危機之介御免

危機之介御免

現代のネット社会的な描写もある、現代風刺の効いた架空の江戸時代を舞台に、無職の侍・富士見喜亀之介とその仲間たちが街の騒動や犯罪を解決していく姿を描いた痛快時代劇。「マガジンZ」2006年8月号から2007年12月号にかけて掲載された作品。

正式名称
危機之介御免
原作者
富沢 義彦
漫画
ジャンル
時代劇
関連商品
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概要・あらすじ

江戸時代中期。太平の世が100年以上続き、世間には戦を経験したことのある者など1人もいなくなっていた。そのため、武家に生まれた男子で武士になれるのは長男だけで、次男や三男は仕事にありつくことすら難しかった。そんな武家の次男に生まれた富士見喜亀之介も、例に漏れずに無職の身。その地位を利用して自由気ままな日々を過ごしながらも、悪友の柳生十三とともに、街の騒動を沈めて江戸の平和のために暗躍していた。

しかし、こうして街の事件を解決していくうちに、喜亀之介は幕府の老中・田沼意次の暗殺を計画している者たちがいることを知る。そして喜亀之介と仲間たちは、己の身を危険に晒しながら、田沼意次暗殺計画の核心に近づいていく。

登場人物・キャラクター

富士見 喜亀之介 (ふじみ ききのすけ)

武家の家系である富士見家の次男。黒髪で後頭部に矢尻のような形をした髪飾りを数本付け、黒い着物の上から赤いマフラーを巻き、刀を腰に差している。長男の富士見富鶴之介が家督を継いだために、仕事に就くことすらできなかった。しかし、本人はそれを気にすることなく、むしろその自由気ままな生活を満喫している。酒を飲んで女をはべらせ、遊び好きでだらしのない性格をしているが、困った人を放っておけない、正義感の強い一面を持っており、街で起こるさまざまな騒動や犯罪を仲間の柳生十三たちとともに解決している。 決め台詞は「この危機、俺が引き受けた!!」。

柳生 十三 (やぎゅう じゅうぞう)

武家の家系の男性。前髪が目が隠れてしまう位に長く、胸元に家紋が付いた白い着物を着用し、腰に刀を差している。剣の名門・柳生家の子息で、幼少の頃から剣術の稽古をして育ったため、柳生家の中でも抜群の剣の腕前を持っているが、三男に生まれてしまったために家では肩身の狭い思いをしている。そのため、自分なりのやり方で出世していかなければと野心を抱き、同じ志を持つ青年たちを集めて「十三派」と呼ばれる徒党を組み、江戸の街で人助け等の活動をしている。 富士見喜亀之介とは仲間で、良きパートナーとして行動をともにすることが多い。

喜多川 ウタ (きたがわ うた)

浮世絵師を目指して修業中の少女。黒髪のおかっぱ頭で、左右の毛先に丸い形をした髪飾りを付けており、花の模様があしらわれた濃紅色の着物を着用している。絵を描くことに長けており、路上で自分の描いた絵を売って生活している。富士見喜亀之介の仲間で、明るく活発な性格をしており、歌を歌うことが好き。また、好奇心旺盛な一面も持っており、身の危険を顧みずに何かと事件に首を突っ込んでしまうため、仲間たちの中ではトラブルメーカー的な存在。 遊女のなっちゃんとは友達で仲が良い。

平賀 源内 (ひらが げんない)

発明家の男性。黒い短髪で、上唇の上にひげを生やし、丸くて細いフレームのメガネをかけ、着物を着用している。つり上がった眉毛が特徴的。水の上を走ることができる道具をはじめとしてさまざまな発明をして生活している。自宅には温室があり、たくさんの種類の観葉植物を育てている。愛煙家で、いつも煙管を携帯している。実在の人物、平賀源内がモデル。

田沼 意次 (たぬま おきつぐ)

幕府の老中を務めている男性。黒髪を大銀杏に結い、顎にひげを生やし、着物を着用している。政治よりも女遊びを好み、女郎屋によく入り浸っている遊び人。花火が大好きで、江戸の街で年に1回行われる花火大会を何よりも楽しみにしており、花火を見るためなら自身の命の危険も顧みない。実在の人物、田沼意次がモデル。

(らん)

遊女の女性。長い黒髪を横兵庫に結って派手な髪飾りを付けており、桜の花びらの模様があしらわれた着物を着用している。江戸の街の女郎屋に勤めており、幕府老中・田沼意次のお気に入りで、意次は蘭に会うために女郎屋に足繁く通っている。時には意次にお祭り等に連れて行ってもらっており、非常に可愛がられている。

松平 定信 (まつだいら さだのぶ)

八代将軍吉宗の嫡孫の男性。長髪を後頭部で1つに束ね、長い前髪を中分けにしている。着物を着用し、腰に刀を差している。幼少の頃に徳川家から松平家に養子に出され、松平性を名乗るようになった。幕府を乱す不浄な人間は排除すべきという思想を持ち、幼少の頃に出会って奉行にして以来、一番の信頼を寄せている旗本・長谷川銕三郎を従え、江戸の街を暗躍している。 普段はあまり感情を表に出すことのない、冷静沈着な性格をしているが、怒りに任せて後先を考えずに行動してしまうような激しい一面も持っている。趣味は能を舞うことで、苦手な物は魚の天日干し。銕三郎からは「サダ」という愛称で呼ばれている。実在の人物、松平定信がモデル。

長谷川 銕三郎 (はせがわ てつさぶろう)

旗本の男性。黒い短髪で、旋毛の辺に小さな髷を結っており、両腕に包帯を巻き、着物を着用している。松平定信が幼少の頃に出会い、その時に気に入られて奉行にしてもらい、以来、右腕として、時には友人として定信に付き従っている。大雑把で豪快な明るい性格をしている。腰に刀を差しているが、ハンマーを主な武器として振るっている。好物は鯵の天日干し。 定信からは「テツ」という愛称で呼ばれている。実在の人物、長谷川宣以がモデル。

天神八角 (てんじんはっかく)

情報屋の男性。神社の次男で、神社の蔵に引きこもっている。生まれてから一度も外に出たことがなく、その姿を見た者は1人もいない。蔵の壁には情報の種類によってカテゴライズされた掛け軸が掛けられている。壁の上部に小さな小窓があり、その小窓に向かって大きな声で「八角くん」と呼ぶと、小窓が開き、望遠鏡で呼んだ者の姿を確認し文を使用して情報の交換をすることができる。 気分を害すると窓から毬栗や刃物、撒菱等を降らせることがある。

若松 燐次郎 (わかまつ りんじろう)

旗本の家系の次男。黒髪で丁髷を結い、胸元に家紋が付いた着物を着用し、腰に刀を差している。富士見喜亀之介とは、以前から知り合いの間柄だが、仲は良くない。いつも家来を付き従えており、気が短く喧嘩っ早いが、根は誠実で真面目な性格をしている。

富士見 富鶴之介 (ふじみ ふかくのすけ)

武家の家系の男性。黒い短髪で、旋毛の辺に小さな髷を結い、黒く四角いフレームの小さな眼鏡をかけ、着物を着用している。富士見喜亀之介の兄で、老中田沼意次に奉公しており、毒見役を引き受けることになった。長男ゆえに奉公の身になった自分とは違い、自由気儘で将来の選択ができる弟の喜亀之介を羨ましく思っている。真面目な性格をしており、引き受けた仕事は誠実に最後まで全うする。

柳生 俊睦 (やぎゅう としむつ)

武家の家系の男性。短髪で着物を着用し、腰に刀を差している。柳生家の次男で柳生十三の兄にあたる。酒が何よりも大好きで、よく兄の柳生宗俊の財布からお金をくすねて酒代に使ってしまい怒られている。しかし、明るくて物腰の柔らかい、誰にでも好かれるような人柄の持ち主で、十三や富士見喜亀之介からの信頼も厚い。

柳生 宗俊 (やぎゅう むねとし)

武家の家系の男性。長い髪をオールバックにし、着物を着用している。柳生家の長男で柳生十三の長兄にあたる、正統な柳生家の後継者。生真面目で毅然とした性格をしていて、プライドが高く、再び柳生家が将軍家の指南役に返り咲かなければならないと考えている。次男の柳生俊睦が財布からお金をくすねて酒代にしていることに頭を悩ませている。

喜亀之介の母親 (ききのすけのははおや)

富士見喜亀之介の母親。中肉中背で、長い黒髪を島田髷にして髪飾りを付け、着物を着用している。長男の富士見富鶴之介が昇進をした際には家族にご馳走を振舞って富鶴之介を大いに祝福するが、その反面、無職で毎日昼間からブラブラしている喜亀之介には厳しく、小言が絶えない。

愛古 堀衛門 (あいこ ほりえもん)

金庫破りを生業としている男性。長い黒髪を後頭部で1つにまとめて髷を結い、前髪を右分けにしており、着物を着用し、腰に刀を差している。太くギザギザの眉毛が特徴的。柳生十三と、居酒屋の飲み代10両を肩代わりする代わりに仕事を手伝う、という契約をしたにも関わらず、仕事に加担することを拒む十三に対して子分とともに強請りをかける。

なっちゃん

遊女の女性。長い黒髪を島田髷にして派手な髪飾りを付け、着物を着用している。喜多川ウタとは友達で、浮世絵師を志しているウタの絵を認めたはじめての人としてウタからよく懐かれている。家族の食い扶持を稼ぐために女郎屋で一生懸命働いており、年季が明けてやっと家族に会えるところだったが、黒覆面の男たちに誘拐されてしまった。

得市 (とくいち)

高飛車屋の若旦那。長髪で、目が隠れるほどに長い前髪を右に分けていて、蝶柄の着物を着用している。若い女性が思いつめて苦痛に歪む表情を見るのが趣味で、その欲望を満たしたいがために、今までに5人の女性を誘惑して恋人関係になった末、言葉巧みに騙して1人で身投げさせていた。

得市の恋人 (とくいちのこいびと)

得市の恋人の女性。長い黒髪を島田髷にして髪飾りを付け、前髪を無造作に下ろし、着物を着用している。周囲が2人の交際を引き裂こうとしていることを知った恋人の得市から、親に気づかれないように別々の場所で同じ刻に身投げし、冥土で一緒に暮らそうと言われ、橋の上から身投げをしようとしていたところを富士見喜亀之介たちに助けられて一命を取り留める。 思い込みが激しく、気性の荒い性格をしている。

日向先生 (ひゅうがせんせい)

寺子屋の先生をしている老人の男性。小柄で長い白髪を1つに束ねて頭頂部で髷を結っている。着物を着用しており、足腰が悪くて杖をついている。富士見喜亀之介はかつての寺小屋の生徒で、現在も親交がある。本を読むことが好きで、沢山の書物を所持していて、中には貴重な本も含まれており、時々孫の花に本の整理を手伝ってもらっている。 温和で優しい性格をしていて、それが良いところではあるのだが、その人の良さから騙されやすい一面を持つ。

(はな)

日向先生の孫の少女。長い黒髪を島田髷にして簪を挿し、着物を着用している。真面目で面倒見が良い性格をしており、よく祖父の手伝いをしている。

百地 (ももち)

商人の男性。目が細く黒目がちで、長い黒髪を結い、着物を着用している。百地屋という名前の店を持っていて、騙しやすそうな人間を狙って高額な値段で厄除けのお守りを売りつけることで金儲けをしている悪党。

尺取 (しゃくとり)

火薬で人を殺めることに快感を覚えてしまった殺人狂の男性。長髪で額から頭頂部にかけての毛髪はなく、薄汚れた着物を着用している。眉毛がなく、鼻が高くて彫りの深い顔立ちで、額に「犬」という文字が書かれているのが特徴的。製造の禁じられている花火の尺玉を製造、火薬を用いた殺人の罪で捕まっていた。投獄されてからは牢獄の壁に毎日「正」の字を刻んで日数を数え続け、3809日目にして釈放されることが決まった。

集団・組織

柳生家 (やぎゅうけ)

武家の一族。家康公の剣術指南役を勤めたのがきっかけで、その後、代々将軍に剣術を指南する役を勤め続けていたが、戦の無い平和な世の中になった現在ではその役からはずれている。しかし、今でも柳生家代々の道場は剣の名門と呼ばれており、世間からはその功労を褒め称えられている。

黒覆面 (くろふくめん)

若い娘ばかりをさらっている、正体不明の集団。黒い天蓋をかぶり、黒装束に身を包んでいて、「黒」書かれた屋根の付いた大八車のような形状をした人力車を引いて深夜に活動している。その正体を知る者はなく、妖怪の類ではないかと江戸の街では噂されている。最近では、女郎ばかりが狙われており、この1か月で10人の若い女郎がさらわれている。

場所

茶塔 (ちゃとう)

江戸の街で流行している情報交換所。大きな日本家屋で、屋内には六角形の筒状の煙突が等間隔に沢山設置されており、煙突からは煙が出ている。煙突には人が1人入れる程の入口があり、入口にはどの煙突にも「壱」と書かれた暖簾がかけられている。入口の上部に立札があり、入口の中では、立札に書かれた情報について書かれた紙を読むことができる他、情報の提供相手と文でやりとりをすることが可能。

草子茶屋 (ぞうしちゃや)

江戸時代の漫画喫茶のようなお店。店内には大量の草子が書棚に並べられており、客はそこから本を選び、店員から指定された個室に入って茶を飲みながら読書に耽る。1刻5文で草子読み放題、お茶飲み放題で、江戸の街の住民に人気のある娯楽施設。富士見喜亀之介たちも暇つぶしにこの施設を頻繁に利用している。

イベント・出来事

美具祭島 (びぐさいとう)

平賀源内が企画する江戸で開かれる大規模な博覧会。日本各地から自慢の品や特産品等を持ち寄った者たちが集まって自由に宣伝や商いをする。その博覧会の宣伝用の告知ポスターの絵を書くことを喜多川ウタが源内から依頼され、富士見喜亀之介もこの博覧会の手伝いをすることを源内から頼まれている。源内はこの博覧会を行うことで、低迷している日本国内の景気の回復、そして雇用の拡大に繋がると確信している。

クレジット

原案

原作

富沢 義彦

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