あらすじ
食品メーカー「中元フーズ」の商品企画課で働く水野雫は、上司で主任の宇田川の細かすぎる指摘を受けて意気消沈しつつも、気持ちを奮い立たせてバリバリと業務をこなしていた。というのも今日は、水野にとって月に一度の楽しみである、ネットで話題の寿司屋に行く日だったからだ。迎えた終業後、水野は予約していた六本木の「鮨海界」を訪れる。店内には、先客として一人の青年がいた。彼と二人、大将の握る寿司を食べ始めた水野は、その味に舌つづみを打ちながらも、大将と会話をする先客の青年の豊富な知識に驚きを隠せずにいた。どこか見覚えのある気がする青年をそれとなく観察するうち、水野は彼が上司の宇田川であることに気づく。以降、二人は会社とは違った、どこか親し気な会話を交わしながら寿司を楽しみ、宇田川は水野の意外にも鋭敏な舌に興味を覚えていた。ひとしきり寿司を堪能したあと、宇田川の寿司に関する知識に感服した水野は、店を出たところで彼に、月に一度、自分といっしょに寿司屋に行ってほしいと願い出る。(エピソード「鮨海界」)
登場人物・キャラクター
水野 雫 (みずの しずく)
食品メーカー「中元フーズ」の商品企画課に所属するOL。黒髪ロングヘアで、朗らかな性格をしている。市場調査の結果や客からの声をまとめ、会議用の資料を作ることを主な業務としている。地味ではあるものの大事な仕事であると、水野雫自身もやりがいを感じて仕事に励んでいるが、何かと細かいことを指摘してくる主任の宇田川のことを苦手としていた。昼食は毎日手作りの弁当持参で、それにより浮いた食費で月に一度、ネットで調べた人気の寿司屋に行くのを趣味としている。これは、1年前に就職祝いで連れて行ってもらった寿司屋の写真を、SNSにアップしたところ「いいね」がたくさん付いたことが発端となっている。食に関する知識はそれほど深くはないものの、寿司のシャリの違いに気づいたりと鋭敏な舌の持ち主で、酒も結構いける口。六本木の「鮨海界」でたまたま宇田川と出会い、食に関することをいろいろ教えてもらって以来、彼といっしょにさまざまな寿司屋を訪れるようになる。ただし寿司屋巡りをしていることは、宇田川以外の会社の人には秘密にしている。
宇田川 (うだがわ)
食品メーカー「中元フーズ」の商品企画課で主任を務める青年で、水野雫の上司。黒髪のショートヘアだが無造作な髪型で、前髪は目が隠れるほどに長く、眼鏡をかけている。無精ひげを生やした、どこかだらしない印象の人物。一方で仕事には厳しく、水野のミスを細々と指摘することがあり、彼女に苦手意識を抱かれている。昼食は毎日手作りの弁当持参で、それにより浮いた食費で週に一度、高級な寿司屋に行くのを趣味としている。すでに200軒以上は食べ歩いていることもあって食に関する造詣が深く、一口食べただけで産地を言い当てたりと舌も確か。また、食材に応じて飲む酒を変える食の通人でもある。六本木の「鮨海界」でたまたま水野と出会った際、さまざまな知識を披露したことで彼女に気に入られ、水野のたっての願いを受けて、月に一度いっしょにさまざまな寿司屋を訪れるようになる。ちなみに、寿司屋に行く際は髪を整えて前髪を上げ、眼鏡も外して無精ひげを剃り、きりっとした顔立ちに変貌するため、鮨海界で出会った水野にも、しばらくは宇田川であることがわからなかった。ただし寿司屋巡りをしていることは、水野以外の会社の人には秘密にしている。
香坂 舞衣 (こうさか まい)
食品メーカー「中元フーズ」の営業部に所属するOL。金髪ロングヘアのクールでゴージャスな美人。営業部のエースと目されるバリバリのキャリアウーマンで、社内でも一目置かれている。
クレジット
- 原作
書誌情報
今夜、寿司屋で。 〜至福の日本酒〜 3巻 ホーム社〈集英社ホームコミックス〉
第2巻
(2022-08-19発行、 978-4834233117)
第3巻
(2022-12-19発行、 978-4834233131)