概要・あらすじ
近未来の日本。再び軍国主義が台頭しつつある現状に違和感を抱く高校生六高寺弦は、元軍人の父や国防隊幹部候補生の兄に反発している。同級生が警察に射殺されるのを見てしまいショックを受けた弦は、実家を飛び出す。出版社で働くうちに政府が隠蔽する藻池村事件を知った弦は真相を探ろうと行動を始めるが、彼は特務警察に監視されていた。
登場人物・キャラクター
六高寺 弦 (ろっこうじ げん)
高校生。六高寺光高の弟。元軍人の父六高寺光吉次郎や国防隊幹部候補生の兄に対して反感を抱いている。軍国主義化しつつある日本の現状に違和感を抱き、思い悩んでいる。
六高寺 光高 (ろっこうじ みつたか)
国防隊の幹部候補生の青年。六高寺弦の兄。強い愛国心を持ち、反政府的な思想の人間を軽蔑している。
六高寺 吉次郎 (ろっこうじ きちじろう)
六高寺光高、六高寺弦の父親。六高寺家は先祖代々軍人の家系で、彼自身も元陸相。厳格な性格で、眼光鋭く、禿頭、口ひげをたくわえている。居合抜きをたしなむ。
雪 (ゆき)
六高寺家に雇われた家政婦の少女。黒髪のショートカット。六高寺弦に思いを寄せている。
大杉 誠 (おおすぎ まこと)
高校教師。軍事化の進む日本を憂いて教師を辞職し、生徒の金城道夫、寺田修二とともに藻池村事件の真相を探ろうとする。
吉本 省二 (よしもと しょうじ)
高校生。同級生の金城道夫、寺田修二とともに募金活動をしていたが、警察にとがめられ、逃亡したが警官によって街中で射殺されてしまう。
金城 道夫 (きんじょう みちお)
高校生。小柄で丸鼻。大杉先生から藻池村事件の存在を知らされ、寺田修二とともに真相を探ろうとする。
寺田 修二 (てらだ しゅうじ)
高校生。大柄でがっしりした体格。大杉先生から藻池村事件の存在を知らされ、金城道夫とともに真相を探ろうとする。
高村 興太郎 (たかむら こうたろう)
彫刻家の青年。あごひげを生やしている。六高寺弦にとって数少ない理解者であり、良き話し相手。
古谷 信吉 (ふるや しんきち)
零細出版社、旭出版の社長。実家を飛び出した六高寺弦を雇い入れる。藻池村の出身者であることを隠している。
堀田 重吉 (ほった じゅうきち)
藻池村事件の影響で身体に障害を抱え、「出島」に隔離されている。出島解放運動のリーダーとして、密かに武器を蓄えている。
天勝大尉 (あまかつたいい)
『光る風』の舞台である日本に存在する憲兵隊の大尉。強烈な愛国精神を持ち、米軍が日本に駐留している現状に不満を抱いている。
集団・組織
国防隊 (こくぼうたい)
『光る風』の舞台である日本に存在する軍事組織。ベトナム戦争が泥沼化する中、アメリカは日本に対し支援の派兵要請をする。日本政府は法律改正や憲法解釈変更をおこない、その結果、国防隊は軍隊としてカンボジアへ派兵されることとなる。
イベント・出来事
藻池村事件 (もいけむらじけん)
『光る風』の舞台から30年以上前にS県藻池村で原因不明の奇病が蔓延した事件。多数の死者を出し、事件後に生まれた赤ん坊までも発症した。患者は政府によって「出島」へと隔離され、事件の真相は国民には伏せられた。
場所
「出島」 (でじま)
『光る風』に登場する地名。藻池村事件で発病した患者たちを隔離するために政府が建設した埋め立て地。全国に複数存在するらしいが、国民には秘密にされている。人々の行き来は政府に管理され、厳しく制限されている。