地雷震 Diablo

地雷震 Diablo

国家から見捨てられた人々の起こした事件を巡る、新宿署の元刑事、飯田響也の活躍を描いたハードボイルド作品。前作『地雷震』の続編に当たる。

正式名称
地雷震 Diablo
ふりがな
じらいしん でぃあぶろ
作者
ジャンル
裏社会・アングラ
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概要・あらすじ

2007年秋、日本海の小島、天座島で、ほとんどの島民が焼死体で発見されるという事件が起こった。天座島の出身者であり、石川県警の刑事、木暮太一は、事件後行方不明になった姪の市川玲奈を探し続けていた。2008年12月、木暮はかつて新宿署の刑事だった飯田響也に接触し、協力を求める。一方、天座島事件の実行犯である北朝鮮の特殊工作員、朴太炫は、生き残りの島民を連れて北朝鮮を脱出し、銀座で日本と北朝鮮両国の要人を殺害する事件を起こす。

その後、朴と天座島の生き残りたちは、天座島事件の真相を巡って日本政府を告発する動画をネットに投稿、そして玲奈を女王としてバローマ王国の建国を宣言する。木暮は一人でバローマ王国と交渉しようとするが、日本の公安部による襲撃を受け、玲奈は捕獲されてしまう。

朴と木暮は協力して玲奈を救出しようとするが、同時に飯田も玲奈の救出に向けて行動を開始する。

登場人物・キャラクター

飯田 響也 (いいだ きょうや)

クールな性格で、感情をほとんど表に出さない男。喫煙者。年齢不詳で、外見的には前作『地雷震』の時期からほぼ変化がない。強靭な精神と優れた洞察力を持ち、目的のためなら手段を選ばない冷徹さも兼ね備えている。常人とはかけ離れた倫理観を持ち、ときには犯罪者を射殺することもためらわないため、他人からは「まるで悪魔のよう」と評されることが多い。 かつて新宿署の刑事だったが、円錐角膜という眼病を患って失明し、現在は辞職している。木暮太一から依頼され、眼球の移植手術を受けて市川玲奈の救出に協力するようになる。

木暮 太一 (こぐれ たいち)

石川県警の刑事。眼鏡をかけた男性で、妻と私立小学校への入学を控えた息子がいる。天座島の出身者であり、島民不審死事件の後に失踪した姪の市川玲奈を独自に捜査している。捜査中に、ある記者から飯田響也の名前を聞き、協力を求めて自分の左目を飯田に移植する。

朴 太炫 (ぱく てひょん)

天座島の小学校に用務員として雇われていた大柄な男性。正体は北朝鮮統一作戦部に所属する軍人。天座島事件の実行犯だが、日本政府から見捨てられた島民に共感するようになり、生き残りを連れて北朝鮮に脱出する。しかし、国益のために人間を犠牲にする北朝鮮政府に対しても反感を抱くようになり、島民の生き残りと自分の部下を連れ、バローマ王国の建国を宣言する。

市川 玲奈 (いちかわ れな)

木暮太一の姪にあたる10歳の少女。天座島事件の生き残りの一人。生き残りの島民たちとともに、バローマ王国の建国宣言を行い、女王となるが、天座島沖で公安部の襲撃を受け、神奈川県丹沢にある公安施設に軟禁される。異常な状況に置かれ続けていることで、年齢不相応に落ち着いた性格。

小池 彩 (こいけ あや)

独自の情報網と莫大な資産を持つ20代の女性。前作『地雷震』にも登場。子供の頃から高い知能を持ち、大人に犯罪行為をさせてゲームのように楽しんでいたが、その事件をきっかけに飯田響也や中原と知り合う。失明して刑事を引退した飯田を支えており、飯田と接点を持つための数少ないの窓口役になっている。

市川 泰造 (いちかわ たいぞう)

天座島の警察官で、市川玲奈の父親。木暮太一の義理の弟にあたる。天座島でパンデミック事件があった後、朴太炫に連れられて玲奈とともに北朝鮮に亡命する。その後、自分たちの生き残りをかけて北朝鮮を脱出し、バローマ王国の建国宣言を行う。警察官らしく真面目な性格だったが、国家から見放された極限状態で玲奈が生き残るために、朴との結婚を認める。 建国宣言の後、天座島沖で公安部に射殺される。

井坂 タケル (いさか たける)

天座島の医師。髭の濃い男性。天座島でパンデミックが発生した後、朴太炫、市川泰造、市川玲奈と共に北朝鮮に亡命する。その後、北朝鮮を脱出してバローマ王国の建国宣言を行うが、天座島沖で公安部に射殺される。

中原 (なかはら)

中年の男性医師。警察病院に勤務していた経験があり、飯田響也とは顔なじみの仲。刑事を辞めた後の飯田ともつながりがあり、木暮太一の眼球を飯田に移植する手術を執刀する。前作『地雷震』にも登場した人物で、現在の職業などは不明だが、飯田とは異なりかなり老け込んでいる。

相沢 絵里子 (あいざわ えりこ)

前作『地雷震』で新宿署の刑事だった女性。飯田響也の元パートナーで、互いに信頼は厚い。現在は鎌倉に在住しており、職業などは不明。飯田から市川玲奈の母親代わりになることを頼まれる。飯田のことを「相変わらず悪魔のよう」と冗談めかして評する。

金平 (かねひら)

一連の事件を記事にするため、木暮太一に協力している記者の男。飯田響也のことを木暮に教える。飯田と面識はなかったが、その後も木暮太一の家族をマスコミからかくまったり、公安警察との交渉を補佐するなど飯田たちに協力する。

木暮 祐希 (こぐれ ゆうき)

木暮太一のひとり息子。しっかりした性格で、私立小学校の入学を控えていたが、いとこの市川玲奈の問題で入学取り消しを余儀なくされる。玲奈とともにバローマ王国のモチーフとなった劇「バローマの勇者」を執筆していた。

柏崎 (かしわざき)

神奈川県丹沢にある公安施設の責任者。任務のためなら部下が犠牲になることもいとわない冷酷な男。捕獲した市川玲奈を殺害しようとするが、朴太炫とその部下たちによる襲撃を受け、混乱の中で飯田響也に射殺される。

場所

天座島 (あまくらじま)

石川県沖にある小島。2007年秋、島民78人が焼死するという事件が発生して立ち入り禁止になっている。事件の真相は、北朝鮮で発生した新種のインフルエンザウイルスのワクチンを日本に作らせるため、北朝鮮工作員の朴太炫が天座島にウイルスを散布したというもの。しかし、パンデミックを恐れた政府は島を封鎖し、事件には箝口令をしいている。

バローマ王国 (ばろーまおうこく)

天座島の生き残りと朴太炫、及び朴の部下たちによって建国された国家。北朝鮮の工作部隊が所持していた潜水艦や銃火器などを所持している。市川玲奈と木暮祐希が執筆し、学習塾の合宿で演じた劇「バローマの勇者」がモチーフになっている。

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