夜王

新宿歌舞伎町にある老舗ホストクラブの「ロミオ」を舞台に、新人ホストの的場遼介がホストとして、そして人間として成長していく様を描く。ロミオ所属のホストや他店ホストのほか、ヤクザや中国マフィア、アパレル業界、芸能界、教育界など、さまざまな人物が登場し、遼介と関わりを持つ。

正式名称
夜王
作画
原作
ジャンル
水商売
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
巻数
全29巻完結
関連商品
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あらすじ

入店編 (第1巻~第3巻)

的場遼介は、北海道から一旗揚げようと東京にやって来たが、まったくチャンスを摑む事ができない状態が続いていた。そんな遼介は、ふとした事から世界的なデザイナーの加納麗美と、彼女をエスコートするホストの上条聖也と知り合う。麗美から東京という街は努力すれば必ず応えてくれる、と励まされた遼介は、聖也の働くホストクラブ「ロミオ」に入り、ホストとして生きる事を決意する。しかし、麗美が遼介を「ロミオ」で指名した事から、聖也とのあいだに確執が生まれてしまう。「ロミオ」のNo.1ホストであり、「ロミオ」内で絶大な影響力を持つ聖也は、自身の派閥のホスト達を動かして遼介つぶしを画策する。

「ジュリアン」編 (第3巻~第5巻)

的場遼介上条聖也とのホスト対決が続く「ロミオ」に、ある日、岡崎と名乗る男が来店する。岡崎は加納麗美と連絡を取りたいと遼介に迫るが、遼介は客のプライバシーは教えられないと、岡崎の要求を拒否する。岡崎は、ファッションブランド「ジュリアン」の社長であり、かつて麗美は「ジュリアン」のメインデザイナーであった。岡崎と麗美は恋人同士だったが、妻子のあった岡崎は家族を選び、麗美は「ジュリアン」から独立して、デザインの世界で名声を手にしていた。岡崎は傾きかけた「ジュリアン」ブランドの復活のために麗美を必要としており、事情を知った遼介は麗美に岡崎と会うように伝える。しかし、麗美の体は末期のがんに冒されており、余命いくばくもない状態だった。岡崎の願いを聞き入れた麗美は、「ジュリアン」ブランドとして売り出すためのデザインをおこし、「ジュリアン」起死回生のファッションショーを開く事を提案する。そしてそれは、麗美にとって人生最後の仕事でもあった。

聖也との決戦編 (第5巻~第6巻)

加納麗美の死を乗り越え、的場遼介はさらにホストして力をつけていく。そんな遼介の存在は、「ロミオ」のNo.1ホスト、上条聖也が脅威を感じるほどとなっていた。ホストとして遼介と決着をつける時が来た事を悟った聖也は、沙耶という資産家の女性から指名を受け、遼介を牽制する。一方、遼介もまた小百合という謎の女性に指名され、聖也との決戦に臨む。その月の売上金額で雌雄を決する事になった遼介は、小百合の力で高額な売上をあげていくが、土壇場で聖也の盟友である歌舞伎町ホスト四天王の力によって逆転されてしまう。遼介とのホスト対決に勝利した聖也だったが、その直後に暴力団の菱和会によって連れ去られてしまう。実は沙耶は菱和会総長の娘であり、聖也が娘を弄んだと思った菱和会総長は聖也に制裁を加えようとしていたのだ。そこへ現れた遼介は、小百合が聖也の母親であり、聖也を自分のもとへ帰すために「ロミオ」を辞めさせようとしていた事を告げる。遼介の心意気に菱和会総長も聖也を解放し、聖也も遼介と和解して、母親の小百合と共に暮らすために「ロミオ」から去っていく。

歌舞伎町抗争編 (第7巻~第9巻)

上条聖也の去った「ロミオ」で、聖也に代わってNo.1ホストとなった的場遼介は、歌舞伎町での先輩、高橋徹の紹介で中国人の京美と知り合う。中国から留学して来た京美は、短大に通いながらバーでアルバイトをしており、遼介はそんな京美に惹かれていく。ある日、遼介は中国人に襲われている京美を助けるが、それは中国マフィアの仕業だった。京美の兄の英傑は、京美よりも先に日本に来ており、歌舞伎町で愚連隊を率いていた事で中国マフィアとは敵対関係にあった。やがて事態は、英傑のグループとそれに敵対する中国マフィアとのあいだでの抗争へと発展していく。この抗争に巻き込まれた遼介は京美を守るために奮闘するが、中国マフィアによって京美が拉致されてしまう。この事態を収めるには歌舞伎町の「夜王」の力が必要と聞かされた遼介は、英傑と共に「夜王」を探しながら京美の救出のために奔走する。「ロミオ」のオーナーである矢島輝彦から、「夜王」と連絡を取る事のできる人物、の存在を知った遼介は、京美の救出に成功するが、抗争はさらに激化していく。桃は自身の持つ力を駆使して抗争の沈静化にあたるが、激しさを増す抗争の末に、京美は遼介をかばって命を落とす。遼介は、ホストにとって命ともいえる自身の顔に傷を付け、その傷と引き替えに抗争を終わらせるのだった。

「エロティカ」編(第10巻~第12巻)

歌舞伎町抗争のあおりで休業状態だった「ロミオ」は営業を再開、的場遼介も顔に傷のあるホストとして再出発する事になった。そんな「ロミオ」の向かいに、新たなホストクラブ「エロティカ」がオープンする。「エロティカ」のオーナーである北村美紀は、女性ならではの目線でホストクラブを設計し、ホストの藤崎卓也と共に「ロミオ」を超える店にする事を宣言する。しかし、そんな美紀は芸能界の大物の神大寺と愛人契約を結んでおり、「エロティカ」の出店も神大寺の力によるものだった。実業家として優れた才覚を持っていた美紀だったが、神大寺に多額の借金を作ってしまい、神大寺はそんな美紀を束縛し、隷属させていた。その事を知った遼介は美紀を救おうと、歌舞伎町抗争で知り合ったの力を借りて美紀の借金を返済する。美紀は「エロティカ」を閉店し、自身の本当にやりたかった事を見つけるためにアメリカへと去っていき、卓也は遼介の提案で「ロミオ」で働き始める。

女衒のレイ編(第12巻~第15巻)

的場遼介は、「ロミオ」の客だった女性が、「スナイパー」というホストクラブの天海零というホストに現金を手渡しているところを目撃する。零は客となった女性に高額の金を使わせた末に風俗店へと売り飛ばす事から、「女衒のレイ」と呼ばれる極悪ホストだった。そんなある日、遼介の前に先輩であり、風俗店の店長である高橋徹が現れ、とあるマッサージ店で働く浦澤梨佳という女性を紹介される。彼女は高橋の恋人であり、目が不自由な女性だった。そんな梨佳に零が近づき、言葉巧みに自分の虜にしてしまう。梨佳が騙されていると知った遼介は、一時的に「ロミオ」を離れて「スナイパー」へと移籍する。しかし零から梨佳を離そうとするが、既に零に心が傾いている梨佳は遼介の説得にも応じない。そんな折、遼介は世界的なピアニストの野口恭子と出会う。かつて恭子は零の恋人であり、共にピアニストを目指していたが、零の才能に嫉妬した恭子は、零を裏切った過去があった。この事から零は女性を信じられなくなり、「女衒のレイ」とまで呼ばれるほどの極悪ホストへと変貌したのだという。この事を知った遼介は、梨佳のみならず零の心をも救おうと決心する。

新人ホスト・翼編(第16巻~第18巻)

「スナイパー」に一時的に移籍していた的場遼介は、再び「ロミオ」へと戻って来るが、そんな彼を待っていたのは新人ホストのだった。翼は、「ロミオ」のNo.1ホストである遼介と勝負し、自分が勝てば「ロミオ」から出て行くように迫る。翼の挑戦を受けて立った遼介だったが、ホストとして優れた技術を持った翼は順調に売上を伸ばし、遼介に迫るほどの勢いとなっていく。そんなある日、遼介は歌舞伎町No.1キャバ嬢の愛夢と出会い、さらに歌舞伎町で生き別れた「石川耕三」という名前の孫を探す、ある女性を紹介される。「石川耕三」が翼ではないかと考えた遼介は、その事を翼に告げるが、翼は自分とは無関係であり、遼介とのホスト勝負はまだ終わっていないと反論する。しかし、実際には「石川耕三」とは翼の事であり、その翼は、愛夢のいたキャバクラでかつて黒服として働いていた過去があった。愛夢に惹かれていた翼は、そんな愛夢が遼介の事を意識していたと知り、遼介に対して激しい敵愾心を抱いていたのだった。遼介に勝つために整形した翼は「石川耕三」としての過去を捨て、「ロミオ」へとやって来たのだ。翼は月の売上金額で遼介と雌雄を決する事を告げ、運命の締め日がやって来る。

グラドル・千夏編(第18巻~第20巻)

ロミオ」で働くホスト達に人気のグラビアアイドル、桜井千夏が「ロミオ」へやって来た。「ロミオ」のホスト、陸は、大ファンである千夏を楽しませようと張り切って接客をする。実は千夏は芸能界で行き詰まっており、少しでも気を紛らわせようと、話題のホストクラブ「ロミオ」と、そのNo.1である的場遼介に会いに来たのだった。千夏に対する陸の気持ちを知った遼介は、陸を応援しようとするが、ふとした事から遼介と千夏が付き合っていると誤解されてしまう。この事で遼介を恨んだ陸は、その恨みをバネにホストとしての才能が開花するものの、心の中には遼介に対しての複雑な感情が残っていた。さらに陸は、自身のミスから大量の売掛を作ってしまい、回収する事が難しい状況に陥ってしまう。

警察編(第20巻~第23巻)

歌舞伎町内で風俗嬢が殺害される事件が起こった。事件を担当する事になった刑事の霧崎は、事件の容疑者として的場遼介を逮捕するが、もちろん遼介には身に覚えがない。やがて釈放された遼介は、独自にこの事件を追い始める。そんな遼介の前に、上条聖也と共に歌舞伎町ホスト四天王と呼ばれた赤木達也、沢村慎吾、一ノ瀬優が現れ、歌舞伎町ホスト評議会の設立に協力するよう持ちかけられる。しかし遼介はこれを拒否した事から慎吾は遼介に対して激しい敵意を抱く。そんな折、慎吾の店で働くホストの一人、涼介が何者かに殺害されるという事件が起こる。この涼介は風俗嬢を殺害した犯人であり、名前が同じだった事から遼介が容疑者となったという背景があった。さらに死亡した涼介からは大量の麻薬が検出され、歌舞伎町で麻薬が密売されている事実が明らかとなる。この事を知った霧崎は、密売人を逮捕するために強引な捜査を進めるが、何者かに襲撃され、遼介に助けられる。歌舞伎町のキャバ嬢である愛夢の協力もあり、麻薬密売の背後には、ホスト四天王の一人、優が関係している事を突き止めた遼介は、慎吾にその事実を伝え優の待ち受けるホストクラブへと車を走らせる。

「ヴィクセス」編(第24巻~第26巻)

ホスト日本一を決める大会、H-1グランプリで優勝した大阪のホストの柳直夜は、自身の率いるホストクラブ「ヴィクセス」を歌舞伎町にオープンさせる。折しも的場遼介は、オーナーの矢島輝彦から「ロミオ」2号店を大阪に出店する提案を受け、店長として大阪へ派遣される事となった。「ヴィクセス」という強力なホストクラブがオープンするにもかかわらず、遼介が抜ける「ロミオ」のホスト達は不安がるが、そこへかつて遼介と死闘を展開したが復帰。「ロミオ」を自分達に任せ、心おきなく大阪へ行くよう遼介に告げる。

大阪へとやって来た遼介は、そこで美憂というキャバ嬢と知り合う。さらに大阪での「ロミオ」2号店のオープンに合わせるかのように、直夜が大阪へと戻って来る。歌舞伎町に「ヴィクセス」を出店したばかりの時期になぜ戻って来たのかと尋ねる遼介に、直夜はある強大なホストクラブが大阪に進出して来たためだと答える。そして、そのホストクラブとは「ロミオ」ではなく、上条聖也の率いる九州のホストクラブ「スコーピオン」だった。

ホスト3店対決編(第26巻~第29巻)

ホストクラブ「スコーピオン」を率いて大阪へとやって来た上条聖也は、再び的場遼介と相まみえる。さらにそこへ大阪のホスト、柳直夜も交え、遼介の「ロミオ」、聖也の「スコーピオン」、直夜の「ヴィクセス」の3店対決が始まった。やがてこの3店対決は「負ければ閉店」という過酷な条件のもと、マスコミも巻き込む大きな流れへと変わっていく。そんな中、遼介は大阪で知り合ったキャバ嬢の美憂と直夜との複雑な関係を知る。かつて仲のいい兄妹だった直夜と美憂だったが、ある事件がきっかけで美憂は直夜を恨むようになっていた。直夜と美憂の関係を修復するために尽力する遼介。しかし、直夜は頑なに心を閉ざし、聖也の「スコーピオン」は高額の売上で「ロミオ」を牽制する。苦境に立たされた遼介の前に、藤崎卓也ら歌舞伎町の「ロミオ」のホスト達が集結、東京の力を得た総力戦でホスト3店対決に臨むのだった。

登場人物・キャラクター

的場 遼介 (まとば りょうすけ)

北海道札幌市出身の男性。地元では暴走族に所属するなどヤンチャを重ねていたが、まっとうな職に就くでもなく鬱屈した日々を過ごしていた。ダンサーを目指して上京するという友人の女性・ヨーコに刺激を受け、自分も上京を決意。しかし東京でも目的が見つからず、鬱屈はなくならないまま。ある日、半ばヤケになり、新宿にある高級ホテルに足を踏み入れたところ、加納麗美が上条聖也にエスコートされる現場に遭遇する。 たまたま麗美の目に止まった遼介は、彼女から「東京は努力したものは必ず報われる」という話を聞き、もう一度自分も何かしようと決意。その後、先ほど遭遇した男性の方が上条聖也という名のホストで、ロミオというホストクラブで働いていることを知り、自分も入店しようと歌舞伎町にある同店を訪れる。 面接を突破し、新人ホストになった遼介は、正統派ではないものの、女性客と真摯に向き合う自身のやり方で足場を固めていった。それを邪道と断ずる上条聖也率いる聖也派に対抗するため、遼介派を起ち上げ真っ向から勝負。 聖也を売り上げ対決で打ち破り、ロミオNo.1ホストに上り詰めた。その後もNo.1を維持しつつ、そのときどきに出会った人間の手助けになろうとつねに全力で臨む。場合によっては対立する相手にも手を差し伸べるその姿は、「甘い」と言われることもしばしば。歌舞伎町をめぐる暴力団と中国マフィアの抗争を鎮めるために、ホストの命と言える顔に自らナイフで深い傷を入れた。 そのほか歌舞伎町で巻き起こるさまざまな事件に体当たりで挑み、その姿勢は夜王に買われている。のちにロミオが2号店をオープンすることになった際にオーナーから店長に任命。出店地の決定権を与えられた際には、ミナミから歌舞伎町に攻勢を仕掛けてきたヴィクセスの柳直夜に対抗する形でミナミに出店することに決めた。 同時期に聖也もミナミ進出を果たしたため、聖也・直夜と三つ巴の争いを繰り広げることに。

加納 麗美 (かのう れみ)

世界的ファッションデザイナーで自身のブランド・REMIを取り仕切る『セレブ』。以前は岡崎商会という会社でブランド・ジュリアンのデザイナーをしていたが、自身を見出した岡崎商会の経営者・岡崎達哉との不倫の末に破局。そのショックで達哉との間にできた子どもを流産し、さらに子どもの産めない身体になってしまう。 独立後、がむしゃらに働いていたところ、末期の癌に冒されていることが発覚。そんなときにたまたま出会った遼介を、最高のホストに育て上げようと決意する。だが、決して自分が遼介を指名して売り上げを立てさせるのではなく、むしろさまざまな難題を与えることで遼介の成長を促した。 自身の死期が近づくも、遼介の頑張りに発奮し、自らの最期の仕事としてREMIのファッションショーを敢行することを決意。そんな折、古巣・岡崎商会の経営が傾いていることを遼介経由で知った麗美は、最期のラインをジュリアン名義にし、自社の従業員たちの今後を岡崎に託す。大盛況に終わった麗美のショーののち、最初に出会ったホテルに遼介を伴った麗美は、彼の腕の中で静かに息を引き取る。

上条 聖也 (かみじょう せいや)

ロミオのNo.1ホストとして長年君臨し、歌舞伎町四天王のひとりに数えられる。正統派ホストとして、ファッション誌から経済誌、最新スポットまで話題をリサーチする努力は怠らない。ただしお客に優劣をつけ、経営者やモデルなどを大事にする反面、風俗嬢などは見下している。的場遼介が入店後、イレギュラーなやり方でお客を掴み、特に加納麗美の指名を勝ち取ったことで敵対。 自身の派閥・聖也派を率いて遼介を潰そうとする。しかしホストとしてのプライドは誰よりも高く持っており、先走った部下が不正な手段で遼介を陥れようとした際には、潔く遼介に頭を下げて謝罪した。幼いころ、母親に捨てられた過去を持ち、それゆえに愛を否定していたが遼介との直接対決の過程で母親と再会し、和解を果たす。 遼介との売り上げ対決で破れ、No.1の座を奪われたことでロミオを退店。新天地・福岡へと流れ行く。福岡ではスコーピオンという店に所属し、一から出直すが、瞬く間に頭角を現し2か月後には新店舗の店長に。その後、西日本を着実に制覇し、大阪へ進出。 ロミオ2号店店長として大阪に移った遼介と再び対決する。

京美 (じんめい)

中国人クラブ・夜来華にホステスとして勤める。加納麗美を失い傷心の的場遼介を気遣った高橋徹に連れて行かれた夜来華で、遼介と出会い互いに惹かれ合うように。兄の英傑は中国東北部出身のマフィアを率いており、歌舞伎町の縄張りを切り取ろうとしていた。英傑の妹ということで京美は敵対組織から狙われるようになり、遼介はそんな京美を守ろうとする。 遼介の奮闘により、抗争が収まろうとしたそのとき、遼介を狙って銃弾が放たれ、それをかばおうとして被弾した京美はそのまま絶命した。

北村 美紀 (きたむら みき)

歌舞伎町をめぐる日本の暴力団と中国マフィアの抗争が終結した後、ロミオの対面に新オープンしたホストクラブ・エロティカのオーナー。学生時代からエステチェーンを展開していた実業家でもある。的場遼介に対し「3か月以内にロミオを潰す」と挑戦状を叩きつけるが、遼介から「1か月以内に自分に惚れさせてみせる」と返された。 当初は反発も見せたが、遼介の人間性に触れるにつれ、次第に惹かれるようになっていく。エステチェーン起業の資金集めに苦心していたところ大手芸能事務所社長の神大寺靖人から10億円の資金の提供を受けるが、その条件として愛人契約を強いられた。なおエロティカ在籍のホストの多くは、神大寺の事務所に所属する芸能人たちである。 卓也の不始末による刃傷沙汰でエロティカの閉店を神大寺が決定したのち、遼介が奔走。夜王人脈を使って神大寺への返済金と美紀の新規ビジネス用資金をあわせた13億円の提供を受け、神大寺との愛人契約を解消し、新天地を求めアメリカへと旅立っていった。 ヤクザから求められたみかじめ料は断固拒否するなど、筋の通らないことは認めない。

藤崎 卓也 (ふじさき たくや)

歌舞伎町のホストクラブ・エロティカ所属のホスト。元々はアイドルとして活動していたが、芸能界ではあまり売れはしなかった。北村美紀に想いを寄せており、彼女が的場遼介に惹かれていくことを察知し、遼介への敵愾心を募らせる。結果、遼介に「新規客を1組キャッチして売り上げを競う」という勝負を申し込み、敗者は歌舞伎町を去り美紀に近づかないことを約束させた。 卓也は成金趣味の中年女性をキャッチし多額の売り上げを立てるが、遼介がキャッチした3人の女子大生実業家にもろくも敗北。その後、遼介に敗北した際の条件を水に流してもらうが、お金を落とさなくなったので捨てたかつての客・洋子にに包丁で切りつけられた。 それが醜聞としてニュースになったことでエロティカの閉店が決定。美紀のはからいにより、ロミオに所属するようになる。その後は恩義ある遼介の力になるべく、ロミオのホストとして懸命に働くようになった。

天海 零 (あまみ れい)

歌舞伎町のホストクラブ・SPIDERに所属するホスト。本名は佐伯零。かつてピアニストを目指し、ドイツに音楽留学していた。その際、野口恭子と出会い恋人関係に。ドイツでめきめきとピアニストとして実力を伸ばした零は、名誉ある大役を師から与えられる。しかし、恭子が自らの身体を差し出すことで何も知らない零からその役を奪取。 さらに落ち込んだ零が酒を飲んでいたところに絡んできた暴漢によって手を刺され、ピアニストとしての命運を断たれてしまう。その後、自分の役を奪ったのが女の武器を使った恭子だと知り、心底女性を憎むように。帰国後、ホストとなった零は自分についた客に多額の売掛け金を持たせ、返済させるためにソープランドで働かせるようになった。 そこでついた異名が女衒のレイ。高橋徹と恋人になるもその束縛に苦しんでいた浦澤梨佳を目撃し、新たな標的に設定。それを知った遼介はロミオを一時退店、SPIDERに入店して零の魔手から梨佳を守ろうとする。さらに心を入れ替えた高橋徹や、世界的ピアニストになるも過去の行いを悔いた恭子も加わり、零の企みは阻止された。 その過程で改心したが、かつてソープランドに沈めた女性たちに訴えられ逮捕。罪を認め、服役することを決意した。

(つばさ)

的場遼介が天海零に対抗するためロミオを一時退店している間に入店してきた美形のホスト。最初から遼介への敵対心をむき出しにし、1か月の売り上げで自分がNo,1になったらロミオから完全に退店するよう求めた。女性の扱いは巧みで、飴と鞭を使い分けて指名客を籠絡する。当初は一切ヘルプを付けずにたった一人で遼介派を相手取るが、さすがに指名客を捌ききれなくなり、遼介派内で燻っていたホストたちを切り崩して翼派を起ち上げた。 売り上げ勝負では、ギリギリのところまで遼介を追い詰めるも、遼介の指名客たちが全員で遼介を支えようと協力したのに対し、翼の指名客たちはそれぞれが翼を独占しようとしたため、最後にはひっくり返される。 本名は石川耕三と言い、元々は歌舞伎町No.1キャバクラ嬢・愛夢が在籍するエトランゼで黒服として働いていた。愛夢に想いを寄せ、彼女に告白するもすげなく袖にされ、その際に「気になる男性は遼介」と言われたことで自分もホストになることを決意。 美容整形手術を受け、完全に顔を作り替えてロミオに入店した。遼介に敗北後、自分を探しに歌舞伎町を訪れていた祖母と故郷へと戻る。その後、ロミオが大阪に2号店を出店し、遼介がその店長として大阪への赴任が決まると、ホスト復帰を果たし、歌舞伎町店の支えとなった。

愛夢 (あゆ)

歌舞伎町のキャバクラ・エトランゼ在籍のNo.1キャバクラ嬢。客に飲まされ過ぎて吐いているところを、通りかかった的場遼介に助けられる。日頃、「ホストクラブへは行かない」と公言していたが、恩返しのためロミオを訪れ、遼介を指名。その後、整形前の翼・石川耕三を探しに来た翼の祖母に遼介とともに協力するなど、徐々に距離を縮めていく。 歌舞伎町を裏から支える伝説の男・夜王の娘。覚醒剤が歌舞伎町に蔓延しはじめた一件でも遼介と行動を共にする。その際、夜王の娘としてではなく、ひとりの人間として助力を申し込まれたことで、遼介を意識するように。ある日の帰宅途中、覚醒剤密売の犯人たちに拉致され強姦されそうになるが、すんでのところで遼介に救われた。 事件終結後、遼介のことを好きになりすぎることを防ぐため、そして遼介にふさわしい女性になる修行のため、日本を離れ海外へと旅立つ。

柳 直夜 (やなぎ なおや)

大阪ミナミのホストクラブ・ヴィクセスに在籍するホスト。日本一のホストを決めるH-1グランプリの第10回優勝者でもある。東京の名店・ロミオに対抗意識を燃やし、ヴィクセス歌舞伎町店をオープン。だが、それに対抗する形で的場遼介がロミオ2号店をミナミに出店したこと、さらに上条聖也がミナミ進出を果たしたことで、自身は歌舞伎町に留まらずミナミへと引き返す。 美憂という妹がいる。早くに父親を亡くし母子3人で暮らしていたが、のちに母親が再婚。しかし母親は心臓発作で死去したため、義父と妹・美憂と生活を共にすることになった。美憂は義父に懐き、義父も美憂を可愛がっていたが、裏では義父は借金漬けで中学一年生になった美憂をヤクザに売ろうとしていたことを知り、直夜は逆上し義父を刺殺してしまう。 逮捕された直夜は、自分への怒りを美憂の生きるためのエネルギーにしてもらいたいと願い、真相を語りはしなかった。そのため、成長しキタのクラブ・ルシアンのNo.1ホステスになった美憂からは深く恨まれている。 ミナミを舞台にした遼介・聖也との店を上げた売り上げ勝負の過程で、過去の誤解は解かれ美憂との和解を果たした。

(しゅう)

歌舞伎町のホストクラブ・ロミオ在籍のホスト。的場遼介の2年先輩だが、上条聖也をよく思っておらず、聖也派に入っていなかったため遼介入店時は寮の大部屋住まいの低成績ホストだった。新人の遼介にホストのイロハを教示するなど、最初から遼介の良き相談相手となる。 加納麗美をはじめとする女性たちの心をつかむのを見て遼介にホストの才を見出し、遼介派の起ち上げを望むように。実際に遼介派が起ち上がると、細かい目配りをして派閥を支えた。ときに甘すぎる遼介に対して苛立ちを募らせることもあるが、つねに遼介に理解を示し、その想いをかなえるために立ち回る。 大阪出身ということもありロミオ2号店開店の際には、起ち上げスタッフとして遼介に同道。その後、店長として厳しい処分を下せない遼介に業を煮やし、自身の修派を起ち上げるが、それも遼介の目を覚まさせるためであった。なお遼介と仕事をするようになってホストとしての実力も上がり、藤崎卓也がロミオに入店したのちも個人売り上げで卓也をかわしNo.2の座を守った。

高橋 徹 (たかはし とおる)

歌舞伎町の性風俗業界で成り上がろうとする沖縄出身の男性。父親は米軍の軍人だが、徹と妻を捨てアメリカに帰国、その後、母親を過労で亡くした過去を持つ。的場遼介が駆け出しのころに出会い、良き友人に。遼介が売り掛け金の回収ができずに困り果てているとき、彼を助けるため女装してロミオを訪れるなど友情に厚い。 当初はボーイに過ぎなかったが、後に丸海老ソープグループ営業部長に出世。さらに自身のソープランド・ポイズンを経営するに至る。目の不自由な浦澤梨佳という女性と恋人になるが、彼女を心配するあまり束縛するようになり、梨佳から疎まれてしまう。また梨佳の目の治療代を捻出するため、危ない橋をわたりはじめ天海零から紹介された女性をコンパニオンとしてポイズンで雇用。 それに伴い、朗らかだった性格は刺々しくなっていった。そんな徹に梨佳は嫌気がさし、零と距離を縮める。その結果、零は梨佳をポイズンに紹介。自分の過ちを悟った徹は考えを改め、再び梨佳との良好な関係を取り戻す。

矢島 輝彦 (やじま てるひこ)

ホストクラブ・ロミオのオーナー。二十歳でホストの世界に足を踏み入れ、若かりし頃の加納麗美が指名客になった。その後、独立を考えたところ麗美が資金を提供。ただし、矢島と麗美は男女の関係ではなく、深い友情で結ばれている。的場遼介と上条聖也の勝負、遼介と翼の勝負では敗れた方がロミオを辞めることを受け入れたり、さらに他店エロティカの藤崎卓也との勝負でも敗れた場合には遼介を退店させると約束したり、遼介が同業のSPIDERで働くための一時退店を認めたりと、経営者としては大胆。 さらに聖也が退店する際、聖也派のホストを複数引きぬくことをあっさり許可するなど、度量は大きい。 つねにパイプを手放さない、ダンディな中年男性。

(たお)

ホームレスになりすましているが、夜王との窓口になる唯一の存在。英傑率いる東北部中国マフィアと福建中国マフィア、日本のヤクザが抗争を繰り広げた際、そうとは知らない的場遼介に助けられ、以来目をかけるようになる。英傑が関わる抗争の終結だけでなく、北村美紀の資金調達や、遼介と愛夢が追った覚醒剤事件など、たびたび遼介に力を貸した。 なお、桃は個人名ではなく、夜王と連絡を取る者の役職のこと。

夜王 (やおう)

歌舞伎町の秩序を守るため裏から手を回すフィクサーで、愛夢の父親。その正体は不明だが、「台湾・朝鮮系の大物」「闇市時代からの実力者」などの噂がまことしやかに囁かれている。警察、ヤクザ、朝鮮人、中国人の垣根を越えた包括組織・歌舞伎町委員会を従える。的場遼介が警察に逮捕されたときに、即座に釈放に導くなど歌舞伎町での影響力は絶大。 早くから遼介の存在に目をつけており、最終的には桃を通じてその地位を譲ろうとする。だが、遼介は、かつての夜王がそうであったように歌舞伎町のために奔走した結果、自然と周りがそう呼んでいたという形でなければ夜王にはなれないと断った。

場所

ロミオ

『夜王』に登場するホストクラブ。矢島輝彦がホスト時代に加納麗美から1億円の資金を提供してもらいオープン。「誰にも真似ができない店を創れ」という麗美の言葉に従って、矢島がコンセプトを考案した。内装はヨーロッパの宮殿を彷彿とさせる絢爛豪華なもので統一されている。開店時には入り口にホストが勢揃いし、来店客に「ロミオへようこそジュリエット」と声をかけるのがお決まり。

書誌情報

夜王 全29巻 〈ヤングジャンプコミックス〉 完結

第1巻 的場遼介、立つ

(2003年6月発行、 978-4088764627)

第2巻 的場遼介、頭を垂れる

(2003年9月発行、 978-4088764993)

第3巻 的場遼介、旗を振る

(2003年12月発行、 978-4088765419)

第4巻 的場遼介、知る

(2004年3月発行、 978-4088765815)

第5巻 加納麗美、逝く

(2004年6月発行、 978-4088766218)

第6巻 的場遼介、挑む

(2004年9月発行、 978-4088766720)

第7巻 的場遼介、昇る

(2004年12月発行、 978-4088767239)

第8巻 的場遼介、駆ける

(2005年3月発行、 978-4088767666)

第9巻 的場遼介、哭く

(2005年5月発行、 978-4088767994)

第10巻 的場遼介、魅せる

(2005年9月発行、 978-4088768564)

第11巻 的場遼介、不可能に挑む

(2005年12月発行、 978-4088768977)

第12巻 的場遼介、詰め寄る

(2006年1月発行、 978-4088770253)

第13巻 的場遼介、店を去る

(2006年3月発行、 978-4088770512)

第14巻 的場遼介、追いかける

(2006年8月発行、 978-4088771267)

第15巻 的場遼介、掛け合う

(2006年11月発行、 978-4088771700)

第16巻 的場遼介、挑まれる

(2007年2月発行、 978-4088772141)

第17巻 的場遼介、苦悩する

(2007年5月発行、 978-4088772585)

第18巻 的場遼介、本気を出す

(2007年8月発行、 978-4088773087)

第19巻 的場遼介、誤解を受ける

(2007年11月発行、 978-4088773483)

第20巻 的場遼介、奇手を打つ

(2008年2月発行、 978-4088773926)

第21巻 的場遼介、街を託される

(2008年5月発行、 978-4088774398)

第22巻 的場遼介、救い出す

(2008年9月発行、 978-4088775074)

第23巻 的場遼介、身体を張る

(2008年12月発行、 978-4088775616)

第24巻 的場遼介、新天地へ赴く

(2009年3月発行、 978-4088776101)

第25巻 的場遼介、信じ抜く

(2009年6月発行、 978-4088776620)

第26巻 的場遼介、真実を知る

(2009年9月発行、 978-4088777146)

第27巻 的場遼介、殴り合う

(2009年12月発行、 978-4088777733)

第28巻 的場遼介、背水の陣を敷く

(2010年2月発行、 978-4088778044)

第29巻 的場遼介、旅立つ

(2010年4月発行、 978-4088778372)

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