概要・あらすじ
移住先として開発された火星では、いつしか超能力者が数多く生まれるようになっていた。超能力者を使って、地球政府に圧力をかけ始めた火星政府に対抗すべく、評議会は地球人の超能力者V-7ことディック・牧に、火星の超能力者と戦うことを命じる。一度は断ったディック・牧だが、敵の襲撃を受け、否応なく戦いに巻き込まれていく。
戦いの不毛さを感じたディック・牧は、事件の黒幕たる実力者に談判すべく、火星に赴く。しかし、火星には恐るべき陰謀が渦巻いていた。
登場人物・キャラクター
ディック・牧 (でぃっくまき)
黒髪で凛々しい顔立ちの青年。「V-7」の登録ナンバーを持つ地球人。姉が一人いる。超能力者であることを隠して暮らしていたが、火星と地球の対立に巻き込まれ、火星から送られてきた超能力者の秘密工作員と戦うことを余儀なくされる。通常、超能力者は一つの能力のみを持つとされてきたが、ディック・牧は例外的に複数の超能力を使うことができる。 彼が使うことができる超能力は、発火能力、テレパシー(精神感応力)、変身能力、フライング能力、エネルギー衝撃波、操虫能力、透視能力などである。催眠能力は持っていない。
ブレランド
火星に住むディック・牧の親友で、彼と共に火星の超能力者と戦うことになる。ディック・牧同様、複数の超能力を使うことができる。頭髪の薄い、丸顔の人物。体型もやや太めである。彼が使うことができる超能力は、催眠能力、冷凍能力、熱放射能力、透視能力、テレパシー(精神感応能力)、エネルギー衝撃波などである。
ディック・牧の姉 (でぃっくまきのあね)
主人公ディック・牧の姉で、たった一人の家族。テレパシー能力を持つことが判明しているが、その他の能力に関しては定かでない。子供の頃、弟と共に航空機の墜落事故に巻き込まれたが、超能力者のふたりだけが助かった。この事故によって、ふたりが超能力者である事を秘密警察は知り、監視を続けていた。
秘密警察長官 (ひみつけいさつちょうかん)
ディック・牧に火星の超能力者と戦うよう具体的な指示を出した人物。ディック・牧の火星行きロケットの座席の手配も彼が指示した。後、評議会によって超能力者を隔離する法案が通った際には、法を守る番人として、超能力者たちの逮捕を執行した。
デミル
火星から破壊工作員として地球に送り込まれた超能力者たちのリーダー。支部長と呼ばれる。虫を自在に操る超能力を持つ。
フランク
火星から破壊工作員として地球に送り込まれた超能力者たちの1人。電撃能力を持ち、細長いムチを相手にからめて電撃を放つ攻撃を得意としている。
ガトリック
火星から破壊工作員として地球に送り込まれた超能力者たちの1人。テレパシストで自在に人の心を読むことができる。支部長デミルの右腕的存在。
カシム
火星の超能力者による地球破壊工作の指揮者。支部長デミルに指示を与える立場にある火星政界の実力者である。一連の陰謀の黒幕たる大富豪ハワード・クロームの命を受けて動いている。
ハワード・クローム
火星一の富豪。あらゆる事業に手を出し成功している実力者。火星の超能力者を工作員として地球に送り込んだ黒幕でもある。ディック・牧を倒すため、カナーリの牢獄に収監されている超能力者を使うよう、カシムに指示したのも彼である。当初は正体が伏せられ、謎の黒幕として、カシムたちから「X氏」と匿名で呼ばれていた。 実は地球の秘密警察長官ともつながりがあり、超能力者を排斥することを企んでいる。
マウスキッド
カナーリの牢獄に収監されていた、火星の超能力犯罪者。減刑を条件にディック・牧の刺客を引き受けた。強力な念動力の持ち主で、かつてはこの力を使って強盗を働いていた。しかし、催眠ガスによって眠らされ、逮捕された。砂漠でブレランドと対決し、その催眠能力で翻弄されたあげく、エネルギー衝撃波を喰らって絶命した。 名前は、江戸時代の伝説の泥棒ねずみ小僧に由来するものと思われる。
ゴラム
カナーリの牢獄に収監されていた、火星の超能力犯罪者。減刑を条件にディック・牧と戦うことを承諾した。髪を長く伸ばし、自在に操って敵を倒す力を持つ。火星のオアシスの池にディック・牧を引きずり込み、追いつめたが、ブレランドが池を凍らせたことで敗れてしまう。 その後、街中でもう一度ディック・牧と対決するが、大型トラックにはねられて死亡する。
ニクロムスキー
カナーリの牢獄に収監されていた、火星の超能力犯罪者。マグネット・パワーで敵を攻撃する超能力者。減刑を条件にディック・牧と戦うことを承諾した。粗暴な性格で、空港でぶつかった一般人を、事故を装って車もろとも爆殺した。カナーリの牢獄が建つ砂漠でディック・牧と戦ったが、脱走者狩り用に配備された自動追尾型の小型爆弾の爆発に巻き込まれて死亡する。
ギャロップ
カナーリの牢獄に収監されていた、火星の超能力犯罪者。幻覚を見せる超能力でディック・牧と対決する。一旦はディック・牧を追いつめたものの、ブレランドがまいた催眠ガスを吸ってしまい、好機を逃してしまう。その後、ガスの影響で動きが鈍ったところをブレランドに狙われ、エネルギー衝撃波の一撃を受け死亡する。
ジャンセン
カナーリの牢獄に収監されていた、火星の超能力犯罪者。顔の筋肉を自在に変化させて他人に化けることのできる超能力者。陰謀の黒幕ハワード・クロムに成りすまし、ディック・牧を待ちかまえていたが、カシムの裏切りにあって射殺されてしまう。
場所
カナーリの牢獄 (かなーりのろうごく)
『地球ナンバーV7』に登場する牢獄。火星の砂漠に建設された巨悪犯罪者、特殊犯罪者専用の牢獄。カナーリの牢獄の地下深くには、特殊犯罪者のための特殊独房があり、ここには最悪、最強の超能力犯罪者が収監されている。火星政府は、減刑を条件に、彼ら超能力犯罪者にディック・牧を倒すことを命じる。