先生の白い噓

先生の白い噓

高校教師の原美鈴を中心に、性に嬲られ、噓に蹂躙される、男女間の性の問題について真摯に向き合って描かれた、究極のヒューマンラブストーリー。講談社「月刊モーニングtwo」2013年10月号から2017年11月号にかけて連載された作品。2024年7月5日実写映画化。

正式名称
先生の白い噓
ふりがな
せんせいのしろいうそ
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊8巻
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あらすじ

第1巻

桜丘高校教師の原美鈴は、担任を受け持っているクラスの男子生徒・新妻祐希が年上の女性とラブホテルから出て来たという噂話が、校内で話題になっている事を職員会議で知る。さらに美鈴は教育指導の教師から、新妻に事情聴取したうえで生徒指導するように頼まれる。放課後、新妻を指導室に呼び出した美鈴は、新妻が本意ではなく男女関係を迫られてしまった事実を知る。その話を聞き、美鈴は4年前に親友の渕野美奈子の恋人だった早藤雅巳に強姦されて以来、性的関係を強要され続けている自身の境遇と重ね合わせてしまうのだった。

第2巻

原美鈴は、新妻祐希の問題を解決できず、感情的になってしまった事を後悔していた。そんな矢先、美鈴が担任しているクラスの女子・緑川椿が、グラビアアイドルとして雑誌デビューしている事が発覚する。美鈴は椿を職員室に呼び出し、もっと自分の体を大事にしなさいと説く。しかし、椿からは他人にそんな事を言えるほど先生は自分を大事にしているのかと反論され、何も言えなくなってしまう。その後も椿の言葉がずっと胸に残り続ける事となり、美鈴は意を決して早藤雅巳を呼び出し、勇気を出して性的な関係を終わりにしたいと別れを切り出す。だが、早藤との心理戦に負けた美鈴は、関係を終わらせるどころか、再びセックスを強要されてしまう。

第3巻

自分の話を親身になって聞いてもらった事をきっかけに、新妻祐希原美鈴の事が気になり始めていた。そんなある日、学校の廊下で美鈴とぶつかりそうになった新妻は、彼女が落としたスマートフォンを拾い、早藤雅巳と美鈴の関係を知ってしまう。新妻は美鈴の家を訪ねて自分の気持ちを打ち明け、危ない目に遭いそうな時に使ってほしいと防犯ブザーをプレゼントする。

第4巻

新妻祐希から告白を受けた原美鈴は高ぶる気持ちを覚えながら、どう返事をしたらいいのかと考えていた。そんなある日、隣宅の宮坂から、庭にある大きな木をなんとかしてほしいと頼まれる。新妻の祖父が植木屋を営んでいた事を思い出した美鈴が、庭の植木の剪定を依頼すると、新妻の祖父を手伝うため、新妻もいっしょにやって来た。これをきっかけに、美鈴は急速に新妻との心の距離を縮めていく。

第5巻

新妻祐希とお互いの気持ちを確認し合った原美鈴は、切迫流産で産婦人科に入院している親友の渕野美奈子の見舞いに訪れ、好きな人ができた事を報告する。そして、自分が未だに新妻に好きだと言葉ではっきり伝えていない事に思い至る。産婦人科の帰り道に、新妻から「今すぐ先生に会いたいんです」という電話を受け、自宅に帰って新妻の到着を待っていると、玄関先に現れた新妻は、愛がないのにもかかわらず、お金で女の人を汚してしまったと告白する。思い詰めた表情をしている新妻を美鈴は優しく慰め、二人は自然と体を重ねるのだった。

第6巻

新妻祐希と体を重ね合うも、原美鈴は途中で恐怖心を掻き立てられ、拒否反応を起こしてしまう。それからしばらくして、美鈴は新妻と手をつないで歩いていたところを、偶然にも早藤雅巳に目撃されてしまう。後日、美鈴を呼びとめた早藤は、美鈴の今後の幸せのためにと、ある提案を持ちかける。それは、新妻の見ている前で早藤とセックスするか、早藤の見ている前で新妻とセックスするか、どちらかを選べば二人の関係を終わらせてもいいという、究極の選択だった。

第7巻

早藤雅巳との関係を断ち切るために、勇気を出して早藤と二人きりで対峙した原美鈴だったが、早藤に何度も顔面を殴打され、大ケガを負ってしまう。後日、なんとか職場復帰を果たしたものの、新妻祐希は愛する美鈴を守る事ができなかった自分の無力さに傷心していた。三郷佳奈はそんな新妻の心の隙に付け入り、さらに美鈴に新妻との関係を終わらせ、彼を苦しみから解放してほしいと伝える。佳奈の話を聞いた美鈴は、新妻との関係を終わらせる事を決意し、新妻を最後のデートに誘う。

第8巻

新妻祐希との最後のデートで別れを告げた原美鈴だったが、二人のデート現場を学校の生徒に目撃され、写真を撮られたうえに校内に拡散されてしまう。さらには、この一件で美鈴の授業をまともに受けようとしない生徒が多数出ていた。それでも美鈴は毅然とした態度で授業を行い、教師としての仕事を続けていた。しかし、12月の修了式の最後に職員からの連絡をマイクで説明しようとしている途中で、生徒たちから新妻との恋愛についてひやかされ、嘲笑されてしまう。だが美鈴は生徒達のからかい半分の言葉を真摯に受け止め、新妻への思いのすべてを全校生徒と全職員の前で告白。その言葉を聞いた新妻は美鈴のもとへと歩み寄り、美鈴を抱きしめてキスをするのだった。

実写映画

2024年実写映画化。7月5日から公開。監督は三木康一郎、脚本は安達奈緒子が務め、主人公の原美鈴を奈緒が演じる。

登場人物・キャラクター

原 美鈴 (はら みすず)

桜丘高校2年5組の担任を務める女性教師で、年齢は24歳。現代文を担当している。黒くて長い髪を後頭部で一つに束ねたポニーテールの髪型で、眼鏡をかけている。祖母の遺した古い日本家屋で一人暮らしをしている。シンプルな服装を好み、メイクやファッションに興味がなく、普段から化粧もほとんどしていない。まじめでおとなしそうな見た目をしているが、意外とルーズで面倒くさがりなうえ、がさつな一面も持っている。 内向的で争いごとを好まず、仕事もプライベートも波風を立てないようにして過ごしたいと考えている。しかし、4年前に高校時代からの親友・渕野美奈子の恋人だった早藤雅巳に強姦された事をきっかけに、それまで穏やかに過ごしてきた日々が一変してしまう。

早藤 雅巳 (はやふじ まさみ)

不動産会社「修和ハウジング」に勤める会社員の男性で、年齢は30歳。茶色い短髪を真ん中で分けていて、顎ひげを生やしている。会社での現在の役職は北町支店店長補佐だが、年明けには支店長に昇進する予定。上司や本部の役員幹部から仕事ぶりを非常に高く評価されており、今後の活躍を大いに期待されている。現在はマンションで一人暮らしをしているが、渕野美奈子と婚約しており、来年の6月に挙式予定。 明るく社交的な性格をしているが、実は処女に強い性的興奮を覚える処女キラー。4年前に美奈子の友人の原美鈴に興味を抱き、当時美奈子が一人暮らしをしていたマンションに美鈴と共に招かれ、美奈子が二人を部屋に残して外出した隙を狙って美鈴を強姦。それ以来、美鈴に性的な関係を強要し続けている。 喫煙者で、精神的に不安定になると、煙草を吸う本数が増える。

渕野 美奈子 (ふちの みなこ)

会社員の女性で、年齢は24歳。栗色の長髪で両耳にピアスを付けている。親は不動産会社「修和ハウジング」をはじめとする不動産関連会社の親会社の役員で、裕福な家庭で育った。原美鈴とは高校時代からの親友で、現在も良好な関係を築いている。早藤雅巳の婚約者で、来年の6月に挙式予定。明るくて誰とでも打ち解ける社交的な性格をしているが、つい損得勘定で行動するところがあり、そのためなら黒も白だと言って貫き通す。 時間にルーズで、待ち合わせ時間に遅れてしまう事もしばしば。早藤が浮気をしているのではないかと疑いを持っており、日を重ねるごとに情緒が不安定になってきている。

新妻 祐希 (にいづま ゆうき)

桜丘高校2年5組に所属する男子。黒髪で前髪と襟足が長い。クラスでは地味で目立たないタイプで、クラスメイトの英里沙には名前さえも覚えられていないほど。しかし、背が高くて目鼻立ちがいい事から、一部の女子からは人気がある。花屋でアルバイトをしており、同じくアルバイトの青田有美子に、シフトを変わってもらう事を条件に食事に誘われ、ラブホテルに行った。 その後、いっしょに出て来たところをクラスメイトの三郷佳奈に目撃され、その事をクラス中に言いふらされてしまった。この噂を問題視した担任の原美鈴に指導室に呼び出されて話を聞かれるが、これをきっかけに美鈴の事を意識し始めるようになる。祖父が植木屋を営んでいる影響もあり、植物好きが高じて学校では園芸部に所属している。

和田島 (わだじま)

桜丘高校2年5組に所属する男子。栗色の短髪で背が高く容姿端麗で、そのスタイルと顔のよさから、校内で一際目立っている有名人。明るくさっぱりした性格をしてはいるが、女好きで校内の女生徒に次々と手を出している女たらし。また教師をからかったり、人伝に聞いた噂話を面白可笑しく言いふらしたりしている。その物腰の軽さから、一部の女子には陰で「チャラ島」と呼ばれている。 クラスメイトの緑川椿は元彼女で、別れたあとも会話をする程度には交流を続けている。クラスメイトの三郷佳奈とは付き合ってはいないが、ほかの女子とは違って特別な好意を寄せており、セックスはしていないが、いっしょにホテルに行った経験もある仲。

緑川 椿 (みどりかわ つばき)

桜丘高校2年5組に所属する女子。茶色い長髪で睫毛が長い。背が高く容姿端麗で、そのスタイルと顔のよさから、校内で一際目立っている有名人。男勝りな性格で、先生が相手でも引く事はないほどに気が強い。クラスメイトの和田島は元彼氏で、別れたあとも会話をする程度には交流を続けている。学校外ではグラビアモデルとして活躍しており、雑誌の表紙を飾るなど、業界では超大型新人として注目を浴びている。

三郷 佳奈 (みさと かな)

桜丘高校2年5組に所属する女子。茶色い長髪でふんわりとした可愛らしい雰囲気から男子受けがよく、ラブレターをもらう事も多い。品行方正な優等生であり、男子生徒だけでなく教師からの評判も高い。また、クラスメイトのあいだでは天然キャラとして知られ、「ミサカナ」という愛称で親しまれている。しかし、これらのキャラクターはすべて打算によるもので、自分の利益のためならば、友人にも噓をつき、自分の都合のいいようにコントロールする、ずる賢く冷めた性格をしている。 クラスメイトの和田島とは付き合ってはいないが体を触らせてあげるような関係で、ホテルにも行った事がある。ただしセックスするのは運命の人とだけと決めているため、そこまでは至っていない。一軒家に家族といっしょに暮らしており、自室に引きこもっている兄が一人いて、クラスメイトの新妻祐希に密かな恋心を抱き始めている。

佐古田 ミカ (さこた みか)

桜丘高校2年5組に所属する女子。長い黒髪をヘアゴムで一つに束ねている。三郷佳奈の友人で、頻繁に行動を共にしている。クラスメイトの新妻祐希に好意を寄せていて、佳奈の後押しを受けて告白し、付き合う事になった。だが、いつもそっけない態度を取る新妻に対して不安を抱いている。自分のふくよかな体型を気にしており、コンプレックスを抱いている。 中学時代に友人が先輩に告白するのを手伝った際、その先輩から性的関係を強要された過去を持つ。

英里沙 (えりさ)

桜丘高校2年5組に所属する女子。茶色い長髪を後頭部でシュシュで一つに束ねていて、両耳にピアスを付けている。クラスでは明るく騒がしいタイプで、クラスメイトの女子達と共に、クラスメイトの新妻祐希の名前を覚えていないにもかかわらずからかって遊んでいる。

友紀 (ゆき)

R女子高に通う2年生の女子。髪型は茶髪のボブヘア。セックスが大好きで、フィーリングさえ合えば誰とでも寝てしまう尻軽。新妻祐希から好きな女性を前にして勃起しなくて悩んでいると相談を受けた和田島が、新島のために紹介した。新島と初めて出会ったその日に彼の家に行き、新島に性的な奉仕をして金を受け取る。

青田 有美子 (あおた ゆみこ)

新妻祐希がアルバイトしている花屋の社長の妻。髪型は肩までのボブヘアで、中肉中背。鼻の下の右側に小さなほくろがある。温厚で優しい性格で人柄がよく、普段は旦那の仕事を手伝い、花屋の店頭で接客をしている。しかし、実は新妻に好意を抱いており、新妻の試験前にアルバイトのシフトを1週間変わってあげる事を条件に食事に誘い、その後ラブホテルに連れ込んで、半ば無理矢理に肉体関係を持った。 その後も新妻に頻繁に電話をしたりと、執拗に接触を試みる。

玲菜 (れいな)

歯科医院で看護師をしている女性。茶色い長髪を後頭部でバレッタでまとめている。同じ歯科医院に勤めている親友の綾香たちに合コンに誘われ、その時に知り合った早藤雅巳に無理矢理にセックスを強要されて、その時に処女を喪失してしまう。しかし、その後は早藤に献身的なまでの好意を寄せ、性的な関係を続けている。以前は友人思いの心の優しい性格だったが、早藤と交際を始めてからは生活も考え方も彼を中心としたものになっていく。 玲菜が勤めている歯科医院に渕野美奈子が患者として来院して来た事をきっかけに、早藤が美奈子と婚約している事を知る。

綾香 (あやか)

歯科医院で看護師をしている女性。茶色い長髪にゆるくパーマをかけている。サバサバした性格で気が強いが、友人思いで情が深い。同じ歯科医院に務めている親友の玲菜を誘って合コンに行ったあと、そこで知り合った早藤雅巳と交際を始めた玲菜の異変に気づき、玲菜の身を案じている。

中島 (なかじま)

不動産会社「修和ハウジング」に勤める会社員の男性で、年齢は30歳。茶色い短髪で、スーツを着用している。同僚の早藤雅巳とは仲がよく、帰宅途中に連れ立って飲みに行く事もしばしば。明るくひょうひょうとした性格で合コン好き。時々、早藤を誘って合コンを開いており、歯科医院に務めている看護師との合コンで知り合った綾香に夢中。

美奈子の母 (みなこのはは)

淵野美奈子の母親。ボブヘアで前髪を中分けにしている。美奈子の婚約相手の早藤雅巳とは家族を交えた会食で会い、早藤に対していい印象を受けたことから、美奈子の婚約を心の底から喜んでいた。物腰が柔らかく、優しくて娘思いな母親で、切迫流産で入院した美奈子を心配し、頻繁に病院に見舞いに行っている。

書誌情報

先生の白い嘘 8巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2014-02-21発行、 978-4063883046)

第2巻

(2014-09-22発行、 978-4063883770)

第3巻

(2015-03-23発行、 978-4063884456)

第4巻

(2015-10-23発行、 978-4063885163)

第5巻

(2016-05-23発行、 978-4063886016)

第6巻

(2016-11-22発行、 978-4063886672)

第7巻

(2017-05-23発行、 978-4063887297)

第8巻

(2017-10-23発行、 978-4065102763)

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