十字架のろくにん

十字架のろくにん

中武士竜の初連載作品。現代日本を舞台に、いじめにより両親を殺され、弟の翔を植物状態に追い込まれた少年、俊が、第二次世界大戦中の秘密部隊「北山部隊」に所属していた祖父の昇から特殊な殺人技術を学び、加害者たちへの復讐を果たしていく物語。4年間の修練を経て高校生となった俊は、京をはじめとする五人の少年たちを追い詰めていく。第2章では、記憶を失った俊が「ジュージカ」という嘱託殺人団体を結成し、新たな敵対者との対決を通じて徐々に記憶を取り戻していく展開が描かれる。本作は、猟奇的な復讐描写や「苦悩の梨」などの歴史的拷問具が登場する過激なシーンが特徴のサスペンスホラー。北山部隊の殺人術は、全身の関節を自由にあやつる技術や特殊な戦闘術として表現されている。現実の日本社会をベースにしながら、第二次世界大戦中に実在したとされる秘密部隊の設定が物語に歴史的な深みを与えている。講談社「別冊少年マガジン」2020年4月号から2020年11月号まで連載されたのち、同社「マガジンポケット」に移籍し2020年11月5日から連載。

正式名称
十字架のろくにん
ふりがな
じゅうじかのろくにん
作者
ジャンル
いじめ
 
サスペンス
レーベル
KCデラックス(講談社)
巻数
既刊22巻
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作品の概要

基本情報

中武士竜の初連載作品。

要旨と舞台設定

現代日本を舞台に、壮絶ないじめにより両親を殺され、弟の漆間翔を植物状態に追い込まれた少年、俊が、第二次世界大戦中の秘密部隊「北山部隊」に所属していた祖父の昇のもとで特殊な殺人技術を学び、加害者たちへの復讐を果たしていく物語。4年間の修練を経て心身ともに鍛え上げられ、高校生となった俊が、至極京をはじめとする五人の少年たちを追い詰める様子が描かれる。

ストーリー展開

物語は、最初のターゲット、千光寺克美への復讐を皮切りに始まる。俊は、昇と交わした「改心した者は見逃す」という約束を守りながらも、久我大地や右代悠牙など、かつてのいじめの加害者たちを次々と追い詰めていく。第2章では、記憶を失った俊が「ジュージカ」という嘱託殺人を行う団体を結成し、新たな敵対者との対決を通じて徐々に記憶を取り戻していく展開となる。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、猟奇的な復讐描写が特徴のサスペンスホラー。加害者たちへの制裁においては、「苦悩の梨」など歴史的な拷問具が登場し、過激なシーンが多く描かれる。一方で、クラスメイトの東千鶴との掛け合いなど日常的なシーンでは緊張感を緩和する要素も取り入れられている。

作品固有の表現技法と特徴

物語では、昇から伝授された北山部隊の殺人術が重要な要素を成し、俊が身につけた、全身の関節を自由にあやつる技術や特殊な戦闘術として表現されている。また、京をはじめとする敵の性格や心理も丁寧に描かれ、加害者の本質が浮き彫りとなる。

世界観の構築と設定

世界設定は現実の日本社会をベースにしながら、第二次世界大戦中に存在した秘密部隊の設定が物語に歴史的な深みを与えている。北山部隊は実在した「呉鎮守府第101特別陸戦隊」をモデルとしており、戦時中の暗部と現代社会のいじめ問題が重層的に描かれている。

連載状況

講談社「別冊少年マガジン」2020年4月号から2020年11月号まで連載されたのち、同社「マガジンポケット」に移籍し2020年11月5日から連載。

復讐者によるクライムサスペンス

主人公の漆間俊は一見ふつうの男子高校生だが、胸の奥には暗い復讐(ふくしゅう)の炎を秘めており、不退転の覚悟で生き抜いてきた。俊の祖父は元大日本帝国軍の特殊部隊、通称「北山部隊」に所属していた過去があり、祖父は俊が復讐を決意した瞬間、己の持つ殺人や拷問、戦闘をはじめあらゆる技術を俊に叩(たた)き込んできた。そして、復讐のためにすべてを投げ打つ覚悟をした少年は、「六人」の悪党へ殺意をほとばしらせる。本作は「復讐」と共に「許し」もテーマにしており、主人公が今の復讐相手を許せるかどうかを考える過程が特徴となっている。そのため、ただ復讐するだけという単純な展開ではなく、相手の人となりを理解し、どう復讐するかというサスペンス要素も盛り込まれている。

奪われた最愛の家族

どこにでもいる、家族が大好きな少年の漆間俊は、小学生の頃に至極京をリーダーとする六人の同級生に壮絶ないじめを受けていた。家族のために耐え忍んでいた俊だったが、京は俊の両親を殺害し、俊の弟と翔を全身火あぶりにする。翔は一命を取り留めるが、全身やけどで植物状態となり、一生寝たきりとなっていた。そしてほかならぬ京たち自身からその事実を聞いた俊は、彼らに復讐することを決意して祖父の教えを受け、4年の準備期間を経てついに復讐へと動き出す。

悪のカリスマ

漆間俊をいじめていたグループのリーダーである至極京は、小学生ながらすでに悪のカリスマ的存在で、彼の行いは単なる非行に留まらない猟奇的で冒瀆的なものだった。生まれながらにして裕福で、恵まれた才能を持つ京は「何の理由もなく人を殺すこと」に純粋なあこがれを抱いていたため、俊をいじめていたのだ。京は徹底して道徳というものを持ち合わせておらず、俊を追い詰めたうえで自殺させようとしており、純粋な「悪意」として描かれている。俊が自ら命と絶つことに強いこだわりを持つ京は、俊の家族を殺害しても、決して彼を直接殺そうとはせず、精神的に追い詰めていく様子が綿密に描かれている。また、その京の有り様は仲間たちにも強い影響を与えており、その後の彼らはおぞましき悪としての姿を現す。

登場人物・キャラクター

漆間 俊 (うるま しゅん)

明関高校1年生の男子。黒髪を外ハネのショートヘアにしている。小学5年生の頃、至極京を中心に五人のクラスメイトから「実験体A」と呼ばれ、暴力行為や性的虐待をはじめ、かわいがっていた猫を殺害されるなどの凄惨ないじめを受けていた。両親にいじめの実態を打ち明けて転校する予定だったが、京の謀略によって両親を殺害され、弟が意識不明の重体となったことをきっかけに、両親からは近づくことを禁止されていたおじいちゃんの家に身を寄せることを決意する。漆間俊がおじいちゃんに、両親が京たちに殺されたことを告白すると、おじいちゃんからは五人に復讐できるように鍛えてやるとの意外な言葉をかけられる。おじいちゃんは第二次世界大戦中に発足した特殊部隊の出身で、人を殺すことを専門に叩き込まれていた。4年後、特殊部隊の技術を会得した俊は京たちに復讐を開始する。

至極 京 (しごく きょう)

帝星高校1年生の男子。県内有数の進学校にトップで合格し、医学部を志望している。黒髪をおかっぱヘアにして、中性的な容姿をしている。小学5年生になった頃、突然理由もなく漆間俊を「実験体A」と呼び、凄惨ないじめを繰り返すようになる。いじめグループの久我大地や右代悠牙、千光寺克美、円比呂のリーダー的な存在で、一目置かれている。柔道場に通っており、大地によれば道場の誰よりも強いという。殺人を「人間が達成できる行為の中で一番すごいもの」と定義しており、なんの理由もなく殺害できる人間になるため、手始めに俊を間接的および直接的に殺害しようと考えている。俊をいじめていたのも、どこまで追い詰めれば俊が自殺するかを実験していたためである。

書誌情報

十字架のろくにん 22巻 講談社〈KCデラックス〉

第1巻

(2020-08-07発行、978-4065201220)

第2巻

(2021-02-09発行、978-4065220283)

第3巻

(2021-05-07発行、978-4065231586)

第4巻

(2021-09-09発行、978-4065248249)

第5巻

(2021-12-09発行、978-4065262719)

第6巻

(2022-03-09発行、978-4065272633)

第7巻

(2022-06-09発行、978-4065281666)

第8巻

(2022-09-09発行、978-4065290897)

第9巻

(2022-12-09発行、978-4065299500)

第10巻

(2023-03-09発行、978-4065309148)

第11巻

(2023-06-08発行、978-4065318720)

第12巻

(2023-08-08発行、978-4065325940)

第13巻

(2023-10-06発行、978-4065331446)

第14巻

(2023-12-07発行、978-4065338834)

第15巻

(2024-05-09発行、978-4065345467)

第16巻

(2024-07-09発行、978-4065361184)

第17巻

(2024-09-09発行、978-4065367544)

第18巻

(2024-11-08発行、978-4065374221)

第19巻

(2025-01-08発行、978-4065380512)

第20巻

(2025-04-09発行、978-4065389829)

第21巻

(2025-07-09発行、978-4065399965)

第22巻

(2025-10-09発行、978-4065410929)

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