世界観
前作『冥王計画ゼオライマー』と同様に、現代の日本および関連する国家が舞台。本作『冥王計画ゼオライマーΩ』は前作の25年後という設定だが、これは両作品の連載開始時期に、実際に25年の開きがあることに起因している。
あらすじ
渡瀬美久の通う中学校に、「秋津マサキ」と名乗る教師が赴任してきた。たびたび美久を気に掛けるマサキだったが、彼の正体は、「転生体」と呼ばれる存在を確保する密命を受けた鉄神帝国の将軍ルギウスだった。首尾よく「転生体」である美久を連れ去ろうとするルギウスだが、彼の前に鉄神Xダイバーと、それを操る築嶋真沙希が現れる。真沙希は、美久と共に乗り込んだXダイバーの力をもって、ルギウスと腹心トーアが搭乗する重鉄神デスパイザーⅡを撃破。この一戦を皮切りに、ツキシマ重工と鉄神帝国による「ゼオライマー」を巡る熾烈な戦いが幕を開けるのだった。
作風
巨大ロボット同士のバトルに主軸を置いている。主役機を擁する大企業と先進国を凌駕するテクノロジーを持つテロ組織の対立構造や、重厚感溢れるロボット同士の戦闘は、昨今のロボットアニメを彷彿させる。また、前作『冥王計画ゼオライマー』が成年漫画だった影響もあり、エログロな描写も見受けられる。
登場人物・キャラクター
築嶋 真沙希 (つきしま まさき)
Xダイバーのパイロットを務める中学生の少年。25年前に旧鉄神帝国と戦い世界を救った「秋津マサキ」の転生体である。学校ではあえておとなしい生徒を装っているが、実際は強きを挫き弱きを助ける熱血漢で、鉄神帝国の侵略から市民を守るべく戦う、確固たる意志を持つ。しかし、戦いが激化していくにつれ、時折人が変わったように狡猾、残虐な面を見せるようになり、とりわけゼオライマーXで戦闘を行っている最中および前後はそれが顕著になる。
渡瀬 美久 (わたせ みく)
築嶋真沙希の同級生。25年前、「秋津マサキ」と共に戦い、世界を救った「氷室美久」の転生体である。本人はそれとは知らず、義理の父親である渡瀬工場長や義妹の渡瀬円花らと共に充実した学園生活を送っていた。しかし、鉄神帝国の侵略に際して、自らの出自と運命、そして超次元システムが体内に宿っていることを知らされ、真沙希のパートナーとして共に戦うこととなる。
築嶋 晃造 (つきしま こうぞう)
ツキシマ重工のCEO。戸籍上は築嶋真沙希の父親だが、血はつながっておらず、その関係は親子というよりは戦友に近い。「秋津マサキ」や「ゼオライマー」、旧鉄神帝国について詳しく、鉄神帝国の襲来についてもある程度の予測を立てていた。大手会社の代表という立場を活かして人脈を広げており、日本やアメリカの重鎮とも親しい。
ルギウス
鉄神帝国の将軍を務める青年。誇り高い性格でプライドも高く、受けた屈辱は自らの手で晴らすことを好む。鉄神帝国から渡瀬美久を拉致する密命を受け、彼女の担任教師になりすまし連れ去ろうとするが、築嶋真沙希に阻止される。25年前の幼い頃、旧鉄神帝国壊滅の場に居合わせており、その時に拠点を滅ぼしたとされる「ゼオライマー」に対して強いトラウマを抱えている。
トーア
ルギウスの腹心であるアンドロイド。ルギウスに対して常に忠実に振る舞い、ルギウス自身もトーアを頼りにしているが、時折ルギウスに対し、部下というよりは姉のような慈愛を見せることがある。デスパイザーⅡのメインパイロットを務めており、ルギウス専用機であるアロゥゼラヴィーにもサブパイロットという形で同乗している。
ドーズ
鉄神帝国の将軍を務める青年。傍若無人を絵に描いたような悪辣な男性で、超次元システムの調査のために捕えた渡瀬美久を虐待したこともある。他の将軍に対しても挑発的な態度で接するため人望はまったくないが、クライゼルをXダイバーに撃墜された際に、半身を失うほどの重傷を負い、サイボーグに改造される。それ以降は苛烈さこそ元のままだったが、多少は分別のある性格に改善されている。
キモン
鉄神帝国の将軍を務める女性。人を食ったような発言が目立つサディスティックな人物。また、気まぐれかつ短気な面が目立ち、戦況が有利であれば部下を褒め称えるが、作戦が失敗すると八つ当たり同然の叱責を行う。ただし、自身や周りの状況を客観視できるだけの視野の広さも持ち合わせており、他者の不意を突く作戦などを得意としている。
ワイゼッカー
鉄神帝国の将軍を務める禿頭の中年男性。冷静さと豪胆さを併せ持つ武人で、ルギウスの剣の師匠でもある。敵に対して容赦をすることはないが部下や仲間に対しては情が深く、ルギウスをはじめ多くの人物から信頼を集めている。また、自身の能力に決して驕ることはなく、有利な状況を作り出すためなら手段をえらばない狡猾さも持ち合わせている。 本人の高い技量とクリフォトの持つ特殊武装の数々を用いてXダイバーを圧倒した。
イスラメイ
鉄神帝国の将軍を務める少女。ロシア風の衣装に身を包んでおり、渡瀬美久に容貌が酷似している。将軍の中では異例といえる若さで総統ネマトーダ直々の指名により抜擢されているが、その理由は明らかにされていない。寡黙で大人しい性格だが、時折物事の本質を突くような発言を行い、ほかの将軍を驚かせることがある。
マルキオン
鉄神帝国の重鎮で科学者の老人。組織内では大賢者と呼ばれている。総統ネマトーダに絶対の忠誠を誓っており、ネマトーダからも信頼を得ている。表舞台に立つことを好まず、あくまで軍師および科学者としての責務を果たすことに専心している。科学者としては超一流で、中でも彼の組み上げた総統専用機ゼオライマーは、マルキオンでなければ作り上げることはできなかったと言われている。
渡瀬工場長 (わたせこうじょうちょう)
渡瀬美久、渡瀬円花の父親。美久とは血のつながりはないが、実の娘として接している。また、秋山良憲とも親しく、「ヨシ坊」と呼び可愛がっている。ツキシマ重工の工場長を務めており、Xダイバーのメンテナンスも担当している。築嶋晃造とは20年以上前からの知り合いで、彼からメレクの鉾や超次元システムなどについてある程度聞かされているが、同時に最重要機密であると警告されてもおり、機密保持を順守し部下の脇田にもそれを徹底させている。
渡瀬 円花 (わたせ まどか)
渡瀬美久の妹。渡瀬工場長の実の娘であるため、美久と血はつながっていないが、当人同士はそれを知らず、姉妹仲は非常に良い。秋山良憲が美久に想いを寄せていることを知っており、幼なじみとしてそれを応援していたが、その想いに美久がまったく気づいていないため、秋山に同情の念を寄せている。
秋山 良憲 (あきやま よしのり)
築嶋真沙希のクラスメイトで、渡瀬美久の友人。長身かつ長髪の男子生徒で、ノリの軽いところを見せることが多いが、根は礼儀正しく真面目な性格。渡瀬家とは幼い頃から親しく、特に美久に対しては想いを寄せるとともに、自分の手で守りたいと考えていた。しかしある時、真沙希と美久が親しくしているところを目撃してしまい、嫉妬の念に駆られる。 さらに、それを知った将軍キモンの部下によって洗脳され、与えられたインペトゥスに乗り込みXダイバーの前に立ちふさがる。暴走した想念で真沙希と美久を追い詰めるが、激戦の末に敗北。正気を取り戻し自らの所業を償おうと自殺を図るが、美久に阻止される。
梨瑠 (りる)
築嶋真沙希のクラスメイトで、渡瀬美久の友人。天真爛漫な性格の小柄な少女。級友の中でも特に美久と仲良しで、度々電話などで会話をしている。友達想いである面を度々見せるが、鉄神帝国の襲撃によって臨時休校になったことを少しだけ喜ぶ不謹慎さを美久に咎められることもあった。
四之宮 朗 (しのみや あきら)
築嶋真沙希のクラスメイトで、渡瀬美久の友人。小柄な中学生男子。軽薄な人物に見られがちだが、実際は思いやりが非常に強い友達想いの少年。ほかの友人同様、当初は真沙希のことを快く思ってなかったが、彼が美久や秋山良憲の恩人だと知り、彼らを救ったことに礼を言った。
知子 (ともこ)
築嶋真沙希のクラスメイトで、渡瀬美久の友人。眼鏡をかけた知的な雰囲気を持つ少女。歯に物を着せない物言いが特徴で、何を考えているかわからない真沙希を快く思ってなかったが、一方で、「いつもうるさい四之宮朗よりはマシかも」と言い、朗をがっくりとさせることもあった。
ゴルシード
旧鉄神帝国の重鎮。かつて「ローズ・セラヴィー」という重鉄神の操縦を務めて、「ゼオライマー」と戦ったこともある。ルギウスの父とは親友の間柄で、ルギウスからも強い信頼と尊敬を受けていた。旧鉄神帝国の本拠地が崩壊する際、ルギウスを本拠地から脱出させ、本人はそのまま行方不明となった。その消息は今に至るまで明らかになっておらず、生死も不明。
脇田 (わきた)
渡瀬工場長の部下。共にXダイバーのメンテナンスを担当している。眼鏡と分厚い唇が特徴的な中年男性で、上司である渡瀬を強く尊敬している。自分の仕事に自信と誇りを持っているが、それだけにXダイバーが秘密を抱えていることについては快く思っていない。
冴草 庸子 (さえぐさ ようこ)
築嶋晃造の秘書を務める女性。晃造の義息である築嶋真沙希や渡瀬工場長とも親しい。才色兼備のエリート然とした人物で、鉄神戦におけるオペレーターの役割を果たすこともある。晃造と真沙希以外の人には知り得ない事柄があることを、仕方ないと思う一方で水臭さも感じている。
ジェフリー・バーンズ (じぇふりーばーんず)
アメリカ軍北方前線指揮官。アメリカ最北端の都市バローに現れた、鉄神帝国の重鉄神クリフォトを迎え撃つ作戦の指揮を執り、自らも重鉄神レキシントンに乗り込む。しかしものの数十分で部隊を全滅させられてしまい、本人も満身創痍だったところをXダイバーに救われる。
総統ネマトーダ (そうとうねまとーだ)
鉄神帝国の総統。長らくその正体は明かされておらず、将軍たちや大賢者マルキオンも声のみで指令を受けていたが、鉄神帝国に連れ去られた渡瀬美久を前にして、ようやく姿を現す。その容姿は築嶋真沙希と瓜二つで、対面した美久を驚かせる。部下である将軍キモンを半ば処刑同然に戦地に送り込むなど性格は極めて残虐非道。 しかし、その非道さは豹変した真沙希とよく似ている。やがて専用機となるゼオライマーが完成すると、美久を伴い搭乗。ニューヨークを火の海に沈めるべく出撃する。
青沼 龍哉 (あおぬま りゅうや)
自衛隊所属のパイロットの青年。階級は一等陸尉。かつて築嶋晃造に世話になったことがあり、将軍キモンのツキシマ重工襲撃を阻止するため、雷雅改を用いて駆けつける。替死鬼の分離攻撃に翻弄されつつも、街を死守。築嶋真沙希到着まで持ちこたえる。その後はゼオライマーXとノウェムの戦いを見届けるが、鉄神帝国の重鉄神を遥かに上回るスペックを誇るゼオライマーXは、彼に「次元が違う」と言わしめた。
ライアン・ボールドウィン (らいあんぼーるどうぃん)
アメリカ軍司令官。総統ネマトーダによるニューヨーク攻撃の宣言を受け、迎撃部隊の指揮を執ることになる。自国に誇りを持っている反面、大国の指揮官ゆえの慢心も持ち合わせている。そのため、鉄神帝国の重鉄神を実際に目の当たりにしたジェフリー・バーンズの忠言にも耳を貸さず、タイコンデロガ級の大部隊に、ネマトーダの乗るゼオライマーへの一斉攻撃を指示してしまう。
集団・組織
鉄神帝国 (のいえ・ねまとーだ)
北極圏に拠を構えるテロ組織。総統ネマトーダと呼ばれる存在を筆頭に、大賢者マルキオンと5名の将軍が全軍の指揮を執る。重鉄神と呼ばれる強力な機動兵器を多数擁しており、そのテクノロジーは先進国をもはるかに上回る。25年前に前身である旧鉄神帝国を壊滅させた最強の重鉄神「ゼオライマー」を危険視しており、それを巡りツキシマ重工と対立することになる。
ツキシマ重工 (つきしまじゅうこう)
築嶋晃造が経営する大企業。日本、およびアメリカの首脳部と深いつながりを持っており、鉄神帝国と同等の開発技術を有している。主な戦力は築嶋真沙希が乗り込むXダイバーのみだが、鉄神帝国の侵略を幾度となく阻止している。また、旧鉄神帝国のメンバーであった人員も多数在籍している。
旧鉄神帝国 (ねまとーだ)
鉄神帝国の前身たる組織。南大西洋の海底に要塞を構えていた。重鉄神を利用した世界征服を目論んでいたが、「ゼオライマー」のパイロットである「秋津マサキ」と「氷室美久」の決死の活躍により野望は潰えた。なお、幼き日のルギウスや、彼の恩人であるゴルシードなども、かつてこの組織に身を寄せていた。
その他キーワード
鉄神 (えふくらす)
鉄神帝国やツキシマ重工などで用いられる機動兵器。人型をしているものが多いが、中には特異な形状を持つ鉄神もいる。動力は機体によって異なるが、最も基本的なものは電力であるとされる。なお、AクラスからEクラスまでのロボットに関しては、特に異名は与えられていない。
重鉄神 (じーくらす)
鉄神より巨大な機動兵器。そのほとんどが鉄神を凌駕する戦闘能力を持つ。ただし、開発元が持つテクノロジーやパイロットの技量などによってその能力は大きく左右されるため、鉄神が重鉄神を上回ることもあり、事実、鉄神のXダイバーは、多くの重鉄神を倒している。
Xダイバー (えっくすだいばー)
ツキシマ重工の鉄神。築嶋真沙希が搭乗する。普段はツキシマ重工第七工場の地下に秘密裏に建造された「機甲ドック」で整備・補給を受け有事に備えているが、鉄神帝国が襲来すれば、街を守るために出撃する。背部重力低減システムと、腰部および脚部に設けられたスラスターによってマッハ3.5もの高速で飛行することが可能。 肩部には「D・ブレード」と呼ばれる板状の武装を持ち、これは先端部からエネルギー光弾を連射する武装「カノン・ボルテックス」として機能するほか、取り外して斬撃、および投擲武器としても使用することができる。また、オプション武装であるメレクの鉾を装備することで、さらなるポテンシャルを引き出すことができる。しかし、それらを含めてもなお、この機体はゼオライマーXの仮の姿に過ぎない。
ゼオライマーX (ぜおらいまーえっくす)
超次元システムが完全覚醒することによって顕現する、Xダイバーの真の姿。「冥王」の異名を持つ。機体各部が展開・伸長し、さらに変形したメレクの鉾と一体化して機体サイズが変化。重鉄神にカテゴライズされる。主武装は超強力な内蔵兵器であるDインパクト。さらに、異次元すら見通す超高性能レーダー「冥王の眼」を搭載している。 Xダイバーをはるかに上回る戦闘能力を誇り、Xダイバーを半壊させたクリフォトすら、手も足も出なかった。
超次元システム (ちょうじげんしすてむ)
ゼオライマーXの動力源となる超機関。渡瀬美久の体内に埋め込まれている。原理や稼働条件などは一切不明だが、無限のエネルギーを抽出できると言われている。また、XダイバーからゼオライマーXへの変貌の際には美久にも何らかの変化が起きているため、両者には関連性があると考えられている。さらに、美久が搭乗していない時でも、築嶋真沙希が「呼び出す」ことによって、自動的にコクピットへ転送されたという事例もある。
デスパイザーⅡ (ですぱいざーつー)
鉄神帝国所属の重鉄神。トーアによって操縦され、将軍ルギウスが同乗し指揮を執る。25年前に「ゼオライマー」が初めて戦った旧鉄神帝国の重鉄神「デスパイザー」の改良発展型で、両腕にスラスターを内蔵しており、腕そのものを弾頭に見立てて発射する「ワイヤード・ナックル」を放つ。Xダイバーの初陣の相手となり、築嶋真沙希を大いに苦しめた。
メレアグロス
鉄神帝国所属の鉄神。将軍ルギウスが搭乗し、自ら操縦する。近接・格闘戦に特化した性能を持ち、操縦者の技量もあいまって、マッハ4もの最高速度と凄まじい機動性を見せる。主な武装は肩部ガトリング砲「ブレイザー・ストーム」と、腰部にマウントされている特殊合金製の大剣「プラーテ・アグロス」。また、膝部装甲は鋭利な刃となっており、大腿部に内蔵されたシャフトにより「クラッシャー・パイク」と呼ばれる膝蹴りを打ち出すこともできる。
桜雅 (おうが)
日本が所有する鉄神。格納および移動時は躯体をコンパクトに包んだ待機モードだが、戦闘に際し四肢を展開し、人型機動兵器となる。全身におびただしい数の重火器を内蔵しており、その風貌は「歩く火薬庫」というにふさわしい。しかし、鉄神帝国の重鉄神と比較すると、装備・性能共に後れをとっているのが現状である。
クライゼル
鉄神帝国所属の重鉄神。将軍ドーズが搭乗する。拠点制圧を目的として開発されており、装甲の厚さもさることながら機体表面に張り巡らされた強固なエネルギー・シールドにより、まさに鉄壁の防御力を誇る。搭載された重力制御システムは機体を浮遊させるのみならず、クライゼル自身の重力も増幅し、その機体で敵拠点を押しつぶす際にも威力を発揮する。 さらに両肩にセットされた鉄塊は、胴体に収納された長大な腕部が展開されることで、恐ろしい破壊力を持つ分銅型の武器になる。
ヴァラエナ
鉄神帝国所属の揚陸艦。将軍ドーズが指揮する。水上、水中、空中のいずれにおいても活動可能な高性能艦で、専ら鉄神、および重鉄神とそのパイロットを目的地へ輸送するために使用される。重鉄神なら3機まで、鉄神なら5機まで格納可能。艦内には整備工場を持ち、鉄神の修理・補給も行うことができる。
ギャッゾ
鉄神帝国所属の重鉄神。両腕にあらゆる物体を容易に切断することが可能な超硬合金製チェーンソーを装備。また、俊敏性に長けており、地上をおよそ時速400キロメートルで走行する。ただし、チェーンソーの他にはこれといった武装がないため、対鉄神戦においては、タッグを組むグライフェンの後方支援を受けることで真価を発揮する。
グライフェン
鉄神帝国所属の重鉄神。重装甲が自慢の重量級兵器。ギャッゾとのコンビを想定した中・長距離支援型として開発されており、多数の火器が内蔵されている。球状の上半身は4本のアームが展開可能で、それぞれのアームと口の部分から、敵の動きを封じる拘束ワイヤーを射出可能。その特性を生かし、敵機の攪乱、および拘束を得意とする。 さらに上半身は反陽子爆弾としても機能し、コクピットのある下半身と切り離すことで爆撃を行うことも可能となっている。
ヘミプリステス
鉄神帝国所属の揚陸艦。将軍キモンが指揮する。ヴァラエナ同様に、重鉄神の最大搭載数は3で、航続距離も変わらないが、最大船速においてはヴァラエナを上回っている。ただしその代償として、船体強度は劣る。ギャッゾ、グライフェン、インペトゥスを搭載している。
インペトゥス
鉄神帝国所属の重鉄神。キモンの部下によって洗脳を施された秋山良憲が搭乗する。高い機動性と重装甲を備えた、バランスの良い高性能機。主武装は右手に携えた超合金製の槍トルネード・ランス。他に、肩部に中・長距離専用のビーム・ジェネレーターを内蔵し、腕部には格闘戦に備え強力な振動破砕力を持つ「クラッシャー・ニードル」を装備している。
レキシントン
アメリカ軍所属の重鉄神。ジェフリー・バーンズが搭乗する。両腕が主兵装の一つである「レールガン」となっており、胸部中央には高出力の荷電粒子砲が搭載されている。アメリカ軍の主力機として活躍するほか、部隊の司令塔としても機能する。「サラトガ」、「ファラガット」、「コンステレーション」、「イントレピッド」といった同型機が存在する。
スカイクラック
アメリカ軍所属の鉄神。レキシントン級の直掩機として機能している。大型爆撃機への変形機能を搭載しており、爆撃機形態での最高飛行速度はマッハ2を記録する。腕部には12基の追尾型ミサイルおよびロケット弾ポッドを2基、左右それぞれに搭載している。
ロングノーズ
アメリカ軍所属のEクラス戦闘兵器。人型とは一線を画す特殊な形状をしており、その姿から「歩く砲台」と呼ばれることもある。随行するCクラス、およびDクラス用の武装を運搬するためのウェポンラックが内蔵されている。また、ウェポンラックの下部にはガトリング砲が搭載されており、ロングノーズ自身の後部武装として機能できるほか、Dクラスの手持ち用武器しての運用も可能となっている。
ファントムヘッド
アメリカ軍所属のDクラス戦闘兵器。「機甲歩兵」の異名を持つ。人間の手指に近いマニピュレーターを装備している。戦況に応じて、アサルトライフルやパンツァーファウストなど、ロングノーズが運搬する手持ち武器を持ち替えて戦うことができる。「エレファントヘッド」と呼ばれる同型機が存在する。
クリフォト
鉄神帝国所属の重鉄神。将軍ワイゼッカーが搭乗する。重鉄神の中でもひときわ巨大な体躯と、それに見合った重装甲を誇り、並の攻撃では傷をつけることすら叶わない。さらに死機傀儡や機器全盲など、特殊装備も完備している。北米大陸最北端バロー近郊に上陸し、レキシントンら数十機からなるアメリカ軍の戦闘ロボット軍団を数十分で全滅させる。 さらに、駆け付けたXダイバーすら圧倒するほどのパワーを誇る。
グロップス
鉄神帝国所属の重鉄神。左右対称の形状をした2機がコンビを組んでおり、それぞれ「グロップスα」、「グロップスβ」と呼称されている。それぞれ片腕に巨大な連射砲「ガトリング・キャノン」が搭載されており、反対側の手はスマートながらも非常に力強い剛腕となっている。通常はこの2機の連携で作戦行動にあたるが、いずれかの機体が損傷を受け任務遂行に支障が出た場合、合体することで「グロップスW」として再起動し、行動を継続できる。
スフィルナ
鉄神帝国所属の揚陸艦。将軍ルギウスが指揮する。ヴァラエナ、およびヘミプリステスの同型艦だが、艦首モジュールが大型化され、重鉄神の最大搭載数が4機に増えている。これに伴い、従来の艦では艦首内部に装備されていたレーダー、ソナーなどの索敵システムは、艦首左右に張り出した安定翼、および先端のレドーム内に移設されている。
メトスレガトス
鉄神帝国所属の重鉄神。死の淵から蘇った将軍ドーズが搭乗する。頭部を除く全身を、釣鐘状の装甲板に覆われているという、奇妙な形状をしている。主な武装は機体前面に突き出た鋭利な衝角を、内蔵されている触手の先端に取り付けて放出する「テンタクル・スピアー」。また、総統ネマトーダの計らいによって「次元結界」と呼ばれるシステムが搭載されている。
アロゥゼラヴィー
鉄神帝国所属の重鉄神。ゼオライマーX打倒の目的を果たすべく、将軍ルギウスが搭乗する。かつて「旧鉄神帝国」の将軍ゴルシードが運用していた「ローズ・セラヴィー」の後継機としてロールアウトされた。武装や特性はローズ・セラヴィーと同系統のものだが、いずれも格段に進化を遂げている。主武装としてエネルギーセイバー改を装備。 特殊兵装としてエグゾブーストおよびVTを備えている。
ノウェム
鉄神帝国所属の重鉄神で、将軍キモンの専用機。高性能のステルス装置と光学迷彩機能を備えている。主な武装はワイヤークローを相手に打ち込み、電磁パルスで敵機を内部から破壊する「毒針(ドゥ・チェン)」や、両腕を電磁場で包み肘から先を丸ごと荷電粒子の剣とする「雷光龍(レイ・グァン・ロン)」など。
替死鬼 (てぃーすぅーぐぇい)
ノウェムの直掩を担う無人機。敵を惑わすため、外見をノウェムに酷似させている。全身を30ものパーツに分離させ、相手を攪乱、攻撃する機能を持っている。これらのパーツは、小型であるうえにひとつひとつが人間の反射速度をはるかに上回る速度で飛行できるため、攻撃を当てることが極めて困難で、命中させられたとしても、ひとつ、ふたつ程度なら大した痛手にはならない。
雷雅改 (らいがかい)
日本が所有する鉄神。搭乗員は3名で、青沼龍哉がメインパイロットを務める。「桜雅」の兄弟機である「雷雅」が、ツキシマ重工からの技術供与を受けて強化改造された機体。従来型と比較して装甲材質、火力、機動性が大幅に向上しており、躯体をコンパクトに畳んだ状態でも、下面に装備されたキャタピラの働きによって、戦車のような運用が可能となっている。 主な武装は頭部に「対空ミサイル」8門、両手指に「5連式188ミリバルカン砲」、掌中央に「格闘戦用ショックニードル」、両脇腹に「対鉄神ミサイルポッド」4門、背中にマウントされた「720ミリダブルキャノン」など。
マグナランサー
ツキシマ重工の鉄神。築嶋真沙希たちの力になるため戦うことを決意した秋山良憲が搭乗する。破壊され、駿河湾に沈んだインペトゥスの残骸をベースとして再構築されている。両手足、及び操縦系はインペトゥスのものを踏襲しているが、胴体と頭部はXダイバーのパーツで組み上げられている。主武装は引き続きトルネードランスを使用しており、さらに左前腕部には、新たにエネルギー・シールド・ジェネレーターを搭載。 これを中心に、直径60メートルを超える巨大な「光の円形盾」を展開することができる。
ゼオライマー
総統ネマトーダの専用機。25年前に大破した「ゼオライマー」の残骸を基に大賢者マルキオンの手によって組みあげられた、曰く「真の冥王」。その姿は築嶋真沙希が乗り込むゼオライマーXを黒く変色させたものである。ネマトーダはこの機体に絶対の自信を持っており、ニューヨークに対する攻撃を画策。単機でタイコンデロガ級の軍勢と相対する。
タイコンデロガ
レキシントンに代わり新たにロールアウトされた、アメリカ軍所属の重鉄神。従来の機体と比較すると機動力、攻撃力共に大幅に向上している。海上航行、および飛行が可能な「巡行モード」への変形を可能としており、これによって空陸海の全てを移動することができるようになっている。破壊されたクリフォトの残骸を解析し、これに基づいて開発された強化型レールガンを装備しており、これは鉄神帝国の重鉄神のエネルギーフィールド、および装甲を打ち抜く威力を有している。
メレクの鉾 (めれくのほこ)
ツキシマ重工・第七工場の遥か地下にある「大深度格納庫」に14年間封印されていた謎の超武装。Xダイバーの危機に際し、あたかも意思があるかのように飛来した。Xダイバーの武装のひとつだが、剣としては明らかにXダイバーの手に余るサイズである。しかしこの武器を所持するとき、Xダイバーは従来の数倍のパワーを発揮することができ、結果としてメレクの鉾をやすやすと振り回せるようになっている。
トルネードランス
インペトゥスの持つ超大型格闘兵装。その全長は100メートルを超える。穂先をドリルのように高速回転することで攻撃力が倍増。さらに、内蔵されたプラズマ電磁コイルを全基展開、稼働することで、想像を絶する破壊力を秘めた必殺技「トルネード・インペトゥス」を発動することができる。インペトゥスが撃墜されたときもこの武器は失われておらず、後にマグナランサーの主武装として再び日の目を見ることとなる。
エネルギーセイバー改 (えねるぎーせいばーかい)
アロゥゼラヴィーの主武装である大型の光剣。前身である「ローズ・セラヴィー」の必殺武器「Jガイザー」と同様に、本体とは別の存在からエネルギーを吸収し収束する特性を持つ。そのため、破壊力は並の光剣を遥かに凌駕する。エネルギーを吸収する対象が失われた場合は使用不可能になるという欠点を持つが、アロゥゼラヴィーにはその欠点を補うための機構であるVTが搭載されている。
九尾狐 (じぅふぇいふー)
ノウェムの背面、および腰部のテールパーツに搭載されている、楕円形の形状を持つ無線誘導兵器。普段はノウェムと一体化しているが、切り離すことで武装として機能するようになる。また、これらを「核」としてノウェムのホログラム映像を投影。9体の「戦闘力を持った分身」を作り出すことができる。なお、ノウェムはラテン語で「9」を意味するものであるが、名称の由来は9つの分身を形成する能力にちなむ。
超次元砲 (ちょうじげんほう)
メレクの鉾の砲撃形態。超次元システムの稼働に呼応して変形、エネルギー・コネクタを介してXダイバーと接続される。「この世ならざる力」と表現される異次元からの超エネルギーを直接撃ち出すことが可能で、その特性から「超次元砲」と呼称されている。
Dブラスト
ゼオライマーXに搭載された超武装。手の甲に存在する球体に超次元システムによって生成されたエネルギーを圧縮、充填し、敵に向けて開放する恐ろしい攻撃。この攻撃を受けたものは、たとえ重鉄神であっても塵になってしまうとされる。さらに、両腕の球体を連結させることによって、エネルギーの奔流に周囲のことごとくを巻き込む超攻撃「Dインパクト」を発動させることができる。
死機傀儡 (こーぱすもびりす)
クリフォトに搭載された特殊装備。拳と拳を合わせることで発動する。手の甲から放たれる光で、破壊された鉄神の残骸を強制的に動かし意のままに操ることができる。ワイゼッカーはこの能力を使い、撃破したアメリカ軍の重鉄神を操り、Xダイバーへとけしかけた。
機器全盲 (てえねぶらえ)
クリフォトに搭載された特殊装備。ほぼ一瞬で敵機のセンサーを完全にダウンさせ、実質的に盲目状態へと陥らせる、強力なジャミング攻撃。しかし、真の姿を現したゼオライマーXの持つ超高性能センサー「冥王の眼」に対しては、まったくの無力だった。
インベル・トニトルス (いんべるとにとるす)
クリフォトに搭載された内部兵装。両腕の掌を電極にしてその中心部に電流を作り出し、両手の指先に収束。放たれた電流はあたかも雷のように降り注ぎ敵機体を襲う。機器全盲で身動きが取れなくなったXダイバーに向けて発動。これによって大ダメージを与えると共に、メレクの鉾とXダイバーを切り離すことに成功する。
次元結界 (じげんけっかい)
メトスレガトスに搭載された特殊装備。超次元システムによる修復あるいはパーツ転送を無効化する結界で対象を覆う。総統ネマトーダ本人が開発したもので、本来はメトスレガトス用の装備ではなかったが、ドーズの嘆願によって急きょ実装された。
エグゾブースト
アロゥゼラヴィーに搭載されたブースト機構。「新・生体強化システム」の異名を持つ。運動性に優れたアロゥゼラヴィーの機動力に追従すべく、「レベル5」で通常の5倍、「レベル7」で7倍というように、段階的にパイロットの反応速度を底上げするメカニズム。ただし、精神的、身体的に著しい負担がかかるため、連続使用により、パイロットの精神崩壊、最悪では死亡につながる恐れすらある。
VT (ゔぁんぱいあ・てりとりー)
アロゥゼラヴィーに搭載された特殊装備で、「ローズ・セラヴィー」の「エネルギーチャージャー」に代わる、エネルギー供給システム。範囲内に存在するエネルギープラントや鉄神および重鉄神のジェネレーターから電力を吸収するフィールドを展開する。いうなれば敵対するロボットがいる限り機能し続けるという代物である。アロゥゼラヴィーの武装は、エネルギーセイバー改を筆頭にどれも非常に燃費が悪いものだが、この機能によって欠点を完全に克服している。