八犬伝―東方八犬異聞―

八犬伝―東方八犬異聞―

『南総里見八犬伝』をモチーフとし、大正から昭和初期の日本に似た世界を舞台とした和風ファンタジー。宿命を持って生まれた八人の美男子らを中心に、妖怪たちとの関わりが描かれる。

正式名称
八犬伝―東方八犬異聞―
ふりがな
はっけんでん とうほうはっけんいぶん
作者
ジャンル
バトル
 
和風ファンタジー
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概要・あらすじ

5年前に起きた村の焼失事件から生き残った犬塚信乃、犬山荘介、浜路の三人は、田舎の村はずれにある教会に身を寄せていた。事件以降、信乃と荘介には不思議な能力が備わっており、噂を聞きつけた教会本部から召喚状が届く。二人は召喚を拒否していたが、浜路が誘拐され、救出のためやむなく本部がある帝都へ向かった。

高名な獣憑きの家系出身の里見莉芳と帝都で出会った信乃は、信乃や荘介も持つ「不思議な玉」を八つ、持ち主と併せて捜し出せ、との命を受ける。妖怪と人が織り成す様々な怪事件に関わりながら、信乃は宿命に導かれた八犬士たちと出会っていく。

登場人物・キャラクター

犬塚 信乃 (いぬづか しの)

「孝」の玉を持って生まれた、八犬士の少年。5年前の大塚村焼失事件で瀕死となっていたが、村雨をその身に宿すことで生き延び、その時から体が成長しなくなっている。よって本来なら18歳だが、外見上は小学生くらいの子どもに見える。生まれつき病弱で、言い伝えにより幼少期を女装させられて過ごした。記憶の一部を何者かに封じられており、両親の思い出などは朧げだが、そのためか一緒に焼失事件を生き延びた犬川荘介や浜路を家族として大切に思っている。 極めて食い意地が張っており、特に肉が好物。苦手なものは幽霊とゴキブリ。牡丹の痣が右腕にある。

犬川 荘介 (いぬかわ そうすけ)

「義」の玉を持って生まれた、容姿端麗な八犬士の青年。物語の開始時では19歳。5年前の大塚村焼失事件で瀕死となっていたが、犬塚家の飼い犬であった四白(よしろ)と生命を共有することを選び、生き残った。そのため人間の姿から犬の姿へ自由に変身でき、動物(特に犬)に懐かれ易いが、朔(新月)の日は一日中眠り込むという弱点も持つ。 犬塚信乃を何より大切に思っており、普段は口うるさく窘めているが、信乃の命がかかれば人を斬ることさえ厭わない。牡丹の痣が首の後ろにあり、大きな傷跡が入っている。

浜路 (はまじ)

犬塚信乃、犬川荘介と兄妹のように育ち、5年前の大塚村焼失事件から共に生き残った美少女。物語の開始時では15歳。実は犬山道節の生き別れの妹だったが、別れる事になった際、捨てられたと思い込んで自ら名を変え、記憶も封印していた。よって本名は「犬山睦月」である。健康への執着が非常に強く、漢方薬を大量に混入させた料理を作っては同居人に無理やり食べさせるのが趣味。 しかし本心では常に信乃や荘介の身を案じており、健康料理の追及も病弱だった信乃のためであった。信乃と荘介への人質として、尾崎家に攫われ軟禁されたが、尾崎要に気に入られ、自由な行動を許されている。後に、医者になるべく全寮制の名門女子校へ進学した。

里見 莉芳 (さとみ りおう)

四家と呼ばれる、高名な獣憑きの家系の一つ、里見家の青年。「八房」という巨大な犬神を憑かせている。教会の特別司祭を務め、その美貌で人気が高く多くの信奉者がいる。5年前の大塚村焼失事件で犬塚信乃に村雨を渡し、生き延びる機会を与えた。帝都を訪れた信乃と犬川荘介を後見人として保護するが、信乃に八つの玉と八犬士を探せと命じる。

犬飼 現八 (いぬかい げんぱち)

「信」の玉を持って生まれた、八犬士の青年。帝都の憲兵隊長で、街の人々にも人気がある。犬田小文吾とは乳兄弟で3歳年上。3年前、小文吾と共に北の地で鬼に襲われて殺されるが、鬼と同化して生き返った。以後、「雷鬼」という天候をも操る強力な鬼に変身する能力や、傷がすぐに塞がる治癒能力を得る。婚約者の死に動揺して後追い自殺しようとするが死ねず、悲しみながら惰性のように生きていた。 現在は犬塚信乃を気に入っており、男と知りながら露骨に求愛しているが、犬阪毛野によればそれも婚約者への未練を隠すカモフラージュとされている。牡丹の痣は顔の右頬と、八犬士の中でも特に目立つ位置にある。

犬田 小文吾 (いぬた こぶんご)

「悌」の玉を持って生まれた、八犬士の青年。帝都にある旅館の跡取り息子で、犬飼現八の3歳下の乳兄弟。3年前、現八と共に北の地で鬼に襲われて殺されるが、鬼と同化して生き返った。以後、「風鬼」という天候をも操る強力な鬼に変身する能力や、傷がすぐに塞がる治癒能力を得る。幼少期から旅館の厨房に出入りしており、料理が得意。 牡丹の痣が腰の位置にあり、他の八犬士にもなかなか見せようとしなかった。

犬阪 毛野 (いぬさか けの)

「智」の玉を持って生まれた、八犬士の青年。女性と見紛うほどの美貌で、普段は能楽師として同業者たちと各地を巡業している。2年前、家族を蒼に殺されており、自身も心臓を抜き取られている。だが、心臓を失ってなお生きている彼に興味を抱いた妖怪の「九重」が、自分の心臓を与えて生き長らえさせた。蒼へ復讐する意志は強く、同じ顔を持つ犬川荘介にも襲いかかるが、後に誤解を解いた。

犬山 道節 (いぬやま どうせつ)

「智」の玉を持って生まれた、八犬士の青年。犬塚信乃と犬川荘介が初めて帝都へ上京する際、列車の同じ車両に居合わせる。生き別れの妹・犬山睦月を探す旅を続けており、その途中で凍死しかけるが、生存への意志の強さを見た「雪姫」に命を救われた。信乃の幼なじみ・浜路が妹の睦月と知り、再会を果たしてからは、帝都に落ち着き薬屋を開こうとしている。 雪姫は常に道節にまとわりついており、彼の周囲を真冬のように寒くしてしまい、女性が道節に近づくと機嫌を損ねてしまう。牡丹の痣が左肩にある。

犬村 大角 (いぬむら だいかく)

「礼」の玉を持って生まれた、八犬士の青年。高名な人形師の養子として育った、小物や動物人形を得意とする人形師。養父の死後は妹と二人で暮らしていた。額に邪眼を持ち、妖怪などを見抜く力を持つ。牡丹の痣が右足にある。

犬江 仁 (いぬえ しのぶ)

「仁」の玉を持って生まれた、八犬士の一人。神隠しが頻発する村の子どもとして、調査に来た犬塚信乃と仲良くなった。自身も神隠しを受けて10年間姿を消しており、その間成長していない状態で帰ってきた。そのため、外見は12歳ほどに見え、村の小学校に通ってもいるが、戸籍上は22歳。神隠しされていた期間は天狗の「華月」「葉月」に愛されて育ち、天狗の力を分け与えられている。 牡丹の痣が左肩にある。

尾崎 要 (おざき かなめ)

四家と呼ばれる、高名な獣憑きの家系の一つ、尾崎家の青年。物語の開始時では19歳。「五狐」という五匹の狐を様々な形で使役している。五狐に命じて浜路を誘拐したが、彼女を気に入って軟禁時も屋敷内でほぼ自由にさせていた。社交的で飄々とした性格。

緋ノ塚 那智 (ひのづか なち)

四家と呼ばれる、高名な獣憑きの家系の一つ、緋ノ塚家の青年。犬村家を訪れた際、結界に巻き込まれて出られなくなっていたが、家の離れに住まい、犬村大角の養父の身代わりをしていた。憑いている獣神は「楓」という、黒豹のように大きな猫。本来、楓が憑いたのは那智の兄であったが、兄から那智に委譲され憑き直された。

観月 あやね (みづき あやね)

四家と呼ばれる、高名な獣憑きの家系の一つ、観月家の少女。物語の開始時では15歳。白い髪と赤い瞳を持ち、病弱。他人の気配に敏感すぎるため、他人とほとんど交流せず獣神の「ちかげ」に守られて生きてきたが、屋敷を訪れた犬塚信乃や浜路とは意気投合する。ちかげは巨大な蛇の神であり、あやねを大事にするあまり警戒心が非常に強く嫉妬深い。 ちかげという名は仮の名であり、真の名である「響(ひびき)」は友と認めた者にしか教えない。

(あお)

犬川荘介と瓜二つの、謎の青年。「荘介の影」を自称し、蒼が死ぬと荘介も命を落とすかも知れない、と思わせる関係性を匂わせていることで犬塚信乃に自分を守るよう仕向けている。荘介が失っている幼少期の記憶を持っており、特に信乃に関する記憶を語ることが多い。2年前、犬阪毛野の家族を殺害し毛野から心臓を奪った。その際、反撃で左目を失ったが、現在はその左目に琥珀色の瞳を持つ。 神の力を得ようと各地を巡る旅を続けており、その土地の神を殺しては力をつけている。

玉梓 (たまずさ)

5年前の大塚村や、犬村大角の養父の前に現れ、不思議な水を与えたといわれる謎の女性。その水を飲んだ者は生きながら屍になったとされている。

村雨 (むらさめ)

生命を持つと言われた妖刀。5年前の大塚村焼失事件で里見莉芳から犬塚信乃に渡され、信乃と同化して生き長らえさせた。普段は信乃の右腕に宿っており、信乃から離れる時はカラスの姿をとって簡単な会話もこなす。刀の形態になった時は強力な結界を易々と切り裂く力を持ち、また雨を自由に降らせることができる。

集団・組織

八犬士 (はっけんし)

仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の八文字が一つずつ記された玉を持ちながら生まれてきた、8人の青少年。8人が宿命に導かれて集い、悪を倒すとされている。玉はそれぞれ持ち主と強く結びついているらしく、捨てても無くしても手元に戻ってくるという。ただし、犬川荘介の影を自称する男・蒼が「義」の玉を持っている間は荘介の元には戻らないという例外もある。 玉の他、八人はそれぞれ体の一部に牡丹の花のような痣があるという共通の特徴が見られている。

四家 (よんけ)

強力な獣の神の加護を受け、その力を司り国を助ける、四つの家系。里見家・尾崎家・緋ノ塚家・観月家が確認されている。「四神獣家」とも呼ばれる。

教会 (きょうかい)

『八犬伝―東方八犬異聞―』においては、特定の宗教と、その施設を指す言葉。外国から来た宗教であり、ただ一人の神を信仰するための中央集権的なシステムが確立されている。本部がある帝都では、国の中枢にも関わり、街の人々にも受け入れられているが、田舎では胡散臭い異国の宗教として毛嫌いされている場合もある。特別司祭である里見莉芳をはじめ、四家とも関わりが深い。

場所

帝都 (ていと)

『八犬伝―東方八犬異聞―』の舞台となる国の都。大都市であり、皇族や官僚・旧家が居を構える「古城区域」、近代的な街並みを誇る「新市街」、下町の風景を残す庶民的な「旧市街」と、大きく三つの区域に分かれている。文化や街の雰囲気は、日本で言うところの大正時代から昭和初期ごろに似ている。

アニメ

八犬伝―東方八犬異聞―(第1期)

5年前、疫病が広がったために焼かれて消滅した大塚村で、生き残った犬塚信之と犬川荘介、浜路。村はずれの教会で暮らしていた3人だったが、犬塚信乃と犬川荘介が特殊能力を持つことを聞きつけた帝国協会本部の企み... 関連ページ:八犬伝―東方八犬異聞―(第1期)

八犬伝―東方八犬異聞―(第2期)

5年前、疫病が広がったために焼かれて消滅した大塚村で生き残り、ともに暮らしてきた犬塚信之と犬川荘介、浜路。彼らと、8つの玉に導かれて出会った八犬士たちを巡ってさまざまな宿命が動き出していく。 関連ページ:八犬伝―東方八犬異聞―(第2期)

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