裏切りは僕の名前を知っている

裏切りは僕の名前を知っている

神の光を持つとされる少年・祇王夕月と、彼を守る集団「戒めの手」。悪魔と人間の戦いに決着をつけるべく奮闘する彼らの戦いを描いたダークアクションファンタジー。「ASUKA」2005年11月号から2012年11月号まで掲載された作品で、現在は未完結のまま休載となっている。

正式名称
裏切りは僕の名前を知っている
ふりがな
うらぎりはぼくのなまえをしっている
作者
ジャンル
ダークファンタジー
レーベル
あすかコミックスDX(KADOKAWA)
巻数
既刊10巻
関連商品
Amazon 楽天

世界観

物語の舞台となる人間界は、一見平和だが、裏では悪魔と人間が対立し、戦っている。悪魔召喚士がいることによって、悪魔界インフェルヌスと人間界との境目が曖昧になりつつあり、悪魔が人間に乗り移るなどの弊害が起きている。

あらすじ

孤児院「朝陽院」で暮らしていた桜井夕月は、ある日祇王天白から、自分が祇王家に連なる祇王夕月という人物であり、「神の光」という力を持つ能力者であることを知らされる。その日から、夕月は「神の光」の能力者として、悪魔と人間の戦いに否応なく巻き込まれていくこととなる。祇王家の能力者集団「戒めの手」と、夕月の前世に関わりを持つルカ=クロスゼリアと呼ばれる上級悪魔の助けを借り、祇王家の思惑に振り回されながらも、夕月は悪魔との戦いに身を投じる。

メディアミックス

TVアニメ

TVアニメ化され、2010年の4月から9月にかけて放送された。監督は桜美かつし、シリーズ構成を高橋ナツコが担当している。アニメーション制作をJ.C.STAFFが手がけている。キャストは祇王夕月役が保志総一朗、ルカ=クロスゼリア役が櫻井孝宏となっている。

TVゲーム

プレイステーション2用ゲームソフトとして、2010年に「裏切りは僕の名前を知っている -黄昏に堕ちた祈り-」が発売されている。原作者である小田切ほたるの完全監修のもと、ゲームオリジナルストーリーを楽しむことができる。「戒めの手」の好きなキャラクターとパーティーを組むことができるところが特徴。また、好感度の設定もあり、好感度の高さによって特殊なイベントやエンディングを迎えることも可能。

舞台

2011年から2012年までに3度、原作者の小田切ほたるの書き下ろしシナリオで舞台化された。3度目の舞台で使われたシナリオは、シナリオ集として発売されている。キャストは祇王夕月役が大河元気、ルカ=クロスゼリア役が汐崎アイルとなっている。

登場人物・キャラクター

祗王 夕月 (ぎおう ゆき)

祇王家に生まれてすぐ、孤児院「朝陽院」に引き取られた少年。孤児院では「桜井夕月」と名乗っていた。「神の光」という能力を持つ人間であることが発覚したため、祇王天白によって祇王家に連れ戻された。聖護盾など治癒・防御系能力に秀でる。黄昏館に来てからは、泉摩利学園に通っている。誰にでも優しく、特に自分を守って傷つく立場の「戒めの手」に対しては、温かな気持ちで接することが多い。 ルカ=クロスゼリアに対しては最初は恐怖心もあったが、彼の人柄を知るうちに、ずっと一緒にいてほしいと願っている自分に、気づいていく。

ユキ

祇王夕月の前世の姿。本来は「夕月姫」と言う名だが、周囲には「ユキ」と呼ばれていた。たおやかな美人だが、一方で軟禁状態にあった黄昏館から何度も抜け出すなど行動的な一面も持つ。夢を介して夕月に自分のことを伝えようとする。

ルカ=クロスゼリア (るかくろすぜりあ)

強大な魔力を有する上級悪魔。祇王夕月を守るために祇王一族と協力関係にある。通り名は「ゼス」で、夕月も当初はそう呼んでいたが、のちに本名を教えてからは、「ルカ」と呼ばれるようになる。本当はとても長い名前だが、伝えやすさを重視して「ルカ=クロスゼリア」と名乗っている。無愛想であまり人と関わろうとしないが、夕月に関してだけは態度が一変する。 罪深き一族であり、そのため左腕に魔王の血の十字架を持つ。夕月とは主従契約を結んでおり、夕月を「マスター」と呼ぶこともある。魔剣「ROXASS」を武器に戦うが、純粋に魔力を放出して攻撃したり、ソドムを召喚し戦わせるなど、多彩な戦闘スタイルを持つ。

ソドム

ルカ=クロスゼリアの眷属の獣王。戦闘時はドラゴンの姿をしているが、小型化し可愛らしいマスコットのような姿になることもできる。人間の形になることも可能で、祇王夕月ともよく行動を共にしている。

叢雨 十湖 (むらくも とおこ)

叢雨九十九の姉にして、パートナー。泉摩利学園に通う女子高校生。攻撃専門の「戒めの手」として活動している。「聞き識る者」と呼ばれ、「神の耳」の能力を有する。弟と祇王夕月を非常に大切に想っている。九十九とはいつも姉弟として転生するため、転生前も含め、九十九と一度も結婚できていないことを悔しく思う一面もある。 また、前世ではユキと一緒にお風呂に入るほど仲が良かった。性別は違えど、今世でも夕月と同じように仲良くしていきたいと思っている。

叢雨 九十九 (むらくも つくも)

叢雨十湖の弟にして、パートナー。泉摩利学園に通う男子高校生。結界などを扱って後方支援を担当する「戒めの手」。「聞き識る者」と呼ばれ、「神の耳」の能力を有する。「神の耳」の能力は十湖より強く、動物の声や人の心の声まで聞くことができる。無表情なことが多く、のんびりした雰囲気の持ち主。姉を溺愛し一緒に寝ることも多く、他の「戒めの手」にその姿を見つかっては驚かれている。

蓮城 焔椎真 (れんじょう ほつま)

碓氷愁生の幼なじみで、パートナーの少年。泉摩利学園に通う男子高校生。攻撃専門の「戒めの手」。別名「焼き焦がす者」と呼ばれ、「神の声」の能力を有する。野性的なところがあり、愁生をはじめ、気を許した人間にしかリラックスした表情は見せない。祇王夕月に対しても最初は警戒していたものの、徐々に心を許し、彼を守ることを誓う。

碓氷 愁生 (うすい しゅうせい)

蓮城焔椎真の幼なじみで、パートナーの少年。泉摩利学園に通う男子高校生。保守専門の「戒めの手」で、あまり攻撃は得意ではない。別名「見通す者」と呼ばれ、「神の目」の能力を有する。学年トップの成績を誇るわりに物腰が柔らかく、学園内で人気が高い。愛情のない家庭で育ったため、兄弟同然の焔椎真のことをとても大事に思っている。 前世では女性で、焔椎真と結婚していた。

蓬莱 黒刀 (ほうらい くろと)

史上最年少でプロ棋士となった少年。女性にも見えるほどの美貌を有する。今はプロ棋士を辞めて「戒めの手」としての活動に注力しており、祇王夕月とたまに将棋を指すのを楽しみにしている。別名「疾き者」と呼ばれ、「神の足」の能力を有する。泉摩利学園に通う男子高校生で、降織千紫郎のパートナーとして活動している。 カデンツァを非常に憎んでいる。かつては単独行動が目立ったが、千紫郎と組むようになってからは、単独行動を控えるようになった。

降織 千紫郎 (ふるおり せんしろう)

挿絵描きのアルバイトをしている大学生の青年で、蓬莱黒刀のパートナー。伽藍師匠を祖父に持ち、幼少時から黒刀と共に暮らしていた。世話好きで黒刀の世話をすることを生きがいとしている。転生している他の「戒めの手」と違い、「神の耳」などの能力を持たない。しかし、非常に厳しい鍛錬と、パートナーである黒刀とのシンクロを高めることによって、晴れて「戒めの手」として活動できるようになった。 伽藍師匠を殺されて、黒刀の前世でのパートナーを殺したカデンツァを憎んでいる。

乙撫 リア (おとな りあ)

魔道書回収のために海外に派遣されていた「戒めの手」の1人。神命斎悧のパートナーで、元女子高校生アイドル。泉摩利学園に通っている。今時の女子高校生らしくテンションが高く、笑顔で部活に参加するなど学校行事を楽しんでいる。斎悧が使命感以上に祇王夕月を意識していることを感じており、斎悧を自分のもとへと引き寄せようと必死。 特に、斎悧と前世からのペアでなかったことを気にしている。

神命 斎悧 (しんめい さいり)

魔道書回収のために海外に派遣されていた「戒めの手」の1人。乙撫リアのパートナーで、人気俳優としての顔も持つ男性。日本に帰ってきてからも芸能活動は続けている。特殊能力「邪眼」を持つ。「戒めの手」になったのは黄泉の落日の次の戦いからとまだ日が浅く、これまでは1人で活動していた。リアとペアを組むことになったのは今世からなので、彼女との付き合い方を慎重に探っている。

祗王 天白 (ぎおう たかしろ)

祇王一族の総帥で、預言者の男性。表舞台で生活する時には眼鏡をかける。黄泉の落日の日からずっと生きており、記憶も維持し続けている唯一の人物。魔道書「ソロモンの鍵」の所有者で、祇王一族のなかでも特に有力な悪魔召喚士。冷酷に見えるが、それは祗王泠呀に対抗するために、自分の心をあえて押し殺しているため。

祗王 橘 (ぎおう たちばな)

黄昏館の館長を務める男性。帽子がトレードマークで、時折違う帽子に変えている。しかし、決して人前で脱ぐことはなく、「自分が人間ではないため、帽子がとれない」と嘯(うそぶ)く。明るくひょうきんで、周囲を笑顔にすることが得意。

藤原 彌涼 (ふじわら いすず)

祇王一族の主治医を務める男性。黄昏館の医務室に勤務している。あまり自分の見た目に気を使わず、白衣と無精ひげでいることが多い。職務上、悪魔との戦いで負った傷への有効な治療法や、悪魔との戦いに巻き込まれた人の記憶を消す方法を探っている。

式部 椿姫 (しきべ つばき)

祇王夕月を産んだ観月の妹。降織千紫郎とは親が決めた許嫁だったが、千紫郎が「戒めの手」になることを決意した時に、婚約を解消した。姉の観月とは10歳差だったこともあり、夕月のことを兄弟のように可愛がっている。

呉羽 冬解 (くれは ふゆとき)

鎌倉にある祇王本邸で執事を務める男性で、呉羽綾の兄。優秀な執事で、祇王天白の求めに応じてバーテンダーとして酒を振舞うこともある。幼い頃から天白に忠誠を誓っており、執事として誇りを持って仕事をしている。優れた陰陽師でもあり、その力を活かして天白を助けることもある。

呉羽 綾 (くれは あや)

黄昏館で皆の世話係をしている女性で、呉羽冬解の妹。普段は着物姿で仕事に勤しんでおり、兄と会うことは滅多にない。叢雨十湖とは仲がよく、一緒にお風呂に入ることもある。

遠間 克己 (とおま かつみ)

黄昏館で働くコックの青年。祇王一族の遠縁にあたる。イタリアで修行していたこともあり、かなりの腕前の持ち主。降織千紫郎が黄昏館に来てからは、一緒に食事を作ることもある。祇王橘や藤原彌涼に気に入られており、よく弄ばれている。

神命 正宗 (しんめい まさむね)

悪魔召喚士見習いの少年。祇王の鎌倉の本邸で修行中。4年前に父親がカデンツァを召喚して伽藍師匠を殺したことにより、母親と弟と一緒に追放された。しかし、悪魔召喚士になることを条件に、祇王一族へ戻ることを許された。

神命 迦耶子 (しんめい かやこ)

女手一つで神命正宗とその弟を育ててきた母親。祇王一族を追放された後も一生懸命に2人を育ててきたが、正宗の弟が死んだことにより身体を壊し、病を患っている。そのため祇王夕月の持つ「神の光」の能力を求め、心の拠り所としている。

碓氷 熾束 (うすい しづか)

碓氷愁生の従兄弟。叢雨十湖と叢雨九十九の師匠でもあり、「戒めの手」の指導役として幼い2人を導いていた。愁生に似ているが、皮肉が多く辛辣。生まれるのが数年遅ければ、「戒めの手」の候補者であった。京都に住んでいる。

黎泉 狼 (れいぜい ろう)

碓氷愁生と蓮城焔椎真の師匠。「戒めの手」の指導役として幼い2人を導いていた。野性的な容姿と性格の持ち主で、焔椎真の性格もこの師匠によって培われたもの。神戸出身、京都在住。

伽藍師匠 (がらんししょう)

降織千紫郎の祖父で、蓬莱黒刀の師匠。孤独に過ごしてきた黒刀に、千紫郎と共に愛情を注ぎ、孫同然に育てた。「食事は全員で集まって摂るもの」という信念を持つ。神命正宗の父親が起こした事件により、4年前に亡くなっている。

カデンツァ

祗王泠呀によって召喚された上級悪魔。前世での蓬莱黒刀のパートナーを殺し、今世では伽藍師匠を殺した悪魔の男性。伽藍師匠を殺した時の召喚者は神命正宗の父。カデンツァを召喚したことにより、一家もろとも祇王一族を破門された人である。将軍クラスのSランクの上級悪魔で、人を殺すことを何とも思わず、むしろ楽しんでいる節がある。 古来より、「戒めの手」の仲を引き裂くことを目的として活動してきた。

祗王 泠呀 (ぎおう れいが)

孤児院「朝陽院」で育った男性。高校2年までは祇王夕月と共に育った。当時は「若宮奏多」と名乗っていた。その後独り立ちするも、転生前の祗王泠呀としての記憶がよみがえり、悪魔召喚士として夕月たちの前に立ちはだかる。祇王天白とは転生前からの天敵同士で、必ず倒さなければならない相手として認識している。

集団・組織

戒めの手 (つゔぁいると)

祇王一族のなかでも、特に強力な能力を持つ者の総称。その能力を保持するために、転生を繰り返している。今世においては祇王夕月を守り、悪魔を狩る役割を負っており、原則として2人1組で行動する。普通の人間と比べると、ずば抜けて高い運動能力や治癒能力を持つ。

祗王一族 (ぎおういちぞく)

代々特殊な能力を持つ家系。政界や財界などにも大きな影響力を持つ。現在は祇王天白が一族の総帥の立場に立っており、一族を取りまとめている。祇王夕月や「戒めの手」のメンバーも祇王一族に含まれる。

上級悪魔 (おーぱすと)

悪魔のなかでも、一番高い位に位置する者たちのこと。召喚されることでのみ、人間界に現れる。上級悪魔のなかでもいくつかのクラスがあり、最高ランクのSランクには、将軍クラスと呼ばれる比類なき力を持つ者も存在する。カデンツァやエレジーも上級悪魔。ルカ=クロスゼリアも上級悪魔の1人だが、そのなかでも随一の力を有している。

中級悪魔 (みっどゔぃるん)

ある程度の力を有した者たち。悪魔のなかでも人間の姿をとることができる。召喚されることでのみ、人間界に現れる。人間に似た姿で現れることもある。人に取り憑いて負の感情で支配し、害をもたらす。また、自分が取り憑いた人の体のどこかに、自分の所有物であるという刻印をつける。

下級悪魔 (にーだとれひ)

階級の低い悪魔のこと。獣の姿をしていたり、蛇の姿をしていたりと姿はさまざまだが、人間に似た形はとれないことが多い。特定の条件を満たすと人間界に突然発生することがあり、人間界にいるほとんどの悪魔は下級悪魔。取り憑かれると、人は負の感情で支配され、犯罪を起こすようになる。

罪深き一族 (ぜす)

希少種の悪魔。血族間でのみ婚姻を繰り返すため、血に混じり気がなく、絶大なる魔力と類まれな美貌を持って生まれる、悪魔のサラブレッド。一方で生まれながらに手枷をはめられ支配される罪人であり、家畜扱いされる存在でもある。罪深き一族すべてに魔王の血の十字架と呼ばれる、「XX」の文様が刻まれている。

場所

朝陽院 (あさひいん)

祇王夕月が赤子の頃から暮らしていた養護施設。院長先生の趣味は武道で、夕月や他の子供たちも手ほどきを受けている。祗王泠呀も、かつて「若宮奏多」の名前でここにいたことがある。夕月にとっては若宮奏多との思い出の残る大切な場所。

黄昏館 (たそがれかん)

祇王夕月たちの拠点となる大きな館。「戒めの手」と夕月、ルカ=クロスゼリアが暮らしている。祇王橘をはじめ、何名かの祇王に連なる使用人も住んでおり、夕月たちの身の回りの世話をしている。

インフェルヌス

悪魔たちが住む悪魔界の総称。悪魔たちはここから人間界にやってくる。基本的に下級悪魔は何らかの条件により突発的に、中級悪魔や上級悪魔は召喚されてやってくることが多い。

泉摩利学園 (いずみまりがくえん)

祇王夕月が通っている学園。一見普通の学校だが、守護の女神の加護がある。「戒めの手」たちも通っており、夕月を守るために、同じクラスや近いところにいることが多い。悪魔との戦いがあるため、夕月は学園行事にあまり参加できず、運よく参加できる時には特にはしゃいでいる。

その他キーワード

ROXASS (ろくさす)

ルカ=クロスゼリアの持つ魔剣。ルカの身長の半分ほどの大きさの黒い大剣で、戦う際には虚空から取り出す。他の血族と同じような形の剣だが、ルカのものは赤く染まっており、ユキによって赤く染まった魔王の血の十字架を有していることが分かる。

永久 (えおん)

叢雨十湖の対悪魔武器。普段は姿を消しているが、武器の名を唱えると顕現する。一見すると、十湖の細腕で振り回せるとは思えないほどに大きな大剣。複数の敵を一掃する使い方に特化した武器のため、十湖が敵陣に切り込み、叢雨九十九が遠距離攻撃でサポートする戦い方が、彼女たちの基本的な戦闘スタイルとなっている。

弔いの鐘 (ねる)

叢雨九十九の対悪魔武器。普段は姿を消しているが、武器の名を唱えると顕現する。大きい銃の形をしていて、放たれた弾丸は悪魔を貫く。戦闘時には、九十九がこの武器を用いて、接近戦を挑む叢雨十湖の援護を行う。

神技 (ますたーすとろーく)

蓮城焔椎真の対悪魔武器。普段は姿を消しているが、武器の名を唱えると顕現する。揺らめく炎のような刀身を持つ剣で、敵を燃やしながら斬ることができる。焔椎真の気性とも相まって、複数の敵を一掃する使い方に特化している。

罪と罰 (くらいくろう)

碓氷愁生の対悪魔武器。普段は姿を消しているが、武器の名を唱えると顕現する。刃の部分が透明な双剣。だが、愁生が罪と罰を使う機会はあまりなく、基本的には、魔術を使って前線で戦うパートナーの蓮城焔椎真を援護することが多い。

奈落 (いざなぎ)

蓬莱黒刀の対悪魔武器。普段は姿を消しているが、武器の名を唱えると顕現する。黒い刀の形をした武器。黒刀は魔術が得意ではないため、戦闘の際には、どんな相手に対しても奈落を手に突っ込んでいく。

混沌 (めぎるゔぁーだ)

降織千紫郎の対悪魔武器。普段は姿を消しているが、武器の名を唱えると顕現する。大仰な筆の形をしており、宙に描いたものを具現化する力を持つ。式神を扱う際や、魔術の発動にも使う。千紫郎はこれを利用し、蓬莱黒刀の援護に回ることが多い。

神の霊石 (かみのれいせき)

大きく天に突き刺さるような形をした石。祇王の鎌倉の本邸にある。元々は祇王の本家がある京都にあったものだが、日本の政治や経済の中心地が東京に動いたため、祇王家が活動拠点を東京に移す際に、神の霊石も京都から鎌倉へと移動させた。

ソロモンの鍵 (そろもんのかぎ)

祇王天白が手にしている魔道書。これを用いて天白は悪魔を使役している。魔術を使う際にも使うことができ、祗王泠呀と対峙する際には常にこれを携帯し、魔道書の内容を読むことで魔術を使い、泠呀に対抗している。

ラジエルの鍵 (らじえるのかぎ)

祗王泠呀が「若宮奏多」として孤児院「朝陽院」に入る時に持っていた魔道書。これにより、上級悪魔や魔獣を召喚することができる。祇王天白に対抗するために、泠呀がどこからか手に入れたもの。

魔道書 (ぐりむわーる)

悪魔召喚士が扱う、悪魔を召喚するために必要な本の総称。現在は祇王天白が魔道書「ソロモンの鍵」、祗王泠呀が魔道書「ラジエルの鍵」を持っている。上級悪魔を召喚する他に、魔術を使うためにも使う。

神の光 (かみのひかり)

祇王夕月の持つ能力。他人の傷を、その痛みを夕月が吸収することにより癒すことができる。悪魔に負わされた傷は、基本的にこの能力でしか癒すことができない。また、この力を利用して、「戒めの手」たちに力を与えることもできる。

魔王の血の十字架 (ぶらっでぃくろす)

ルカ=クロスゼリアの左腕にある文様のこと。「XX」という文様が左腕に刻まれている。魔王の血の十字架がある悪魔の血を吸おうとすると、それだけで下級悪魔は死に至る。普通は濃い灰色をしているが、ルカは他の罪深き一族とは違い、前の主であるユキがつけた赤色をしている。

神の耳 (かみのみみ)

物の記憶を聞き取ることができる能力。叢雨十湖と叢雨九十九がこの能力を有しており、この能力を持つ者同士であればテレパシーも使える。なお、能力を使うと周囲の雑音まで拾ってしまうこともあり、意外に扱いが難しい。

神の声 (かみのこえ)

声に意思を乗せることができる能力。蓮城焔椎真がこの能力を有している。碓氷愁生が行方不明になった時、この力を使って愁生を呼び、彼の存在を確かめた。

神の目 (かみのめ)

水晶球を用いて、人や物を見つける能力。碓氷愁生がこの能力を有している。愁生は術を用いる時にも、この神の目を使う時と同じ水晶球を使う。

神の足 (かみのあし)

目にも止まらぬ速さで移動することができる能力。蓬莱黒刀がこの能力を有している。奈落を使って接近戦を挑む際に、敵の目をかく乱するためによく使われる。

邪眼 (じゃがん)

人に暗示をかけたり、記憶操作をすることができる能力。神命斎悧がこの能力を有している。「神の目」とも呼ばれるが、碓氷愁生の持つ能力と区別して「邪眼」と呼ばれることが多い。

預言者 (うぁてす)

未来を読む者のこと。神託として降りてくる詩のような言葉を、これまでの経験と知識、直感で読み解く。祇王天白のみがこの能力を有している。神託の内容によって、「戒めの手」の出動を要請する場合もある。

悪魔召喚士 (ねくろまんさー)

悪魔を召喚し、使役する能力を持つ者。元々は、他の方法では解決できない問題や、特別な情報を与えてもらうために悪魔を召喚していた。悪魔召喚の際には魔道書を利用する。現在確認されている悪魔召喚士は、祇王天白と祗王泠呀の2人のみ。

結界 (ろっくせぷと)

周囲を囲い、人が入れなくなるようにする結界のこと。その代わり、中から出ることもできない。結界内で起きた物の破損などの事象は、結界を解くと元通りになる。叢雨九十九など、「戒めの手」のコンビのうちどちらか1人が、必ず使えるようになっている。のちに祇王夕月も使えるようになる。

解縛 (かいばく)

悪魔の手から人を解放させる技。悪魔そのものに対しては効果がない。「戒めの手」のコンビのうちどちらか1人が必ず使えるようになっている。祇王夕月は使うことができないため、必要に応じて「戒めの手」の面々に頼ることになる。

聖護盾 (はーろうぉー)

魔力で作ったバリアのようなもの。祇王夕月が使うことができる。あらゆる悪魔の力を跳ね除け、内部にいる者を守ることが可能。しかし魔力を大量に消費するため、長い時間は保つことができない。

悪魔 (あくま)

インフェルヌスに住む者たち。人間界では「悪魔」として知られる。ちなみにインフェルヌスでは「デュラス」と呼ぶ。悪魔には能力の高さによって階級があり、一番上が上級悪魔のSランク。人間の禍々しい想いを取り込むことによって能力が高まるため、人間界に来た悪魔の多くは、心に闇を抱えた人間に取り憑こうとする。

黄泉の落日 (よみのらくじつ)

千年以上前の祇王一族と悪魔の戦いを指す。この時から祇王天白の「記憶の保持」と「戒めの手」の転生が始まった。この時の記憶を唯一持っているのが、天白。以後、悪魔と人間との戦争は数百年おきに繰り返されている。

ワルプルギスの夜 (わるぷるぎすのよる)

人間界で悪魔の魔力が最高に高まる、年に1度の夜のこと。悪魔が騒ぎ、犯罪が多発する。悪魔は、能力の高まるこの時を計って祇王夕月を襲ったが、ルカ=クロスゼリアと「戒めの手」の活躍により計画は失敗に終わる。

正体不明 (あんのうん)

警察で悪魔を呼ぶ名称。「得体の知れないもの」という意味が込められている。警察は、物的証拠があっても犯人の挙がらない犯罪の多くは、この正体不明が関連しているものとして扱い、事件解決を祇王一族に委ねている。

書誌情報

限定版 裏切りは僕の名前を知っている 10巻 KADOKAWA〈あすかコミックスDX〉

第10巻

(2012-06-01発行、 978-4041300039)

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