副馬

副馬

飛鳥時代を舞台に、恵まれないが心正しい男が、足の欠けた埴輪の馬を拾い、直してやることから生じるドラマを描いた、昔話のような印象の短編。全16ページ。「グレープフルーツ」誌で、1983年10号に掲載された。

正式名称
副馬
ふりがな
そえうま
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

飛鳥時代。母1人子1人で、有力な身内もいない尺麻呂は、無位無官のまま貧しい暮らしを送っていた。長屋で隣に住む魚奈のことが好きだが、言い出すこともできない。ある日、近くの森で、誰かに呼び止められた気がした尺麻呂は、足が欠けた埴輪の馬を拾う。その森は、由緒正しい方の墓だと言い伝えられている場所だった。家に持ち帰り、赤土で埴輪の足を直すと、その夜、高貴な装束の何者かがやってきた。

「私の馬が戻った」と喜ぶ男は、ほうびの首飾りを投げ、馬にまたがり消えていった。首飾りは高価な翡翠の勾玉でできていた。その話は広がり、尺麻呂は盗掘を疑われ、投獄されてしまう。しかし、主上の母君が首飾りを見分し、「これは伝説の首飾りである」と、森を調べるように言いつける。

はたしてそこは、かつての天皇の陵で、その発見により尺麻呂は官位を賜ることになる。

登場人物・キャラクター

尺麻呂 (さかまろ)

母一人子一人で長屋に住む青年。性格は優しく、心正しい。もともとは役人の家系だが、父親をなくしてからは取り立ててくれる親族もなく、無官のままで貧乏暮らしを送っている。祖先は土師氏(はじし)で、天皇の陵を作る仕事だった。隣に住む魚奈のことが好きだが、貧乏ゆえに言えないでいる。

魚奈 (うおな)

尺麻呂の隣に住む女性。美人で優しい、尺麻呂の想い人。強引な石勝につきまとわられている。

石勝 (いわかつ)

尺麻呂の友人。魚奈のことが好きで、つきまとっている。内心、バカにしていた尺麻呂が宝物を手にいれたことが面白くなく、盗掘だとウソをついて役人に訴える。

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