概要・あらすじ
大野会心は、明日から高校生の15歳。風に飛ばされてしまうほどの痩せっぽちで、中学時代はスクールカーストの最底辺にいた。太れない体質に悩み、不安なまま迎えた高校入学初日、式より随分早く着いてしまった会心は、屋上で小説を執筆する事にした。会心は投稿サイトに推理モノをアップしており、たった一人だが読者を持っていた。さっそくスマホを取り出すが電池切れ。仕方なく、リュックからネタ帳を取り出し、下書きをする事に。そんな事をしている間に、いつの間にか寝てしまった会心。気がつくと夕方で、屋上の扉の鍵は閉まっていた。スマホも使えず、助けも呼べずに困り果てる会心。別棟の扉が開いているのを見つけた会心は、一か八か、校舎の細い足場を使って、壁を渡っていく事に。慎重に進む会心だったが、足を滑らせて落下。もはやこれまでかと思われたが、地面にはマットが敷いてあった。校舎の壁がボルダリングの練習場になっており、ちょうど少女がそこで練習していたのだ。彼女の名は夏目登姫。学校から金メダリストを出すという野望を持つ校長が獲得した、天才ボルダリング少女だった。会心の痩せた体を見た登姫は、クライマーとして羨ましいという。さらに、会心はボルダリングに向いていると断言する。自分の体を初めて褒められた会心は、登姫の言葉をきっかけに、ボルダリングを始める。くすぶり続けた15年、自分を超えて、腐った日常から抜け出すために、会心は壁を登り始めた。