あらすじ
戦争の只中にあったライン国に、戦局を一変する究極兵器が投入された。それは美少女の姿をした兵器少女。たった一人で師団と渡り合えるとされる兵器少女は、その見た目と圧倒的な戦闘力のため、味方の兵士からも不気味がられていた。そんなある日、二等兵のジョージは、レストランで一人食事を取っていた兵器少女に遭遇。触らぬ神に祟(たたり)りなしの精神で遠巻きに見ていたジョージだったが、両手が武器となっている兵器少女が食事に苦労している姿を見て、思わず手を貸してしまう。ひょんなことから兵器少女との縁ができたジョージは、戦場で暴走する兵器少女を体を張って止め、彼女に「レイ」というあだ名を付ける。その後、いっしょに買い物をしたりプレゼント交換をしてレイの信頼を得たジョージは、その様子を見ていたレイの上官のアリアから、とある兵器少女の世話を任される。全身が鋭い針で覆われた気性の荒い兵器少女に「ハリー」というあだ名を付けたジョージは、彼女の刺々(とげとげ)しい態度が周囲の人々を傷つけたくない優しさから来ていることを理解していた。内に秘めた苦しみを初めて人にわかってもらったハリーは涙を流し、それからはジョージと共に行動するようになる。レイとハリーの世話役となったジョージは、兵器少女用の住居の管理人として彼女たちと共に生活を送ることとなり、指令を受けた兵器少女たちといっしょに戦地を巡り、新たな兵器少女と出会うようになる。
登場人物・キャラクター
ジョージ
ライン国に住む軍人の男性。第4隊E中隊に所属している。階級は二等兵。ツーブロックの髪形で、左の眉毛に傷がある。人付き合いがうまく、温和で面倒見のいい性格をしている。芯が強く度胸もあり、どんな危険な状況であっても自らの体を張れる熱血漢。上層部からの指令を受け、戦友のケビンと共に各地を転戦している。とある拠点で、新たに投入された兵器少女のレイが食事に苦労している姿を見かけ、つい手を貸してしまい、それが縁となって彼女の面倒を見るようになった。その後、上官である少尉のアイラから兵器少女の世話役としての適性を見込まれ、レイやほかの兵器少女、ハリーと共に、兵器少女専用に作られた住居で、管理人を務めることとなる。掃除や料理などの家事全般も得意で、ケビンからは兵器少女のお母さんのようだと言われていた。困っている者を見過ごせない性質で、みんなから煙たがられ、恐れられていた兵器少女たちに対しても自ら手を差し伸べ、孤立していた彼女たちの心を開いていく。
レイ
ライン国に新たに投入された人型兵器、兵器少女の一人。金髪のショートヘアの美少女で、ベレー帽をかぶっている。顔や体はふつうの人間ながら、右腕はザリガニのようなハサミ、左腕は巨大な砲身となっている。やや子供っぽい一面があるが、疑うことを知らない純粋な性格の持ち主。兵器ではあるが、思考や生活様式は人間とまったく同じで、ふだんから人間と変わらない生活を営んでいる。戦闘時は背中から羽が生え、自在に飛翔(ひしょう)しながら両腕の武器を駆使して立ち回る。その並外れた戦闘力は、一人で敵の師団と渡り合えるほどに強力。その異形と高い戦闘能力のせいで、味方の兵士からも不気味がられ、孤立した状態にある。しかし、食堂で食事をサポートしてくれた二等兵のジョージに心を開き、彼と日常生活を送ることで少しずつ社交性を身につけ、ケビンをはじめとする周囲の人間たちと交流するようになる。本名は「R-0」だが、ジョージによって「レイ」というあだ名を付けられた。レイ自身もそのあだ名を気に入っている。ジョージのことを慕っており、ほかの兵器少女、ハリーとジョージがなかよく交流する姿を見た時は、嫉妬心を抑えられずにいた。直属の上官であるアリアにも懐いているが、最近は彼女に対する反抗期中でもある。アリアといっしょにいると怠け心が出てしまい、全然言うことを聞かなくなってしまう。
ハリー
ライン国に新たに投入された人型兵器、兵器少女の一人。スタイル抜群の美少女でビキニを着用し、褐色の肌を持つ。背中に鋭い針が無数に生えており、両腕と両足は鋭い刀剣になっている。本名は「R-10」だが、ジョージによって「ハリー」というあだ名を付けられ、ハリー自身もそのあだ名を気に入っている。気性が荒いうえに言葉遣いも悪く、他人をいっさい寄せ付けないオーラをまとっている。その気難しさは、前の基地で世話役が半殺しにされたという噂(うわさ)が流れたほど。ジョージたちがいる拠点を訪れた際、同じ兵器少女であるレイとなかよくなったジョージの包容力を見込んだ上官のアリアにより、ジョージがハリーの一時的な世話役に任命される。世話をしようとするジョージに針を見せながら威嚇し、拒絶していた。しかし、その気性の荒さが、周囲の人々を傷つけないハリーの優しさであることをジョージに見抜かれて涙を流し、それからはジョージやレイと共同生活する中で、本来の優しい性格を取り戻していく。虫を大の苦手にしており、虫の姿を見ると絶叫して体が硬直してしまう。
エイト
ライン国に新たに投入された人型兵器、兵器少女の一人。額から2本の角が生え、黒いドレスで身を包んだ美少女。右腕が巨大な砲塔状の武器になっており、歩く時はつねに右腕を重そうに引きずっている。本名は「R-8」だが、みんなからは「エイト」というあだ名で呼ばれている。生真面目な性格ながら、融通がきかない頑固な一面がある。アリアのはからいによって、ジョージたちが暮らす兵器少女の住居で暮らすことになった。過去の経験から、戦闘時における味方のサポートはあてにならないと思っており、助けに来たジョージに対しても、つれない態度で突っぱねていた。しかし、不発弾が爆発してピンチに陥った際に、咄嗟(とっさ)に身を挺(てい)したジョージやレイ、ハリーたちに助けられたことで心境が変化する。それ以降は、味方を信頼するようになる。
アリア
ライン国に住む軍人の女性。凛(りん)とした雰囲気を漂わせている。階級は中尉。軍人然としており、やる気のない人間には厳しく接する。その妥協を許さない姿勢が、ほかの仕官からも恐れられている。兵器少女であるレイの直属の上官で、彼女を手元に置いて世話をしていた。二人だけだとなかなか言うことを聞かないレイに手を焼いていたが、レイがジョージを慕っていることに気づき、世話役を彼に任せた。ジョージの高い包容力を評価しており、のちにレイ以外の複数の兵器少女の世話役をジョージに任せるようになる。厳しい一方で思いやりの心を持ち、自ら他人を遠ざけていたハリーが徐々に周囲の人間に打ち解けていく姿を見て、喜んでいた。
Q-10 (きゅーてん)
ライン国に新たに投入された人型兵器、兵器少女の一人。黒髪のショートヘアで、頭部に耳の生えた美少女。両腕に大きな翼を持つ。極度の恥ずかしがり屋で、相手に目を見て話されるとしゃべれなくなってしまう。ふだんは木の枝などに両足を引っかけ、コウモリのようにぶら下がっている。首都「セント」に住んでおり、任務でセントに赴いたジョージたちの案内役を務めていた。かなりの博識で、相手と目が合っていない状態だと非常に饒舌(じょうぜつ)になる。
ケビン
ライン国に住む軍人の男性。第4隊E中隊に所属している。階級は二等兵。金髪をショートヘアにしている。ストレートな物言いをするが、生真面目で思いやりがある。ジョージの戦友で、上層部からの指令を受け、各地を転戦している。戦場で暴走し、味方に攻撃を始めた兵器少女のレイを危険視して殺害しようとするが、身を挺してレイを守ったジョージに懇願され思い留まる。のちに街中で落としたハンカチを拾ってくれたレイを食事に誘って友人となったが、レイからは名前を憶えられていない。
その他キーワード
兵器少女 (へいきしょうじょ)
少女の姿をした人型兵器を指した言葉。他国と戦争の真っ只中にあるライン国が開発し、究極兵器として戦線に投入され戦局を一変させた。味方の兵士からは「兵器女」と呼ばれている。一見すると人間の少女そのものだが、よく見ると腕や足などの体の一部が武器になっているため、見分けるのは容易。自我も存在し、ふだんはふつうの人間と同じように暮らしており、食事や睡眠も取る。戦闘モード時は目の色が変化し、驚異的な戦闘力を発揮する。戦闘時に恐怖で暴走し、味方を攻撃してしまうこともあるなど、感受性も豊か。