復讐の刀を折るために立ち上がる
まつり、夜ノ助、月宮日永の三人は、血のつながりはないものの、自然豊かな森の寺で孤児として育ち、まるで本当の家族のような絆を築いていた。彼らはそこで読み書きや剣術を学びながら、穏やかな日々を過ごしていた。まつりは年上の夜ノ助を兄のように慕い、日永を姉のように慕っていた。時には喧嘩をすることもあったが、三人はなかよく暮らしていた。しかし、日永が何者かに殺害されたことで、彼らの生活は一変し、まつりと夜ノ助は離れ離れになってしまう。3か月後、再会を果たした夜ノ助は、思いを寄せていた日永の仇(かたき)を討つため、用心棒として情報収集を始める。やがて、日永の死に現在の将軍・鷹来天道が関与していることを知る。一方、幼い頃から夜ノ助に恋心を抱いていたまつりは、彼の命を守るため、共に戦う決意を固めていた。
家族ではなく、恋人として心を惹きつけたい一途なヒロイン
まつりは細身の体ながらも成人男性を背負い投げできるほどの力強さを持ち、剣術にも優れている。その負けん気の強さと確かな実力から、江戸の人々に親しまれている。一方で、夜ノ助の前ではかわいらしく見られたいという思いと、夜ノ助が思いを寄せていた日永に少しでも近づきたいという気持ちから、おしとやかな振る舞いを心がけているが、しばしば空回りしている。妹のように扱われて抱きつかれたり、不意に手を引かれたりすると、途端に顔を赤らめて黙り込むなど、ピュアな一面も垣間(かいま)見せる。
日永が殺害された理由と幕府の陰謀
用心棒として活動を続ける中で、まつりと夜ノ助は次第に将軍、天道の真意にせまっていく。実は、日永の父親は幕府に忠誠を尽くす武士であり、幼い頃の日永(雀芽姫)は、生きる希望を失っていた天道と親しくしていた。しかし、日永の父親は妻の不貞を知り、不義を働いた二人を惨殺しただけでなく、日永にまで手をかけようとした。恐怖に駆られた日永は天道に助けを求め、寺に匿(かくま)われることとなった。その際、二人は「次に会う時は共に死ぬ時だ」と約束するが、その約束を危険視した天道の部下によって、日永は口封じのために殺されてしまう。さらに、日永が復讐を望んでいなかったことを知った夜ノ助は、仇討ちをすべきか迷い始める。一方、天道に接近する機会を得たまつりは、自ら日永の仇を討つ決意を固める。同じ頃、江戸の町では不満が高まり、倒幕の機運が最高潮に達しようとしていた。
登場人物・キャラクター
月宮 まつり (つきみや まつり)
身寄りのない少女。剣術や武術に優れている。夜ノ助と日永と共に山の寺で育ち、二人にとってはまるで妹のような存在だった。成長するにつれて、兄のように慕っていた夜ノ助に恋心を抱いていたが、彼が日永に思いを寄せていることを知っていたため、二人の幸せを何よりも願っていた。日永の死後は彼女は寺を離れ、蕎麦(そば)屋で働きながら夜は夜ノ助の用心棒を務めている。本心では日永の仇討ちを望んでおらず、無謀な計画を立てる夜ノ助には命を大切にしてほしいと願っている。夜ノ助がまつりのことを考えるようになれば、復讐を忘れるかもしれないと期待し、さまざまな方法で彼に働きかけているが、なかなかうまくいかない。
月宮 夜ノ助 (つきみや よるのすけ)
まつりと共に山寺で育った少年。目の下に六つの点がある。剣術・体術の達人で、かつては年上の幼なじみ、日永に恋心を抱いていた。三人での穏やかな生活を望んでいたが、日永の死をきっかけに将軍、天道への復讐心を燃やし、寺を離れて危険な用心棒の仕事を引き受けるようになる。まつりから好意を寄せられていることには昔から気づいていたものの、それが異性としての好意だとは思わず、デリカシーのない言動も多かった。しかし、まつりから「恋愛対象として好きだ」と気持ちを伝えられてからは、亡き日永への思いに揺れながらも、まつりを一人の女性として意識し始める。まつりや日永からは「ヨノ」と呼ばれている。
月宮 日永 (つきみや ひなが)
まつり、夜ノ助と同じ寺で育った少女。三人の中では最年長だが、すでに故人。体力には乏しく、剣術や力仕事は苦手だったが、優しく穏やかな性格で誰からも愛されていた。生前は両親がわからない孤児だと語っていたが、実際には良家の娘である「雀芽姫」で、礼儀作法も身につけていた。将軍、天道の関係者による襲撃を受け、最期は夜ノ助の腕の中で息を引き取った。はっきりとは言葉にしていなかったが、夜ノ助に好意を寄せていた。
書誌情報
君の刀が折れるまで ~月宮まつりの恋難き~ 6巻 小学館〈サンデーうぇぶりコミックス〉
第1巻
(2023-08-09発行、978-4098527786)
第2巻
(2024-01-12発行、978-4098531073)
第3巻
(2024-05-10発行、978-4098533459)
第4巻
(2024-10-10発行、978-4098536214)
第5巻
(2025-04-11発行、978-4098540495)
第6巻
(2025-07-11発行、978-4098541690)







