元カノの娘と同居する中年男性
大手生命保険会社に勤務する寛治は、安定した人生を好み、家族を持つことはリスクでしかないと考えている40歳独身男性である。ある日、元恋人の唐草マリアが交通事故死したという知らせが届き、葬儀に出席した寛治は、そこでマリアの一人娘の凛透(リスク)と出会う。リスクは祖母が信心している新興宗教からマリアの遺骨を奪い、葬儀場から逃げ出そうとしていた。「母の遺言で遺骨を海に撒きたい」というリスクは、ある住所を寛治に告げる。そこは寛治が17年間住んでいる、崖っぷちに立つ一軒家だった。リスクを連れ戻そうとする宗教関係者を制止した寛治は、リスクを引き取ることを宣言。寛治は、自分が臆病だったためにマリアを救えなかった過去と現在の状況を重ねていたのだ。こうしてリスクと同居することになった40男は、母親譲りの自由奔放なリスクに振り回されることになる。本作は、擬似親子となった二人を中心に「家族とは何か」というテーマを、コミカルに描いたヒューマンドラマである。
寛治とマリアの関係
寛治とマリアは同い年の幼馴染である。「人生ノーリスク」がモットーの寛治とは正反対に、マリアはワクワクすることが大好きで「リスクなくして成長はない」と考える女性だった。23歳の時、遊び場だった崖っぷちに建てられた新築の家を気に入ったマリアは、毎日海を見ていずれ散骨されることを考えながら生きたいと笑った。それからしばらくして、寛治は崖っぷちの家を購入しマリアにプロポーズするが、あっさり断られる。すでにマリアはアメリカへ行くことを決めていたのだ。その後マリアはアメリカで結婚し一人娘のリスクを儲けるが離婚しシングルマザーになった。27歳の時、寛治は幼いリスクと共に帰国したマリアと再会するが、何もアクションを起こさなかった。あの時、自分が後先考えずにマリアと再婚していれば、彼女が亡くなることもなかったかも知れない。マリアそっくりのリスクに助けを求められた時、寛治は今更ながらマリアを助けたかったことに気づく。
腐れ縁の幼馴染との再会
マリアに好意を寄せていた同い年の幼馴染は、寛治の他に二人いる。自称ミュージシャンの職人、弁士大次郎(ベンジ)と漫画家の網代一義(アジロ)である。23歳のとき、寛治がマリアにプロポーズすると聞いた二人は、身を引くことを決め、寛治とは二度と会わないことにした。それから17年、マリアが亡くなったことを知った二人は、マリアたちとよく遊んだ崖っぷちにやってきて、寛治との再会を果たす。マリアと結婚しておらず、血の繋がらないリスクと同居していることを知った二人は、寛治の不甲斐なさをなじり、崖っぷちの家に居座ることを決めた。こうして、新たにおじさん二人が加わり、寛治と女子高生の同居生活はますます混迷を極める。
登場人物・キャラクター
吉住 寛治 (よしずみ かんじ)
青界生命年金事業部に勤務する40歳の独身男性。東京大学理学部卒業のエリートで、日本に2000人程しかいないという年金アクチュアリー正会員で、役職は課長。リスクを極端に嫌い、安心安定の生活を送るため家族を作らないことに決めていた。23歳のとき、幼馴染の元恋人、マリアのために、崖っぷちの家を購入してしまい、以来17年間そこに住んでいる。マリアの訃報が届き、訪れた葬儀場で彼女の一人娘のリスクと出会い、ひょんなことからリスクと同居することになる。幼馴染からは「かっちゃん」「カッチン」と呼ばれている。
唐草 凛透 (からくさ りすく)
15歳の女子高生。寛治の元恋人、マリアの一人娘で、通称は「リスク」。母が亡くなり、祖母が信心する怪しい新興宗教の家に引き取られそうになるが、母の遺骨を盗んで逃走する。寛治に助けられ、同居生活を送ることになる。容姿も性格も母にそっくりで、自由奔放な振る舞いが特徴。学費を免除されるほどの成績優秀者だが、授業中は寝ており、ドリルの解答を販売して商売をする問題児である。
クレジット
- 原作
-
鳥 トマト
書誌情報
俺のリスク 4巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2024-01-30発行、978-4098626311)
第2巻
(2024-04-30発行、978-4098627608)
第3巻
(2024-06-28発行、978-4098630066)
第4巻
(2024-09-30発行、978-4098630189)







