高梨タケルが主人公の外伝
本作は『妻、小学生になる。』の連載終了後に発表されたスピンオフ作品である。白石万理華にひそかに思いを寄せる高梨タケルを主人公に、彼の視点から小学校生活や恋愛模様が描かれている。コミックスの巻末には、新島圭介と娘・麻衣のその後を描いた心温まるエピソードも収録されており、原作の後日談を楽しむことができる。原作『妻、小学生になる。』は、圭介の亡き妻である貴恵が小学生の万理華として生まれ変わり、家族との絆を再び紡いでいく物語。夫婦愛や家族愛をテーマにした感動的なドラマで、実写ドラマやアニメなど、さまざまなメディア展開がされた。
同窓会で蘇る小学生時代の記憶
高校生になったタケルは、同窓会で小学校のクラスメートだった万理華と再会する。成長した万理華を見た瞬間、封印していた過去の記憶が鮮やかに蘇り、胸が高鳴る。それは、小学生時代にタケルが万理華にひそかに恋心を抱いていた頃の思い出だった。小学4年生の頃、万理華はおとなしく目立たない存在だったが、始業式を境にまるで人が変わったかのように、大人びた雰囲気と凛とした佇まいを身にまとうようになる。その変化に戸惑いながらも、タケルは初めての恋心を自覚し、万理華に積極的にアプローチをかけ始める。
淡い恋心と突然の記憶喪失
万理華が変わったのは、前世、すなわち若くして事故死した貴恵の記憶を取り戻したことに起因していた。その事実を知らないタケルは、万理華の内面がアラフォーの人妻であることに気づかず、恋心を募らせていく。勢いに任せて告白するも、一度は振られてしまうタケルだが、万理華の複雑な家庭事情を知るにつれ、彼女を支えようと強く願うようになる。その後、夏休みのキャンプや学校行事を通じて、二人の距離は徐々に縮まっていく。しかし、5年生に進級したある日、万理華は突然の記憶喪失に見舞われ、タケルとの大切な思い出をすべて失ってしまう。
登場人物・キャラクター
高梨 タケル (たかなし たける)
富井小学校に通う4年生の男子で、白石万理華のクラスメート。両親と、年の離れた姉がいる。幼稚園から万理華といっしょに過ごしており、彼女に対してはおとなしく目立たない印象を持っていた。勉強は苦手だが、サッカークラブのエースとして活躍しているため、学校では人気者で女子からもモテる。しかし、同年代の騒がしい女の子よりも、落ち着いた大人の女性にあこがれを抱いている。そんな中、以前とは別人のように大人びた雰囲気と優しさを見せる万理華に、心を奪われていく。将来の夢は、プロのサッカー選手になること。
白石 万理華 (しらいし まりか)
富井小学校に通う4年生の女子で、高梨タケルのクラスメート。茶髪のロングヘアを無造作にワンサイドアップにしている。ふだんはおとなしく目立たない存在だが、ある日を境に大人びた表情や儚げな雰囲気を漂わせるようになる。両親は離婚しており、母親からは虐待やネグレクトを受けるなど、家庭環境には複雑な問題を抱えている。実は、前世である新島貴恵としての記憶を取り戻しており、その影響で性格が急変してしまう。
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