概要・あらすじ
ある晩、川中島濃子は盆踊りに出かけた先で、お目付け役である鶴崎真澄を女性の幽霊に連れ去られてしまう。謎のお坊さんの助言により、濃子は彼の命が夜明けまでしか持たないことを知る。真澄を助けるためには、女性の幽霊、薫に、恋人である駒王を引き合わせる必要があることがわかり、真澄は駒王とともに消息不明のままになっている薫の行方を探し始める。
登場人物・キャラクター
川中島 濃子 (かわなかじま のうこ)
ごく普通の高校2年生の少女。自由奔放にして能天気な性格で、何かと周りを巻き込み振り回している。しょっちゅう家出をするため、心配した両親に鶴崎真澄をお目付け役として付けられている。川中島濃子自身は真澄のことが大好きで、いつも一緒にいたいと思っている。
鶴崎 真澄 (つるさき ますみ)
川中島濃子の家に居候している24歳の青年。濃子がしょっちゅう家出するため、心配した彼女の両親からお目付け役を任されている。これにより、自由奔放な濃子に振り回される難儀な日々を送っている。
おボーさん
お祭りに来ていた川中島濃子の前に現われた、お祭りには場違いな印象のお坊さん。鶴崎真澄の身に起こる危機を濃子に伝え、蛍を1匹託した。
駒王 (こまおう)
川中島濃子と同じ学校出身の有名人。映画に出演したことがあるが、1作品のみで芸能界から姿を消したと言われている。師匠である海藤二郎の俳優養成所に所属していた頃は彼からの期待を一身に受けていたにも関わらず、突然破門になり煙たがられる存在となった。消息不明となっている恋人の薫の行方を探している。
海藤 二郎 (かいとう じろう)
往年の二枚目スターと評される男性俳優。ヤクザ映画や刑事モノなどに多数出演し、その演技を評価されている。自身が運営する俳優養成所に所属していた弟子の駒王の実力に期待して目をかけていたが、ある時突如破門とし、現在は彼のことを何かと煙たがっている。
忠彦 (ただひこ)
海藤二郎の息子で、駒王の同級生。俳優だが、親である二郎からは厳しくしごかれ、世間からは親の七光りと揶揄されることに悩んでいる。
薫 (かおる)
駒王の恋人。ある日を境に消息を絶ち、現在は行方不明となっている。お祭りの晩、雨の中をずぶ濡れで立っていたが、優しく声をかけた鶴崎真澄を連れ去って再び姿を消してしまう。
おばあちゃん
鶴崎真澄の祖母。病院で入院生活をしていたところ、見舞いに訪れた川中島濃子と意気投合して2人で旅行を計画。病院を勝手に抜け出し、濃子と2人で1週間の船旅へ繰り出してしまう。
船員 (せんいん)
船の中の案内など、乗客の船旅を手助けするために働いている男性。船の構造を熟知しており、事故により船内に閉じ込められた乗客たちを脱出させるため、先頭に立って奔走する。
刑事 (けいじ)
船旅中に川中島濃子が知り合った、刑事を自称する青年。船に紛れ込んだ銀行強盗を追って来たと語っているが、不審な点が多い謎の人物。
松岡 (まつおか)
切れ者で有名な男性刑事。ある事件をきっかけに世間からの非難を浴び、その余波を受けて娘の結婚式が流れてしまった。これに責任を感じ、自殺しようと心に決めている。
タクヤと美咲 (たくやとみさき)
川中島濃子と同じ船に乗り合わせたカップル。新婚を装っているが、実は不倫の関係にある。美咲には借金を抱えたヤクザな亭主がおり、逃げきれないことを悟った2人は、今生では結ばれないことを悲観して心中することを決めている。
場所
六本木 (ろっぽんぎ)
川中島濃子が通っている学校の裏の空き地のこと。木が6本立っていることから、学生の間で「六本木」と呼ばれている。最近、六本木に向かう道の途中にずぶ濡れになった女性の幽霊が立っているという噂が広がっている。