概要・あらすじ
医局の命令に背いて干されていた天才外科医・朝田龍太郎の家を明真大学付属病院胸部心臓外科助教授の加藤晶が訪ねる。彼女が発表したバチスタ論文を成功させるべく結成するチームに朝田の技術が必要だというのだ。手術内容に興味を惹かれ外科医に復帰した朝田であったが、赴任先の明真大学付属病院は心臓外科教授・野口賢雄の判断が絶対となる封建的な場所だった。
医局のタブーを破り、スタンドプレーにより難手術を成功させていく朝田を排除しようとする野口は、加藤晶の失脚を目論見、彼女が出馬する教授選に対立候補・霧島軍司を立てる。朝田の腕を欲しがる救急救命部教授・鬼頭直人も対立候補・国立笙一郎を擁立し、教授選は混迷を極めていく。
登場人物・キャラクター
朝田 龍太郎 (あさだ りゅうたろう)
凄腕の外科医。北日本大学附属病院で起きた医療過誤事件が原因となり大学を追われる形でNGOに参加、アフリカ某国の難民キャンプで「医龍 (Team Medical Dragon)」という医療チームを率いる。教授の帰国命令に背いて現地にとどまったため、大学病院は解雇されて医師として働ける場所を失うが、その卓越した外科手術技術を加藤晶に見込まれ、明真大学付属病院の胸部心臓外科医としてスカウトされる。 組織や派閥に属することを極端に嫌い、患者を救うためならば掟破りのスタンドプレーも辞さないため、医局内でトラブルメーカーとして認識されている。あらゆる臓器を切ってきた経験と世界レベルの技術を駆使して、手術室内では神の如く君臨するが、私生活ではきわめて怠惰でズボラである。 大の甘党。
加藤 晶 (かとう あきら)
明真大学付属病院胸部心臓外科助教授。女性に風当たりの強い封建的な医局の中で、政治力を駆使して現在の地位まで昇りつめた。隠ぺい体質の蔓延する医局を改革するという野心を抱く。自らのバチスタ論文を成功させて、教授選勝利の足掛かりとするため、朝田龍太郎をスカウトし、バチスタチームを結成させる。 野口賢雄教授の息子で外交官の政之と一時期交際していたが、外科医としてのキャリアを選んだ。
伊集院 登 (いじゅういん のぼる)
明真大学付属病院胸部心臓外科の研修医。失敗を恐れ、指導医の顔色をうかがうだけのどこにでもいる研修医だったが、人間関係や政治力によって出世が決まる医局のあり方に疑問を感じ、純粋に外科技術を磨きたいとも欲していた。朝田龍太郎によりバチスタチームに加えられ、他の研修医とは比較できないレベルの修羅場をくぐることにより、外科医としての才能を開花させ、医師としても成長していく。
藤吉 圭介 (ふじよし けいすけ)
明真大学付属病院循環器内科医。優秀な臨床医だが、患者の立場に寄りすぎてで循環器内科の教授と衝突することもしばしばである。投薬治療で完治する患者を自らの功績のために手術したがる外科医を敵視している。娘の樹里は先天性の心疾患で循環器内科に入院中であり、自らも心臓に障害を抱えている。 心停止状態に陥ったところを朝田龍太郎、伊集院登に救われ、バチスタチームに加わることになる。チームでは手術後の治療計画を担当する。
荒瀬 門次 (あらせ もんじ)
明真大学付属病院救急救命部(ER)で麻酔医として勤務する。凄腕だが、「手術1回100万円、論文絡みの手術は1回300万円」の報酬でしか動かない。新麻酔導入薬の治験により多くの患者を死なせた過去を持ち、拭いきれない罪悪感から、守銭奴として稼いだ金を湯水のように使う、吸引麻酔薬を吸って酩酊状態になるなど、荒んだ毎日を送っている。 言動も常に露悪的。行きつけのバーのバーテンダー・香の生命を朝田龍太郎に救われたことにより、バチスタチームに加わることになる。チームでは患者の全身管理を担当する。
里原 ミキ (さとはら みき)
霧島軍司の異母妹。愛人の子として霧島家に認知されて後、霧島軍司に家政婦のようにこき使われ、あらゆることに干渉されながら生きてきた。看護学校を卒業したのち、就職先として決められた北日本大学附属病院でオペ看として腕を磨き、朝田龍太郎と霧島軍司の因縁となった医療過誤事件をきっかけに、朝田龍太郎の後を追う形でNGOに参加する。 朝田龍太郎とともに働くことで看護師のレベルを超越した技術を身につけた。NGOから帰国後、朝田龍太郎とふたりで行き場をなくしていたところを救われたことで加藤晶に恩義を感じている。バチスタチームではオペ看を担当する。
野口 賢雄 (のぐち たけお)
明真大学付属病院胸部心臓外科教授。患者の生殺与奪権を握り、医局員は家臣として従える医局の王。政治力を駆使し、医局内に絶対の権力者として君臨する。加藤晶の対立候補として霧島軍司を北日本大学附属病院より呼び寄せる。自分のミスを部下になすりつけて保身を図るなど医局内では狡猾に立ち回るが、家庭では妻・咲江を大事にする愛妻家である。 息子で外交官の政之はかつて加藤晶と交際していた。
霧島 軍司 (きりしま ぐんじ)
里原ミキの異母兄。父親の愛人の子として家に引き取った里原ミキに過干渉し、また北日本大学附属病院で心臓外科医として勤務していた際に起こした医療過誤により、朝田龍太郎を大学から追放するなど、二人の人生を大きく変える元凶となった。加藤晶の対立候補として明真大学付属病院胸部外科に赴任してくる。 朝田龍太郎の才能に触れ、挫折を味わってからは、凡庸な自己を認識し、脱落者を生まない凡人のための医局をスローガンに教授選に臨む。
鬼頭 直人 (きとう なおと)
明真大学附属病院救急救命部教授。理事会が救急救命部の収益を上げるため、アメリカのアイルトン大学から呼び寄せた。朝田龍太郎の才能を高く買い、救急救命部に引き抜くために根回しをする。教授職に就いた今も手術スキルは高い。観客の存在により実力を発揮するスーパースタータイプ。 教授選の候補者として、国立笙一郎をアメリカから呼び寄せる。
国立 笙一郎 (くにたち しょういちろう)
鬼頭直人が擁立した教授選候補者。帝都大学の医局を20代で飛び出したのち渡米、UCLAの教授にまで上り詰めたが、教授選出馬のため、教授職を辞して日本に戻ってきた。一人息子の真悟を日本文化に触れさせるため、また、自分が日本の医療を立て直す姿を息子に見せてやりたいという思いから出馬を決意した。 医局に自由競争のルールを持ち込み、レベルアップさせようと考えている。
木原 毅彦 (きはら たけひこ)
明真大学付属病院胸部心臓外科医。医局のルールを絶対視し、医局の政治に翻弄される典型的な医局員として描かれる。凡庸な、取るに足らない存在である自分のフルネームを霧島軍司が憶えていてくれたことに感涙する。里原ミキに好意を抱くが、相手にされていない。
鱈淵 純 (たらぶち じゅん)
伊集院登と同期の研修医。自尊心は人一倍高いが、向上心は低く、嫉妬深い性格。医師としての能力も極めて低い。
国立 真悟 (くにたち しんご)
国立笙一郎の息子。アメリカ帰りの帰国子女。バイリンガルだが、アメリカでの生活しか知らないため、日本文化には疎い。強くて完璧な父親に対すコンプレックスにより、性格が歪んでしまっている。同じような境遇にある霧島軍司に心を開く。
バウマン
国立笙一郎が明真大学付属病院に呼び寄せた麻酔の世界的権威。荒瀬門次を凌ぐ腕前。
クレジット
- 原案
-
永井 明
- 医療監修
-
吉沼 美恵
書誌情報
医龍 :Team medical dragon 全25巻 小学館〈ビッグコミックス〉 完結
第1巻
(2002年11月発行、 978-4091865618)
第2巻
(2003年3月発行、 978-4091865625)
第3巻
(2003年6月発行、 978-4091865632)
第4巻
(2003年11月発行、 978-4091865649)
第5巻
(2004年2月発行、 978-4091865656)
第6巻
(2004年8月発行、 978-4091865663)
第7巻
(2004年12月発行、 978-4091865670)
第8巻
(2005年4月発行、 978-4091865687)
第9巻
(2005年9月発行、 978-4091865694)
第10巻
(2006年2月発行、 978-4091865700)
第11巻
(2006年5月発行、 978-4091802163)
第12巻
(2006年11月発行、 978-4091807250)
第13巻
(2007年4月発行、 978-4091811684)
第14巻
(2007年8月発行、 978-4091813794)
第15巻
(2007年12月発行、 978-4091815392)
第16巻
(2008年3月発行、 978-4091817495)
第17巻
(2008年6月発行、 978-4091818973)
第18巻 ワーク・ライフバランス
(2008年8月発行、 978-4091821003)
第19巻 客人
(2008年12月発行、 978-4091822895)
第20巻 加藤プラン
(2009年3月発行、 978-4091823755)
第21巻 野口、運命の日
(2009年10月発行、 978-4091826091)
第22巻 普通のやつ
(2010年2月発行、 978-4091830067)
第23巻 朝田のQOL
(2010年7月発行、 978-4091832078)
第24巻 予備選当日
(2010年11月発行、 978-4091835062)
第25巻
(2011年2月26日発行、 978-4091836687)
医龍 =Team Medical Dragon 全16巻 小学館〈小学館文庫〉 完結
第1巻
(2013年12月発行、 978-4091963611)
第2巻
(2013年12月発行、 978-4091963628)
第3巻
(2014年1月発行、 978-4091963635)
第4巻
(2014年1月発行、 978-4091963642)
第5巻
(2014年2月発行、 978-4091963659)
第6巻
(2014年2月発行、 978-4091963666)
第7巻
(2014年3月発行、 978-4091963673)
第8巻
(2014年3月発行、 978-4091963680)
第9巻
(2014年4月発行、 978-4091963697)
第10巻
(2014年4月発行、 978-4091963703)
第11巻
(2014年5月発行、 978-4091963710)
第12巻
(2014年5月発行、 978-4091963727)
第13巻
(2014年6月発行、 978-4091963734)
第14巻
(2014年6月発行、 978-4091963741)
第15巻
(2014年7月15日発行、 978-4091963758)
第16巻
(2014年7月15日発行、 978-4091963765)