哲也-雀聖と呼ばれた男

哲也-雀聖と呼ばれた男

戦後復興期の日本を舞台に、主人公の阿佐田哲也をはじめとする、勝負師たちの生きざまを描いたギャンブル漫画。麻雀を主としているが、花札などのさまざまなギャンブルが登場する。原案はさいふうめい。また、作家色川武大の『麻雀放浪記』『ドサ健ばくち地獄』を参照している。第24回講談社漫画賞少年部門受賞。

正式名称
哲也-雀聖と呼ばれた男
ふりがな
てつや じゃんせいとよばれたおとこ
漫画
ジャンル
ギャンブル・賭博
 
麻雀
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概要・あらすじ

昭和19年、軍需工場で勤労動員として働いていた阿佐田哲也は、年配の同僚から博打を教わったのを境に、勝負師の世界に魅了されていく。敗戦後、横須賀で米兵相手に麻雀をするなどして、哲也は徐々にその才能を開花させていった。ついに歓楽街で知られる新宿へと根城を移した哲也だったが、そこは玄人と呼ばれるプロの勝負師たちの巣窟。

運だけでは生き残れないと知った哲也は、その界隈で名の通った玄人房州に弟子入りする。房州とコンビを組み、玄人として成長していった哲也は、やがて坊や哲の名で知られる存在になっていった。そして新宿を拠点に、さまざまな勝負師と戦う日々が始まる。

登場人物・キャラクター

阿佐田 哲也 (あさだ てつや)

人並み外れた強運の持ち主で、新宿随一の打ち手・房州に師事した後、坊や哲の名で知られる有数の玄人となる。基本的にクールな性格で、物語初期は白シャツ、勝負師として独り立ちして以降は黒シャツがトレードマーク。房州のもとで培った知識と技術を糧に、相手の玄人技を見抜いて、完璧に勝利する戦い方をする。 コンビ打ちの際は、主にダンチと共闘することが多い。得意な玄人技は燕返し。

房州 (ぼうしゅう)

玄人の間ではその名を知らぬ者がいないほどの打ち手で、阿佐田哲也の師匠。上京してきたばかりの哲也を圧倒し、玄人の世界の恐ろしさと勝負の厳しさを教える。哲也に師事されてからは、新宿最強コンビとして数々の玄人と戦った。得意としている玄人技は燕返し。

ダンチ

新宿を根城とする玄人のひとりで、阿佐田哲也の相棒。コンビ打ちの際には、哲也のサポートを務める。クールな哲也に対し、感情的になりやすい熱い性格。玄人となった背景には、ジャズ喫茶を営んでいた実家を玄人に騙されて奪われた過去があった。

印南 善一 (いんなみ ぜんいち)

阿佐田哲也が玄人の道を進む以前からの友人で、好敵手のひとり。結核を患っている。玄人としては死神の名で知られ、麻雀牌に付いた傷や印から牌を予測するガン牌という玄人技を得意とする。印南が用いるガン牌は通常のものとは異なり、違法薬物を使用して集中力を極限まで高め、牌についた指紋すら覚えてしまうという離れ業。 反面、体への負担は大きい。

金貸しの信

どんな素性を持つ者であれ、大金を貸す金貸し。商いとして高額な利子を条件にするが、仁義を重んじる性格であり、時と場合によっては阿佐田哲也たちの味方になることも。玄人の勝負事に現れることが多く、立会人を務めることも少なくない。金貸しのほかに、違法薬物の横流しなども行っている。

ユウさん

主に新宿を根城としている一匹狼の玄人。房州とは顔馴染みで、玄人としての流儀や勝負事での掟に殉じるタイプ。阿佐田哲也とダンチが仲たがいした際には、流儀に背いたダンチにお灸をすえるべく、哲也とともにコンビ打ちをした。かなりの打ち手で、その実力は哲也と同等。 花巻出身で、田舎にアイドル志望の妹がいる。

ドテ子

阿佐田哲也たちが賭博列車に乗り合わせた際に出会った勝気な少女。力士である神の山と道中を共にしているところ、哲也とダンチをカード麻雀に誘う。以降、哲也に好意を持つようになり、新宿まで追ってくるなど、積極的なアプローチを仕掛け続けた。麻雀の腕前は人並みだが、運は強く、カード麻雀の際にはダンチを負かしたほど。 また、哲也が上野四天王のタミィ、ミミィと勝負した際には、コンビ役を務めた。

ママ

阿佐田哲也ら新宿の玄人が立ち寄るバー・葵の店主。店の奥には麻雀卓があり、勝負の場として使われることもある。過去にドサ健と恋人だったが、勝負の世界で生き続けることを選んだドサ健が彼女のもとを去り、関係は消滅した。「出銭はゲンが悪い」と言うのが口癖で、勝負の前には勘定をツケにする。 また、哲也が大金を必要とした際にはお金を貸すこともあった。

ドサ健

上野を拠点に、麻雀の近代化を進めるため東京一の歓楽街新宿の没落を目論む凄腕の勝負師。最終学歴は小卒。戦争で母親を亡くして以来、アメリカを強く憎むようになり、ギャンブルでアメリカを見返すことを信念とする。阿佐田哲也の師である房州と名勝負を繰り広げた神保公房に師事。 その因縁から哲也を宿敵として見るようになる。ギャンブルにおいて命を投げ出すことも惜しまない性格で、玄人としての技術は哲也と同等。さらに強引に運を手繰り寄せる強運を持つ。

神保 公房

ドサ健が率いる上野四天王のひとりにして、ドサ健の育ての親。普段は、戦争孤児を養う教会の神父として働いている。房州との大勝負で敗北して以降、玄人を引退していたが、房州の弟子阿佐田哲也の存在を知り、再度勝負師として復帰した。麻雀においてイカサマを使うことはなく、神の目と呼ばれる超人的な瞬間記憶術を用いて戦う。 これは、洗牌や山積みの時に使用され、全ての牌の位置と種類を覚えることで、最短の上がりルートを導き出す。さらに上がり続けることで発生する役満・八連荘が最終目的。しかし、神の目は眼球に負担をかけるため、もろ刃の剣でもある。

近藤 祥二

阿佐田哲也が横須賀の米兵と勝負をしていた際に通訳として立ち会った青年。その後、一念発起し、大阪府議会議員となる。玄人として致命的なまでに運がなく、勝負事の世界で生きるのには不向きであった。しかしなけなしの資金を詐欺師にだまし取られたのをきっかけに、その運の無さを利用して成り上がることを思いつく。 再び哲也の前に現れた際には、わざと振り込むことでクズ牌を手繰り寄せ、国士無双を和了するという戦法を見せた。

小龍

阿佐田哲也が国内放浪の旅に出た際に、佐渡島で出会った密輸団の頭目。主に旧日本軍の武器弾薬を中国へ密輸することを商いとしている。もとは満州馬賊の頭目の息子であったが、関東軍に両親を殺され孤独の身に。しかし、その際に自分だけ生き残ったという事実を強運ととらえ、そのツキを武器に裏社会で生きることを決意した。 麻雀では、強運に頼った全局緑一色を狙いという戦法で戦う。

銭亀

新宿を管轄する刑事でありながら、賭場に顔を出し、警察権力を傘に立てて玄人から麻雀で金を巻き上げる。だれも逆らえずにいたところ、阿佐田哲也が権力におそれることなく銭亀から勝利を収めたことで、以降、哲也を目の敵にして追い掛け回すようになった。

その他キーワード

玄人

『哲也-雀聖と呼ばれた男』に登場する用語。哲也をはじめとする、麻雀を生業とする者たちの総称。基本的には、力と呼ばれる、さまざまな技(イカサマなど)を駆使して勝負事を行う。だが、時と場合によっては、平と呼ばれるイカサマなしの戦いをすることも。また、玄人の中にはコンビで麻雀を打つものもおり、パートナーとして補佐に務めるものをオヒキと呼ぶ。

燕返し

『哲也-雀聖と呼ばれた男』に登場するイカサマ。あらかじめ自分の前にある牌山の中に、自分の目的とした牌を積み込み、隙を見て牌山と手牌をすべて入れ替える技。積み込みとは、山に自分が有利になるような牌を置いておく手法で、阿佐田哲也や房州が好んで使っていた。

クレジット

原案

さい ふうめい

ベース

麻雀放浪記

ドサ健ばくち地獄

アニメ

勝負師伝説 哲也

終戦直後の日本で、ひとりの青年阿佐田哲也は麻雀で金を稼いでいこうと決意する。横須賀で勝ち続けたあと、やがて新宿にやってきた阿佐田哲也は、ある日房州との勝負に完敗。房州への弟子入り後はさらに力をつけ、房... 関連ページ:勝負師伝説 哲也

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