型破りな僧侶の奇想天外な修行旅
本作の主人公、太郎は、パチンコホール「楽園」のイメージキャラクターとして誕生し、漫画連載、実写映画に展開された変わり種である。山奥の古刹で修行していた風太郎は、世間で自分がなんの役に立つのかを試し、仏法の根本を知るために下山する。風太郎は、ヒゲ面でボサボサ頭、ボロボロの法衣が特徴の、自由で破天荒な性格。旅先で出会う人の悩みに寄り添ったり、悪人を退治したりするエピソードが1~2話で描かれるのだが、最終的には、不思議な力を持つ長い板切れで暴風を起こし、力業ですべてを解決することが多い。また、各話の最後には「風太郎・一喝語録!!」というコラムがあり、作中で風太郎が発する先人の言葉や漢詩などの解説が掲載されている。
謎に満ちた風太郎の素性
風太郎が出会う事件は、高校の弱小野球部の助っ人という気楽なものから、人類滅亡の危機を救うというスケールの大きなものまで、バラエティに富んでいる。後者のエピソードは、小惑星の地球衝突を風太郎が防ぐというもの。アメリカとロシアが水爆ミサイルで小惑星の軌道を変えようとするが失敗。全地球の90パーセントの種の消滅が確定的となったとき、風太郎は気合一閃、板切れで暴風を起こして小惑星落下による悲劇を阻止する。この時、風太郎が「奇跡生命生存委員会」という組織のコードナンバー7・金剛力士であることが判明。ジュネーブに本部を持つこの組織は、日本に四人、アジアに七人、世界に40人の行動部隊員を持っており、それぞれが特殊能力を持っている。ただし、風太郎も組織のことをよくわかっておらず、指令が直接頭の中に送られてくるのだという。
本宮キャラクターが目白押し
とある山中の温泉地では『俺の空』の主人公、安田一平と風太郎が遭遇する。誘拐された少女を助けるため、一平はヘリコプターを手配、風太郎は不思議な術で少女がいる方角を示し、二人で事件を解決した。それ以来、一平はたびたび風太郎の前に姿を現す。他にも『まだ、生きてる…』の主人公、岡田憲三に人生を教わり、『サラリーマン金太郎』の矢島金太郎の家庭に世話になる。また、『硬派銀次郎』の山崎銀次郎、『男樹』の村田京介と出会うエピソードも登場。本宮ひろ志の他作品の主人公が、ゲストとして次々と登場する点が本作の魅力の一つである。
登場人物・キャラクター
喝 風太郎 (かつ ふうたろう)
金沢金明山昇領寺の修行僧の男性。ボサボサ頭と無精髭、汚れた法衣が特徴。仏法の根本を求めて下山し旅をする。また、ジュネーブ奇跡生命生存委員会・東アジア日本支部、コードナンバー7・金剛力士でもあり、頭の中に直接送られてくる指令を遂行する。常に持ち歩いている長い板切れで暴風を起こしたり空を飛んだりすることができる。
安田 一平 (やすだ いっぺい)
日本最大の財閥、安田グループの御曹司。学生服にマント、下駄というバンカラスタイルが特徴で、将来を共に生きる花嫁を探して全国を旅している。風太郎とは、群馬県の谷川岳山中の温泉旅館で遭遇し、二人で誘拐事件を解決する。本宮ひろ志の代表作の一つ『俺の空』からのゲストキャラクター。
書誌情報
喝 風太郎!! 全5巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第1巻
(2014-05-19発行、978-4088798318)
第2巻
(2014-12-19発行、978-4088900957)
第3巻
(2015-07-17発行、978-4088901770)
第4巻
(2016-01-19発行、978-4088903507)
第5巻
(2016-04-19発行、978-4088904191)







