あらすじ
凪子の話
高校に入学して早々、通学途中の小山凪子は転倒して大ケガを負ってしまう。その姿を目撃した海原和也は、凪子を保健室まで背負っていったことがきっかけとなり、和也の幼なじみの山治浩平を交えた三人は友情を深めていく。表向きは友達を装いながらも、凪子は和也に思いを寄せていたが、友情関係を壊すことを恐れて何もできないでいた。その後、三人は同じ大学に進学し、和也は別の大学に通う彼女ができる。そして和也は彼女と過ごす時間が増え、浩平も女遊びが忙しくなり、自然と三人に距離が生じてしまう。しかし大学卒業後も、三人の人間関係は切れたわけではなく、なんとなくつながっていた。そんなある日、凪子は職場の同僚から顔色が悪いと指摘を受け、最近食欲がなくなっていることに気づく。そして凪子と和也が食事をする約束をしていた日の夜、凪子は激しい胸の痛みに倒れ、そのまま病院に運ばれてしまう。医師から余命宣告を受けた凪子は、和也にずっと好きだった気持ちを伝え、自分と結婚してほしいと告白する。
幼なじみ(前編)
6歳のある日、山治浩平の自宅のすぐそばに、海原和也が引っ越して来た。そして浩平は、さまざまな遊びを通して和也と友情を深めていく。11歳になった頃、浩平の母親が入院したため、浩平は昔から折り合いの悪かった祖母の家で暮らすことになる。そんな中、浩平は自らを冷遇する祖母に和也が意見する姿を目撃する。家族でもないのに自分を守ろうとしてくれる和也に対して、浩平は次第に恋心を抱くようになる。しかし、その思いを振り切るかのように、浩平は別の女子に次々と手を出し、刹那的な恋愛を繰り返していた。そして高校に入学した浩平は、和也の紹介で小山凪子と出会う。これまでも和也に好意を寄せる女子を何人も見てきた浩平は、凪子の一途な思いと穏やかな人柄に好感を覚えていた。しかし、もし自分が和也に思いを告げると三人の友情が壊れ、凪子を傷つけてしまうのではないかとの思いから、何もできずに時間だけが過ぎていく。
幼なじみ(後編)
父親の転勤を機に、6歳の海原和也は知らない街に引っ越すことになった。以前から身体が弱いこともあってなかなか友達ができず、寂しい思いをしていた和也だったが、近所に住む山治浩平と親しくなる。浩平のおかげで和也は新しい土地にも慣れ、楽しい日々を過ごしていた。そして11歳になったある日、浩平の母親が入院したため、和也は浩平が祖母と暮らし始めたことを知る。それを境に浩平の様子が変わったと感じた和也は、浩平の祖母が彼を冷遇している姿を目撃する。怒りを覚えた和也は、浩平の祖母に浩平への態度を改めるように訴える。こうして和也は浩平と友情を築きつつも、どこか愛情のような感情も抱くようになっていく。そして和也は高校に入学して早々、穏やかな人柄の小山凪子と出会う。その後、和也は凪子と浩平の三人で友情を築き、何よりも大切にしていた。そして大学に進学してからは、三人の友情を壊さないため、告白された彼女と交際をスタートさせる。
登場人物・キャラクター
小山 凪子 (おやま なぎこ)
海原和也に好意を寄せている女性。高校1年生の時にケガをしたことをきっかけに、和也と知り合いになった。以降、和也の幼なじみ、山治浩平を交えて三人で友情を深めていく。三人で過ごすことが心から楽しいと感じており、その関係を壊すことを恐れて、和也に恋心を告げられないでいる。地味で目立つタイプではないが、笑顔がかわいらしい癒し系。穏やかな性格で、誰に対しても優しく接する。態度には出さなかったものの、出会った当初は浩平に対して苦手意識を抱いていた。
海原 和也 (うみはら かずや)
山治浩平と幼なじみの男性。小学校から大学までずっと同じ学校に通っている。高校1年生の時に転倒してケガを負った小山凪子を助けたことで、彼女と知り合いになった。以降、浩平を交えた三人で友情を築いてきた。浩平とは6歳の時からの付き合いで、大切な友達だと認識している。その一方で、浩平に対して友情以上の感情を抱いている節もある。さわやかなルックスで、学生時代から頭脳明晰(めいせき)だった。優しい性格で気が利くこともあり、女子からは非常にモテる。中高と特定の女性はいなかったものの、大学に入学してから彼女ができた。凪子からは「カズちゃん」と呼ばれている。
山治 浩平 (やまじ こうへい)
海原和也の幼なじみの男性。小学校から大学までずっと同じ学校に通っている。高校1年生の時に和也が小山凪子と親しくなったことをきっかけに、三人で友情を築くようになった。11歳の時に母親が入院し、自らを冷遇する祖母といっしょに暮らすようになった際、自分をかばってくれたことから、和也に対して恋心を抱くようになった。しかし、和也に自分の気持ちを告げるつもりはなく、中学以降はほかの女性と交際しては別れることを繰り返してきた。明るく社交的な性格ながらも、軟派な一面もあるため、出会ったばかりの凪子からは内心苦手意識を抱かれていた。