概要・あらすじ
極度のオタク青年である房伊田春人は、ある日、「このジャンルにだけは手を出すまい」と誓っていた、美少女フィギュアを購入してしまう。家に持ち帰ってみると、そのフィギュア、ノーナは動いたり、口を利いたり、食事をするのだった。春人はその事実に対してさほど動じず、そういうものだと思って適応したものの、ノーナ自身は、やがて自分がフィギュアであるという事実を知り、大きなショックを受ける。
それでも2人は生活をともにし、ついには結婚を誓いあう。ところが新婚生活が始まると、ベルノア、天乃原すばるといった、春人が昔から好きだったキャラクターのフィギュアが次々に動き出す。そして春人と生活をともにするうちに、恋愛感情を持つようになっていくのだった。
春人のオタク仲間の冠成次郎は、彼女ら動くフィギュアたちに「超可動ガール」という名を付け、その秘密を探ろうとする。春人はそれにもあまり関心を示さず、その後もハーレム状態を堪能する日々を過ごしていく。
登場人物・キャラクター
房伊田 春人 (ぼういだ はると)
在宅プログラマーの青年。マンションで一人暮らしをしている。重度のオタク趣味の持ち主で、家にはアニメのディスクやゲーム、漫画などを多数所有している。ある日、店で買ってきた美少女フィギュアのノーナが動いてしゃべり出すが、それを見て「最近のフィギュアはすごい」としか感じない、どこかズレたところがある。ノーナが、まだ自分を「フィギュア」ではなく、アニメ「少女→惑星探査」に登場する「探査機」であると思っていた頃には、自身のことを「房伊田ハカセ」と名乗り、彼女に話を合わせていた。
ノーナ
全長約25cmの超可動ガール。アニメ「少女→惑星探査」の登場キャラクターである少女ロボットをもとにしている。一見、機械と人間が融合したような姿をしているが、実は機械部品部分はほとんどが着脱可能であり、ベースとなるボディはほぼ人間の少女と同じ。コスチュームには武装が仕込まれており、また自己修復機能を持っている。当初は「少女→惑星探査」作中の設定と同じ自己認識を持っており、自分がフィギュアだと自覚するまでにはしばらく時間がかかった。 子供向けアニメのキャラクターがもとになっているので、人間の色恋を理解するほどの精神性はないが、房伊田春人の「妻」となり、小さな身体で頑張って家事をする。正式名称は「SETI-G・NO9」ないし「少女型惑星探査機九号」。 お風呂が大好き。
ベルノア
ロールプレイングゲーム「ドラグリウス・サーガⅣ」の主人公である勇者、ベルノアをもとにした超可動ガール。さまざまな魔法を使うことができる。姿は人間の少女と同じだが、フィギュアなのでサイズは小さい。自分がフィギュアであるという事実をノーナらに説明されても、なかなか理解することができずにいる。房伊田春人の部屋に住み着き、やがて恋愛感情を抱くようになる。 なぜかゲームが上手。
天乃原 すばる (あまのはら すばる)
対戦格闘ゲーム「ストライキングフィストⅢ」の登場キャラクター、天乃原すばるをもとにした超可動ガール。姿は人間の少女と同じだが、フィギュアなのでサイズは小さい。女子高校生で古武術の達人という設定で、「ストライキングフィストⅢ」のゲーム中でもずば抜けたキャラクター性能の高さを誇っており、素手での勝負なら極めて強い。 オタク趣味の持ち主なので、すぐに自分の正体がフィギュアだと理解した。なお、すばる自身は全力で隠しているが、実はいわゆる腐女子。房伊田春人の部屋に住み着き、やがて恋愛感情を抱くようになる。
比等間 ルウ (ひとま るう)
ソーシャルゲーム「兵器娘ウォーズ」の登場キャラクター、比等間ルウをもとにした超可動ガール。姿は人間の少女と同じだが、フィギュアなのでサイズは小さい。当初から房伊田春人に対する恋愛感情をあらわにしており、自分がフィギュアだということも理解している。もとのソーシャルゲームに春人が多額の課金をしており、超可動ガールの中でもっとも金額がかかっているため、自分が春人に一番愛されている存在であると主張する。
クサビ
昔のアニメ「ジョージのトンデモ大冒険」のマスコット的ヒロイン、おとぎの妖精をもとにした超可動ガール。中近東風の衣装をまとった人間の姿をしている。フィギュアだからということもあるが、もともとの設定の上でも小さい。房伊田春人とは別の人間を「ご主人様」にしていると語るが、のちにそれは冠成次郎であったことが成次郎によって明かされる。 「ゲート」と呼ばれる、空間転移の能力を持つ。
リンドウ
対戦格闘ゲーム「ストライキングフィストⅢ」の登場キャラクター、リンドウをもとにした超可動ガール。中華風の衣装をまとった少女の姿をしている。ゲームのキャラクターとしては、前作「ストライキングフィストⅡ」で登場して以来人気No.1で、シリーズの看板ヒロインを務めている。ちなみにゲーム中のキャラクター性能は中の下程度。 実は最初の超可動ガールであり、冠成次郎の家にいた。他の超可動ガールと同じく、寸法は本来の設定の1/6。
オズマ
アニメ「少女→惑星探査」の登場キャラクター、オズマをもとにした情報分析ロボ。ノーナのパートナー。電子メールを受信する機能を持つ他、透明になって姿を隠す能力を持っている。可動式の小さなフィギュアで、ノーナとセットで箱に入っていた。ツボ状のものを見ると、つい中に入ってしまう性質を持つ。「少女→惑星探査」の番組の最後の解説コーナーでは、「オズマ博士」というキャラクターを演じていた。
ナズナ
「竜魔王の世界」の中で房伊田春人が出会った、ゲームの中のキャラクターの少女。ベルノアの仲間で、幾度かの転職を経ているが、現在は忍者。春人をストーカーと思い込んで襲いかかって来るが、現実世界から竜魔王の世界に干渉したノーナによって妨害され、春人を取り逃してしまう。
業魔王 (ごうまおう)
ロールプレイングゲーム「竜魔王の世界」の中で房伊田春人が出会った、ゲームの中のキャラクターの魔物。5つの眼を持つ女性型の巨人の姿をしている。普通の怪物ではなく、「レベル」「所持金」「倒した敵の数」「プレイ時間」などの「業」に比例して強くなっていく、というキャラクターである。そのため、春人のやり込みによってレベルがMAXまで上がっていたベルノアでは、まったく歯が立たなかった。 しかし竜魔王の世界に入り込んで来た、業を積んでいないノーナによって、あっさりと倒された。
空手魔王 (からてまおう)
対戦格闘ゲーム「ストライキングフィストⅢ」の登場キャラクターで、CPU専用ボス。包帯で顔を隠し、武闘家風の服をまとっている。キャラクター性能は天乃原すばるに匹敵するほど高い。ウルルに現れてベルノアと戦うことになり、「タイムアップによる時間切れ判定」で勝利を収めた。その正体は中年の古武術家「天乃原戒門」、すなわちすばるの父親であった。
竜魔王
ロールプレイングゲーム「ドラグリウス・サーガⅣ」のラスボスキャラクター。別の対戦格闘ゲーム「ストライキングフィストⅢ」の舞台であるウルルに出現した。竜と人が混じったような姿をしており、一人称は「我輩」。ノーナの全力の砲撃を受けてもビクともしなかった。設定上は神であり、人間の女性との間に子供がいる。ちなみにその子供とはベルノアのことである。
ピッケル大魔王
アニメ「ジョージのトンデモ大冒険」の大ボスであり、クサビの父親。三日月のような頭部を持ち、ひげを生やしていて、首から下は中近東風の衣装をまとっている。「ストライキングフィストⅢ」の舞台であるウルルに出現した。天乃原すばると戦うことになったが、乱入して来たリンドウによってノックアウトされた。
ジョージ
アニメ「ジョージのトンデモ大冒険」の主人公の、少年の姿をしたキャラクター。対戦格闘ゲーム「ストライキングフィストⅢ」の舞台であるウルルに出現した。「ジョージのトンデモ大冒険」作中では、最終話でクサビと将来的な再会を約束して別れていた。
冠 成次郎 (かんむり せいじろう)
房伊田春人の友人である青年。ベンチャー企業の社長を務めている。春人とは中学以来の腐れ縁。オタク趣味を共有する者として、しょっちゅう喧嘩したり仲直りしたりを繰り返しながら付き合いを続けてきた。超可動ガールと自ら名付けた、動くフィギュアたちの謎について追及している。
竜田川 神代 (たつたがわ かみよ)
冠成次郎の秘書を務めている若い女性。成次郎の会社は小さいので、会計や営業なども1人で兼務している。成次郎とともに超可動ガールたちの謎について追及しているが、その過程で成次郎と親密な関係となり、結婚することになる。
房伊田 ミコト (ぼういだ みこと)
房伊田春人の妹の少女。本人に悪気はないが、オモチャなどに触れると、すぐに壊してしまうという癖を持ち、「破壊者」とあだ名される。春人ほどのオタクではないが、アニメ「少女→惑星探査」は好きで、全話視聴していた。春人の携帯に勝手に出たノーナが春人の妻を名乗ったことには仰天。その正体が動くフィギュアである、という事実にはすぐ順応し、大して動じることもなかった。
集団・組織
タカサゴヤ
超可動ガールたちの製造元である企業。設立されてから数年の新しい会社であるが、マイナーでマニアックなフィギュアを果敢に数多く商品化している。房伊田春人は、このタカサゴヤの商品を超可動ガール以外にも数多く所有している。
場所
竜魔王の世界
ロールプレイングゲーム「ドラグリウス・サーガⅣ」の舞台の世界。「ドラグリウス・サーガⅣ」を起動した状態のテレビの画面に、房伊田春人とベルノアが手を触れた時に、クサビのコント・ゲートの力が発動し、この世界に吸い込まれることとなった。竜魔王の世界では、ベルノアと春人は同じくらいの大きさになる。 外の世界にいる存在からは、春人がゲームキャラクターになった状態に見えており、コントローラーで操作すると、竜魔王の世界に干渉することもできる。なお、ベルノアの能力や持ち物、物語の進行状況などは、春人のプレイデータが反映された状態になっている。
ウルル
オーストラリアにある、観光名所となっている巨大な一枚岩。別名は「エアーズロック」。対戦格闘ゲーム「ストライキングフィストⅢ」のステージの1つであり、クサビのコント・ゲートの力によって、ノーナ、ベルノア、天乃原すばるらが訪れることになった。
その他キーワード
超可動ガール (ちょうかどうがーる)
常識を超越して動き出す、謎の美少女フィギュアたちの総称。いずれもサイズは元の設定の1/6。動くフィギュアたちの謎について追及しようとする冠成次郎が、呼び方がないと言いづらいので自ら命名した。なお、房伊田春人は「なぜ超可動ガールたちは動くのか」という問題にあまり興味を示さない。
少女→惑星探査
ノーナの出典であるSF作品。7年前に放映された全26話のアニメだが、原作は小説であり、コミックやゲームにもなっている。彗星図書館号という宇宙船で、ノーナとオズマが星々を旅するという内容。キャッチコピーは「今日知った事は明日覆る」で、未知への挑戦をテーマとする。ちなみに、アニメ最終話のストーリーがかなり微妙であり、世間的な評価はあまり高くない。
ドラグリウス・サーガⅣ (どらぐりうすさーがふぉー)
ベルノアの出典であるロールプレイングゲームで、シリーズ第4作にあたる。「竜魔王を倒すため、勇者ベルノアは旅立つ」というのがキャッチコピー。春人によれば、双葉社から攻略本が出ているという。房伊田春人は高校2年生の時、パッケージのベルノアのデザインに惹かれ、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲはプレイしたことがないにも関わらずこの作品を買った。
ストライキングフィストⅢ
天乃原すばるの出典である対戦格闘ゲーム。ゲームバランスにかなり難があり、すばるがあまりにも強く設定されすぎている。そのため、すばるが適当に通常技を繰り出すだけで、リンドウなど他のキャラクターたちは手も足も出なくなる。
兵器娘ウォーズ (へいきっこうぉーず)
比等間ルウの出典であるソーシャルゲーム。プレイヤーは「司令官」と呼ばれる。サービス終了になってしまい、結構な額の課金を行っていた房伊田春人を著しく落ち込ませた。ルウは、春人がこのゲームの中で最もお気に入りだったキャラクターであった。
薄い本
同人誌を指す俗称。房伊田春人は「少女→惑星探査」の薄い本を多数所持している。すべてではないが成人向けの作品も含まれており、少なくとも「いけない惑星人形3」「ノーナさんに色々な事をする本」「暴走触手ロボ」の3冊は成人向け。オズマがノーナとともに登場するものも多い。ちなみに、ベルノアの薄い本もあることが、のちに判明する。 天乃原すばるはそういう面での人気は乏しいので、すばるの薄い本は本人が探しても、春人の部屋からは見つからなかった。
婚姻届
房伊田春人が自分とノーナの名を書いて作り、密かに所持していた婚姻届。見た目にはただの婚姻届であるが、ノーナによって発見された後、春人とノーナが手を触れた途端に光を発し、直後に2人は結婚式の衣装の姿になっていた。
D・Pシステム (でぃーぴぃーしすてむ)
ノーナの戦闘モードである「非常態オペレーション」。特殊条件下で発動する。これを発動すると本来は金色の髪が黒くなるなど、外見上の変化を生じ、人格も別のものに入れ代わる。その状態では「D・Pシステム」を自称するが、房伊田春人は「裏ノーナ」と呼んでいる。通常モードに戻ると、「D・Pシステム」発動中の記憶は想起できなくなる。 D・Pは「デストラクション・プラネット」の略であり、このモードの本当の機能は、惑星を破壊することである。なお、「チャンピオン・システム」というもう1つの形態も存在する。
ゲート
クサビの持つ能力。通常空間に転移用のホールを開き、冠成次郎をドアを経由せずに房伊田春人のマンションの中に入れたりすることができる。また、「コント・ゲート」というバリエーションもあり、これは「物語の中に入る」ことを可能にするものである。
DRAGORIZE
ベルノアが使う数ある魔法の中でも、最終魔法として位置づけられるもの。強大な力を持ったドラゴンに変身することができるが、すぐには元に戻ることができなくなる。「ドラグリウス・サーガⅣ」の中では、EXダンジョンである「天界の神殿」で習得できる、ということになっている。