古田織部 -乱世を駆け抜けた生涯

古田織部 -乱世を駆け抜けた生涯

戦国武将であったが、茶人として名を上げた古田織部の一生を描いた伝記漫画。千利休と織部との違い、また茶人の何が時の権力者を惹きつけ、畏れさせたかを描く。構成は里中満智子。

正式名称
古田織部 -乱世を駆け抜けた生涯
ふりがな
ふるたおりべ らんせいをかけぬけたしょうがい
作者
ジャンル
戦国
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概要・あらすじ

茶の湯を愛する織田信長から目をかけてもらっていた古田織部千利休の弟子になり、武将として働く傍ら茶の道に邁進していた。信長の斬新な発想と千利休の「作意をはぶく」という考え方から大きな影響を受けた織部は、年を重ねるにつれ独創的な茶の境地に達するようになる。上品で淡々とした性格はのちに豊臣秀吉からも気に入られ、織物、焼き物など美術に関わる最高責任者「織部正」に任命されるのだった。

登場人物・キャラクター

古田 織部 (ふるた おりべ)

戦国時代の武将で茶人。血の匂いに吐き気を覚えるため、戦乱が終わることを願っていた平和主義者。織田信長と桶狭間の戦いに出陣した17歳当時は「古田佐介」という名だった。武将として信長を支える一方で千利休(当時は千宗易)の弟子になる。のちに淡々とした性格を豊臣秀吉に気に入られ、織物、焼き物など美術に関わる最高責任者である「織部正(おりべのかみ)」に任命され、心置きなく焼き物に没頭する。 上品で沈思黙考するタイプだが、時に大胆になることもある。実在した人物、古田織部がモデル。

織田 信長 (おだのぶなが)

戦国武将で、お市と織田有楽斎の兄。「古い考えに取りつかれていては国は滅びる」という考え方の持ち主で、堺に入ってきた海外の珍しい商品に興味を示す。茶の湯を愛し、身分をなくす空間である茶室を好んでいる。使番(馬に乗って織田信長の命令を伝達する役)として古田織部(当時は古田佐助)を数々の戦に従わせた。 「おもしろそうだ」という発想で何でも取り入れる彼の柔軟さが、のちの織部に多大な影響を与える。実在した人物、織田信長がモデル。

足利 義昭 (あしかが よしあき)

室町幕府の最後の将軍。織田信長が反足利派を排除し、京都で15代将軍となるが、実際は二条城に閉じ込められ、名ばかりの将軍であることに遅ればせながら気付く。調子に乗りやすい性格で、武人としての資質に欠ける。宇治槇島城で信長を討つべく兵をあげるが城は陥落し、室町幕府が終わりを告げることになった。実在した人物、足利義昭がモデル。

ルイス・フロイス (るいすふろいす)

イエズス会の宣教師。性格は穏やかだが行動力がある。「おもしろそうだから」という理由で、織田信長に布教活動を許される。自国に茶がないことを信長に告げた際、茶を世界に広めてやろうと意気込む信長のスケールの大きさに心底感心する。実在した人物、ルイス・フロイスがモデル。

せん

茨木城主である中川瀬兵衛の妹。12歳の時に織田信長の仲介により古田織部の妻となる。織部に従順で、戦漬けの織部の帰りをおとなしく待つ良妻。結婚して長男が誕生するまで10年かかった。

加藤 市左衛門景光 (かとう いちざえもんかげみつ)

美濃窯で焼き物を焼く陶工であり、無口な老人。これまでのものとはまったく違う焼き物を生み出し、「東濃の地から焼き物の世界がひらける」と古田織部を感嘆させる。窯の違いによる焼き加減にも詳しい。

千 利休 (せんの りきゅう)

堺の茶人。織田信長の意向で茶頭となり、豊臣秀吉からは黄金の茶室の建築設計を任される。秀吉に対し、明智光秀を最初から討つつもりで駆け付けたのではないかと揶揄するなど、洞察力に優れる。「茶の道はどこまで作意をはぶけるかだ」という彼の言葉が、のちの古田織部に多大な影響を与える。実在した人物、千利休がモデル。

明智 光秀 (あけち みつひで)

織田信長に仕える武将。信長に徳川家康のもてなしを頼まれ、殿のためにと接待に全力を尽くす真面目な性格だが、料理が腐っていると信長に手ひどい仕打ちを受ける。これを理由に「人の心を持たぬ者に天下を取らせてなるものか」と本能寺での謀反を起こす。実在した人物、明智光秀がモデル。

お市 (おいち)

織田信長の妹。浅井長政の妻となり、浅井家が信長に滅ぼされると後に柴田勝家の後妻となった。その美しさから豊臣秀吉に執着されており、勝家が滅ぼされた時に「秀吉のものにはなるまい」と娘を残して自害する。信長の妹という血と、自らの美しさに翻弄された女性。実在した人物、お市の方がモデル。

お茶々 (おちゃちゃ)

お市と浅井長政の娘で、豊臣秀吉の側室となった若い女性。母親譲りの美貌の持ち主だが、少々思慮の浅いところがある。秀吉亡き後、徳川の威力が拡大されたことを嘆き、息子の秀頼を立てて、徳川家康の天下を奪い取ろうと企む。実在した人物、淀殿がモデル。

豊臣 秀吉 (とよとみ ひでよし)

織田信長に仕える武将で、信長亡き後に天下を治めた。お市に執着していたが自害されてしまったため、お市の娘であるお茶々を側室に迎える。古田織部を気に入り、織物や焼き物など美術に関わる最高責任者である「織部正」に任命する。大坂城に武人としての揺るぎない信念の証とも言われる、黄金の茶室を作った。派手好きだが小心な性格。 実在した人物、豊臣秀吉がモデル。

石田 三成 (いしだ みつなり)

豊臣秀吉に仕える武将。策士であり、明を攻撃するためには朝鮮を足掛かりにする必要があるという理由で、交易の拠点を堺から博多に移すよう秀吉に進言。これが千利休が聚楽第を追われるきっかけとなった。実在した人物、石田三成がモデル。

細川 忠興 (ほそかわ ただおき)

戦国武将で茶人でもある。千利休の弟子であり、聚楽第を追われた利休を古田織部とともに見送った。朝鮮への出陣が決まった際には、織部から朝鮮の窯で焼き物を焼いてきてほしいと頼まれて心を弾ませていた。織部と同じく、武人より茶人としての生き方を好んでいる。実在した人物、細川忠興がモデル。

高山 右近 (たかやま うこん)

戦国武将でありキリシタン大名。茶をたしなみ、古田織部とも交友関係にある。西国の大名は豊臣秀吉の影響が色濃く残っており、またポルトガルのキリシンタンと結びついて交易で莫大な利益を挙げていることから、徳川家康によりマカオに流された。実在した人物、高山右近がモデル。

徳川 家康 (とくがわ いえやす)

戦国武将で徳川初代将軍。内心では茶人の理屈を嫌っているが、茶人の力は侮れないと、古田織部に対しての物腰は低い。本音と建て前を使い分ける策略家であり、西国の大名たちの力を封じようとキリシタンを弾圧し、従わない者は火あぶりか国外追放させるなど冷酷な一面も持つ。実在した人物、徳川家康がモデル。

徳川 秀忠 (とくがわ ひでただ)

徳川家康の息子で、徳川二代将軍。物静かで知的な男性で、懇意にしている古田織部から茶人の考えを学ぼうと考える勉強家。織部を師匠と仰ぎ、「知」を持って「和」をなすよう諭されて家康に進言するが、父親の性格を把握し切れていない甘い部分がある。実在した人物、徳川秀忠がモデル。

織田 有楽斎 (おだ うらくさい)

織田信長の年の離れた弟。僧侶で茶人でもある。いつも新鮮な驚きがある古田織部の茶には、千利休の「わび茶」とはまったく違う趣があると賞賛している。「武士の意地」というものを子供じみていると達観する思慮深い性質で、志を立てた生き方をしている織部の姿勢が徳川家康にもあればと世を憂う。実在した人物、織田有楽斎がモデル。

小堀 遠州 (こぼり えんしゅう)

古田織部の弟子の茶人。織部の死後、織部流の茶は普及を禁じられるも、桂離宮の造作を任される。茶の普及がご法度となったことは厳しい措置だと悲しむものの、逆にそれだけ畏れられていたことを理解し、面白がる芸術家肌で、一生を懸けて師を越えようと決意する。実在した人物、小堀政一がモデル。

古田 重行 (ふるた しげゆき)

戦国武将で、古田織部の四男。徳川家康に仕えた織部に対し、古田重行は豊臣秀頼の小姓として仕え、親子で世の調和を保とうとしていた。織部を深く信頼しており、豊臣方に父親と謀って見せかけの和議をちらつかせたのではないかと責められた際にも、「父はそのような人間ではない」ときっぱりと言い切る。

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