JIN-仁-

江戸時代にタイムスリップした脳外科医、南方仁が、現代の先進医療技術を用いて、病に苦しむ人々を救おうと奔走する姿を描いた、医療と人情の幕末歴史漫画。当時の文化・風俗、そして医療事情が事細かに描写されているのが特徴。

概要・あらすじ

東都大学付属病院脳外科医局長、南方仁は、ある日、脳に胎児型の腫瘍を宿した男性の緊急手術を行う。手術は成功し、患者は一命を取りとめたが、その日を境に仁は奇妙な幻聴に悩まされるようになる。後日、患者の男性が、医療道具と胎児のサンプルと共に病室から逃走。それを引き止めようとする仁だったが、組み合った弾みに患者と共に階段から転落してしまう。

次に目を覚ました仁が見たものは、今まさに斬り合いをしている武士達の姿だった。仁は江戸時代へタイムスリップしてしまったのである。命に関わる重傷を負った武士の青年、橘恭太郎の緊急手術を行った仁は、江戸の町に住む橘家に居候させてもらうことになる。

未知の医療技術によって次々と人の命を救う仁の評判は、瞬く間に広がっていき、それは、幕末の志士達との出会いへと繋がっていくのだった。当初は、自分の医療が歴史を変えてしまうのではないかと不安に思う仁だったが、救える命を放っておくことは出来ないという医者としての使命感から、幕末の人々の運命を変える決意をするのだった。

登場人物・キャラクター

南方 仁

東都大学付属病院脳外科医局長を務める34歳の男性。胎児型の腫瘍を宿した男性の緊急手術をきっかけに不思議な幻聴が聞こえるようになり、ある日江戸時代末期へとタイムスリップする。現代医療の知識を用いて、病や怪我に苦しむ人々を次々に救っていく。当初は、自分が江戸時代の人々を救うことによるタイムパラドックスや、現代の人々への影響を心配していたが、救える命を放っておくことは出来ないという医者としての使命感から、幕末の人々の運命を変える決意をする。 豊富な医療知識の他、江戸時代の物資の限られた状況下でも治療を可能にする臨機応変さなど、極めて明晰な頭脳を持っている。また、人命を救うことが第一であり、自身の利益や欲は二の次としているため、金銭関係には苦労をしている。 当時にない未知の医療技術を持っているため、何者かを疑われることが多いが、未来人であることはごく限られた人物以外には隠している。仁の助手として献身的に働く橘咲に好意を抱いている。

橘 咲

旗本・橘家の娘であり、橘恭太郎の妹。恭太郎の命を救った南方仁に大変な恩を感じ、橘家に迎え入れる。やがて流行り病の麻疹に罹り、命の危機に晒されるが、仁の治療によって命を救われる。それをきっかけに、看護婦として仁の治療を手伝うようになり、助手として献身的に仁に尽くす。 また、仁がコレラに罹った際も、付きっきりで看病を行い、仁の命を救った。仁と共に苦難を乗り越えていく中で、彼に好意を寄せるようになる。優秀な頭脳と医療に対する適性を持っており、仁の治療に付き添う中で、医療に関する豊富な知識を蓄えていく。仁が未来人であることを知る数少ない人物の一人。 旗本との縁談が進んでいたが、仁への想いを諦めきれず、土壇場になってこれを破棄し、再び仁の元へと戻る。

坂本 龍馬

実在した幕末の志士、坂本龍馬その人。多弁で豪快な人物。土佐弁で話す。師匠である勝麟太郎(勝海舟)を通して南方仁と知り合う。最初は出所の分からない仁を信用していなかったが、その後すぐに打ち解けあい、仁の親友となる。「土佐の田舎者」と自分を卑下しつつも、日本の行く末を案じ、自分の野望を雄弁に語る。 史実どおり、倒幕のために各地を奔走する。たとえ歴史を変えることになろうとも彼を救いたいと思った仁は、1891年に起きる近江屋事件での暗殺を未然に防ぐため、奔走するようになる。

野風

吉原の鈴屋彦三郎抱えの呼び出し花魁。澤村田之助が目を見張るほどの妖艶な美女。慢性硬膜下血種を患った鈴屋彦三郎の手術を南方仁に懇願する。それ以来、南方仁を信頼するようになり、自らが患った乳癌の診断と手術を仁に依頼する。胸に刃を入れたことを理由に花魁を辞め、以後は仁友堂で雑用を務める。 桜川雲泉の、花魁をやめたありのままの野風を描いた浮世絵が人気を博し、野風目当てに仁友堂へと足を運ぶ者が増えた。仁に好意を寄せるが、自分には看護婦としての適性がないことから、自分よりも橘咲の方が仁に寄り添うには相応しいと考えている。 和宮毒殺未遂の容疑で仁が投獄された際に、牢獄への差し入れ250両を工面するため、フランス人貿易商ジャン・ルロンに身請けされ、仁友堂を去る。

橘 恭太郎

端整な顔立ちの美青年で、旗本橘家の長男。橘咲の兄。真面目で実直、礼儀正しい好青年。攘夷を掲げる脱藩浪人達の襲撃に合い、致命傷を負うが、南方仁の手術により一命を取り留める。彼の洋学の師である勝麟太郎(勝海舟)との出会いが、仁の人生を大きく変えていくこととなる。

浅草の茶屋の看板娘。餡を作っている際、頬から首にかけて、治癒しないほどの大火傷を負うが、仁に皮膚移植を施され火傷痕が分からないくらいまで回復する。脚気を患った茜の母の治療のため、仁と共に安道名津というドーナツに似たの菓子をはじめ、様々な脚気対策の菓子を作る。 その後、安道名津は名物菓子としてその名を広め、江戸に住む多くの人々を脚気から救う。

澤村 田之助

猿若町守田座、女形の歌舞伎役者。江戸でその名を知らぬものはいないほどの人気役者。実在した人物三代目澤村田之助その人である。プライドが高く頑固者。芝居がかったセリフ口調で、のらりくらりと話す。なじみの花魁・初音の敗血症治療用のペニシリン開発のために、南方仁より資金提供を要請されるが、断固として断る。 しかし、その後初音の快方を聞きつけ400両を出資した。

お駒

浅草、田町に住む仕立て屋の女性でスリの常習犯。左目に泣きぼくろがある。銭湯での喧嘩がきっかけで、右手人差し指の腱が断裂。今後一切スリをはたらかないという約束で南方仁に手術と術後の治療を施してもらう。その後、仁との約束を破り、性懲りなく再びスリを行う。 千吉とは幼馴染であり、想いを寄せられている。

緒方 洪庵

西洋医学所の頭取。医学に対して非常に真摯な男性で、南方仁の医術を人々に広めるため仁に協力する。この世のものとは思えぬ程高度な医療技術を目の当たりにし、仁が未来人であることを見抜き、その孤独に理解を示す。そして、自身の亡き後日本の医学を支えていって欲しいとの願いを託し、息を引き取る。 モデルは実在の蘭学者緒方洪庵。

山田 純庵

西洋医学所に在する男性蘭方医。最初は南方仁の治療法に否定的だったが、仁にコレラの治療を施してもらってから、仁の高度な医療技術に感服し、自ら進んで助力するようになる。仁にペニシリンの製造と管理を任されており、より高純度のペニシリンが製造できるよう研究を重ねている。 勉強家で努力家。また、江戸の医学界に疎い仁に情報を提供することもある。

三隅 俊斉

西洋医学所に属する蘭方医。常ににたにたとした表情をしている慇懃無礼な物腰の男性。野風の診断医を任されるが、乳癌を発見することができなかった。その後、自分の面目を潰した仁を逆恨みし、仁を陥れるために様々な策略を企てるようになる。計画と自分の保身のためならば、手下を平気で切り捨てる冷徹非情な男。

勝 鱗太郎

幕末に活躍した志士、勝海舟その人である。洋学において、橘恭太郎、坂本龍馬の師匠である。日本と海外の関係に、すぐれた考察力と先見の明を持つ。彼との出会いにより、仁は坂本龍馬をはじめとした著名な人物たちと関わり合うようになっていく。

集団・組織

仁友堂

『JIN-仁-』に登場する医療所。西洋医学所から離れた南方仁が設立した外科診療所。患者の診断、手術の他、ペニシリンの研究をしている。野風の浮世絵が世に広まってからは、野風を一目見ようと見物に来る人々も増えた。

その他キーワード

ペニシリン

『JIN-仁-』に登場する薬。細菌による感染症を防ぐ抗生物質。本来ならば1928年にフレミングにより発見されるはずのものであるが、南方仁が、医学部生時代に友人から聞いていたペニシリンの原始的製造方法をもとに開発・製造した。徐々に改良が加えられ、効用、生産性、携帯性が向上していった。

クレジット

監修

酒井シヅ ,冨田泰彦 ,大庭邦彦

書誌情報

Jin :仁 全20巻 〈ジャンプコミックスデラックス〉 完結

第1巻

(2001年4月発行、 978-4088591742)

第2巻

(2002年4月発行、 978-4088592961)

第3巻

(2003年5月発行、 978-4088593562)

第4巻

(2004年11月発行、 978-4088594477)

第5巻

(2005年12月発行、 978-4088595474)

第6巻

(2006年12月発行、 978-4088596105)

第7巻

(2007年2月発行、 978-4088596273)

第8巻

(2007年5月発行、 978-4088596402)

第9巻

(2007年9月発行、 978-4088596686)

第10巻

(2008年1月発行、 978-4088596846)

第11巻

(2008年5月発行、 978-4088597010)

第12巻

(2008年8月発行、 978-4088597201)

第13巻

(2008年11月発行、 978-4088597409)

第14巻

(2009年4月発行、 978-4088597669)

第15巻

(2009年7月発行、 978-4088597850)

第16巻

(2009年10月発行、 978-4088598024)

第17巻

(2010年1月発行、 978-4088598178)

第18巻

(2010年4月発行、 978-4088598390)

第19巻

(2010年10月発行、 978-4088598598)

第20巻

(2011年2月発行、 978-4088598710)

JIN :仁 全13巻 集英社〈集英社文庫〉 完結

第1巻

(2010年7月発行、 978-4086191548)

第2巻

(2010年8月発行、 978-4086191555)

第3巻

(2010年9月発行、 978-4086191562)

第4巻

(2010年10月発行、 978-4086191579)

第5巻

(2010年11月発行、 978-4086191586)

第6巻

(2010年12月発行、 978-4086191593)

第7巻

(2011年1月発行、 978-4086191609)

第8巻

(2011年2月発行、 978-4086191616)

第9巻

(2011年3月発行、 978-4086191623)

第10巻

(2011年4月発行、 978-4086191630)

第11巻

(2011年5月発行、 978-4086191647)

第12巻

(2011年6月発行、 978-4086191654)

第13巻

(2011年7月発行、 978-4086191661)

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