が姿を現せば、美飛に迷惑がかかると、美飛を陰ながら見守っていたのだという。人魚は美飛を助け、落とした真珠を一緒に探してくれた。美飛は瞳のキレイな人魚に「シンジュ」と名付け、海に帰ろうとする彼に「ずっと一緒にいたい」と懇願する。そこへ美飛を探していた凪が「両親が心配しているからすぐに連絡して」と美飛に声をかける。美飛が電話をかけに行き、シンジュと二人きりになった時、凪は「人魚と一緒にいれば美飛が迫害される。人間と人魚は一緒には生きられない。いますぐ消えてくれ」とシンジュに話すのだった。「やっぱり人魚(ぼく)じゃダメなんだ」とシンジュは三日月の空を見上げる。その日から彼は姿を現さなくなった。そして、満月の夜。美飛の呼びかけに答え、帰ってきたシンジュ。シンジュは美飛に足を見せた。彼は神様に「どうか人間にしてください」とお願いし、その願いを叶(かな)えてもらったのだという。こうしてまたシンジュに会えたことを喜ぶ美飛だったが、シンジュの瞳がキラキラして見えないのは、夜の闇のせいだけではない気がしていた。

登場人物・キャラクター

美飛 (みとび)

港町に住む女の子。7年前に溺れたところを人魚の男の子に助けてもらった。以来、海に向かって人魚の男の子に呼びかけることを日課にしている。まっすぐな性格でお人よし。一度信じると決めたことは信じぬく信念を持っている。両親は漁師で、飲食店でアルバイトをしている。夏休みは小さな子供たちに水泳を教える。いつもポニーテールにしている。

シンジュ

人魚の男の子。遠い海で家族とはぐれて、美飛たちの住む港町にたどり着く。7年前に溺れている美飛を助けた。美しい瞳と整った顔立ちをしている。「シンジュ」という名は美飛がつけてくれた。人魚が町の人たちから嫌われていることを知り、隠れて美飛を見守る。美飛が自分に呼びかけてくれていることが心の支えだった。

(なぎ)

美飛の幼なじみの男の子。美飛と同じ港町に住み、親と共に漁に出ている。黒髪で少しつり目のぶっきらぼうな男の子。美飛のことが好きで、お嫁さんにしたいと思っている。人間を裏切った種族の人魚を敵対視している。

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