現在と過去を行き来するストーリー
大学3年生の成田佐穂子が、東京で行われている高校の同窓会に参加するところから物語は始まる。仲が良かった稲葉杏那、渡辺理湖らと旧交を温める中、佐穂子が探していたのは小柴葵の姿だった。葵の名を聞くといまだにドキリとしてしまう佐穂子は、彼女に会えたら確かめたいことがあったのだ。本作は、佐穂子の大学3年生の冬と高校2年生の夏を行き来するストーリー構成が特徴で、佐穂子と葵の出会いや、恋とも友情ともつかない思春期ならではの複雑な想いを丁寧に描いていく。
養殖女子×天然女子の青春物語
中学まで超絶地味なモブ女子だった主人公・佐穂子は、自分を知る者が誰もいない南陽高校に入学。外見を磨き上げ、人気者の杏那、理湖と友達になり、クラスのトップ3と言われるまでになる。佐穂子は、外面を重要視し、自分をかわいく演出することに必死な「養殖女子」であった。そんな佐穂子の憧れが葵である。彼女はまわりの目を気にせず、男子に混じって遊ぶことができる、自然体の「天然女子」だった。葵と仲良くなろうと、話しかけた佐穂子だったが、ある勘違いから動揺してしまう。そして、嫌われたくない一心の佐穂子は、なぜか葵にキスをする。二人は一時ギクシャクするが次第に打ち解け、恋愛か友情かわからない曖昧な感情を発展させていく。
自分の感情に気づく杏那
佐穂子と葵の関係の変化は、周囲にも影響を与える。クラストップ3の一人でハーフの杏那は、何事にも動じないクールな性格。アルバイト先の大学生に告白されて交際し、キスをしても何も感じない。毎度のことだが、誰と付き合っても何かしっくりとこないのだ。そんな杏那は、佐穂子と親しげな葵に嫌みを言ったり、イラつきを感じたりしてしまう。ある日杏那は、佐穂子、理湖とのカラオケで、「採点で1位になった人が最下位に命令できる」という恒例のゲームを行う。その結果1位になった理湖は、最下位の佐穂子に「杏那へのキス」を命令する。思わぬことに動揺する佐穂子だったが、リア充の彼女らについていくためにキスを敢行した。一方、全身の火照りを感じた杏那は、自分のことをようやく理解することになる。
登場人物・キャラクター
成田 佐穂子 (なりた さほこ)
南陽高校2年生の女子。両親、弟一人と暮らす。中学時代は地味なモブ子だったが、高校デビュー。外見に磨きをかけ、誰もが振り返るキラキラ女子に変身した。クールな稲葉杏那、小動物系の渡辺理湖と共に、クラスのトップ3に君臨し、外面を良くするためには努力を惜しまず、インスタも頻繁に更新している。自分とは異なり、自然に輝いている小柴葵に憧れる。葵を追いかけるように、「家庭科部」に入部した。
小柴 葵 (こしば あおい)
南陽高校2年生の女子。ショートカットが特徴。母を亡くし、父は仕事で忙しいため、4人の弟の世話をしている。そのため、中学時代に熱中していたバスケを諦め、高校では「家庭科部」に入部している。男子の友達が多く、周囲の目を気にせず自然体で振る舞う姿がキラキラしており、成田佐穂子の憧れの存在となっている。
クレジット
- 原作
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竹岡 葉月
書誌情報
今日、小柴葵に会えたら。 全4巻 一迅社〈REXコミックス〉
第1巻
(2019-07-29発行、978-4758068208)
第2巻
(2020-06-27発行、978-4758068703)
第3巻
(2021-07-27発行、978-4758069359)
第4巻
(2022-07-27発行、978-4758069915)







