あらすじ
第1部
平凡な中学生である黒兎春瓶は、ある日、謎の人形チャモキーの襲撃を受ける。チャモキーによると、春瓶の祖父アルシド・クローサーは、類稀なる力を持つ呪術師で、その力は、春瓶の心臓を取り込むことで継承されるという。絶体絶命の危機に陥る春瓶だが、その時、持っていたクマのぬいぐるみであるハイドが突如動き出し、チャモキーを両断する。ハイドは、自分がクローサーが春瓶を守るために遣わした呪術人形であることを告げる。こうして、ハイドと春瓶は、次々に襲撃してくる呪術師を撃破し、その首謀者である窓辺の男を倒すために戦うこととなる。
第2部
ハイドと黒兎春瓶は、窓辺の男の切り札であるルサンチマンを止めるため、浄化の在処を探っていた。しかし、それを妨害するため、アルシェブ、ロノウェ、アスモダイという、3人の強力な呪術師が立ちはだかる。何とか彼らを退けたハイドたちは、アフリカの地に降り立ち、ルサンチマンを抑えていたアルシド・クローサーと再会を果たす。しかし、ルサンチマンは人々の怨念を蓄え続けて、ついに孵化の時を迎えてしまう。
劇中劇
任侠天下統一
ハイドや雨竜龍美が好んで視聴しているテレビ番組。高倉仁が演じる青年が、ヤクザ相手に大立ち回りを演じるアクションドラマ作品。雨竜は、弱者を守るために筋を通す姿に強いあこがれを抱いており、いつかこの番組で高倉と共演することを夢見ている。
コアラの助物語
ハイドが好んで視聴しているテレビ番組。ある家族を丸ごと捕食しようと企むタスマニアデビ吉と、それを阻止するため立ち向かうコアラの助の激闘を描いた人形劇。ハイドはコアラの助の家族を守るという想いに、強い共感を覚えている。一方で黒兎春瓶は、この番組を子供向けと侮っており、何故ハイドが好んでいるのか理解していない。
登場人物・キャラクター
ハイド
クマのぬいぐるみのような形状をした呪術人形。黒兎春瓶を守るため、アルシド・クローサーによって派遣された。クローサーとよく似た帽子をかぶっており、性格も彼と同様に豪放磊落で、春瓶のことを「シュン坊」と呼んでいる。戦闘では呪術「荒くれ鋸鋸」を使い、春瓶の危機を幾度となく救う。パンチとの戦いで相打ちになり、呪術人形としての死を迎えてしまうが、悪夢濾過によって覚醒した春瓶の呪術によって復活を果たした。
黒兎 春瓶 (くろうさ しゅんぺい)
中学1年生の少年。高名な呪術師、アルシド・クローサーの孫にあたる。控えめな性格で、何事にも一歩を踏み出すことができず、そのため周囲の評価は芳しくなかった。しかしある時、窓辺の男が黒兎春瓶の心臓を奪えば、最強の呪術師になれると触れ回ったため、世界中の呪術師から命を狙われることになる。当初はクローサーが残したハイドに身を守ってもらっていた。 戦いを経るにつれて、春瓶自らの持つ呪術の力が引き出されていき、ついにはクローサーに引けを取らないレベルにまで成長する。
アルシド・クローサー (あるしどくろーさー)
黒兎春瓶の祖父。「呪術王」と呼ばれるほどの強力な力を持つ呪術師の男性。春瓶のことを「シュン坊」と呼ぶ。他者のために戦うことを何より大切にしており、孫の春瓶の身を守るためにハイドを贈るなど、家族思いでもある。なお、ハイドの人格はアルシド・クローサーをもとにしており、春瓶は理想とする格好いい男性に、クローサーとハイドを挙げている。
神藤 颯介 (しんどう そうすけ)
黒兎春瓶と同じ学校に通っている少年。大財閥の跡取りで、頭脳明晰、スポーツ万能と、まさに非の打ち所がない。所持している人形であるトミコに本気で恋愛感情を抱いており、そのことを周囲に隠そうともしない。しかし、その悪癖を補って余りある魅力を持つため、女子からは非常にモテる。トミコを人間にするため呪術王の力を欲し、春瓶を襲撃するが、退けられた上にトミコを助けられ、恩義を抱く。 それからは春瓶の心強い味方として、ともに戦い抜いた。春瓶のお人好しな性格と、彼の成長を促そうとするハイドに好感を持っている。
トミコ
神藤颯介が所有している呪術人形。和服に黒髪と、日本人形そのものの容姿をしている。神藤が幼少時代のスパルタ教育で挫けそうになった際に、トミコの姿を見て自分を奮い立たせていたという事情があり、人間と人形でありながら、やがて相思相愛の関係に発展する。戦闘においては、執拗な抱擁や、紅蓮の花嫁などの呪術を使い、神藤やハイドたちの心強い味方として活躍している。
雨竜 龍美 (うりゅう たつみ)
黒兎春瓶と同じクラスの少女。演劇部に所属している。任侠ドラマを好んでおり、なかでも「任侠天下統一」と、その主役である高倉仁の大ファン。呪術とは縁のない生活を送っていたが、セヤブディとバグスの襲撃をハイドや春瓶とともに生き延びたことで、協力者の1人となる。のちに呪術師としての才覚があることが判明し、その能力によってルサンチマンの少女と邂逅を果たしている。
パクワ・スノアリッチ (ぱくわすのありっち)
呪具の製作を行い、裏市で売り出している少女。父親は高い技能を持つ呪具屋で、パクワ・スノアリッチ本人にもその才能が受け継がれている。しかし黒兎春瓶同様に自信を持てず、結果として売り出す呪具に欠陥が生じることも多く、父親ほどの評価を得られずにいた。しかし、裏市を訪れた黒兎春瓶が、MEIFU-606を見事に使いこなしたことで、自信を獲得する。 その後はさまざまな呪具を春瓶たちに提供し、サポートを行った。
アナ・M・モンサルバジュ (あなまりあもんさるばじゅ)
メキシコ出身の呪術師の少女。大ざっぱだが気風のいい性格で、阪神タイガースのファン。恩人であるボッシュを何物かに殺害されている。その敵を討つ力として呪術王の力を得るため、黒兎春瓶を襲撃する。しかし、指の爪垢を飲めば力を得られると勘違いしていたため、実は殺さなければ効力がないと知り、大きく動揺する。さらに春瓶の優しさに触れて、春瓶を殺してその周りの人を悲しませたくはないという結論に至り、ハイドたちとともに戦うことを望む。
シャカシャカメッキー
アナ・M・モンサルバジュの使役する呪術人形。歌って踊れる陽気なカラベラ人形を自称している。三度の飯よりマンボが好きだが、主であるアナはレゲエミュージックしか認めていないため、マンボを踊ると殴られてしまう。それでもアナに対する信頼は強く、彼女を「姐ゴ」と呼び慕っている。戦闘においては墨西哥祭祀を使いこなし、仲間のサポートに回ることが多い。
カザン
呪術師の青年。孤児たちの住む教会を守っている。カンナからは神父様と呼ばれているが、実際は神父とは思えないような、強面かつ筋骨隆々の人物。ケンカに負けたことがないと豪語している。かつてカザン自らも孤児で、自分の将来に絶望しきっていたが、ある人物に救われたことで、他者を守るため活動することを志す。守るべき教会が鐙谷の襲撃に遭い、絶体絶命だったところをハイドと黒兎春瓶に守られたことで、彼らのために戦うことを決意する。
デズモンド
カザンの使役する呪術人形で、金属製の鎧で全身隙なく覆った騎士のような外見をしている。不愛想で物静かな性格。騒がしいのが苦手で、静かな場所でたたずむことを好む。戦闘においては錻力思装填を使い、幾度もの戦いを経たハイドや黒兎春瓶すら驚愕させるほどの圧倒的な強さを見せる。
窓辺の男 (まどべのおとこ)
黒兎春瓶の心臓を奪えば、呪術王の力が手に入るという噂を振りまいた謎の男。空間に窓を出現させ、そこから顔を見せ会話を行うことから「窓辺の男」と呼ばれている。人類に憎悪を抱いており、ルサンチマンを用いて全人類を呪い殺そうとしている。冷静かつ人を食ったような性格だが、ルサンチマンには狂的なまでの執着を見せており、窓辺の男本人は、その理由を、人類を呪い殺すことへの渇望であると解釈している。
パンチ
ハイドを倒すために、窓辺の男がけしかけた呪術人形。パンチ自身を製作した呪術師は既に死亡しており、現在は本能のまま他の呪術人形を殺戮するためだけに活動している。その戦闘力は並の呪術人形を遥かに超えており、刺人而殺之鎖鋏を使ってハイドを追い詰めた。なお、パンチ自体は窓辺の男の所有物ではないため、撃破されても窓辺の男に呪いが跳ね返ることはない。
春瓶の母親 (しゅんぺいのははおや)
黒兎春瓶の母親。ハイドのことを「ハイドちゃん」、春瓶のことを「春ちゃん」と呼んでいる。極めて物分かりのいい性格。呪術人形であるハイドの存在を簡単に認めて、取り乱すどころか、近所に自慢しようと発言している。
アントニオ
ケニア出身の呪術師。38歳の独身男性で、ジャンクフードが好物。呪術王の力を狙って、黒兎春瓶を襲った最初の刺客。運送会社「ヒヨコ急便」の配達員に扮装し、呪術人形チャモキーを差し向けるが、チャモキーがハイドに敗北すると、呪術の反動を受け川に転落してしまう。
チャモキー
アントニオによって命を吹き込まれた呪術人形。猿のぬいぐるみのような形状をしている。アントニオの命により、暗黒の猿芝居を使って黒兎春瓶を襲撃するが、それを阻もうとするハイドと戦闘状態に陥る。刃物を操る呪術人形同士の戦いとなったが、ハイドの荒くれ鎖鋸の前に敗れ去った。
チルドスキー
ロシア出身の呪術師の男性。40過ぎまで放蕩していた挙句、実家のサーモン工場を潰してしまい、途方に暮れていた。そこを窓辺の男に付け込まれ、呪術王の力を得るべく、黒兎春瓶の命を狙って来日する。呪術人形ハラワタスキーに春瓶を襲わせるが、ハイドに返り討ちに遭い、呪術の反動で内臓を傷めて入院してしまう。 その後改心してケニアに渡り、アルシド・クローサーの補佐を務めた。
ハラワタスキー
チルドスキーによって命を吹き込まれた呪術人形。びっくり箱のような形状を持ち、明るく弾けた性格をしている。空間を操る能力を持ち、死刑囚監房を利用して黒兎春瓶とハイドを分断したうえで、殺害しようと試みる。しかし春瓶の結界によって予想外の手傷を追い、ハイドの介入を許してしまう。
高倉 仁 (たかくら じん)
男性の俳優。「任侠天下統一」などの任侠ドラマなどで活躍している。ドラマ映えする豪快な見た目とアクションが売りで、ハイドや雨竜龍美などのファンを獲得している。龍美は高倉仁と共演する女優になるため日々勉強しており、のちに実際に高倉とのドラマ共演を果たしている。
セヤブディ
バグスによって命を吹き込まれた小型の呪術人形。バグスに似た極めて傲慢な性格をしており、すべてが自分とバグスの思い通りになると思っている。反面、思い通りにならないよう邪魔したり、セヤブディが少しでも傲慢だと見なしたら、無関係の人間すら傷つけ、黒兎春瓶や雨竜龍美の怒りを買っている。戦慄の影絵芝居を使い、ハイドを翻弄する。
バグス
インドネシアからやって来た呪術師の青年。傲慢な性格で、世界のすべてが自分の思い通りになると、本気で考えている。黒い色を好んでおり、好きな食べ物はイカスミとキャビアで、塗り絵は黒でしか塗らないという徹底ぶりを見せる。呪術王の力を得るため、黒兎春瓶を殺害しようとセヤブディを差し向けるが、敗北。呪術の反動で、影に接触されると激痛が走るという体質にされてしまい、影のない場所へ自らを拘束するよう、警察に求める。 しかし後に復帰し、改心してケニアに渡り、アルシド・クローサーの補佐を務めた。
みのり
幼い頃、黒兎春瓶の友人だった少年。おとなしい性格で、病気のためあまり外に出たがらない。春瓶にやや強引に連れ出され、病気を悪化させてしまう。幸い命に別状はなかったが、春瓶はみのりの親から会うことを禁じられ、春瓶にとっては辛い思い出となってしまう。
コアラの助 (こあらのすけ)
劇中劇「コアラの助物語」に登場する。その名の通り、コアラの姿をしている。勇敢な性格で、家族を捕食しようとしているタスマニアデビ吉と熾烈な争いを繰り広げている。ハイドはコアラの助のファン。その理由は家族を守るため、自らを省みずに戦う点にある。
タスマニアデビ吉 (たすまにあでびきち)
劇中劇「コアラの助物語」に登場する。その名の通り、タスマニアデビルの姿をしている。また、いかにも悪人といった表情が特徴で、コアラの助の家族を捕食しようとしつこく家を狙う。しかし、その度にコアラの助に敗北し、撤退するのがパターンとなっている。
夜幹 泰造 (やから たいぞう)
うだつの上がらないヤクザの中年男性。大した手柄を挙げていないため、敵対する組織に鉄砲玉として殴りこもうとしていた。そこへハイドと出会い、気まぐれから食事に誘う。その際に、家族のために手柄を立てたいと語るが、ハイドからは自分のプライドを守っているだけだ、と叱責されてしまう。
ケフマン
エンリケが操る呪術人形のうちの1体。マリオネットの人形のような外見をしている。当初はミケランが糸繰りをしていたため、ハイドと黒兎春瓶は、ミケランがケフマンを操る呪術師だと思い込んでいた。殺戮傀儡線を使い、その切れ味でハイドと春瓶を翻弄した。
ミケラン
エンリケが操る呪術人形のうちの1体。全身をマントに包んでおり、シルクハットをかぶっている。右手にケフマンを携帯していたため、ハイドと黒兎春瓶は、ミケランがケフマンを操る呪術師だと思い込んでいた。冷静な性格をしており、ケフマンとの連携でハイドたちを追い詰めるが、神藤颯介とトミコの介入により、ハイドと1対1の勝負を繰り広げることになる。
エンリケ
呪術師の少年。父親を早くに亡くしてしまい、母親も心労から心臓を患ってしまう。そのため、呪術の才能を活かして、生活費と母親の手術代を稼ごうとしていたが、とても足りずに途方に暮れていた。そこを窓辺の男につけ込まれ、呪術王の力を得るために黒兎春瓶を襲撃する。2体の呪術人形を同時に使役するという凄まじい力を持つ。 しかし、ハイドとトミコの連携により2体が敗北すると、呪いが跳ね返り、高所から落下してしまう。そこを春瓶に助けられ、改心した。ハイドたちはエンリケの情報により、窓辺の男の存在を知ることとなった。
吃吃 (ちいちい)
中国出身の呪術師の男性。44歳。最強の呪術人形を作るため、究極のラーメンを探し求めて、20歳の頃から全国を放浪。ついに日本の店でその味に巡り合い、その店のマスコットキャラを媒体として蛙麺を生み出した。しかし実際は凄まじい味音痴で、吃吃本人が究極の味と言うラーメンは、巷では逆にまずいラーメンであると評判である。
蛙麺 (わーみぇん)
吃吃の手により生み出された呪術人形。カエルのマスコットキャラをもとにしており、見た目はとてつもなく貧弱である。しかし、極楽湯腕を使うことにより、3分間だけ巨大な姿に変身することができる。吃吃の命により黒兎春瓶を襲撃するが、春瓶はハイドに頼ることをせず、パクワ・スノアリッチが作ったMEIFU-606を使い、単身で戦いを挑んだ。
ボッシュ
アナ・M・モンサルバジュの恩人である壮年男性。陽気な性格で、レゲエとアフロヘアをこよなく愛している。陰気でいじめられっ子だったアナを助けて、現在のような逞しい少女へと変わるよう導いた。しかしある時、熊の手を持つ呪術師に命を奪われてしまう。この事件はアナに深い傷跡と復讐心を残す結果となった。
マルコ
70年前、ハイドのもととなった人形を所有していた少年。臆病な性格で、いじめっ子に対してつい腰が引けてしまう。マルコの父親を敬愛しており、戦争に向かう彼を止めようとしたが叶わず、餞別として人形を受け取った。人形に「ハイド」と名付け、いつも行動をともにしていたが、住んでいる地域が空襲に遭い、燃える家屋に取り残されてしまう。 最期にハイドを守って命を落とすが、今際の想いは時を超えて、アルシド・クローサーへと届いた。
マルコの父親 (まるこのちちおや)
マルコの父親。徴兵によって最前線へと向かうことになり、マルコと妻に対して田舎へ避難するように告げる。行かないでほしいと泣いて縋るマルコに対して、家族を守るために戦う旨を告げて、弟を欲しがるマルコのため、熊のぬいぐるみを渡した。このぬいぐるみこそが、のちにハイドのもととなっている。
小斉先生 (こさいせんせい)
黒兎春瓶の担任教師。三角定規のような髪形をしている中年男性。教育の指導に厳しいため、生徒からはあまり快く思われておらず、陰で「コサイン」のあだ名で呼ばれている。特に、正面から侮ってくるアナ・M・モンサルバジュには、大いに手を焼かされている。
カンナ
孤児の女の子。カザンが守っている教会で暮らしている。可愛らしい見た目とは裏腹に口が悪いが、根は素直な性格。鐙谷率いる地上げ屋グループに襲われていたところを、ハイドたちに助けられる。しかし、鐙谷が教会を襲撃した際には、ランシーの凶角八卦鏡を受け、人質とされてしまう。
鐙谷 (あぶみや)
長野県出身の、呪術師の男性。24歳。卑怯な行いや、それを悔しがる人の顔を見るのが好きだという、救いようのない悪癖を持つ。地上げ屋を始めたのもそれが理由である。風水を習得しているため、運気の流れを異常なまでに気にしている。そのため、黒兎春瓶を襲撃する障害になりえるという理由だけで、カザンの守る教会を取り壊そうとした。
ランシー
鐙谷の操る呪術人形。キョンシーのぬいぐるみのような外見をしており、愛らしい左半身と、おぞましい右半身に分かれている。凶角八卦鏡で他者の身体を破壊することを好む残虐な性格だが、戦闘能力は皆無であるため、他の呪術人形に襲われればひとたまりもない。
シュバルト
オモチャ会社「ハイパートイ」の創設者にして、現社長。子供のようなわがままな性格で、思い通りにいかないと駄々をこねることすらある。そのわがままっぷりで財力、権力のすべてを手に入れてきた。座右の銘は「オマエの物はオレの物」。わがままを実現させるための力を得るため、会社の総力を挙げて黒兎春瓶を襲撃。春瓶が住む街を、呪術師同士における戦争状態にしてしまう。 シュバルト自らもシューマッハという、着ぐるみ型の呪術人形を身にまとい、ハイドと激闘を繰り広げた。
執事 (しつじ)
シュバルトの執事を務める壮年男性。ハイパートイが小さなオモチャ屋であるときからの付き合いで、当時の優しいシュバルトの姿に強く惹かれていた。しかし、次第に欲に塗(まみ)れていくシュバルトを止めることができず、彼のわがままを実現させるために行動することしかできなかった。ハイドと黒兎春瓶に、昔のシュバルトを取り戻してほしいと懇願する。
ナナカマ
ハイパートイに雇われていた呪術師の青年。シュバルトが破れ、彼を含めた全ての呪術師が窓辺の男に利用されていたことを知り、黒兎春瓶の仲間となる。ルサンチマンを止めるための方法である浄化を知っており、春瓶とともに浄化の在処を追い求める。
アルシェブ
窓辺の男の仲間。トルコ出身の呪術師の青年。23歳。超がつくほどの面倒くさがり屋。食後の歯磨きすら面倒くさがり、パンの間に歯磨き粉を挟んだ「ハミガキサンド」なる物を開発して得意がるなど、考えが浅い面もある。さらに世界そのものも面倒くさいと考えており、そんな世界が乱れる様を見たいという理由で、ルサンチマンの発動に協力している。
プトロボン
アルシェブの使役する呪術人形。恐竜の骨格模型のような形状をしており、「ジュラァ」という鳴き声を上げる。全身をバラバラに分離させることができるため、荒くれ鎖鋸で切断されても、コアが無事である限りはいくらでも活動が可能となっている。
アスモダイ
窓辺の男の仲間。アメリカ西部出身の男性呪術師。類稀なる呪術の才能を持っており、母親のお腹にいた時から判断する力を持っていた。しかし、母親が落盤事故に巻き込まれた際に、胎児である自分の存在を認識しなかったという理由で、母親を含む5人を次々と惨殺。そのうえで無事、出産された。こういった経緯から、あらゆる存在から、生まれながらの人殺しというレッテルを張られて蔑まれ、その結果、呪術による殺人を肯定するようになってしまう。 現在は窓辺の男の計画遂行のため、ロノウェとともに暗躍している。
ロノウェ
窓辺の男の仲間。アメリカ南部出身の女性呪術師。狂信的な教団で生まれ、それが火災で壊滅するまでの9年間、残虐な行為を受け続けてきた。その結果、著しく精神が歪んでしまい、ありとあらゆるものが死んでいく様子にのみ、興味を示すようになってしまった。現在は窓辺の男の計画遂行のため、アスモダイとともに暗躍している。
こっくりさんの使い手 (こっくりさんのつかいて)
こっくりさんを得意とする、呪術師の老年男性。既に死の床にあり、春瓶が病室にたどり着いた時は、既に息を引き取った後だった。しかし、春瓶が情報を求めていることを知っていたため、死に際に最後の力を振り絞り、呪術を使って春瓶の持つMEIFU-606に、浄化についての情報を送信する。
ルサンチマンの少女 (しょうじょ)
何千年も前に、ルサンチマンを生み出したとされる少女。たまたま発見した鶏が産み落とした卵に、ストレス発散のために軽いおまじないをかけたところ、その卵が怨念を蓄えて成長する特性を持ってしまったという。しかし、のちに霊体として雨竜龍美の前に姿を現し、ルサンチマンに関する真実と、ルサンチマンの少女が持つ本当の望みを伝えようとする。
純瓶 (じゅんぺい)
黒兎春瓶と、雨竜龍美の孫。春瓶からはジュン坊と呼ばれている。やんちゃ盛りの男の子で、祖母である龍美からは甘やかされて育っている。また、大層なおじいちゃん子で、春瓶が家に来た際には真っ先に飛び出して出迎えていた。
集団・組織
ハイパートイ
世界一のオモチャ会社。総資産10兆円を超えると言われている。もとは小さなオモチャ屋だったが、社長であるシュバルトの指揮のもと、現在のマンモス企業へと生まれ変わった。その財力に物を言わせ、100人の呪術師を雇い入れ、黒兎春瓶を抹殺するための手駒としている。また、オモチャは呪術人形のもととして利用されており、数多くの呪術人形を擁していることになる。
場所
裏市 (あんのうんばざーる)
呪術師御用達の闇市。世界各地に人知れず点在している。古今東西の呪具を扱っており、呪術師たちによって賑わいを見せている。ハイドに頼りきりであった自分を変えるため、新たな呪術を覚えようとする黒兎春瓶に対して神藤颯介が紹介し、2人はここでパクワ・スノアリッチと出会う。
その他キーワード
結界石 (けっかいせき)
アルシド・クローサーが残した呪具。見た目は複数の小石だが、これを使用することにより、結界の威力を飛躍的に上昇させることができる。黒兎春瓶はこの呪具を使うことにより、呪術師としての才覚を伸ばしていき、のちにパクワ・スノアリッチが製作した呪具も不自由なく使えるようになった。
MEIFU-606
携帯電話型の呪具。パクワ・スノアリッチが作り上げたもの。結界と解放の、2つの呪術が内包されている。呪具としての役割だけでなく、通常の携帯電話の他、テレビやネット、ゲームにも使える優れものである。黒兎春瓶がお試しとして譲り受け、見事に使いこなしたため、正式に購入した。
悪夢濾過 (どりーむきゃっちゃー)
ヘルメットとスコープが一体化したような形状を持つ呪具。パクワ・スノアリッチが作り上げたもの。装着者の持つ呪術の力を強化するために発明され、頭につけた人を精神世界に連れていく役割を持つ。精神世界には、呪術に不可欠とされる「信じる力」を妨げる、不安や迷いといった感情が実体化した怪物がいる。それに打ち勝つことで、装着者の持つ力を上昇させることができる。 逆に怪物に負けてしまった場合、精神が死んでしまうという、まさにイチかバチかの呪具である。
ルサンチマン
史上最悪の呪具。遥か昔、ルサンチマンの少女によって生み出された。憎悪や怨恨など、人間の持つ邪悪な思念を糧に成長し、孵化すると全人類が呪い殺されるほどの事態に見舞われるという。現在は1人の呪術師の決死の抵抗により、辛うじて孵化が抑えられているが、窓辺の男の妨害工作もあり、徐々に孵化の時が近づきつつある。
栄光の手 (はんずおぶぐろーりー)
遥か昔、現実の世界に実在したとされる呪具。死刑が執行された囚人の手を切り落とし、屍蠟化したもの。呪術の儀式やおまじないをする際に、中指の部分に火を灯して、ろうそくとして使用する。外見は人間の腕そのものであるため、とてもおぞましいものとなっている。
呪術 (じゅじゅつ)
物事を強く信じる、あるいは信じ込ませることで、超常的な現象を引き起こす手法。呪文の詠唱、水晶や魔方陣、雨ごいや呪い儀式などの媒体を用いることが多いが、これは信じる力を増幅するためのツールであるとされる。現代では、偽物の薬を本物だと信じ込ませることで病状に改善がみられる「プラシーボ効果」が知られているが、これも広義の呪術といえる。
呪術師 (じゅじゅつし)
呪術を使う人間たちの総称。彼らの呪術の使い道は人によってさまざまで、他者の役に立つために使う者や、野望を実現させるための手段とする者などがいる。また、呪術を扱う腕前も千差万別だが、なかでもアルシド・クローサーは、抜きんでた腕を持つ呪術師であるため、「呪術王」の異名で呼び慕われている。
呪術人形 (じゅじゅつにんぎょう)
呪術によって動き、主である呪術師の命に従う人形の総称。コアと呼ばれる物質を人形の内部に埋め込み、呪術によって埋め込んだコアに力を注ぎ込むことにより機動する。また、機動方法は充電タイプと接続タイプの2種類があるが、大半の呪術人形は接続タイプである。呪術における攻撃を行うには、基本的に呪術人形の存在が不可欠とされるが、コアを破壊されると動作を停止してしまう。
呪具 (じゅぐ)
呪術の媒介となる道具の総称。媒介とするものは基本的に何を用いても問題はなく、黒兎春瓶は文房具を呪具として結界を発動させたことがある。しかし、性能のいい呪具であればあるほど、呪術の効果は上昇する。そのため、裏市で高性能の呪具が売買されることも多い。なお、パクワ・スノアリッチのように、呪具を作り、販売することを専門としている呪術師も存在する。
ワヤン・クリ (わやんくり)
インドネシアに伝わる伝統的な影芝居。「ワヤン」は影、「クリ」は皮を意味しており、その名の通り透かし彫りをした水牛の皮製の人形を使うのが一般的である。主な演目は古典叙事詩『マハーバーラタ』や『ラーマーヤナ』であり、その上演時間は時として8時間以上に及ぶという。
カラベラ人形 (からべらにんぎょう)
骸骨の人形。メキシコで行われる、あの世から霊を迎える「死者の日」の祭で飾られる。カラベラはメキシコ語で骸骨を意味する。メキシコの人々にとって死者は生者の友とされており、祭ではカラベラ人形の仮面をかぶる人などもいる。
接続タイプ (こんせんとたいぷ)
呪術師が呪術人形を操る際に用いる方法の1つ。呪術師が呪術人形に対して動力源となる力を、常に放出して操る方式のことをいう。この方式を用いる場合、主となる呪術師が傍にいれば動力切れの心配はない。しかし、呪術師が気を失ってしまった場合、呪術人形も無力化してしまうという欠点がある。大抵の呪術人形は、こちらのタイプで機動するといわれている。
充電タイプ (ばってりーたいぷ)
呪術師が呪術人形を操る際に用いる方法の1つ。呪術師が呪術人形のコアに一定量の力を蓄積させ、それを消費して機動させる方式のことをいう。操作する呪術師が傍にいなくても機動するという長所を持つ。しかし、この方式を用いる際には桁外れの力を注ぎ込まなければならず、それを可能とする呪術師はアルシド・クローサーを含めてごくわずかである。 ハイドは当初、クローサーによって力を注ぎ込まれた充電タイプであったが、復活後は春瓶が直接操作する接続タイプに切り替わっている。
浄化 (でとっくす)
ルサンチマンに込められた怨念を中和することができる存在。呪具であるとも呪術師であるとも言われているが、詳細は明らかになっていない。ルサンチマンが孵化し、天地腐乱論が発動した場合、浄化がなければ人類は確実に滅ぶとされる。
荒くれ鎖鋸 (あらくれちぇーんそー)
ハイドが使用する呪術。あらゆるものを容易に切り裂くことができるチェーンソー。普段はハイドの背中の中にしまわれている。シンプルながらも呪術の中では最高レベルの攻撃力を持っている。敵のコアを切り裂き、とどめを刺すために多用されている。
荒くれ鎖鋸・暴 (あらくれちぇーんそーはりけーん)
黒兎春瓶の呪術によって蘇ったハイドが獲得した、新たなる呪術。荒くれ鎖鋸で物質を切り裂くと、その裂け目から暴風を巻き起こすことができる。巻き起こした風は、敵の呪術人形を吹き飛ばしたり、逆に引き寄せたりすることが可能となる。攻撃力も上昇しており、暴風で怯(ひる)ませたところでとどめを刺すという、新たな戦法が構築されている。
結界 (えんとりー)
黒兎春瓶が使用する呪術の1つ。文房具や小石など、複数の小さな道具を連ねて、敵の攻撃を阻止するバリアを張る。「侵入を許可しない」という発言によって作動するが、阻止できる攻撃は1種類のみで、複数の攻撃を同時に防ぐことはできない。また、結界石を用いることで、強度を大幅に増加させることができる。
捕獲 (きゃっち)
黒兎春瓶が使用する呪術の1つ。MEIFU-606に記録されている。敵の攻撃や、災害による被害など、使用者が邪気と判断したものを一撃だけ吸収し、MEIFU-606の液晶画面に保存できる。吸収できる攻撃に限界はなく、むしろ巨大な物などは的が大きいということで、容易に吸い込むことができる。
解放 (りりーす)
黒兎春瓶が使用する呪術の1つ。MEIFU-606に記録されている。結界をすることで液晶画面に保存した力を、対象に向けて解き放つ。捕獲で保存した攻撃が強ければ強いほど、高い威力を発揮することができる。春瓶はハイドの荒くれ鎖鋸をあえて捕獲し、敵の呪術人形に向けてハイドの攻撃と同時に放つことで、2倍の威力を発揮したことがある。
飛空 (すかい)
黒兎春瓶が使用する呪術の1つ。パクワ・スノアリッチが製作したスカーフに記録されている。詠唱を行うことでスカーフを翼状に変形させ、自在に空を飛び回ることができるようになる。熟練の呪術師でさえ使いこなすのが難しいとされているが、春瓶は即座に使いこなしていた。
幽玄 (ふぁんとむ)
黒兎春瓶が使用する呪術の1つ。パクワ・スノアリッチが製作した小物に記録されている。一度だけ相手に幻覚を見せることができ、幻覚の内容は、使用者がイメージしたものか、対象のトラウマや恐怖心を映像化させたものとなる。特に後者を選んだ場合、その恐怖心に押しつぶされることによって、死亡する可能性すら出てくる恐ろしい呪術である。 そのため、パクワはできることならこの呪術は使ってほしくないと、春瓶に伝えた。
執拗な抱擁 (もざんはぐ)
トミコが使用する呪術。髪の毛を際限なく伸ばし続け、敵を絡め取り、締め上げる。その性質上、屋内ではほぼ無敵の能力として機能する。また、敵の動きを封じる役にも立つため、仲間の補助に使われることも多い。一方で、油を撒いた上で火をつけられた場合、髪の毛を伝ってトミコが燃やされてしまうなどの欠点も存在する。
紅蓮の花嫁 (くりむぞんぶらいど)
神藤颯介が使用する呪術。トミコに力を注ぎ込むことで、人間の形に変身させる。さらに髪の毛の強度が大きく上昇し、鉄を容易に切り裂く殺戮傀儡線を受け止めたり、髪の毛一本で敵を切り裂くことも可能となる。ただし、この呪術を使用した場合、神藤が力を使い果たし、ほぼ無防備になってしまう。
墨西哥祭祀 (れぺぜんあすてか)
シャカシャカメッキーが使用する呪術。音楽を流し、そのリズムに合わせて踊ることで発動する。複数の虫や小動物を操る「GR.1(グラドゥノ)」、向かい合った相手に自分と同じ動きをさせる「GR.2(グラドドス)」、雷雲を呼び寄せて敵に電撃を浴びせる「GR.3(グラドトレス)」の3段階に分かれている。
錻力思装填 (ふるめたるりろーでっど)
デズモンドが使用する呪術。両手の指先から超高速でゼンマイを飛ばす。弾数に制限はなく、飛び道具としても十分に機能するが、さらにゼンマイを打ち込んだ機械を自在に操ることもできる。遠距離専用の呪術で、格闘を好むカザンをサポートするために使われることも多い。
刺人而殺之鎖鋏 (まーだーらいどしょー)
パンチが使用する呪術。両手から巨大な鋏がついた触手を展開し、敵めがけて切りかかる。黒兎春瓶曰く、「ハイドと似た呪術」。荒くれ鎖鋸と真っ向からぶつかっても、破壊されるどころか押し勝つほどの威力を持つ。しかし、春瓶の解放と、ハイドの荒くれ鎖鋸の連続攻撃を受け、片方を破壊されてしまう。
暗黒の猿芝居 (はろーぶらっくねす)
チャモキーが使用する呪術。身体から伸びる無数の黒い触手を使い、1部屋分ほどの広さの空間に存在する刃物を自在に操ることができる。人間を傷つけるには十分な威力を持つが、呪術人形に対しては有効とはいえず、ハイドの荒くれ鎖鋸の前ではほぼ無力だった。
死刑囚監房 (ですはうす)
ハラワタスキーが使用する呪術。箱の中に潜み、ターゲットに箱を開けさせることで発動する。一度発動するとターゲットを部屋に閉じ込めて、引き出しや窓など、あらゆる場所から姿を現し、攻撃を仕掛けることができる。さらに、ハラワタスキーの集中力が途切れない限り、部屋の外から侵入することも不可能になってしまう。
戦慄の影絵芝居 (ぶらっでぃーわやん)
セヤブディが使用する呪術。持っている刃で影を攻撃すると、その影の持ち主に相応のダメージを与える。影が存在する限り回避が極めて困難な攻撃だが、逆に闇に隠れたり光を遮ったりすることで影を消し去れば、攻撃することができなくなる。そのため、前もってバグスが変電施設を占拠することで、この弱点をカバーしている。
殺戮傀儡線 (まさかーまりおねっと)
ケフマンが使用する呪術。指先から複数のワイヤーを伸ばし、自在に操る。切れ味に特化した呪術で、鉄すら紙切れのように容易く切り裂くことができる。さらにリーチが非常に長いため、踏み込む隙を与えない、まさに攻防一体の呪術といえる。
殺戮傀儡拳 (まさかーぱぺっと)
ミケランが使用する呪術。ボクシング、カンフー、柔術、コマンドサンボなど、ありとあらゆる格闘技をトレースし、それを組み入れた攻撃を繰り出すことができる。その拳から繰り出される攻撃は非常に高い威力を持つが、さらに特筆すべきは、あらゆる攻撃を回避する身体捌きを実現できることにある。
極楽湯腕 (へぶんずぼいる)
蛙麺が使用する呪術。頭のどんぶりに熱湯を注ぐことで、3分の間だけ、凄まじい筋肉を持つ大男に変身することができる。さらに、どのような重さのものでも持ち上げ、投げつけるパワーを獲得できる。3分経つと元の姿に戻ってしまうが、お湯を注げば再び変身することが可能となる。
凶角八卦鏡 (えぼにーちゃんす)
ランシーが使用する呪術。頭の鏡に映り込んだ相手の身体のパーツを、ダイスを振って出た目の順に破壊していくという、極めて残虐な能力。ただし呪術師には通じないため、人質を取る必要性が出てくる。鐙谷はカンナを人質に取り、この能力を用いてカザンやハイドたちを脅すという暴挙に出ている。
超常玩具 (はいぱーとい)
シュバルトが使用する呪術。トナカイの着ぐるみを象(かたど)った呪術人形「シューマッハ」を着込み、そのコアに部下の呪術師100人分の呪術を注ぎ込むことで起動する。100人分の力が内包されるため、他の呪術を圧倒する力を発揮する。さらに、肉体を巨大化させるといった芸当も可能としている。
侏羅疾苦恐慌 (じゅらしっくぱにっく)
プトロボンが使用する呪術。全身をバラバラに分離してあらゆる方向から攻撃を仕掛け、さらに傷をつけた相手の身体を徐々に石化させることができる。全身を石化させるためには1分も必要としないため、アルシェブは一撃必殺の呪術と豪語するほどの自信を持っている。
蠟人形の館 (はうすおぶわっくす)
ロノウェが使用する呪術。使用者や、使用者が触れた物質を蠟に変えてしまうというもの。蠟化と解除はロノウェ自らの意思でのみ行えるため、敵の攻撃を蠟に変えたり、逆に自身を蠟に変えて回避したりと、幅広い応用を可能としている。しかし、蠟の特性はそのままなので、何らかの干渉で化学反応などを起こして、別の物質に変わってしまった場合は、ロノウェの意思で戻すことができなくなる。
太古百獣王 (なちゅらるぼーんきらー)
アスモダイが使用する呪術。獣の肉を食べることで、その獣の能力をコピーすることができる。例えば、たこ焼きを食べた場合は、タコはもちろん、卵も使用されているので鳥の能力も使える。さらに、敵の呪術を受けた場合、その呪術を使用することすら可能。カザンとの戦いでは身体に受けた錻力思装填をそのまま使用している。 ただし、消化したり吐き出したりすることで、食べた物が身体の中からなくなってしまった場合、コピーは不可能となる。
天地腐乱論 (らんどおぶざでっど)
孵化したルサンチマンが、コアと融合することで自動的に発動する呪術。地球すべてを見渡せるほどの漆黒の大樹に変形し、そこに生る無数の実を巨大な赤子に成長させる。赤子たちは本能のまま動き、地上に暮らすすべての人類を捕食するまで止まらない。赤子たちを倒すことはできるが、凄まじいペースで実を宿し続けるため、天地腐乱論を止める方法は、浄化を用いてルサンチマン自体を停止させる以外にない。