あらすじ
第1巻
NASAの人工衛星が、突如として地球上に強烈な生命反応を検知する。そこにいたのはザ・松田だった。NASAの研究施設に収容されたザ・松田は、人外の生命力を研究される事になる。折しもアジアのN国の首領でもある超金雲は、アメリカ本土を直接攻撃できる大陸間弾道ミサイルの実用化に成功、アメリカに向けてミサイルを発射する。アメリカ大統領のベラク・オマバはただちに迎撃ミサイルを発射するが、それにザ・松田も同乗し、N国のミサイルを蹴飛ばして迎撃に成功する。この功績でオマバから勲章を授与されたザ・松田は、それを快く思わないアメリカ海兵隊のハルク・モンスーンから喧嘩を売られるものの、それを一蹴。その頃、日本の元総理、板垣重政のボディガードを務める木場優子は、ザ・松田に対して自分でも理解しがたい感情を抱き始めていた。
第2巻
アメリカ大統領のベラク・オマバの命を救って、オマバから特別国民栄誉賞を授与されたザ・松田は、アメリカの街を自由に歩く権利を得た。そんな矢先、ラスベガスのカジノで大儲けをしたザ・松田は飛行機をチャーターするが、その飛行機が墜落してしまい、エリア51という研究施設にたどり着く。そこにいたのは宇宙の別の惑星からやって来た宇宙人と、その宇宙人が地球人との交配で生み出した怪物だった。死闘の末に怪物を倒し、エリア51から生還したザ・松田を見たCIA長官のダレスン・ヒドラーは、ザ・松田の強靭な生命力を手に入れるため、捕獲作戦と称して戦車部隊を派遣する。ザ・松田はこれらを蹴散らして日本行きのタンカーへ便乗し、途中で襲撃して来た海賊を撃退したのちに日本へと帰国する。しかし、日本では現総理、阿部川が、ザ・松田の力を手に入れようと待ち構えていた。
登場人物・キャラクター
ザ・松田 (ざまつだ)
超人といわれるほどの身体能力を持った男性。周囲からは「ザ・松田」の名で呼ばれる。普段はバイクに乗って気ままに放浪しているが、自身の信念に基づいて行動し、気に入らない相手であれば、たとえそれが政府であっても立ち向かう。その身体能力は、ミサイルの噴射熱に耐え、真空の宇宙空間でも生身で行動し、手刀でマシンガンの弾丸を弾き飛ばせるなど常軌を逸したもので、不死身ともいえる生命力の持ち主。 口癖は、「いんだよ、細けぇ事は」。
雪藤 洋士 (ゆきとう ようじ)
ザ・松田のファンを自称する男性。日本全国至るところで彼を追いかけている。ザ・松田と同様に日本中を放浪しており、建設現場での作業から自衛隊イージス艦の清掃係まで、さまざまなアルバイトをこなして生活している。平松伸二の別作品『ブラック・エンジェルズ』の主人公。
木場 優子 (きば ゆうこ)
日本の元総理大臣、板垣重政の私設ボディガードを務めている。普段は女性の姿をしているが、実際の性別は男性で、日本国内外を問わず、板垣の指令で要人警護から暗殺までこなす存在「牙」として活動している。ザ・松田の持つ超人的な身体能力に驚愕しつつ、その能力に対して嫉妬とも劣等感ともとれない不思議な感情を抱く。平松伸二の別作品『マーダーライセンス牙』の主人公。
板垣 重政 (いたがき しげまさ)
かつて日本で総理大臣を務めていた政治家の男性。日本という国とその国民を心から愛し、国難に立ち向かう強い心を持った清廉潔白な人物。現在は総理大臣の任期を満了して一線を退いているが、政府内外を問わず強い影響力を持っている。ザ・松田とも面識があり、ザ・松田を日本の最終兵器と考えつつも、自分の手元に従わせられない危険人物という認識も持っている。
東堂 俊介 (とうどう しゅんすけ)
板垣重政のもとで木場優子と共に活動する男性。板垣から全幅の信頼を寄せられる腹心であり、東堂俊介自身も板垣に対して絶対の忠誠を誓っている。日本の行く末を案じており、アメリカから勲章を授与されるほどの能力を持つザ・松田に対しても、手放しで評価できない気持ちを抱いている。
阿部川 (あべかわ)
日本の現職総理大臣を務める男性。高い支持率を誇っている。同盟国であるアメリカに対しては表面上は従っているものの、内心ではその傲慢さに嫌気がさしている。何物にも属さず、自身の信念に沿って行動するザ・松田の超人的な能力に目をつけ、日本の国益のために利用しようと思いつく。
ベラク・オマバ (べらくおまば)
アメリカ合衆国第44代大統領を務める男性。N国から発射された大陸間弾道ミサイルを身一つで迎撃したザ・松田に対して勲章を授与する。軍事行為そのものに対しては懐疑的だが、「世界の警察」としてのアメリカの立場を考えて、やむなく行使している。しかし、ザ・松田の持つ超人的な能力に憧れている。
ハルク・モンスーン (はるくもんすーん)
アメリカ海兵隊に所属する男性。階級は中佐。アメリカ海兵隊の中では最強の腕力を誇り、周囲からは「超人ハルク」と呼ばれている。自分と同じ「超人」の通り名を持つザ・松田をライバル視し、どちらが真の超人か雌雄を決するために戦いを挑む。しかし、ザ・松田に指一本でK.O.されてしまう。
スカーレット・マンロー (すかーれっとまんろー)
アメリカ陸軍に所属する女性。階級は少佐。ハルク・モンスーンのガールフレンドで、自身でも格闘技を嗜んでおり、男性に対しては「最強である事」を要求する。ハルクを一蹴したザ・松田に近づき、ザ・松田の遺伝子を手に入れようと暗躍する。
ダニー・トラボルタ (だにーとらぼるた)
アメリカの軍需産業「ジャスティスウェポン社」のCEOを務める男性。「釣り」と称して野良犬を餌に巨大なサメを釣り上げ、さらにそのサメを機関銃で撃ち殺すという残忍な性格の持ち主。ザ・松田によって海に叩き落された事を恨み、アメリカ副大統領のジャック・バウデンを巻き込んで、殺人ロボットを使った復讐を企てる。
ジャック・バウデン (じゃっくばうでん)
アメリカ合衆国副大統領を務める男性。軍需産業「ジャスティスウェポン社」のCEOであるダニー・トラボルタと結託し、現職の大統領であるベラク・オマバを追い落そうと画策する。ダニーの開発した殺人ロボットを、ホワイトハウスに送り込んでオマバ殺害を目論むが、その場に居合わせたザ・松田に阻止される。
ダレスン・ヒドラー (だれすんひどらー)
CIAの長官を務める男性。ザ・松田の身体能力に目をつけ、彼のクローン兵士を製造しようと、捕獲作戦を実行する。ザ・松田を捕獲するために戦車部隊を派遣するなど大掛かりな作戦を展開するが、超人的なザ・松田の身体能力の前に敗北を喫する。
超 金雲 (ちょう きんうん)
アジアにあるN国を統治する首領。アメリカから食料提供と経済協力をとりつけるため、大陸間弾道ミサイルを開発し、交渉と称してアメリカを脅迫する。発射したミサイルをザ・松田によって迎撃されたため、軍艦に乗ってザ・松田を追跡するが、軍艦ごとザ・松田に沈められてしまう。
宇宙人 (うちゅうじん)
アメリカのネバダ州にあるエリア51に潜む地球外知的生命体。エリア51内部でさまざまな研究を行っているが、普段は幼い少女の姿に擬態して周辺のスナックで働いている。地球人の生命力に興味を示し、誘拐した地球人と交配して怪物を生み出した。しかし、制御する事ができず、ザ・松田に駆除を要請する。
場所
N国 (えぬこく)
極東アジアの一角にある国で、超金雲が首領として統治している。ミサイルをはじめとするさまざまな兵器で武装した軍事国家。アメリカをはじめ諸外国への挑発行為を繰り返したため経済封鎖されており、国民はつねに飢餓の状態が続いている。
エリア51 (えりあごじゅういち)
アメリカのネバダ州にある極秘軍事施設。1960年代に宇宙から飛来したUFOが、ここに墜落した。それ以来、長年にわたりアメリカ軍によって地球外の技術に関する研究が進められてきた。宇宙人もその施設内で研究する事が許容されており、誘拐した地球人に対するさまざまな研究が行われている。
その他キーワード
牙指令 (きばしれい)
板垣重政が木場優子に下す指令。法律で裁けない巨悪の粛清を命じるもの。板垣は、ザ・松田の持つ超人的な身体能力が日本に及ぼす影響を不安視し、最悪の場合は牙指令をもって彼を暗殺する事も視野に入れている。