夏の終点

夏の終点

西尾拓也の初連載作で、中学生の初恋がテーマ。現代日本を舞台に、夏川ナツの中学生時代から続く切ない恋愛模様や学校生活を、静謐なタッチで描く青春ラブストーリー。集英社「少年ジャンプ+」で2023年51号(11月21日)から2024年27号(6月4日)まで短期集中連載。宝島社「このマンガがすごい!2025」オンナ編第46位を獲得している。

正式名称
夏の終点
ふりがな
なつのしゅうてん
作者
ジャンル
片思い
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
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中学生の初恋を描く青春ラブストーリー

海辺の田舎町を舞台に、夏川ナツが同級生の相川翔に抱く恋心を描いた青春ラブストーリー。おとなしく控えめなナツは、いつの間にか翔の姿を追うようになっていた。そんな中、電車でいつも同じ席に座っていると翔と乗り合わせるようになり、ナツは彼との何げない会話を通じて、自分の恋心に気づくようになる。初恋やさまざまな人々との交流を通して、ナツの日常は徐々に淡い色合いを帯びていく。移りゆく季節の風景や豊かな自然が描写され、それらはモノローグによって表現されている。本作は、美しく静謐なタッチで、登場人物たちの温かく繊細な心理を丁寧に描き出している。

義姉との交流と翔への思い

休日に友人と植物園を訪れたナツは、偶然にも翔が見知らぬ女性といっしょに歩いているのを目撃する。後日、ナツが翔にその女性について尋ねると、彼女は翔の母親の再婚相手の連れ子で、義理の姉にあたる菫だと教えられる。その後、公園で直接会った菫は初対面のナツに優しく接し、メイクを教えて口紅をプレゼントする。これを機に、翔から菫の話をよく聞くようになったナツは、次第に彼が菫に特別な感情を抱いていることに気づく。

10年越しに再会を果たす

夏祭りに行きたいナツは、翔に対する抑えきれない恋心から、思い切って彼を誘うことを決意する。しかし、翔は多忙を理由に誘いを断り、さらに家庭の事情で近々転校することが明らかになる。ナツは結局、翔に自分の気持ちを伝えられないまま離れ離れになり、10年の歳月が流れる。上京して就職したナツだったが、仕事がうまくいかず、職場でも孤立し、心身共に疲弊していた。そんな中、しばらく地元に帰ることになったナツは、偶然にも翔と再会する。翔もまた、ナツと似たような理由でこの町に戻ってきていたのだ。再会を喜ぶナツは、昔二人で見た海に行こうと翔を誘う。成長した二人の旅路と、10年越しに動き出す恋の行方が、本作の大きな見どころとなっている。

登場人物・キャラクター

夏川 ナツ (なつかわ なつ)

地方都市の田舎町に住む女子中学生で、相川翔の同級生。黒髪をショートヘアにしている。おとなしい性格で、感情表現はあまり豊かではない。美化委員を務めており、休日にも花壇の花に水をやりに来ている。私服はあまり持っておらず、休日も制服を着て過ごすことが多い。電車でよくいっしょになる翔に淡い恋心を抱いている。翔がゲームをしている姿を羨ましく見ていたところ、彼からゲーム機をもらい、彼と離れたあとも大切にしている。

相川 翔 (あいかわ しょう)

地方都市の田舎町に住む男子中学生で、夏川ナツの同級生。無造作に跳ねたボサボサの髪をショートヘアにしている。父親が亡くなって以来、再婚を繰り返す母親に心底うんざりしており、引っ越しや転校が多い生活を送っている。母親の再婚によって義姉弟関係となった菫に対して、ひそかに思いを寄せている。電車の中ではよく携帯ゲームで遊んでおり、いつも羨ましそうに見ているナツに、もう一台持っていたゲーム機をプレゼントした。しかし、その後母親の都合で転校することになり、ナツや菫と離れざるを得なくなってしまう。

書誌情報

夏の終点 上 集英社〈ジャンプコミックス〉

(2024-03-04発行、978-4088840093)

夏の終点 下 集英社〈ジャンプコミックス〉

(2024-07-04発行、978-4088840598)

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